銀河帝国独立艦隊召喚記 (凍結)   作:ウエストモール

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第13話 分析のムーと侮りのパ皇

列強ムー 統括軍 情報分析課

 

ここは、ムーの諜報機関。各国の軍事情報を常に収集している。技術士官のマイラスは、レイフォル襲撃の際に撮影された、グラ・バルカス帝国の超大型戦艦グレードアトラスターの写真を分析していた。

 

「大きい戦艦だな・・・」

 

グレードアトラスターは全長が263.4mもある。

ムーが誇る戦艦、ラ・カサミの約2倍だ。

さらに、40センチの三連装主砲を装備していると見られ、速力はおよそ30ノットを叩き出していた。

 

ラ・カサミの2倍の船体と大口径の主砲を持つ上、30ノットで航行する。こちらに、勝ち目は無い。

 

 

マイラスは写真を仕舞おうとするが、新しい報告書が届けられた。

 

「これは?」

 

見ると、ロデニウス大陸からの報告書であり、衝撃的な写真が添えられていた。

 

写っていたのは、巨大な空中戦艦。

 

全長が確実に1500mはあり、船体は楔型で灰色に塗られている。時折、空飛ぶ輸送機らしき物が船体下部の穴から出入りしており、下部に超長砲身の砲らしき物があるが、詳しい武装は不明だ。

 

魔法で飛ばしているかと思えば、魔力センサーへの反応は一切無いらしく、純粋な科学で飛ばしている可能性もある。

 

それだけでも驚きだが、さらに驚くべき所は、

この兵器を、セカンド・オーダーと呼ばれる、ただの武装組織が配備していることだ。仮に魔帝の空中戦艦と同じ強さを持つのだとすれば、脅威になるだろう。

 

本当に科学だけであんな物を飛ばせるのだろうか?もしかするとミリシアル帝国の援助であったり、遺跡を発掘していたりして、魔力センサーを誤魔化す装置を積んでいるのかもしれないな。

とにかく、調査しなければならない。

 

技術士官マイラスの分析は続く。

 

─────────────────────

 

フィルアデス大陸南方 アルタラス王国

王都ル・ブリアス

 

国王ターラ14世は苦渋の表情を浮かべていた。

 

「これは正気か?」

 

パーパルディア皇国からの要請書(命令書)には、とんでもないことが書かれていた。

 

○アルタラス王国は魔石鉱山シルウトラスをパーパルディア皇国に献上すること。

 

○アルタラス王国王女ルミエスを奴隷としてパーパルディア皇国へ差し出すこと。

 

以上2点を2週間以内に実行することを要請する。

 

今まで、王国は屈辱的なものや

双方に利の有るものも含め、皇国からの要請という名の命令を飲んできた。だが、今回はおかしい。シルウトラス鉱山の献上ならば、まだ飲める。しかし、大切な娘であるルミエスの奴隷化は到底許せることではない。

 

国王は、パーパルディア皇国第3外務局アルタラス出張所に出向き、事の真相を確かめる事とした。

 

 

パーパルディア皇国第3外務局アルタラス出張所

 

「待っていたぞ、蛮族の国王!」

 

大使カストは足を組んだまま椅子に座り、あろうことか一国の国王を馬鹿にして呼びつけた。しかも、国王の座る椅子は用意していない。

 

「あの要求のことだが・・・」

 

「あぁ、どうした?」

 

「魔石鉱山の献上であれば、解ります。ですが、我が娘を奴隷にするとは、どういうことですか?」

 

「あれのことか。王女ルミエスは、なかなかの上玉だろ?俺の夜の相手をさせようと思ってな」

 

その言葉を聞き、国王は殺意が沸いたが、まずは冷静に対応する。

 

「それも、皇帝陛下のご意志なのですか?」

 

「何だ?この俺に逆らう気か?俺の意思は皇帝陛下のご意思なのだ。力の無い蛮族は、栄えある皇国に黙って従っていればよいのだよ」

 

国王は、我慢の限界に達し、行動を起こす。

 

「先程から蛮族、蛮族と愚弄しおって!

 永遠に沈黙していろ!」

 

国王は隠していた何かを取り出す。

 

「そっ・・それは?!」

 

ムーの拳銃のような物(ブラスターピストル)が、カストの頭部に向けられる。

 

「誰か!来てくれ!」

 

しかし、やって来たのは気絶した武官と変な装備をした兵士達だった。

 

「地獄に落ちろ」

 

彼が最後に感じたのは、謎の高音と頭部の熱さだった。

 

「こいつの死体と武官をボートに乗せて捨てろ」

 

「了解です」

 

「皇国との全ての接点を断ち、資産は凍結しろ!

 要求は全て無視だ!」

 

国王は吼える。

 

「軍を召集し、沿岸部の守りを固めろ!

 新生アルタラス王国軍の力を見せる時だ!」

 

7ヶ月前、王国はセカンド・オーダーを名乗る勢力と接触した。目的は侵略かと思いきや、違った。

 

交渉すると、“少数の魔石鉱山の譲渡”と

“魔石技術者の派遣”を要求された。

 

もちろん、見返りもあり、彼らの所有する強力な兵器の譲渡と、安全保障条約の締結であった。

 

王国陸海軍の兵士達は、ロデニウス大陸へと渡航し、武器の扱いや戦術を学び、さらに強くなった。*1

 

パーパルディア皇国は、こちらに簡単に勝てると思って攻めてくるだろう。侮りが死を招くことを教えてやる。

 

────────────────────

 

パーパルディア皇国

 

「皇帝陛下、アルタラス王国は、やはり要請を断ってきました」

 

「武力侵攻の口実ができたか・・・」

 

「加えて、資産凍結と国交断絶を伝えてきており、大使の死体と武官を乗せたボートが沿岸に流れ着きました」

 

「蛮族はすぐに人を殺す・・・

 規律を物理的に教えなければならないな」

 

まぁ、皇国はそれ以上に大量虐殺(ジェノサイド)をしていて、軍や官僚の規律は多くが乱れているため、言えたものではないのだが。

 

「アルタラス王国全土を我が手に!」

 

この日、パーパルディア皇国はアルタラス王国に宣戦布告した。これは、侮りから始まる皇国崩壊の序章にすぎない。

*1
海軍の兵士も歩兵として訓練を受けている。俗に言う海軍歩兵または海兵隊と呼ばれる兵士たちである

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