ロウリア区
セカンド・オーダーによって占領されたロウリア王国はロウリア区と改名され、SOによって統治されていた。
これはロウリア区に住んでいる、とある少年のお話である。
少年、バラン・ハーシェルは竜騎士の父親を持っていた。父親が花形の竜騎士だったこともあり、生活に困ることは滅多になかったが、父親がSOとの戦いにて戦死してしまって生活が苦しくなり、成人したばかりの長男はロウリア区防衛軍陸戦部隊に入隊し、母親はSOの水分農場で働いて家計をなんとか維持していた。バランはギリギリ未成年のために働けず、SOが設置した学校で学んでいる。
「なぁ、バラン。お前・・セカンド・オーダーの基地に忍び込んでこいよ」
「なんで・・・」
同級生達にそう言われて、バランは困った表情を浮かべる。
「度胸試しだよ。やらないなら仲間外れな、意気地無しだと言われるかもね。で、どうする?やる?」
同級生達はニヤニヤしていた。
「しょうがないな・・・やるよ」
バランは決心した。
「じゃあ、頑張れよ」
同級生はその場から去っていった。
とは言ったけれど、バレたら絶対怒られるに違いない、やらなかったら仲間外れだし、どうしよう・・・
その後、バランは基地の近くに来ていた。
どこから入れるだろうか・・・
あっ!
バランの視線は入り口のゲートへと向いている。
見るとSOのビークルが行列を作っており、コンテナが複数乗っていた。
コンテナの中に入れば・・・いけるかも。
バランの行動は速い。
兵士が見ていないタイミングで接近し、たまたま蓋の開いていたコンテナに入り、蓋を閉めた。
ふぅ・・・・
入ったのはよかったけど、中身を確認されたら終わりかもしれない。
しかし、検査が行われることはなく、無事に中へ入った。
バランの入った箱は、荷台で運ばれており、とある場所で下ろされた。そして、人の足音は離れていった。
バランは外に出る。
「おぉ、これは凄い・・・」
彼が見たのは、TIE/SOファイターやラムダ級シャトル、ARC-170スターファイター、Z-95などだった。
そう、バランが来たのは格納庫。たまたま人が一人も居なかったのが幸いだった。
彼は戦闘機の1つ、Z-95に近づく。
「カッコいいな・・」
思わず声を漏らす。
ワイバーンを近くで見たことがあるが、それとは違うベクトルのカッコ良さ。無駄を削ったスリムな機体に釘つけになった。
夢中になっていた彼の背後から、何者かが近づいていたが、彼は気づかない。
「俺の機体に何のようだ?少年」
バランは振り替える。
目の前にいたのは、顔が亡くなった父親の若い頃にそっくりな大柄の男。父親と異なる所は金髪と火傷している左の頬だけだった。
「ご、ごめんなさい」
「大丈夫だ、怒ってはいない。この基地に忍び込むとは若いときの俺みたいだな。なぜ入って来たんだ?」
バランは、一部始終を話す。
「そんなことがあったのか・・・それで、戦闘機に興味があるようだな」
「カッコいいと思って・・・パイロットはどうしたらなれますか?」
「まずは、成人になる。そして、防衛軍のスカイストライクアカデミーに入るしかない。パイロットになれるのは、一握りだがな」
バランはこのとき初めて、パイロットを志した。
「僕は、おじさんみたいにパイロットを目指す」
「おじさんか・・・俺の名前はリードだ。君を家まで送っていこう。そのほうが、君が忍び込んだ証拠になるからな」
「ありがとう、リードおじさん」
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同級生達は、基地の入り口を見張っていた。
「あいつ、遅いな・・・・ん?出てきたぞ、SOの兵士も一緒だ!」
彼らは、バランに駆け寄っていく。
「バラン!本当に忍び込んだのか!」
「そうだよ、見つかっちゃったけど・・・」
同級生の視線は、リードへと向く。
「バラン、この人は?」
「この人はリードおじさん、パイロットだよ。つまり、竜騎士みたいな?」
「そう捉えていい」
パイロット・・・竜騎士みたいな物だと分かった瞬間、同級生達は興奮していた。竜騎士のような空飛ぶ兵士は花形だという認識があったためだ。
「こいつは度胸がある、仲間外れにしちゃいけない。分かったか?」
「はい・・・」
数年後、バランと同級生達はアカデミーに入り、全員が晴れてパイロットになったらしい。