ジョジョの奇妙な冒険×獄都事変ネタ   作:蜜柑ブタ

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お試し前編。

原作前です。





空条家のおかしな弟

 

 

 

 空条承太郎には、弟がいる。

 

 名を、空条煉(くうじょうれん)。

 

 だが、普通ではなかった。

 

 まず、生まれてこの方、一言も言葉を喋ったことが無い。

 

 目は物を映すし、耳も聞こえ、きちんと立って歩けるし、物も持つことも出来る。

 

 だが、その身体は、おかしかった。

 

 両目の色が違う。

 

 両手の大きさが違う。

 

 両足の大きさが違う。

 

 両耳の形が違う。

 

 それ以外にも、生まれた時、弟の誕生の日に産婦人科に行き、煉が産声さえ上げなかった異常事態に、医者や看護婦達がドタバタと忙しなくしていたのを、幼いながら鮮明に覚えていた。

 

 様々な検査の末に、産声をあげなかったにか関わらず、健康体だという判断がされ、母・ホリィは、ただただ安堵して泣いて煉を抱きしめていた。

 

 連絡を受けて駆けつけた祖父・ジョセフは、別のことで顔しかめていた。

 

 それは、ホリィと承太郎にもある、肩にある星の痣が、煉になかったことだった。

 

 身体のあちこちが違うことに気づいたのは、成長の過程で気づいたことだ。

 

 母・ホリィは、そんなことを気にせず、ただ生まれてきた我が子が生きていてくれることが嬉しいらしかった。

 

 承太郎自身も、弟の煉が人と違うことは気づいていたものの、弟であることには変わりないと思っていたし、言葉を一言も喋れないうえに、身体のあちこちが違うことをからかう同年代の子供らを懲らしめたことは何度かあった。

 

 言葉が喋れない弊害か、感情すらも欠けているのか、表現する力があまりないのか、それはよく分からないが、煉は、表情がほとんどなく、やられれば、やられっぱなしで、まるで人形のようだと形容されたことさえあった。

 

 だが、普通の人なりには動くし、伝えたいことがあれば言葉ではなく、手話や字などで伝えてくる。

 

 承太郎は、そんな弟を邪険に扱ったこともないし、気味が悪いとも思ったこともない。煉という存在が生まれた時からそうだったのなら、煉はそういう存在だと思っていた。

 

 だが、17歳を迎え、いわゆる反抗期…というか、不良になった承太郎は、いつ頃からか、煉の周りに、6つの人影のようなものを見るようなった。

 

 最初は見間違いかと思ったが、夜に煉の部屋の前を通り過ぎたとき。

 

 

『……いよいよか?』

『もうすぐだろうね。』

『あー、長かった。待ちくたびれたー!』

『やれやれ、やっとか…。』

『……だるぃ。』

『何はともあれ…。』

 

 

 ヒソヒソと知らない若い男達の声が聞こえ、慌てて連の部屋に入った時。

 

 深夜だというに、煉は、布団の上に座っており、周りに煉を取り囲むように6つの白い人影のようなものが立っていた。

 

 薄らぼんやりとだが、その格好は、どこか時代を感じさせる軍服のように見えた。体格の違う6人の男達が同じ格好で……。(ひとりはコートを纏っている)

 

 煉!っと、声をかけた直後、6つの影がこちらに気づいてビックリしたように反応して消えていった。

 

 

 その日からだった。

 承太郎自身にも異変が起こった。

 

 

 背後に…、誰かがいる。それを感じた。

 

 あの6つの白い人影のようなものが取り憑いたのかと思ったが、気配からして違うようだった。

 

 承太郎は、ソレを悪霊だと思った。

 

 悪霊は、承太郎が欲しがる物を勝手に持って来たり、喧嘩を売ってきた不良達をズダボロにした。

 

 しかもトドメまで刺そうとしたため、承太郎はやめろ!っと制止させようとしたが…、暴走している悪霊は聞かない。

 

 ソレを止めたのは、煉だった。いや、正確には、あの時、承太郎が見た、煉の周りにいた6つの影だった。

 

 ゴツい、まるで昔話の鬼が手にしているような金棒を手にした、ソイツが、倒れた不良に振り下ろされようとした拳を金棒で止めた。

 

 

『凶暴だな…。』

 

 

 紫色の目をしたソイツが、悪霊の拳を弾き、戦い慣れた様子で構えた。

 

『待て、谷裂(たにざき)。』

 

 刀を持つ、青い目の奴が言った。

 

『彼のアレを傷つけたら、彼まで傷ついちゃう。それだけはダメだ。』

 

 ひとりコートをまとっている空色の目の奴がそう言った。

 

『えー! つまんねぇの! 俺、力比べしたかったのに!』

『やめろ、平腹(ひらはら)、めんどくせぇ。』

 

 シャベルを持つ黄色い目の奴と、ツルハシを持った橙色の目の奴がそう言っていた。

 

『まあまあ、それより、この状況をなんとかした方がよくないかな?』

 

 大斧を手にしている翡翠色の目の奴がそう言って朗らかに笑った。

 

 

 やがて、騒ぎに気づいた近隣住民がパトカーを呼んだのか、サイレンの音が聞こえてきた。

 

 

 煉がへたり込んでいる承太郎に手を差し伸べた。

 

 

「………じょうたろう…。」

 

 

 少し喋り慣れない声変わりを始めたくらいの少年の声が、承太郎の名を口にした。

 

 それが、空条煉の最初の声だったと。承太郎はハッキリと理解した。

 

 

 これは、正史にはなかった、獄都とよばれるあの世の世界の鬼達と。

 その肉と骨から作られ、スタンドとして鬼達が活動するための仮初めの本体として送り込まれた改造鬼と、星の一族の物語となる。

 

 

 

 

 




原作開始の時の、承太郎が牢屋行きになった時のアレって、暴走状態のスタープラチナがやったんでしょうか?


DIOの復活時期と、斬島達がやられた時期が合わないのは、次に投稿する、設定で理由を書きます。

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