《伐刀者》 己の魂を武装――《固有霊装》として顕現させ、魔力を用いて異能の力を操る千人に一人の特異存在。
今は警察も軍隊も――戦争ですら伐刀者の力なくては成り立たない。魔道騎士制度の下、伐刀者を養成する専門学校を卒業した者だけが、免許と魔道騎士と言う社会地位が得られる。ここ破軍学園は日本に七校ある騎士学校の一つ。ここでは若き伐刀者たちが、学生騎士として、日々己の技を磨き、切磋琢磨をしている。
ここの寮に住む皇樹 竜司もその伐刀者の一人だ。彼は去年の七星剣武祭に出場しベスト8まで行った少年。ただ、そのベスト8は実力で負けたのではなく、不戦敗だ。祖父が倒れたと聞き棄権したのだ。期待を裏切り、祖父のところに駆けつけた結果、祖父に殴られたと言う記憶は竜司の頭には何方かと言えば新しいものだ。
そして今現在彼がしている事は、日課の走り込みだ。体力作り、肉体作り色々目的があるが、ただ、音楽を聴いて走るのが、趣味になっているのだ。汗をかいてシャワーを浴び、グダーっとするのがハマっているらしい。竜司が走っていると、行き先には刀を振っている少年が居た。体格は細身だがしっかりしている少年で黒髪だ。竜司はその人物を知っている。いや、知らないはずがない。
「相変わらず、早いな。一輝」
「あ、おはよう。竜司」
彼は黒鉄一輝、同じく破軍学園に通う生徒、ただFランクで《落第騎士》と言う不名誉な名前をつけられている。
「おう、おはよう。今年から新体制で堂々と訓練場で模擬戦ができるな。あそこなら多少暴れても大丈夫だしな」
「竜司の固有霊装と破壊力が問題なんだよ、打ち合うだけならここでもできるのに、今日も付き合ってくれるんだよね?」
「当たり前だろ、時間が勿体ないからな、さっさとやろうぜ。廻りて集え『七天竜王』!!」
竜司は己の魂の具現である剣を出す。その形状は剣というより、斧に近いような気がするが剣である。黒と金の両刃の大剣が柄頭には小さいが金の刃がついている。その大きさは竜司の身長より大きいものだ。
「来てくれ。『陰鉄』」
一輝も自身の固有霊装を展開する。そして互いに構える。竜司は両手で持ち半身に構える。一輝は正面に構える。
そこに一陣の風が通る。二人はそれを合図にぶつかり合う。竜司の一撃を一輝は鍛え上げられ技巧で受け流し、切りつけるが、竜司は反応し柄頭の刃で弾き、大剣を振る。互いに一進一退の攻防。純粋な剣だけの戦い。
「相変わらず、涼しい顔でいなすな……一輝!!」
「そっちこそ、大きな剣を振るってるのに速いじゃないか竜司!!」
ひとしきり打ち合い、互いがほぼ同タイミングで固有霊装を消す。互いに息を切らせ、呼吸を整えて、スポーツドリンクを飲む。
「ッハ!生き返るーーやっぱり汗かいたあとはこれだよ」
「なんだかオッサンくさいよ竜司」
「気にすんなよ!せっかく桜も咲いてるしあー花見してぇよ」
桜を皆がら竜司はぼやく。一輝はそれを見て笑いながらフゥと息を吐く。竜司はそれを見計らい
「んじゃ、戻るか。俺朝飯食いたいし」
「うん、僕も戻るよ」
「んじゃあ、競走しようぜ!!負けた方がジュース奢りな!」
「いいよ!絶対負けないから!」
「言ったな!じゃあ行くぞ?よーいドン!!!」
そして二人は再び対決を始める。今度は寮までダッシュをして、どちらが早く辿り着くかの競走だ。子供みたいに走る様は微笑ましいものだが、その実互いに全力疾走、微笑ましいを越えて恐ろしいほどのガチだった
「っはぁー、クソ!今回は負けた!!」
「僕の勝ちだよ……じゃあ、後でスポーツドリンク奢って貰うから」
「くそう……今度は勝つからな一輝!」
「それ次も勝てないセリフじゃ……」
「前は俺が勝っただろ!?」
一輝はそう言えばそうだったと手をポンっと叩き思い出す。竜司はやれやれとため息をつき
「じゃあ、俺はシャワーを浴びて来るから、それからでもいいよな?」
「勿論、僕も着替えたいしね」
互いに一旦分かれ、それぞれの部屋に行く。背を伸ばし、冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターを取り出しその蓋を開け口をつけると同時に、悲鳴が聞こえた。竜司は驚き、ミネラルウォーターを少し零し、濡れた床を見て大きくため息をつき
「んだよ驚かせやがって、騒がしいやつだな」
玄関の扉を開けそのほうを見ると、一輝の部屋に警備員が入っていき、一輝が連れていかれて行った。
「これはアレだ。見なかったことにするしかねぇな。つかご愁傷様」
友人に合掌をして、深いため息をして部屋に戻る竜司。そして携帯端末を見ると、メールが来ていた
『理事長室に来い』
この一文しかなかった。竜司は心底嫌そうな顔をしながら考えて
「汗流したら行くか……しゃーねーし」
そう呟き、汗を流すべくシャワーを浴びるのであった。
ステータスを見たい人がいれば次回載せます。
かなり高く強くしてますご了承ください
落第騎士ヒロイン第2回
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