東方神鬼録 作:月と風
下にどんどん落ちていく。
死に少しずつ近づいているのだろうか。
しかし、不思議と気持ちが落ち着いていた。
死ぬ感覚とはこういうものなのだろうか。
とはいえ、一人残してきてしまった妹のことが気にかかる。
死ぬ前に一度だけでも元気な姿を見たかった。元気付けてあげたかった。
死んでから行こうかな...?いや、でも霊になって行ったら、あの怖がりの妹のことだ。泣いて怖がるだろうな。
そんな妄想はそろそろ終わりにしなくちゃな。
男は死をも笑って受け入れるんだ。
そう決めて、僕は目を瞑った。
―コロス...コロス...オイテケボリ...ユルサナイ...
森の奥を彷徨う少女の口から声が漏れる。
アイツニモ...コワサ...オシエルカラ...マッテテネ...
そう言うと少女は森のさらに奥へ去っていった。
―オニイチャン......
「なんでこんなに暑いのよ。こんな猛暑じゃ掃除も出来ないわよ。」
神社の縁側に座ってお茶を啜っていた少女がぼやく。
「最近異変も少ないし、出番はないし。」
「そろそろ巫女も引退して、毎日だらだらするべきj......」
その時、神社に何者かが突っ込んできた。
「よーっす!霊夢!」
「またあんたなのね。」
「また私だぜ。それより霊夢、昼御飯はまだか?」
「あんたの分はないけどね。」
「そんなこと言うなよ~私達の仲だぞ?」
「今はお金がないの。暑いから参拝者もいないの。」
「それ、いつもじゃないか?」
「あ~あ、せっかく昼御飯あげようと思ったのにな~」
「ちょ、ごめんって霊夢! 頼むから!」
「ったく......今日だけよ?」
霊夢はしぶしぶ昼御飯を作りに向かうのだった。
「はい、できたわよ。」
「さすが才色兼備の巫女、霊夢だ。」
「ほ、褒めたってなにも出ないわよ...」
そう言いながら霊夢は嬉しそうだ。
「こいつ、ちょろいな。」
「ん?なんかいった魔理沙?」
「ん?いや、なんでもないよ」
二人で昼御飯を食べていると、
「そういえば、また異変の兆しが出ているぜ。」
「は!?それを先に言いなさいよ!」
「ごめんごめん、忘れてた。妖精達が荒ぶり出したからね」
「わかった。気を付けておくわ。」
突然、落ちていっていた感覚が途絶えた。
ひんやりした感覚がする。
どこだ?ここ?
恐る恐る目を開けてみる。どうやら石畳の上に倒れているようだ。
状況が理解できない。僕死んだんじゃないの?ここは死後の世界?でもそんな風には見えない。
ということは......まだ生きている!?
いや、あの僕の覚悟はなんだったんだよ!自分でも結構カッコいいと思ってたのに!
と、とりあえず家を探して事情を説明しないと...
そうして僕は空腹を押さえて立ち上がった。
―フフ...ココカラ...サイショノ...キョウフダヨ......