けっこう先の話です。
原点回帰計画
マグドラ沖海戦及びバルチスタ沖大海戦の惨敗後、神聖ミリシアル帝国の技術者の1部がとある意見を出した。
「これまでの戦いで惨敗してしまったのは、
プロペラ機等の古い技術を軽視した上に自らの力で技術を発展させた経験が浅く、技術の本質を理解していないからである」
と言う意見だ。
その意見を元に、天の浮き船を始めとした機械が専門のルーンズヴァレッタ魔導学院にて、とある計画が動きだした。
それは、原点回帰計画。
原点であるプロペラ機に回帰し、進化をやりなおす計画だ。
開発グループは主に戦闘機、攻撃機の2つに分かれて活動を始めた。
エンジンを開発するに当たって、ムーのマリン複葉戦闘機のエンジンをコピーするなんて狡いことはせず、魔導戦車の魔導エンジンが参考にされている。
戦闘機グループが最初に悩んだのは、機体の形状だった。さすがに、グラ・バルカス帝国の機体をパクるわけにはいかない。エルペシオ3の機体をそのままにプロペラ機にしたものの、両方ともジェット機の形状をしており、プロペラ向きではなかった。そんな中、グ帝が前にいた世界であるユグドに存在した大国、ニヴル連邦の戦闘機の写真を入手することに成功。それを参考にして作られたのだが、見た目が完全にソビエトのYak-3だった。
攻撃機グループも同じく、現行の機体のジグラント3を形状そのままにプロペラ機にしたのだが、戦闘機グループとは違って何故か上手くいき、速度は落ちたものの安定性が明らかにジグラント3を上回っていた。このことにより、ジグラント3の逆ガル翼とH字尾翼は空気圧縮放射エンジンよりもプロペラに向いている構造であることに、この期に及んでようやく気づくことが出来たのだ。その後、大型化したプロペラが地面に接触するのを防ぐためや爆弾装着の作業効率を上げるために固定脚式の主脚を逆ガル翼の曲がり角の部分に取り付けたり、構造を頑丈にした結果、試作機群はドイツのスツーカやアメリカのコルセアみたいな機体になってしまった。
その一方、魔導学院で変人と呼ばれていたとある技術者がロマンを求めてプロペラ式の巨人機を開発していた。機体の全長は28m、両翼の長さは53m、主翼の厚さは2.33m。重量を支えるために降着装置は4軸の車輪。巨大な翼には7発のエンジンを搭載。さらに、爆弾搭載量は9000kg。恐ろしいゲテモノ機体である。“こんな物は無駄だ”と他の技術者から馬鹿にされたが、魔帝対策省がこの機体に目を付けた。魔帝対策省は損失してしまった空中戦艦パル・キマイラと同等の武装を搭載できる空中兵器を作ろうしていたが、反重力エンジンのコピーすらできていなかった。そこで、この巨人機になら大型魔導爆弾ジビルや15cm三連装砲を搭載出来るかもしれないと考えたのだ。実際に搭載した所、両方を同時搭載するのは不可能だが、片方だけなら搭載出来ることが分かり、最終的に空軍へ採用された。
そして、4年後。ついに音速の機体を開発することに成功した。そう、原点回帰計画はついにプロペラ機からジェット機相当の時代に移行したのだ。エルペシオ3などではエンジン出力の問題で速度が出ず、やむを得ず後退翼ではなくテーパー翼を採用していたのだが、出力の問題が解決したため、後退翼を採用出来た。新型機には2つのタイプが存在し、MIG-15そっくりな戦闘機タイプであるエルペシオ4、Su-7そっくりな戦闘爆撃機タイプであるジグラント5が産み出された。
なお、ライバルのグ帝は第2世代ジェット機をすでに開発しており、早急な新型機開発が急務となっている。
ミリシアル帝国が露国面に染まっている・・・
魔法帝国戦後に、グ帝との冷戦が起こるのは確定事項。