田噛が花京院と協力。
田噛は、眠っていた。
『田噛、田噛。』
『…っるせぇな。』
『敵が来た。』
『ああ?』
ブーンっと、羽音が聞こえた。
「気をつけろ。早くも敵の刺客が来たかも知れない!」
承太郎達も羽音に気づき警戒する。
「承太郎、後ろだ!」
「ハッ!」
大きなクワガタムシだった。明らかに普通で無いことは確かだ。大きすぎる。
そのうえ、口からグジュルグジュルと歯を開けて、針のようだが節のある尖った物を伸ばす。よく見ると先端が口のようになっており、その口の中に鋭い針がある。
「きもちわりぃな。ここは、俺に任せろ。」
「気をつけろ、人の舌を好んで抜き取るスタンド使いがいると聞いている!」
「オラァ!」
だが、弾丸をも掴む承太郎のスタンド・スタープラチナの拳を、簡単にクワガタムシは避けた。
「や、やはりスタンドだ! 使い手はどこにいる!?」
そしてクワガタムシが口の物を伸ばしてとてつもない速さでスタープラチナの口を狙ってきた。
咄嗟に手でガードするも、スタープラチナの手を突き抜け、口に迫る。
それを横からきた煉の手がガードし、握りしめた。
「煉!」
『よし、そのまま押さえつけていろ。』
斬島がチャキッと刀に手を置き、居合抜きをした。
しかし、敵は咄嗟に握られている針の先端だけを切り離したらしく、羽部分が少し切れただけで終わった。
『チッ! だがこの機内でそんな獲物(刀)は振り回せまい!』
『……田噛。』
『ああ?』
『出番だ。』
『……チッ。』
斬島が消え、代わりに田噛が面倒くさそうに出てきた。
『さっきより、ひょろくてチビだな! ソイツが…何を?』
『…うるせぇ。俺は、眠いんだよ。』
田噛が右手を、スッと上げた。
『花京院。』
「えっ? 僕?」
『見てるだけのために旅に来たわけじゃねぇだろ?』
「あ、ああ…。」
『何をするかは、煉に聞け。』
「えっ?」
『何コソコソ話してんだ? ヒヒヒ!』
『てめぇは、黙れ。』
田噛の手首から、無数の鎖が飛び出してきた。
『遅い遅い!』
しかし田噛は、表情ひとつ変えず、鎖を操る。
鎖が飛び交い、まるでクモの巣のように機内に張り巡らされていく。
『俺の行動範囲を狭める気か? 無駄だ、無駄! 至近距離でもこのタワーオブグレーを…。』
『鎖はただの誘導だ。』
『はっ?』
『仕留める率は高ければ高いほど良いだろ?』
「そうだね。面倒くさがりの君にはずいぶんな労働をさせたけども。」
『なっ…、ぐぇ!?』
狭まった範囲の中で、周囲の席の中に潜んでいたハイエロファントグリーンの触手が四方八方からタワーオブグレーを捕えた。
そして、ブチブチとタワーオブグレーを引きちぎった。
「ぎゃああああああああああああ!!」
『本体か。汚ねぇ声上げやがって…。』
鎖を解除して血まみれで倒れ込んだ本体の元へ行き、イライラしている田噛は、本体を踏みつけた。
『…金目当てで仲間になった口か。コイツは。』
「肉の芽がないのか?」
「タワーオブグレー…、噂が本当ならば、塔の暗示を持つスタンド使い。金品を狙って大規模な事故を起こす悪党だ。金で雇われたというのは、ほぼ間違いないだろう。」
「……飛行機…傾いてる。」
「煉?」
「いや、待て…。この揺れは…、機体が傾いているのか! まさか!」
ジョセフは、承太郎と共に急いで操縦席へ向かった。
スチュワーデスをどけて、操縦席に行くと、すでにパイロット達は死んでいた。舌を抜かれて。
「いかん! 自動操縦も破壊されている! この機は墜落するぞ!」
「ジジイ、操縦しろ。海に不時着させるんだ。」
「ブワハハハハ、ベロッロオオオオン! お前らはDIO様のもとへは行けん! 例え、この機の墜落から助かったとて…、エジプトまで1万キロ! その間、DIO様に忠誠を誓った者共が四六時中、貴様らを付け狙うだろぅ!! 世界中には貴様らが知らん、想像を超えたスタンドが存在するぅ!! DIO様は…。」
『んなこたぁ、知ってる! いちいちうるせぇんだよ! 小物が!!』
田噛が、タワーオブグレーの本体に怒鳴った。
「こ、…こものぉ? わしが…。」
心外だったのかタワーオブグレーの本体は、そう言い残してついに息絶えた。
「やっぱり、小物だぜ。田噛の言葉にいちいち反応しているようじゃな。」
「…う~む。プロペラ機なら経験はあるが…、しかしのう、承太郎、煉。わしゃあこれで3回目じゃ、人生で3回も墜落を経験する奴なんざいるか?」
「そこにいる。お爺ちゃん。」
「こりゃ、煉。」
「……二度とてめーとは、飛行機に乗らねぇぜ。」
そして、海に不時着した飛行機。
すぐにSOS信号を受けた救助隊が来て、一行は香港に上陸することになった。
一応頭脳派の田噛は、タワーオブグレーのスピードで機内での戦いが不利だとすぐに判断。そこで花京院に協力を仰ぐ。
佐疫の弾丸でも撃ち落とせないないだろうし、これ以外に展開が思い付きませんでした。