劣化品の名を持つ者(物)   作:鎌鼬

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劣化品と複製品

 

 

 

春季「だ・・・・・・れだ・・・?」

 

 

女性の声がした、落ち着いた気品のある声

 

 

《ここです

貴方の右手の下です》

 

 

鉛のように重たい右手を引きずるようにして退かすとそこにはうっすらと光る球体があった

 

 

何個か集めると願いが叶いそうだな・・・

 

 

《私にそのような技能はありません》

 

 

そうなのか・・・・・・ん?今心を読まれなかったか?

 

 

《貴方の体をスキャンしたところ口舌による会話は困難だと判断して脳波による会話に切り替えました

今後は貴方の思考を読み取ります》

 

 

ふーん・・・・・・で、お前は何なの?

 

 

《私はISのコアです、正確に言うのならコアの複製品ですが

コアの複製を作ることを目的とした研究員によって作られましたが起動せず、廃棄されたところで貴方に触れられて起動した次第です》

 

 

複製品ね・・・・・・俺となんだか似てるな

 

 

《似ている、とは?》

 

 

俺はさ、よく思い出せないんだけど昔に劣化品とか呼ばれていたのよ

 

 

優秀すぎる家族を持った弊害っていうやつだよ

 

 

んで、何故か誘拐されて体のあちこち弄くられてお役ごめんだってここに捨てられたのよ

 

 

ほら、そっくりじゃないか

 

 

《・・・・・・辛く無かったのですか?》

 

 

ん~半ば諦めてたしね

 

 

でも、だからといって俺はこんなところで死にたくは無いけどさ

 

 

《どうしてですか?そのようなみじめな人生なら死んでしまった方がマシだと考えるのでは無いのですか?》

 

 

みじめって、お前もう少し包み隠して言えよな

 

 

どうしてか・・・・・・生きていた証が欲しいってやつかな?

 

 

別に歴史に名を残すほどの偉業を成し遂げたいとかいうのじゃないんだ

 

 

友達作って家族作って子供とか作ってさ、そいつらに看取られながらこの世を去りたい

 

 

ほんの数人の心に残るだけの存在

 

 

そういう広い世界からしたらちっぽけな存在に俺はなりたいんだ

 

 

誰もが一度は願うささやかな夢

 

 

だから俺はここで死にたくは無い、生きてここから出たいんだ

 

 

《・・・・・・貴方は随分と真っ直ぐな人間なのですね

他人を省みずに自分の信じた道をいくような人間》

 

 

そりゃどーも

 

 

てか人間かどうか怪しいし?色んな薬を投与されてるし体あちこち弄くられてるし

 

 

《ですか、私個人としては貴方に好感が持てます

貴方の名前を教えてください

私が貴方の翼となり、貴方のそのささやかな夢を支えさせてください》

 

 

そう言ってコアは強く光輝く

 

 

名前・・・・・・過酷な実験に心が砕かれながらも忘れぬようにと呟き続けていた俺の名前は

 

 

春季「はる・・・・・・き」

 

 

《認証、完了しました、マスターハルキ》

 

 

コアの光がいっそう強くなり、光の粒が現れる

 

 

光の粒は俺を包み込むように集まりだし、機械じみた鎧のような姿になった

 

 

全体の色は黒で金色のラインがはしり、所々にピンクの点のような物が描かれている

 

 

これはまるでいつか誰かと見たような

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうだ春季、凄いだろ?』

 

 

『満開だね』

 

 

『この木はな、桜っていうんだ

お前の名前と同じ春に咲く花で私も好きな花なんだ』

 

 

『へー、■■■姉さんにも好きな花とかあったんだ』

 

 

『・・・・・・春季?それはどういう意味だ?姉さん怒らないから言ってみろ』

 

 

『散開!!』

 

 

『あっ!!待て!!春季!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《・・・ルキ?ハルキ?》

 

 

深く沈んでいた思考がコアの声で呼び戻される

 

 

今のは俺の昔の記憶か?

 

 

《分かりませんが十中八九間違いないと思います》

 

 

そうか・・・・・・なぁ、お前には名前があるのか?

 

 

《ありません

そもそも名称をつけられる前に破棄されましたので》

 

 

なら名前を着けてやるよ

 

 

お前はサクラ、俺の記憶に残る俺の好きな花の名前だ

 

 

《サクラ・・・サクラ・・・・・・登録しました

私はマスターハルキのIS、サクラです》

 

 

それじゃあサクラ、このゴミ箱から抜け出そう

 

 

サクラ《はいハルキ、貴方となら何処までも》

 

 

特に意識をしたわけでもなくその場から高速で飛び立つ

 

 

目指す先はサクラを起動した際に見つけた僅かに光の溢れる場所

 

 

飛び立った時と同じ高速のまま、俺たちは光に突っ込んだ

 

 

 






春季君IS入手です


春季がISを動かせたのはサクラだからこそであってどのISでも動かせる訳ではありません


そしてサクラは篠ノ之束の使ったコアの中には含まれない未登録のコアです


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