銀河帝国独立艦隊召喚記 (凍結)   作:ウエストモール

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ムーの多砲塔戦車を軽戦車に変更しました。
見た目は、ルノーFT-17の予定です。

戦闘描写って、難しいね。


第14話 アルタラスの逆襲

アルタラス王国 北東130km沖

 

 パーパルディア皇国軍陸海合同部隊は、要求を断ったアルタラス王国を滅するために進んでいた。

 

砲艦211隻、竜母12隻、揚陸艦101隻、

ワイバーンロード240騎という、文明圏外国家を滅ぼすのに十分すぎる戦力。この部隊を任されていたのは、冷血将軍と呼ばれる男、シウス。

 

彼の乗艦は、皇国のスターデストロイヤー(主力艦)とでも呼べるフィシャヌス級戦列艦の派生艦級である、超フィシャヌス級戦列艦の「パール」であった。

 

「まもなく、王国の防空圏に入ります」

 

「その割りには、ワイバーンが飛んでこないようだ。対空魔振で探知し、直掩騎を出せ。発見次第、迎撃騎を上げるのだ」

 

「はっ!」

 

「それと、魔信を貸してくれ」

 

「え?」

 

「王国に対して、皇国式の慈悲を与える」

 

シウスは、王国方面へとメッセージを飛ばした。

 

「アルタラス王国の蛮族よ、これは最後の慈悲だ。最初から、こちらも無駄に血を流したくはない。今すぐに降伏し、王族を拘束すれば、軍事的な暴力を振るうことはない。男は功労者(鉱山奴隷)として、女は名誉人(性奴隷)として生きられることを約束しよう。拘束した王族に関しては丁重に扱い、王女は皇帝陛下の元にて、寵愛を受ける(ベッドに飼われる)こととなるだろう。3分だけ待ってやる、良い返事を期待しているぞ」

 

このメッセージは、王国沿岸部に到達し、

官民問わず伝わった。

 

 

「何なのだこの言葉は!明らかに嘘だ!」

 

ターラ14世は、拳を机に叩きつけた。

 

「民の様子はどうだ?」

 

「はっ。変わらず徹底抗戦を訴えています」

 

側近が言う。

 

「勝手に降伏する心配は無さそうだな。

 あのバカども(皇軍)に魔信を送れ。“馬鹿め”とな」

 

「御意」

 

「そして、ライアル隊長。全軍を臨戦態勢にし、援軍に来てくださったロウリア区防衛軍航空隊の方々に協力を要請してくれ」

 

「了解しました」

 

 

「“馬鹿め”か。蛮族は滅ぼされたいようだ」

 

「はい。さらに、“こちらに地の利が有る”

 “貴様らの負けだ”と言っています」

 

「皇軍の力を見くびるな!我々が攻め込めば、

 王国の未来など一瞬で消せるのだ。

 愚弄したことを後悔させてやる!」

 

シウスは激怒し、

全部隊に無慈悲の全力攻撃を命じた。

 

──────────────────────

 

 アルタラス王国のワイバーン滑走路に、見慣れない騎。いや、機がいた。見た目こそ、反乱同盟軍が運用していたT-47エアスピーダーだが、機体の左右はイータ2アクティス級軽インターセプターのようになっており、スピーダーとは思えないほどの能力を持っていた。

 

「ロウリア中隊、出撃する!」

 

全機が垂直に離陸し、北東へと向かった。

 

 

一方、パーパルディア艦隊の竜母からは、直掩の50騎を除いた190騎が制空権の確保及び対地攻撃のために発進していた。空の王者と呼ばれるワイバーンの改良であるロード種は、対非列強戦では最強である。

 

だが、それを打ち砕く者達がいた。

 

「現在高度4500m、下方に敵騎確認」

 

祖国(ロウリア王国)に屈辱的条件を飲ませた奴ら・・・」

 

「今こそ、復讐の時だ!」

 

「1匹残らず狩り尽くす。行くぞ!」

 

ロウリア中隊は降下を開始した。

 

 

「王国本土を確認。警戒を怠るな」

 

その時、報告が入る。

 

「後方上空に敵騎!」

 

「そんなバカなことがあるか?こちらは最大高度を飛んでいるのだ。これるはずが・・・」

 

中隊の12機から2連レーザー砲が編隊に向かって撃ち下ろされ、20騎程が消える。

 

「味方が喰われただと?!」

 

「クソ・・・アルタラスの新型騎だ!」

 

「散開し、高度を下げろ」

 

最高高度にいるせいで上にいる敵に反撃出来ないため、高度を下げるしかなかった。

 

直ぐに敵味方入り乱れての格闘戦が始まったが、双方の速度差が勝敗を分けた。ワイバーンの火炎弾は全く当たらず、逆に背後を取られて撃墜される。運良く背後を取れても、機体の後方に付いているレーザー砲によって撃墜されていた。

 

「こいつら、後方にも攻撃できるのか?!」

 

通常、ワイバーンが後方に攻撃する場合、振り向かなくてはならず、効率が悪いために相手の背後を取る戦法を使用する。しかし、目の前にいる奴は振り向かずに光弾を撃ってきた。

 

やがて、ろくな抵抗もできずにワイバーンロード隊は全滅した。

 

 

「全滅だと?!役立たずが・・・」

 

「将軍、ここは陸海空同時侵攻にしましょう」

 

「そうだな。ここで退いては、皇国の恥となる。

 前進あるのみだ!」

 

愚かな将軍は、ただ進むことを選択した。

 

この選択は、将軍の運命を分けることとなる。

 

──────────────────────

 

「艦隊を視認、竜母も後方にいます」

 

双眼鏡を覗いた見張りが見たのは、沿岸部に迫る戦列艦と揚陸艦、後方にいる残った僅かなワイバーンロードを載せた竜母。この情報は、

すぐにライアルと国王のいる司令部に伝わった。

 

「奴らも必死のようだ」

 

「はい王様。皇国の連中は劣勢を知らないため、最強のワイバーンロード隊が負けたことに焦っているのでしょう」

 

「奴らに負けと屈辱を教えてやろうではないか」

 

国王は笑みを浮かべた。

 

 

「皇国軍戦列艦隊、砲撃を開始する模様。歩兵は塹壕にて待機し、砲兵は反撃の用意をせよ」

 

 

「対地砲撃開始!」

 

将軍シウスの命令で、自身の乗艦を含めた戦列艦10隻程が砲撃を開始する。砲弾にはぶどう弾も含まれており、隠れている歩兵にダメージを与える目的があった。

 

煙が晴れると、揚陸艦が沿岸に乗り上げ、地竜を先頭に歩兵が上陸した。横隊で進んでおり、マスケットの一斉射撃と地竜の火炎放射で蛮族を殲滅する手はずだった。

 

 

「命令あるまで発砲を禁じる」

 

塹壕の中で歩兵達は発砲の命令を待っていた。

 

「敵部隊、突撃破砕線に到達。発砲を許可する」

 

「撃てっ!」

 

 

「アルタラス王国万歳!」

 

王国の為に(For the kingdom!)!」

 

「屈辱を教えてやれ!」

 

王国兵は狂ったかのように撃ち始める。

 

横隊は格好の的。

 

陸戦隊に恨みを込めた光弾が襲いかかる。

 

予想外の攻撃に、陸戦隊と地竜はバタバタと倒れていき、残ったのは運良く岩の後ろに隠れることのできた少数の兵士と部隊指揮官のみであった。

 

「蛮族がこんな武器を持っているとは・・

 ワイバーンによる航空支援を要請する」

 

「了解、50騎全てを向かわせる」

 

「助かる」

 

 

「ワイバーン編隊接近中、対空攻撃準備!」

 

レーザー砲塔が地面から出現し、仰角を上げた。

 

「いかに強力な武器を持っていようと、空からの攻撃に敵うはずがない・・」

 

ワイバーン部隊長は、王国兵が燃やされるさまを想像していた。が、自分が墜ちるところまでは想像できなかった。

 

「各騎、急降下攻撃」

 

降下したワイバーンロードの口に火炎が集束し、火炎弾となる。そして、発射されるはずだった。

 

突然、地上から打ち上げられた光弾に隊長の周囲の騎が撃墜される。

 

「魔光砲だと?!おのれミリシアル!」

 

そう叫んだ瞬間、隊長騎も撃墜された。

 

──────────────────────

 

「またしても全滅か・・・」

 

「ですが、揚陸艦は数多く残っていますので、同時多発的に攻撃すれば、対処能力を越えて侵攻できるはずです」

 

「これで最後にしよう。戦列艦隊、砲撃準備」

 

再び、縦一列の戦列艦の片側の蓋から、大砲が露出してくる。

 

「砲撃開s─」

 

「沿岸より飛来物!」

 

アルタラス王国軍は、敵が砲撃するまで待つつもりはなく、AV-7対ビークル砲で攻撃を始める。

 

「こちらに当たるはずはないだろう」

 

そう言った矢先、エネルギーを纏った砲弾は

シウスの乗艦「パール」に飛んできており、

彼がいた所に直撃。彼は消し飛び、砲弾は

対魔弾鉄鋼式装甲を貫通してパールを破壊した。

 

パールを沈めたのを皮切りに、他の戦列艦と揚陸艦にも砲撃が行われ、上陸前の陸戦隊と竜母を除いた艦隊は全滅。竜母は全て鹵獲された。

 

これは、パーパルディア皇国が宣戦布告した相手に始めて惨敗した戦いである。


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