よろしくお願いします
人類の異常な発達のせいで生態系のバランスも崩れ、異常気象が頻繁に起こる世界。そんな終わりかけた世界を守り続けている少女がいた。
椅子と目の前の巨大なモニター以外何もない部屋で椅子に座り、モニターを見ながらしきりに腕を動かしている緑色の髪の少女。なんどか動作を繰り返しやがて動きを止めて口を開いた。
「対象の消去が終わりました」
「“対象の消失を確認した。下がっていいぞ”」
そんなスピーカー越しの返事を聞きながら立ち上がると、振り返ることなくドアへと進む。ドアが開いて少女が部屋から出ると少女の髪は緑色から銀色へと変わっていた。
無機質で何もかも白で統一された施設の廊下を歩く少女は、すれ違う度にひそひそと聞こえてくる話し声も聞こえないふりをしまっすぐ自室へと向かう。
そんな少女はこの世界でもっとも異常な力を持っていた。
「今回は接近中だった巨大な台風を消したらしいな」
「その前は大津波を止めたんですっけ?」
人間じゃないよな、そんな大人達の話し声に反応する事もなく、人気のない場所にある自室へと入りベッドに腰を降ろすと今までの張りつめたような表情が崩れ、一息つく。
「はぁ……」
『マスター、大丈夫?』
ふいに少女以外の声が響く。しかし自分以外の声に驚くこともなく少女はかけられた言葉に返事を返した。
「大丈夫、ちょっと寝ればすぐに回復するよ」
『今日はボクの力いっぱい使ったもんね……』
何もない空間に緑色の球体が声とともに現れると少女へと近づいてくる。少女はその球体を手のひらに乗せると笑いかけた。
「今回は対象が大きかったからね。心配してくれてありがとう、シルフ」
『ううん、……じゃあボクは戻るね』
そう言って消えていくシルフと呼ばれた球体を見守っているとカサッ、という小さい音が部屋に響いた。
音のした方を見てみると先程までは何も置かれていなかった机の上に一枚の封筒が置かれていた。
「手紙?どこから……」
ベッドから立ち上がって机に近づき、封筒を手に取ると表には「一ノ瀬紫織様」と書かれていた。
「私宛……」
少し訝しみながらも封を開いて中身を見てみるとそこには一枚のカード。
「悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能<ギフト>を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの"箱庭"に来られたし」
手紙を読み終わった途端、急に視界が開き少女は高度4000mほどの高さから大空へと投げ出されていた。
ついに初めてしまいました、問題児シリーズの小説!
更新はゆっくりだとは思いますが、頑張って連載していきたいと思います