待ってた人いるかな…?
すっごい執筆意欲が湧かなくて……。
今回はタイトル通り、DIOにスタンドを教えた魔女ことエンヤ婆です。
原作と違う展開です。
エンヤとの戦闘はかなりあっさりです。
ブラコン度合いが強くなってゆく承太郎……。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
アンと飛行場に送った後、後ろ髪引かれるかと思われた煉だがそういうこともなく表情の変化少なくボーッとしているいつもの調子に戻っていた。
「あんな熱烈に告白されたってのに……、だいじょーぶか? 煉?」
「元々感情が希薄じゃったからのう…。喋れるようになったのもつい最近じゃし、急に常人と同じになれんのかもしれん。」
「おりゃ心配だぜ。」
ポルナレフがそう言った瞬間、座席を後ろから承太郎に蹴られた。
「ぐぉ!? ちょっ、待て待て! 大人として、年上目線で普通に心配して悪いのか!?」
「やめなよ、承太郎。弟のファーストキス取られたショックがあるんだろうけど、運転中の運転手を八つ当たりで邪魔したら命的にも危険だ。」
「……チッ。」
「機嫌わりー原因やっぱソレだった!?」
「承太郎! 煉が大事なのは分かるが、感情のままに暴れても煉に迷惑じゃぞ!」
「っ……。」
ジョセフに叱られ、煉に迷惑という部分で承太郎がピクッとあからさまに反応した。
承太郎がチラリッと煉の方を見たが、煉は車の窓の外を眺めているだけだった。ここまでの車内での会話を聞いているのか聞いていないのか……。
『大事にするのはいいが、過保護もほどほどにすることだな。がたいばかりデカいだけで、まだまだ青い。そんなことではいざというときになにもできんぞ。』
谷裂が徐に出てきて腕組みして承太郎を見据えて言った。
『同感だ。』
さりげなく田噛が同調する言葉を言った。頭脳派だが仕事をさぼるのに使う派の田噛が口を出すとは思わず、谷裂は驚いたように田噛の方を見た。こういう話には真面目だが情けとお節介さを発揮する斬島の方が出てくるのが常だったからだ。
『余計なことしていらん時間消費して制限時間に間に合わないのも、DIO捕獲の支障になるようなだりぃ展開は御免だから。』
「田噛って、効率重視?」
『違う。コイツはサボり常習なだけだ。』
花京院が田噛についてそう評しそうになったが、谷裂が速攻で否定した。単純に任務が面倒くさいから、なるだけ早く終わらせて帰りたいだけだと。そのためだけに頭の良さを使うのだと。
田噛は否定の言葉もリアクションも出さなかったため、谷裂の言うとおりらしい。
否定するリアクションを取ることさえだるいとしか捉えていないと見抜いた花京院は思わず苦笑いを浮かべてしまった。
「……霧が…。」
「あー、確かに霧が濃くなってきたな。」
「気をつけて運転してくれ、ポルナレフ。」
煉の呟きを聞いたポルナレフが場の空気を変えるように、そういうとジョセフも同調して霧の中の運転について注意を促す。
しかし霧はどんどん濃くなっていき、運転がより難しくなっていく。
このまま整備されていない道を走るのは危険だと判断して、野営を考え始めた頃。
「ん? あれは…、町か?」
「おかしいな。地図にはそんな町は…。」
「世界横断なんてしてりゃ地図通りじゃないってことはザラだぜ。こんな霧の中でこれ以上運転すんのもマズいし、ここで宿泊して霧が晴れるのを待たないか?」
「うーん…。」
納得がいっていない様子の花京院は渋々広げていた地図を畳んだ。
そうして町の出入り口から入り、車を道の端に止めて車から降りる一行。
煉はジッと空を見上げるように顔を上に向けていた。
「どうした、煉?」
「……霧が見てる。」
「?」
「こっちを見おろしてる。」
「……ほう?」
承太郎も煉が見上げる空を見た。
霧に覆われて空の色なんて分からないが、霧が奇妙な動きをしているように見えた。
「こっちを見てる。」
煉が顔を向きを変えて、別の方向を見た。
承太郎もそれにつられてそちらを見ると、酷く腰の曲がった老婆が物陰にいた。
大きな杖をついた老婆は、こちらからの視線に気づいたようで驚いたのか一瞬目を見開いたが、すぐに表情を改めてこちらに近寄ってきた。
「旅人さんかい?」
「まあ、一応な。それがどーした、婆さん?」
話しかけられ、ポルナレフが対応した。
「この町で唯一の宿をやっとりまして…、この霧の中じゃどこにも行けんでしょう? よければうちの宿でお泊まりください。サービスいたしますんで。」
「ほんとか!? やりぃ! 探す手間が省けたぜ!」
「唯一の宿か…、選り好みもできんし、みんな、荷物を車から出すんじゃ。」
「綺麗なトイレだといいね、ポルナレフ?」
「んだよ! 別にインドのブタ便所を引きずっちゃ…。」
「行くぜ。」
「おいおい、お前ら早いって!」
さっさと自分の荷物だけ車から出した承太郎と煉が老婆と共に移動し始めていた。
ちなみに、煉の荷物は承太郎が持って運んでやっていた。
『本当に煉にだけ甘いというか……。』
煉の中で佐疫が苦笑して、ついそう零していた。
元々兄として色々と問題があった弟の煉を守ってきた承太郎だったが、この旅で煉への過保護がすごい勢いで増大したかもしれない。
『超ブラコン確定だな!』
茶化すように平腹までそんなこと言うが、誰も否定できない。
そんな彼らを町を覆う濃い霧が、ほんのりドクロのような形となって空から見おろしていた。
***
そうして案内された町で唯一の宿。
残念ながらお世辞にも良い建築物ではない。良く言えば歴史があるが、ボロ宿だ。
まあ、人里離れた辺境の町では贅沢は言えないので、短い時間での強行軍の一行はそれを承知の上で宿泊するしかない。
「ちくしょー…、ここもフィンガーウォッシュかよ…。」
フィンガーウォッシュトイレは、トイレ設備が完備されていない発展途上の国では珍しくないトレイの形式だ。
直訳で用を足したら、手を使って水で清める形式なのでトイレットペーパーなんてものはない。衛生的にアレだが、その国の都合なので贅沢は言えない。むしろ日本が綺麗で清潔すぎるのが世界から見れば異常なレベルなのだ。
「どこに行く気だ?」
「……散歩。」
荷物を置いた部屋から出て行こうとする煉を承太郎が止めると煉がそう返答した。
「この霧の中でか? まあ娯楽もねーし仕方ないけど。あの婆さんにトランプみたいな娯楽ゲームないか聞いてやろうか?」
「いらない。」
「だとよ。」
「なあ、俺に辛辣なのなんで?」
「兄って立場の先輩として、兄初心者気味の八つ当たりを大らかに受け止めてやれんか?」
「俺、サンドバック!?」
「一人っ子の僕じゃ対応できないからね。頼むよ。」
「わしも同じく。」
「俺の味方はいねーのかよー!?」
「……嫌いじゃない。」
「えっ?」
いつの間にかポルナレフの近くに来ていた煉が、ピトッとポルナレフにくっつく。
ついでに額をグリグリ擦りつける。
「そ、そうか…。いいぜ、甘えてくれて。頼ってくれるんなら、こわ~いにーちゃんの八つ当たりにも耐えてやるさ。」
ポルナレフは、やれやれと言った様子で笑い煉の頭を撫でてバシバシ突き刺さる承太郎からの睨みを受け止めた。
***
『……DIOの居場所を吐いて貰おう。』
斬島がカナキリを抜いて、薄暗い室内で対峙する相手に冷ややかに感じられるほどの声色で問う。
「…地獄の鬼かなにか知らんが……、あの御方に近寄らせはせんぞ。」
相手は、宿の主である老婆だ。
だが人の良さそうだった当初の雰囲気は無く、恐ろしい形相で斬島を睨んでいる。
『DIOを含め、貴様も地獄へ連行することは決まっている。お前が奴にスタンドを教えたらしいな。エンヤ・ガイル。』
「クケーーーーー!!」
全く動じることなく淡々と宣告された地獄行きに反抗するように奇声を上げたエンヤという老婆が刃物を斬島に投げた。腰が酷く曲がった高齢の老婆とは思えぬほどの投擲能力だったが、斬島はあっさりとその投げつけられた刃物をカナキリで弾く。
エンヤが背後へ飛び退き、部屋の奥に続く扉へ飛びついて中へ逃げ込んでいった。
斬島はカナキリを片手に握ったままエンヤを追って、エンヤが逃げ込んだ扉へ向かって走ろうとした。
その時、部屋の窓を突き破って無数の人間がなだれ込んできて斬島に襲いかかってきた。
『えんやこーーーらしょーーーーっと!』
襲いかかる人間達を一瞬にして平腹がシャベルで一撃でなぎ払い壁や床にたたきつけた。
『クッセーかったもんなー! 町入った時から死体の匂いしかしなかったもんな! こんだけ死体用意すんの地味にヤバくね!? ね!?』
この町がエンヤによって用意された罠だったことは、煉を通して獄卒達によって看破されていた。
奇妙な霧を観察するように見せかけて、煉は町の正体を見抜いたのだ。
『罪状が増えただけだ。』
『だな!』
平腹の一撃を受けたにもかかわらず起き上がってくる操り人形にされた死体達。
『げー、しつこー! 本体潰さなきゃダメな系!? コイツら片付けとくから、斬島あの魔女捕まえて来いよ!』
『分かった。』
死体の群れは平腹が相手をし、斬島はエンヤを追って部屋の奥に続く部屋の扉を開いて中に入った。
『全員まとめてすり潰してやんよ!』
舌を出して凶悪に笑いながら、平腹が死体の群れに容赦なくシャベルを振るった。
四肢をもぎ取ればさすがの操り人形でもなにもできなくなる。手だけで動けてもその手を潰せば無力化できる。
地獄で罪人を罰する鬼の力を前に、DIOにスタンドを教えた魔女の操り人形の死体なんて相手にすらないならない。
町一つ分の人口ほどいた死体達は、無力な状態で蠢くしかない肉塊の山になった。
「いや~…、まさかこんなところで、また会うとはな…。」
「この婆さんに加勢するつもりだったのか?」
「いやいや…、まあそのつもりだったんだが…。俺一人じゃ戦う気はねーし、降参だ降参! だからそのおっかねー銃を下ろしてくんないかな~?」
『信用できると思う? ナンバーワンよりナンバーツーだったっけ? あなたの戦術は。』
部屋の奥になぜかいたホルホースのこめかみにゴリッとマグナムの銃口を押しつけた佐疫が、ニッコリ優しい笑顔でそう言うのがとても怖い。優しい雰囲気と中性的な美貌が相まって余計に怖さが引き立って怖い。
エンヤをその辺にあった古い布で簀巻きにしたのは、煉と承太郎だった。散歩と称してエンヤを捕まえるために、獄卒達が動いている間にここに潜んでいたのだ。
斬島から逃げて体制を整えるべく逃げ込んだところで、煉と承太郎がいて、あっさり捕まった。
最初は言い訳をして無罪を主張して逃れようとしたが、ホルホースを捕まえて来た佐疫が別の扉から入って来たため、うっかりホルホースの名前を呼び、なおかつスタンドである佐疫をしっかりと認識しているリアクションをしたため、スタンド使いであることが看破された上に獄卒達が持つ情報とホルホースの証言もあってエンヤの正体が明らかにされてしまい、逃げ場を失って簀巻きにされて拘束されたのだった。
『……仕事が早いな佐疫。』
エンヤを追って入ったら上記の状況だったため、斬島は戦闘のために張り詰めた空気が解けて軽く息を吐きながらカナキリを収めて言った。
『うん、ごめんね。斬島の見せ場無くしちゃって。』
『かまわない。おかげで早く終わった。ありがとう。』
「…あっちから腐った生ゴミみてぇな匂いがスゲーぞ。なにやった?」
『ああ、それは……。』
『終わったー!!』
腐肉で汚れたシャベルを肩に担いだ平腹がバーンと扉を蹴破るようにして入って来た。
その姿を見て平腹が何をやっていたのかをだいたい察した承太郎だったが、間もなくポルナレフが向こうに広がる光景を見つけたらしく、悲鳴じみた大声が聞こえてきたためさっさとこんな腐臭漂う場所から煉を連れ出すべく、ポルナレフと合流し、ジョセフと花京院も呼んで、簀巻きにしたエンヤを引きずって外で説明をすることとなった。
『息子の敵を討ちたかったんだろうけど、ひとりでなかったらまだ勝機はあったかもしれませんね? 自信があったんだろうけど、あなたのことはDIOのついでだけどよーく知ってたから、何をしてくるかはすぐに分かったんだ。運が無かったと思うしかないから諦めてくれる?』
「…ウググ!」
簀巻きにされて舌を噛まないよう猿ぐつわもされたエンヤに、木舌が傍でしゃがみ込んで語りかけると血管切れそうなほど悔しさに顔を歪めているエンヤが呻いた。
エンヤ婆との戦闘は執筆が止まった時にかなり悩んだ記憶があるような……。
獄卒達全員で戦うのももったいないし、そこまで総力戦で戦う程か?という勝手な思い込みもありまして。
ストレングスの次に3部で最大級のスタンド使いだっただけに、スタープラチナを使ってあの想定外の攻略法ができなかったらヤバかったとは思うんですが。
そうして考えた末に、DIOを捕獲して地獄に連行するための情報収集でついでにエンヤの情報を獄都が手に入れていたという展開にしました。
そのため煉と斬島達は、エンヤの顔とスタンドなどのことも事前に知っていた状態だったため落ち着いて対処できたという展開にしました。
弓矢でスタンド使いを量産していた可能性があるので、DIOの次に地獄に連行する罪人に指定されていたということもアリかな?
エンヤがあっさりDIOに通じているスタンド使いだと白状しちゃったのは、最初に対峙した斬島からの言葉がかなり効いています。
それで動揺してホルホースを知っていたことや、佐疫がスタンドだということを失念してしまったりしたとか。
死体の群れは平腹ぐらいの暴れん坊なら簡単だと思って。
煉はポルナレフのことを承太郎以外の他人の目上のお兄さんという感じでそれなりに慕っています。口数が少なく顔に出ないけど。
あれ? このままだと承太郎の嫉妬でポルナレフがピンチ?