落第騎士の英雄譚・竜帝は七星の頂を目指す   作:皐月の王

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第2話 《落第騎士》と《紅蓮の皇女》

竜司は第三訓練場に足を進めていた。

理由は簡単、黒鉄一輝とステラ・ヴァーミリオンが模擬戦で部屋のルールもとい負けた方が一生服従と言う謎の制約が課せられた戦いなのだ。竜司はそれを目の前で行われていたので『どうするんだこれ?』と思いつつも自分の親友と来日した皇女の一戦は見ないと損すると思い見に来た次第だ。

 

「たく、こんな謎ルールでよくやるよな。なぁ一輝」

 

「仕方ないよ。いずれは勝たなければならない相手だよ。それは竜司と理事長が知ってることでしょ?」

 

「ああ、ようやく一輝に来たチャンス。『七星剣武祭で優勝したら能力値が悪くても卒業させる』と理事長が言ったやつだったよな」

 

竜司は背を伸ばしながら言う。黒乃が理事長となり、一輝の卒業の条件だ。今まで不当に奪われてきたチャンスが今一輝の手の中にある。

 

「うん。七星剣武祭になれば、彼女も君も必ず出てくる。言ってしまえば遅いか早いかの違いだよ」

 

「そこまでわかってんなら存分にやってこいよ。お前が勝てば命令権はお前が持つんだしな。適当に条件出して、下僕云々は反故にしてしまえ。それで世は事も無しって奴だ」

 

竜司は一輝の背中を叩き、観客席に向かって飛び適当な座席に座り観戦する体制をとる。

 

しばらくして一輝と戦う相手の、ステラ・ヴァーミリオンが会場に現れる。

そして言葉を交わし

 

「来てくれ《陰鉄》」

 

「傅きなさい《妃竜の罪剣》!」

 

一輝とステラは魂の具現である剣を幻想形態で召喚し向かい合う。そして、天才騎士と落第騎士の戦いが始まった。

 

「おー始まった始まった」

 

竜司は自室の部屋の鍵を指で回しながら観戦する。ステラの一撃は第三訓練所を揺らす。馬鹿げた攻撃力。ステラの得物は大剣で移動速度は一輝の方が上回る筈だが、そんな常識は埒外の怪物に通用しない。

 

「魔力おばけだから、そういう芸当出来るよな。」

 

竜司は戦いを見ながら言う。周りはステラが一輝を圧倒しているように見えている。状況だけ見たらそうだろう。一見すれば、そう見えるものだ。だが、ステラは気づいていた。一輝の技巧の前にパワーが封殺されているという事に。

 

「(もうそろそろか?今回は随分時間かかったな。さぁ行けよ、一輝お前の剣術を見せてやれ)」

 

そして一輝の反撃が始まる。一輝がステラが使う皇室剣技を完全に模倣して上回り、全てを掌握し押し始める。そして遂に陰鉄が無防備になったステラに振り下ろされた。がその刃は届かなかった。理由は明白だ。決定的な差によるものだ。魔力を纏う伐刀者は、同じ魔力を纏った攻撃でないと倒せない。魔力がバリアの役割を果たすからだ。一輝の魔力はステラには届かない。

 

「(まぁ、これが現実だわな。努力や技巧だけで勝てるほど甘くない。普通ならな)」

 

だが、竜司は知っている。一輝の持つ最大の武器は目覚めてはいない。その時はもうくる。ただ一度それの発動により竜司は一輝に負けた。一度は竜司をも打ち破った一輝の最強の絶技

 

「《一刀修羅》!!」

 

魔力が増幅したと錯覚させるほどの可視化される魔力を纏い、ステラの《天壌焼き焦がす竜王の炎》を掻い潜る。ステラは剣は振るうが、一輝は疾風の如き速度で戦場を駆ける。

 

「速くなってる……!それに魔力も上がって!?」

 

「上がったんじゃない、なりふり構わず全力で使ってるだけだ」

 

「はぁ!?そんな心構え一つで能力が上がるわけないでしょ!?」

 

そう、"全力で使う"普通ならそれは心構えである。だが事一輝にその普通は通用しない。ただの心構えだけのの全力では無く、文字通りの全力を出しているのだ。本来なら生存本能が、全力を出すという心構えをしてもその実は許さない。生物の機能を維持するためだ。だが、それを意図的に無視をしたら……

 

「アンタ……まさか……っ!!」

 

「そうだよ、この魔力は上がったんじゃない。生存本能を意図的に破壊して本来使えない力に手をつけているだけさ!!!」

 

「(才能がない奴は努力で差を埋めるしかない。だが才能がある奴も努力をする。それだけじゃ追いつくなんて不可能。だから一輝は編み出しやがったんだ。一分という限定だが最弱が届く伐刀絶技を一刀修羅を)」

 

竜司は一刀修羅を発動した一輝を見ながら、口角を上げる。朝の打ち合いとは違う。互いの全力を一輝とぶつけ合いたいと、今度こそ勝つ。竜司の闘争心に火がつかないわけがない。

 

「僕の最弱を以て、君の最強を打ち破る―――!!!」

 

その言葉と共に一輝は驚異的な速度でステラの懐深く踏み込み、試合を決めた。ステラは力なく地面に崩れ落ちる。

 

「そこまで!勝者、黒鉄一輝ッ」

 

レフェリーの理事長が勝者の名を告げる。竜司は試合が終わる合図を聞き、ポケットに手を入れたままステージに降り立つ。

 

「お疲れいい試合だったぜ一輝」

 

「うん……ありがとう」

 

一輝の表情は非常に疲れ果てている。1分間ですべてを使い果たす伐刀絶技。何とか部屋に戻る体力しか残っていないのだろう。

 

「そら、肩貸してやる。くたばるのはそのあとでいいだろ?」

 

「ああ、ありがとう竜司」

 

「なあに親友だからな、気にするな」

 

竜司は一輝に肩を貸して、訓練所を後にして一輝を一輝の部屋まで送り届ける

 

「じゃあな、しっかり休んどけよ。お前のそれはピーキー過ぎるからな。それのあと休まないとなんもできないんだからな」

 

そう竜司はドアを閉めて、一輝の部屋をあとにする。

 

――――――――――

 

竜司がしばらくして、再び一輝の部屋に戻ってくる。

 

「(どうせまだ寝ているだろうし、入って置くか)」

 

寮のリビングに当たるところまで来ると、理事長と目覚めたステラが話していた。

 

「お、目覚めた見たいだな」

 

「ああ、皇樹か。今しがたヴァーミリオンが目覚めて、少し話をしていたところだ。お前のその両手の袋は買い出しでも行ってきたのか?」

 

理事長の質問に竜司は頷き答える

 

「まぁな。あれを使ったんだからな、まともに動けねぇだろうし、学食も間に合わない可能性もあると考えましてね」

 

そう言いながら、竜司は買ってきた食材を冷蔵庫に入れていく。

 

「理事長先生彼は?」

 

「ああ、あの場には居たが、彼のことは紹介していなかったな。彼は皇樹 竜司。ヴァーミリオンには劣るが彼も魔力量は平均の二十倍はある。言わいる天才の一人でこの学園でヴァーミリオン以外でのAランクだ」

 

「彼もAランク……」

 

ステラは竜司を見ながら呟く。近い魔力量を誇るAランクの人物。破軍学園に在学している学生でステラを除けば唯一のAランク騎士である。

 

「それで、理事長とヴァーミリオンはなんの話をしていたんですか?」

 

「なあに、黒鉄の事だ。あいつがどういう奴でどういう道を来たかという話だよ」

 

竜司は、"なるほどな"と頷き、ペットボトルの水をステラに渡し

 

「強かっただろ?一輝は」

 

「ええ、強かったわ。完敗よ言い訳なんて思いつかないほどの惨敗よ」

 

それを聞いて竜司は吹き出し笑い出す

 

「何よ、笑う必要は無いじゃない!!」

 

「いいや、わりィわりィ。俺もな一度一輝に負けているんだよ」

 

その言葉を聞いてステラは驚く。自分以外のAランクを彼は倒していたのだ。

 

「あいつは凄いよな。才能無いからと諦めるわけじゃなく、無いながらも勝つための手段を生み出し倒すための絶技までも作っちまったんだからな」

 

まるで自分のように一輝の事を話す竜司。それを見てステラから見ても、嬉しそうに話していた。

 

「リュウジはイッキと友達なの?」

 

「あ?ああ、小さい時からな家族ぐるみで色々交流はあったしな。俺が無理矢理一輝と友達になったのも家族で集まった時だな。まぁそれはおいおいな」

 

そう言うと、竜司は部屋を出ようと歩き出し。ドアノブを回し扉を開けて

 

「一輝が起きたら食材は買ってきてあるから自炊して食えって俺が言ってたの一輝に伝えてくれヴァーミリオン」

 

そう言い残し竜司は一輝達の部屋を去り、竜司は自分の部屋に入る。

 

「ただいまー」

 

「おかえりーリュウ君」

 

扉を開けて声をかけると、出迎える声が一つ。"実力の近い者同士で男女関係なく相部屋にする"と言う方式が理事長によって決められている以上、竜司にもそれが適用される。本来ならステラとなるだろうが、ステラとの相部屋になっている人物が一輝だ。なら考えられるのは、三人を除いた一人である。

 

「……まさか、姉弟子のアンタが俺と同室になるなんてな」

 

「私もびっくりはしたけど、何だかんだで師匠の所以来じゃない?」

 

校内序列二位の雷切・東堂刀華が竜司のルームメイトであった。彼らは同じ師を持つ姉弟弟子だ。交流はそこから始まり、互いに切磋琢磨をして強くなってきたのだ。

 

「今日のステラさんと一輝君の試合すごかったね」

 

「ああ、一輝は毎日鍛錬してるからいいけど、ステラ・ヴァーミリオンは想像以上だった。技の練度も、魔力の扱いも、才能だけじゃなく、それだけの努力を惜しまずしてきたのは見て分かった」

 

「この一年はとても楽しくなりそうだよ。私にとってもリュウ君にとってもね。最後の一年、今度こそは勝つつもりだよ」

 

そう言う刀華の表情は穏和な笑みを浮かべていたが、彼女の瞳の奥に刃物のようにギラつく野蛮な光を宿していた。その目は未だ上を目指し続ける野心の宿った光だ。竜司はそれを見て嬉しそうに笑う

 

「という訳で、リュウ君改めて一年よろしくね。この最後の年で私はリュウ君を追い抜く気でいるから覚悟しておいてほしいな」

 

差し出された手、竜司はその手をを握り、答える

 

「ああ、今年一年よろしく頼むぜ先輩。まぁそう簡単に追い抜かせるつもりはねぇけどよ」

 

かくして竜司の長い一日が幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皇樹 竜司(すめらぎ りゅうじ)
所属:破軍学園 二年一組
伐刀者ランク:A
伐刀絶技:画竜点睛
二つ名:NO DATA
人物概要:破軍学園最強の学生
攻撃力:A 防御力:B 魔力量:A
魔力制御:A 身体能力:A 運:C

以上が竜司のステータスとなっています!

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あと一週間開きます

落第騎士ヒロイン第2回

  • 雷切・東堂刀華
  • 深海の魔女・黒鉄珠雫
  • 比翼・エーデルワイス
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