「射撃開始!」
猛烈な光弾が、ワイバーンロードに襲いかかる。
ロード種を落とすことはほぼ不可能だと文明圏外では言われているが、TIEファイター相手に訓練をしてきた対空要員の敵ではない。
敵編隊が密集していたこともあり、一瞬で撃墜された。
一方残りの10騎は、来賓席に向けて飛行していた。しかし、部隊が発していた殺気を感じたサイモンが待避させており、ワイバーンロード部隊は民間人にターゲットを変えた。
「蛮族を殺せ!」
10発の火炎弾が、民間人に降り注ぐ。
しかし、民間人に当たることは無い。
サイモンが空中で静止させており、逆に押し返されてしまった。
「何ぃ?!」
火炎弾は正確に誘導され、部隊に迫る。
「火炎弾が付いてくるだと?!」
自業自得。ワイバーンロード10騎は、自分が放った火炎弾をその身に受けてしまい、堕ちた。
各国の武官や要人は、開いた口が塞がらない。
SOの竜母にワイバーンロードが向かって飛んでいった時、誰もが一方的に対空能力が低い竜母が叩かれると思っていた。しかし、対空能力は予想以上。まるで襲来を予知していたかのように、簡単に叩き落としていた。
何よりも凄いのは、来賓席に座っていた
セカンド・オーダーの代表だ。
魔力を感じない神通力のような力を使い、飛んできた火炎弾を我が物として、逆にワイバーンロードに当てて落としたのだ。
ロード種を落とすには、文明圏外であれば大型弩弓による不意打ちか、フェン王国に伝わるライジョウドウを使用し、文明国であれば、ルーンアローを使用する。
しかし、ライジョウドウは使用できるものが3名しかおらず、ルーンアローは輸入すらできない。
とにかく、道具を使わずにロード種を落とすのは、驚愕であった。
この紛争にセカンド・オーダーを巻き込めたのは幸運では無かろうか。剣王シハンは、不敵な笑みを浮かべた。
路地裏にいたサイモンの元に、後ろからヴィアーズ大佐がやって来た。
「最高指導者様、潜水艦隊から緊急の連絡です」
「どうした?」
「パーパルディア監察軍艦隊が接近しています」
「諜報員の情報は正しかったようだな。
潜水艦隊に攻撃させ、生存者は救助だ」
「ラジャー」
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プロヴィデンス級潜水バトルシップ
〈インヴィジブル〉
「艦長、攻撃許可が出ました」
「ついに、本艦隊初の実戦だな。2番艦の
〈アウト・オブ・サイト〉にも伝えておけ」
「ラジャー」
「砲塔の先が出るまで浮上し、2番艦とタイミングを合わせる」
「ターボレーザー砲塔、露出します」
船体上部から収納されていた砲塔が出現する。
戦闘準備は完了。あとは上昇して撃つだけだ。
「砲撃深度まで浮上せよ」
「ラジャー」
インヴィジブルに搭載されたターボレーザー砲塔の一部が、海面に出る。
青に塗られた砲塔は、遠目からは見えにくいようになっていた。
「攻撃開始、ファイア!」
パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊
「竜騎士隊との通信途絶」
「そんなバカなことがあるか?相手は蛮族だぞ!」
提督ポクトアールは信じられない様子だった。
「通信が途絶したのは事実です」
「まさか、風竜に落とされたのか?」
「可能性としては十分にあります」
「イヤな予感がする・・・」
不安を胸に、東洋艦隊は進んで行く────
はずだった。
ズドン!
「戦列艦パオス、爆散!」
突然、戦列艦が轟沈を通り越して、文字通り爆散する。
「何があった?敵はどこだ?」
「突然、緑の大きい光弾が突っ込みました」
「光弾だと?」
提督は、魔光砲を思い浮かべる。
まさか、ミリシアルの仕業?
もしくは、あの魔帝の復活か?
だが、ミリシアルが我々に攻撃する利益はないはず。魔帝の復活だって、まだ先のはずだ。
では、敵の正体は?
とにかく、回避運動をしながら進むしかない。
「回避運動をしつつ、アマノキに針路を取れ」
だが、再び戦列艦が吹き飛ぶ。
それも、1隻どころではない。旗艦を囲んでいた
戦列艦─ガリアス、マミズ、クマシロを中心とした集団が消えたのだ。
「光弾はそこから飛んできています!」
「各艦、突撃せよ!仇を取るのだ!」
インヴィジブルに戦列艦が殺到する。
しかし、次々と消されていく。
「砲撃は一時停止。完全に浮上して後退する」
「光弾の雨、停止しました。
あっ!何か浮上してきます!」
浮上してきたのは光沢のある流線型の何か。
「海魔?」
水兵がそんな言葉を漏らす。
戦っている相手は海魔かもしれない。
艦隊全体がそのように認識していた。
攻撃が止んだ隙に、距離を詰める。
「海魔よ、死ね!」
だが、予想外のことが起こる。
光弾は、後ろから飛んできた。
艦隊は、最初から誘い込まれていたのだ。
「クソ!」
また1隻、また1隻が一撃で消える。
「艦長!旗艦だけでも撤退だ!」
ポクトアールは、旗艦に撤退の指令を出す。
「いいのですか?」
「よい。なんとしてもこの敵の情報を持ち帰る。
仲間の死は無駄にせん!」
「1隻が撤退を始めました。どうしますか?」
「そいつはそのまま逃がせ。
我々の危険性を彼らの本国に伝えてもらう」
東洋艦隊は、1隻を残して壊滅した。
生存者は、潜水艦隊やアルデバラン、
アルタラスの戦列艦によって救助された。
後にフェン沖海戦と言われた
セカンド・オーダーは多くの国と関係を持つこととなった。
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「竜騎士隊帰らず」
「監査軍東洋艦隊壊滅」
この2つの報告は、第3外務局に激震を走らせた。
しかも、フェン王国と戦ったのではなく、報告によると緑色の光弾を撃つ海魔から攻撃を受けたとあった。
海魔から攻撃を受けるとは、災難である。
だが、ワイバーンロードがどうして全滅したのかは不明だ。100m級の大型船を攻撃するという通信を最後に行方不明になった。
報告にあった100mの船。文明圏外の国家がそのような軍艦を建造したことなど、聞いたことがない。
仮に建造出来たとしても、“風神の涙”の質が悪いため、機動力は劣悪。格好の的になっているはずだ。
不可解な点が多すぎるな。
東洋艦隊が壊滅したのは、海魔に襲われたためなので、しょうがないことだ。
だが、ワイバーンロードが落とされたのは許せるものではない。皇国に泥を塗った者がいるのは確かだ。
至急、殲滅する必要がある。
第3外務局は「敵」を知るため、情報収集を開始した。
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機械竜母アルデバラン 艦内
「大佐、パーパルディアに関する資料は読んだことがあるか?」
「すでに読んでいます」
「パーパルディアが銀河帝国に似ていると思わないか?」
「確かに似ています。恐怖政治、属領に対する圧政、(第3文明圏内で比較的)強大な軍事力などといったところが同じです」
「だが、銀河帝国よりも、たちが悪い点がある。それは、官僚の腐敗だ。銀河帝国では、腐敗した官僚はすぐに追放される。しかし、パーパルディアでは監視が行き届いておらず、犯罪に手を染める者までいる始末だ」
「官僚の腐敗・・・まるで、末期の旧共和国のようだ」
「パーパルディアは、銀河帝国と銀河共和国、双方の悪い点と一致しているのだ」
「救いようがないですな・・・」
「だからこそ、我々、セカンド・オーダーが修正しようというのだ」
○プロヴィデンス級潜水バトルシップ
同型艦〈インヴィジブル〉
〈アウト・オブ・サイト〉
*1
プロヴィデンス級はSOが初めて建造する水上戦闘艦の1つ。この艦が潜水出来る能力を付与されているのは、半潜水状態でなければ主兵装のターボ・レーザーを当てられないからである。大口径の実弾砲を主兵装として搭載する案もあったが、大口径の実弾兵器に対するノウハウが不足しているため、却下されている。水上艦であるが、飛ぶこともできる。
主兵装として、スター・デストロイヤーにも搭載されているXX-9重ターボレーザー砲を5基。
その他、AV-7対ビークル砲の砲身を改造した
対艦/対地実弾副砲を4基と対空レーザー砲を18基。さらに、対艦/対地/対ガンシップ用誘導ミサイルを15発装備している。防御としては、魚雷や砲弾を防ぐことが出来るように、強固な装甲だけでなく粒子シールドも装備している。
全長:224.9m
最大幅:34.6m
兵装
・XX-9重ターボレーザー砲 5基
・対艦/対地実体弾砲 単装4基
・対空レーザー砲 18基
・対艦/対地/対ガンシップ用ミサイル 15発