東方神鬼録   作:月と風

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第一話

下にどんどん落ちていく。

死に少しずつ近づいているのだろうか。

しかし、不思議と気持ちが落ち着いていた。

死ぬ感覚とはこういうものなのだろうか。

とはいえ、一人残してきてしまった妹のことが気にかかる。

死ぬ前に一度だけでも元気な姿を見たかった。元気付けてあげたかった。

死んでから行こうかな...?いや、でも霊になって行ったら、あの怖がりの妹のことだ。泣いて怖がるだろうな。

そんな妄想はそろそろ終わりにしなくちゃな。

男は死をも笑って受け入れるんだ。

そう決めて、僕は目を瞑った。

 

 

―コロス...コロス...オイテケボリ...ユルサナイ...

森の奥を彷徨う少女の口から声が漏れる。

アイツニモ...コワサ...オシエルカラ...マッテテネ...

そう言うと少女は森のさらに奥へ去っていった。

―オニイチャン......

 

 

「なんでこんなに暑いのよ。こんな猛暑じゃ掃除も出来ないわよ。」

神社の縁側に座ってお茶を啜っていた少女がぼやく。

「最近異変も少ないし、出番はないし。」

「そろそろ巫女も引退して、毎日だらだらするべきj......」

 

その時、神社に何者かが突っ込んできた。

「よーっす!霊夢!」

「またあんたなのね。」

「また私だぜ。それより霊夢、昼御飯はまだか?」

「あんたの分はないけどね。」

「そんなこと言うなよ~私達の仲だぞ?」

「今はお金がないの。暑いから参拝者もいないの。」

「それ、いつもじゃないか?」

「あ~あ、せっかく昼御飯あげようと思ったのにな~」

「ちょ、ごめんって霊夢! 頼むから!」

「ったく......今日だけよ?」

霊夢はしぶしぶ昼御飯を作りに向かうのだった。

 

「はい、できたわよ。」

「さすが才色兼備の巫女、霊夢だ。」

「ほ、褒めたってなにも出ないわよ...」

 

そう言いながら霊夢は嬉しそうだ。

「こいつ、ちょろいな。」

「ん?なんかいった魔理沙?」

「ん?いや、なんでもないよ」

 

二人で昼御飯を食べていると、

「そういえば、また異変の兆しが出ているぜ。」

「は!?それを先に言いなさいよ!」

「ごめんごめん、忘れてた。妖精達が荒ぶり出したからね」

「わかった。気を付けておくわ。」

 

 

突然、落ちていっていた感覚が途絶えた。

ひんやりした感覚がする。

どこだ?ここ?

恐る恐る目を開けてみる。どうやら石畳の上に倒れているようだ。

状況が理解できない。僕死んだんじゃないの?ここは死後の世界?でもそんな風には見えない。

ということは......まだ生きている!?

いや、あの僕の覚悟はなんだったんだよ!自分でも結構カッコいいと思ってたのに!

と、とりあえず家を探して事情を説明しないと...

そうして僕は空腹を押さえて立ち上がった。

 

 

―フフ...ココカラ...サイショノ...キョウフダヨ......

 

 

 

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