落第騎士の英雄譚・竜帝は七星の頂を目指す   作:皐月の王

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遅れてすいません!週一度のペースで上げれたらいいと思います!


第7話 無冠の剣王

「――――《雷切》」

 

刀華は伝家の宝刀の雷切を抜き放ち、見事に勝利を収めた。竜司はその試合を見届けて、試合が終わると同時に刀華のところに歩いて居た

 

(刀華の雷切、去年よりキレが増している。俺も他の伐刀絶技をそろそろ使わねぇと、偏りが出てくるよな)

 

刀華の雷切を久々に見て、そのキレが進化したのを見て、あの日の言葉を思い出す。

 

『最後の年で私はリュウ君を追い抜く』

 

あの時の目、あの時のオーラを竜司は覚えている。だが、抜かさせる気なんて無い。竜司が目指すは七星の頂。自身の知る人物はそこの頂に集うだろう。竜司のやるべきことは、それを正面から叩き伏せ勝つこと。だが、それでも好敵手の成長、知人の進化は見てて心が躍らない訳がない。そして願わくば、最高の舞台でぶつかり合いたいと思うものだ。それはまだ遠い話だ。心配する事のない試合のあとは、不安が渦巻く試合だ。黒鉄一輝と桐原静矢との一戦。一輝が過去を越えるか、静矢がそれを嘲笑うかの戦い。そんなことを考えながら、刀華のとこに辿り着く

 

「お疲れ刀華。技の精度、キレが去年より格段に良くなってたな!!ほい、スポドリ」

 

「ありがとうリュウ君。私もとりあえず突破したよ。それよりいいの?黒鉄君と桐原君の試合が始まるんじゃないの?」

 

「あ、そうだった。あいつに声かけるつもりだったんだ。言ってくれてサンキューな!」

 

そう言って竜司は一輝の所に走り出した。二分もかからずに一輝の控室に来る。その時、タイミングよく、竜司の苦手な人物が一輝に絡んでいた。それを見た瞬間ピリャリと足が止まった。

 

「どうよ。今夜あたりうちの部屋で特別授業――――」

 

(あのひと遂に学生に手を出し始めたのか……)

 

竜司はとても残念な人を見るような目で見る。尊敬できる人の一人なのだが、こういうところを見ると、やはり少し人として残念に思う。勿論理事長もそんなことを許さず。

 

「貴様、ウチの生徒に何している」

 

ドスの利いた声を西京寧音にかける新宮寺黒乃。

 

「うわっ、びっくりした―。やめたよくーちゃん。いきなり人の後ろに立つのあさぁ、思わず殺しちゃうところだったよ」

 

「私が貴様如きに殺されるものか。それよりこんなところで何をしている。貴様には第四訓練場の解説と監督を任せたはずだが?」

 

「あー。うん。でもあんまりしょっぱい試合やってるもんだから暇でさー」

 

ゴツン、と低い位置にある西京の旋毛を殴り、西京をずるずると引っ張り

 

「持ち場に戻れ、歩く公然猥褻罪」

 

「あーあーっ、わかったわかったから着物を引っ張るなー」

 

竜司はそれ情けないものを見る目で見送って、一輝の所に行く

 

「あーこら私を助けろー」

 

うしろから何か聞こえたが無視を決め込む。小さくため息を吐きながら、一輝と顔を合わせる

 

「よう、まだ控えに入ってなかったんだな」

 

「うん、今から入るところだよ。試合まで少し落ち着くつもりだけど」

 

(落ち着いて見えるけど、控えに入ったら、一度崩すだろうな)

 

一輝の様子を見ながらそんなことを考える竜司。誰だって公式戦の最初は緊張するものだし、実戦形態での試合ともなれば大抵の人物は一度は止まる。覚悟を決めて選ぶものだ。一輝は迷うはずも無く選んだんだろう。そうするのは用意であり、その辺の心配はしていない。ただ過去、初めての公式戦初めての試合。この二つが一輝にのしかかったらとおもうと、一度は集中は途切れるだろうと、竜司はおもった。

 

「まぁ、遅刻するよかはいいけどぉ。あんまりガチガチになるなよ?緊張で動けませんでしたなんてなるなよ?あと、もし集中が切れたら深呼吸でもしろよ?とりあえず、ほい、スポドリ。緊張やアップをすると汗とか喉乾くしな、差し入れだ」

 

「ありがとう、竜司。必ずに勝つよ、この試合に」

 

「……ああ、観客席から珠雫達と見てるぜ」

 

そう言い竜司は踵を返してその場を後にする。らしくない親友の言葉を聞いて……

 

 

「あっ、竜司さん。隣開いています、どうぞ座ってください」

 

「お、サンキュー」

 

珠雫達が座っている所を見つけ、一緒に座った。竜司は持ってきたお茶を飲みながら試合が始まるのを待っていた。その時は間もなく訪れた。

 

『今回のカードも大注目です!方や昨年一年生にして七星剣武祭に出場を果たしたCランク騎士桐原静矢選手!』

 

紹介と同時に黄色い声援が飛んでくる、竜司は相も変わらずだなぁと苦笑いしながら見ている。

 

『対するはFランクながら、模擬戦でヴァーミリオン選手に勝った、黒鉄一輝選手です!』

 

二人が姿を現し、中央に歩み寄る。

 

「本当に出てくるとはね。今回もボロ雑巾にしてもいいんだよな?《落第騎士》」

 

「やれるなら、やってみるといい」

 

二人は僅かに言葉を交わし、開始線に立つと

 

「来てくれ。《陰鉄》」

 

「さあ狩りの時間だ。《朧月》」

 

互いに、己の固有霊装を展開する。

 

『それでは本日の第四試合、開始です!』

 

試合の火ぶたが切られた。静矢は開始と同時に森を生み出す。静矢の伐刀絶技《狩人の森》を発動させる。そしてその森に溶け込み姿を消す。対人戦では最強と言われる《狩人の森》姿が見えないどこから矢が放たれるかもわからない。これを攻略するにあたっては広範囲攻撃が無いと苦戦が強いられるのは必定だろう。一輝にその攻撃方法は持ちえない。だが、

 

「そこ!!」

 

飛んできた矢の方向から居場所を特定し攻撃を仕掛ける。そして影をとらえる。何もない空間から、制服の切れ端が出てくる。

 

「ふぅ。危ない危ない。たいした集中力だ。迂闊に矢を撃てば足元を揺らされるなぁ。でもさぁ初戦は小手先だけが通用するのは無能力者のクズどもの世界だけだ。クズに毛が生えた程度の君が本当にその程度で《狩人の森》を破ったとでも?」

 

「やってみなければわからないよ」

 

「ああそうだ。やらないと分からない。だから、もうしたんだよ《落第騎士》」

 

次の瞬間右太ももに風穴が空き、血が噴き出した。

 

「ぐっ、ああ!」

 

予期していなかった激痛に苦鳴を漏らす。だが、それ以上に驚きの方が出かかった。一輝の集中力はあらゆる攻撃に対応できる状態だった。だが、攻撃は右太ももに攻撃が命中している。一輝は風穴の空いた太もも見て触れる。そこにまるで矢が刺さっている感触があり、握ると質量のある魔力の感触があった。一輝にとって最悪の事態。それが牙をむき出す

 

「気づいたようだね。今年の《狩人の森》はボクの放った矢もステルス化できる。当たってからじゃないと知覚することもできない!!じゃあ、宣言通りボロ雑巾にするよ、《落第騎士》」

 

観客席から試合を見ながら状況が芳しくないのを竜司はただ黙ってみていた。

 

「これは不味いわね」

 

「ええ……。お兄様は飛んでくる矢を目印に、桐原の攻略を組み立てていた。だけど、今それが、根底から覆された。飛んでくる矢を知覚出来なくなったんじゃ、反撃はおろか防御行動すらとれない」

 

「さすがは去年の七星剣武祭代表生ね。攻守共に一切の隙が無い。とんでもない能力だわ」

 

「違う!」

 

有栖院の言葉にステラが強い口調で割り込む

 

「確かに《狩人の森》がこんなに反則級の技になっていることにも驚いたわ。だけど、問題じゃない!それ以上にイッキの様子がおかしいわ!」

 

「お兄様の様子がおかしい?」

 

「そうよ!だって、どうして開幕速攻をかけなかったのよ!敵が消えるのは分かっていたことでしょうっ!だったら、開始線上に必ずいることがわかっている勝負をかけるのが一番確実じゃない」

 

それを聞いて珠雫は呆れたように

 

「貴女こそ、この間のテロリストの一件でなにも学んでいないの?伐刀者相手に不用意に飛び込むのは自殺行為。まずは相手の呼吸を読み、癖を盗むのがお兄様の剣です。貴女もやられていたじゃないですか」

 

「違う……。確かにイッキは敵を観察して、手順を重ねて確実に勝ちを取りに行く騎士。だけど今回の敵は姿を消すのよ!?見えない敵からの攻撃に常に備えなければいけないなんてどれだけの消耗を強いられるのかわかる!?イッキがそれに知らないわけが……」

 

「速攻を仕掛けなかったんじゃねぇんだ。出来なかったんだ」

 

竜司の声が上がる。ステラは反論するように

 

「そんなわけないわ!イッキがそんな当たり前の見切りが出来ない騎士じゃないっ!」

 

「そんなのは俺も知ってる。だがなぁ、あいつがこの舞台でそんな当たり前が出来ないほど、あがってしまってるんだよ」

 

「うそ……そんな素振りは……!」

 

思い当たる節があるのか、はっとなるステラ。

 

「思い当たることが、あるみたいだな。けどあいつを責めんなよ?この前アリスも言ってたが自覚がないほどに、傷つけられるのに慣れている……この公式戦に来るまでにあいつは苦労を重ねてきた。それを考えたら、この反応は普通だ。むしろケロッとしているほうがどうかしているぜ」

 

「ともかく……、矢と言う標が断たれた今、深い森の中に隠れた《狩人》に一輝の牙は届かない。ステラ、珠雫は覚悟していなさい。ここから始まるのは一方的な《狩猟》よ」

 

(ああ、このままだと、文字通り《狩人》に《狩猟》されて道は断たれるな。このまま終わる程度の男なら、最初からここまで来ない。お前なら超えるんだろう?今より先にじゃねぇとお前……!)

 

竜司は落ち着いた表情で試合を見続ける。ただ黙って。信じて見続けるが、静矢の煽り、一輝の卒業条件、誹謗中傷が聞こえ、苛立ちを徐々に募らせる。そして、一輝に諦めの色が見えた瞬間、我慢できなくなり檄を飛ばそうと口を開けた瞬間、

 

「だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

隣の人物、ステラが罵声の波を切り裂く。視線は一気にステラの所に集まる

 

「FランクがAランクに勝てるわけがない?そんなの、アンタ達が勝手に決めつけた格付けじゃないのッ!アタシ達天才に何をやっても勝てない。そうやって勝手に枠にはめて、自分の諦めを正当化してるだけ。そうやって諦めるのは勝手よ。でもお前たちの諦めを理由にイッキの強さを否定するなァ!!。イッキ何情けない顔してんのよ!こんな所で諦めかけてんじゃないわよ!上を見ているアンタが好きなんだから!アンタはずっとかっこいいアンタのままでいなさいよ!!このバカァアァアァッ!!!!」

 

それに続くように竜司も立ち上がり、一輝に言葉を飛ばす

 

「何時まで寝てるつもりだ一輝!!何のために今まで頑張ってきたんだ!?今まであきらめてこなかったのに、ここで、こんな所で終わるつもりなのか!?立て!!立って戦え!!諦めるな!!お前の騎士道はそんな程度で終わるもんじゃねぇだろ!!!!」

 

ゴンッ! と一輝が自分の拳で自分の顔面を音が響くほどに殴りつけた。

 

「ありがとう。ステラ、竜司。良い活が入った」

 

そのあとは早かった。模倣剣技の対象を人に置き換え、思考を読み切る技、《完全掌握》を生み出し、桐原の《絶対価値観》を盗み行動思考を完全に盗み。勝利を得た。だが、それまでに負った傷がひどいため、ips再生槽に運ばれた。他の人間はこの試合を見に来ていただけなので立ち去っていく。

 

「こりゃ次の試合の奴が可哀想だな」

 

「そうですね、でも私も正直に言うと興味がありません」

 

「珠雫は病室に行かないの?」

 

有栖院は隣の珠雫に尋ねる。

 

「行ってもどうせ眠ってるもの、それに今日はあの女と竜司さんが勝たせてくれたものだし。だから今日は許すの」

 

「んじゃ、とりあえず三人で食べに行くか。一輝は一刀修羅で起きれないし、ステラはそれに付き添うだろうし、アリス良い店知らねぇか?」

 

「勿論知ってるわよ。料理もお酒も美味しいお店をね」

 

「……アリス、竜司さん。言っておくけど、たぶん私数時間後、あの雌豚と兄さんを二人きりにしたことを後悔して荒れると思うから、覚悟しててよ?」

 

「うふふ。それはそれで、楽しみね♪」

 

「分かったよ、じゃあ行きますか」

 

着替えてから行こうと話が決まり三人は人の流れの後ろから出口を目指す。

この日《落第騎士》の他にもう一つの名前が生まれたその名は《無冠の剣王》もう、一輝はただの《落第騎士》には戻れないことを示したものだ。

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投票の結果三つが同数だったため、改めて二人✛新たに一人を追加して投票をしたいと思います

落第騎士ヒロイン第2回

  • 雷切・東堂刀華
  • 深海の魔女・黒鉄珠雫
  • 比翼・エーデルワイス
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