というわけで、中編となります轟雷です。予想以上に文字数が行ってしまったため、前中後編という形にします。ごめんなさい、なんでもはしませんが許してください。
なお中編である今回は正直メイドらしいこと何もしていません。なんせ初のバトル回ですからね!
というわけで、どうぞお楽しみください。
朝の散歩を終えた私と白虎さんは、マスターの部屋に戻ってきました。
どうやら他の皆さんもちらほらと起きている様子。また少しだけ賑やかな日常が始まるのでしょう。日常ばっかでバトル一切無いですけど。
「それで、次は何をなさいますか?」
ひとまず、白虎さんの本日の予定を聞いてみます。今日は一日、彼女のメイドですからね。
「そうね……たまには体をうんと動かしたいですわね」
「散歩以外に、ということですか?」
「ええ。たまにはバトルの特訓を致しませんと」
あれ、もしかしてバトル一切無いへのフラグはやくも回収ですか?
「あそこに行きましょう、轟雷」
「あそことは?」
「物置きと化してるあの部屋に」
物置きと化してるあの部屋というのは、マスターがこれでもかと物を置いてるせいで広い部屋なのに物置きになっているというよくわからない部屋のことです。部屋ばっかり言ってわからなくなるでしょうけど、どう説明したものか正直私もわかりません。
ただなるほど、たしかにあの部屋であれば訓練にもってこいかもしれません。遮蔽物が多く、隠れる場所も多いですからね。
「でも誰か相手になってくれる方がほしいところですわね」
白虎さん。そのセリフは、誰かが声をかけてくるパターンのやつです。
「あら、おはよう轟雷。昨晩は楽しめたかしら?」
ほら。て、どうしてよりにもよってローズさんなんですか。昨晩の営みを見たせいで、正直気まずいんですけど私。
「おはようございます、ローズさん。それはもうとても素晴らしいものでしたよ」
「そ、よかったわ。プリムがまだ起きてこないから暇なのよね」
隣で白虎さんが首を傾げていますが、無理もありません。会話の内容が、何も知らない人からしたら頭にクエスチョンでしょうから。
というかこの人、どれだけプリムさんにべったりゾッコンなんですか。確かに? いつも一緒にいますし、一緒にいなくても影でこっそりこの方はプリムさんのことを見ていますし、プリムさんがガールに襲いかかろうとするものならすぐに駆けつけてますし、もしかしてクラウンさん並みに愛が重いやつでは。
「それでしたら、今から特訓しようという話があるの。どうかしら?」
「特訓? どこで?」
「物置きと化してるあの部屋です」
「ああ、あの部屋ね。特訓って言っても、何するの?」
「簡単に言うと銃撃戦ですわ。銃を各々持ち、隠れながら相手の隙をついて撃つ。そんな感じですわ」
ローズさんは腕を組んでしばし考えます。
その時、もう一人私たちに近づいてきた方がいました。アルキテクトさんです。
「あ、おはようございますアルキテクトさん」
「おはよう。三人一緒に何してるの……?」
「なんか白虎が特訓するんだって、銃撃戦の」
「面白そう。バトルは久しぶり」
「確かにねー。武装自体少ないから必然とのほほんとしがちなのよね、私たち」
「ローズはいつもバトルしてる。夜のブフッ」
「ダメですアルキテクトさん。それ以上はダメです」
慌ててアルキテクトさんの口を塞ぎます。勿論手で。
またも白虎さんは小首を傾げています。こういうのに疎い方なのか、普通なら夜のと言った時点で気づきそうなものですが。
「まあ確かに、バトルといえばバトルよねあれも」
昨夜の勢いはどこへやら、ローズさんは顔を赤くして逸らしています。
なぜ恥ずかしがっているのでしょう。私にこれでもかと見せておきながら。
「うぅ……今更ながら轟雷に見せたのが恥ずかしくなってきた」
「何を言ってやがりますかこの人は」
「それで、どうなさいますの?」
白虎さんの問いに、ローズさんとアルキテクトさんの二人は顔を見合わせると頷きました。
「いいわ、やる。久々にバトルしたいし」
「私も。バトル、たまにはやりたい」
「なら決まりですわね」
どうやら決まったご様子。久しぶりのバトルにローズさんもアルキテクトさんもやる気のようです。
「そういえばなんでメイド服なの? 轟雷」
「え、それ今聞きます? ローズ風味さん」
「そりゃ今気づいたんだもん。て私はローズ風味じゃない!」
「まあメイド服より先に昨晩の感想聞きたかったんですよね、わかります」
「な!? そっ、それはそうだけど……」
「何故恥ずかしがってるのかわからない」
確かにホントそうですね。聞いてきた時平然としてたのに、今になって恥ずかしがるとか、おかしすぎます。
「昨晩……バトル……」
ん? 白虎さんが何かを考えていますね。もしかしてこれはようやく気づくパターンですかね。
「はっ!? 破廉恥ですわよ!?」
白虎さんが顔を真っ赤にして叫びます。
その突拍子もないタイミングに、私たち三人は顔を見合わせ、可笑しさから少し吹き出してしまうのでした。
◇
私たちはバトルの特訓のために物置き部屋(本来は生活部屋)へと赴きました。
あの後、なんやかんやあって参加人数が増えまして、最初の四人に加えてフレズとバーゼさん、そしてイノセンティア姉妹が加わりました。
そんなわけでいざ、バトル開始と行こうと思ったのですが……。
「よくよく考えなくても、うちのマスターって全然武装組んでないわよね」
「そうですね……」
ローズさんの発言に全員が同時に頷きます。
そう、私たちのマスターは全然武装を組まないのです。話によると、最後に作った武装はアルテナさんのものなのだとか。
いやまあ確かに、アルテナさんの武装は作るのに一苦労なわけですけども、それにしたって作らなさすぎでは?
「一応、組み替えでライフルとスナイパーになる武器は借りた」
「アルキテクトさん、一体誰に借りたんです?」
「言えない。ガールではあるけど、ガールではないから」
「ああ……あの子ですか」
なんたらデバイスの子ですね、わかります。確かアルキテクトさんとすごく仲がいいんでしたっけ。
「一応私のガトリングもあるわね」
「私のライフルもありますわ」
「それと一応ライフルとマシンガンもありますね」
「銃器が5つしかありませんわね」
「私は一応お姉ちゃんから近接武器は借りてるけど……」
「そうね、私の刀もあるわ」
「私の剣もありますわね」
一応人数分の武装はありそうですが、残念ながら銃器オンリーというわけにはいかなさそうです。
マスター、武装もちゃんと作ってくださいね。武装が無ければ、私たちはただのガールですから。
「せめてバーゼの銃作ってくれてればなぁ」
「まあ無いものねだっても仕方ないわ。どうする白虎?」
「そうですわね……この際銃器オンリーはやめて、この武装を使っての戦闘に致しますわ。せっかく人数が偶数なので、チーム戦でどうです?」
「了解。チーム分けはーー」
程なくして、チーム分けと武装分けが行われ、いざ戦闘に突入という形に。
チーム分けの結果、白虎さんをリーダーとしたお姫様チームとローズさんをリーダーにしたアイスティーチームに分かれることになりました。
おやどうしましたローズさん。は? アイスティーチームじゃなくて、紅薔薇チーム? そんな記録私のところには、ああはいはいわかりましたわかりました冗談ですよ冗談。
えーと、お姫様チームに私とフレズが。紅薔薇チームにはバーゼさんとアルキテクトさんが加わる形での戦闘となります。
イノセンティア姉妹はどうしたのか、ですか? 彼女たちは、いるのかいらないのかわかりませんがなんか実況と解説をやるとか言って戦闘から外れましたよ。謎です。
お姫様チームの武装は、まず白虎さんはご自分のライフルを、フレズはアルテナさんから借りた双剣を、私はマシンガンを。
紅薔薇チームにはローズさんが刀、バーゼさんがライフル、アルキテクトさんがローズさんのガトリングをそれぞれ割り当てました。
ここからは録画された映像が流れます。度々イノセンティア姉妹の実況と解説も挟まれますので、どうぞ彼女たちの実況解説も楽しんであげてください。
「さあ始まりました! 第百十四回! チーム対抗バトル訓練!」
「ちょっと待ちなさいイノセンティア姉! 今回が初回でしょうが!」
「実況は私イノセンティア姉でお送りします!」
「無視か! 無視するのか!」
「ローズ、冷静になれ」
「バーゼあんたは誰の真似してるのよ!?」
「まさかバーゼ、それは!?」
「知っているのかアルキテクトとか言ってほしいの? 言わないわよ」
「いやよく知らない」
「知らないんかい!」
なんか初っ端から紅薔薇チームは騒がしいですね。チームワークがありそうでなさそうでやっぱりありそうな怖い雰囲気があります。
一方の私たちですが。
「解説には最高で世界一可愛い私の妹をお呼びしています。準備はよろしいですか?」
「準備オーケー。可愛く解説、する」
「可愛い解説ってなんですの?」
「さあ? なんか可愛く言うんじゃないかな」
こうなんか、ちょっと雰囲気が暗いです。まあ、あまり喋らないフレズとお淑やかな白虎さんですから、静かになるのはわかりますけども。わかるんですけども。
私、どっちかというと喋るタイプですよ? これだけ静かだと少し話しづらいというか。
「とりあえず轟雷は私が守ってあげる」
「え? あ、ありがとうフレズ」
「何を言いますの。メイドを守るのは主人である私の役目ですわ!」
「えと、姫さまもありがとうございます」
「私の方が絶対に守れる」
「いいえ、私の方が轟雷を守るのに特化していますわ!」
しかもなんか火花が散ってるんですけどぉ!?
え? なんで? なんでそんな火花散ってるんですか?
私? 私が悪いんですか?
「あの……別にそんなに強気で守ってくれなくてもいいですよ?」
「その可愛いメイド服姿が汚れたら困る」「その素敵で可愛らしいメイド姿が汚れたら困りますわ!」
「え、ええと、守るのはそこですか?」
なんか息が合ってるような合ってないような。確かに、今すぐ脱ぐわけにもいかなくて私メイド服のままですけども、それにしたってそこまで守る価値もないような。
「さあ、両者の間ではすでに火花が散ってるご様子!」
いや、姉のイノセンティアさん、どちらのチームも内輪で散ってると思いますけども。チーム同士ではそんなに火花がバチバチ言ってないと思いますけども。
「一体どちらに勝利の女神が微笑むのか! まもなくキックオフです!」
いや、サッカーでもラグビーでもないですし。ローズさんはバーゼさんとアルキテクトさんのボケを突っ込むので手一杯で突っ込んでないですけど。
「いちについて、ヨーイ」
妹イノセンティアさん、これ陸上でもないです。突っ込む気ないので、声に出して突っ込むことはしませんけども。
あれ、今この場で一番まともなのは私だけなのでは? まともなのは私だけか!?
「ドーン」
妹イノセンティアさんの掛け声とともに、どこから持ってきたかわからないバズーカの音で戦闘が開始となりました。
「先手必勝!」
まずはじめに仕掛けたのはバーゼさんでした。バーゼさんはライフルを構えると、私たち目掛けて引き金を引きます。
私たちはすぐさま物陰に隠れて、それをやり過ごしました。
「さあ始まりました! 第五百十四回! チーム対抗、ワールドベースボールクラシック!」
「いや実況まともにやりなさいよ!」
「バーゼ選手の射撃でスタートしましたが、解説の妹さん、どちらが勝つと思いますか」
「私たちが、勝つ」
「確かに! 私たちは無傷で立ちますからね、実質勝者です!」
「せめてまともに実況しろーっ!!」
ローズさんの叫びはごもっとも。
「こちらも応戦しますわよ!」
白虎さんが対抗して、同様にライフルを撃ちます。そしてローズさんたちも同様の対応をして、物陰に隠れて躱しました。
これ、終わるんですかね?
「私が後ろを取って攻撃する。轟雷と白虎さんは前に集中して」
「了解ですわ。お願いしますわよ、フレズさん!」
おや? こちらのチーム意外と連携取れてる?
とりあえず私もフレズの指示通り、相手チームがいる方向にマシンガンを放ちます。
「マズイわね、フレズの気配が無いわ。移動してるかもしれないから、あんたたちは援護をお願い。私は正面から突っ込むわ」
するとタイミングを見計らったローズさんが、刀を手に構えたまま物凄いスピードでこちらに突っ込んできました。
「まさか正面から!?」
慌てて白虎さんがローズさん目掛け、ライフルを撃ちます。が、ライフルの弾はいとも容易くローズさんの刀によって弾かれてしまいました。
「おおっと! ローズ選手、白虎選手の弾を弾いたぁ!」
「そんなバカな!?」
いやほんと全くですよ。ライフルの弾を弾くなんて芸当初めて見ました。
あ、一応ルールを説明しておきますと、設定された戦闘区域内の中をそれぞれのチームは自由に動くことが出来ます。
ガトリングとマシンガンの弾は10発、ライフルと近接武器は1発体に当たると戦闘不能となるようにライフ設定。戦闘不能になると一時的に強制スリープ状態になるようになっています。
ダウンした者の武装は装備可。つまり下手をすれば武装を相手に取られてしまうわけです。
そう考えれば、余程の自信がない限り正面から突っ込むということは出来ません。
「くっ! させません!」
私も応戦し、マシンガンを撃とうとします。
しかし顔を出した瞬間、ガトリングの弾が飛んできたため、咄嗟に引っ込めてしまいました。
「残念だけど、ローズを撃たせない」
あちらもなんだかんだと連携出来ている様子。
「これは素晴らしい連携だ! 解説の妹さん、どう思いますか」
「すごい。お互いのことを理解していないと出来ないこと。難しい。すごい」
「可愛い解説ありがとうございます!」
「どのあたりが可愛いのかわからないんだけど!?」
しかもローズさん、ツッコミまでする余裕を見せています。
「このまま突っ切る!」
このままでは私も白虎さんも斬り伏せられる。そう思った時でした。
「残念だけど、それはさせない」
フレズが私たちが盾にしていたコンテナの上から、ローズさんに奇襲をしかけたのです。
「上から!?」
これには堪らずローズさんも立ち止まり、フレズの攻撃を防ぎます。
「貰いましたわ!」
その隙を突き、白虎さんがライフルを撃ち放ちました。
これでローズさんは脱落ーー普通ならばそうなるでしょう。しかしローズさん以上に警戒すべき人がいました。
「なんと、バーゼ選手! 白虎選手が放ったライフル弾を撃ち落としたぁ!?」
そう、バーゼさんです。彼女の正確無比な射撃により、白虎さんの射撃が相殺されてしまったのです。
「そんな!?」
「ふふふ、さすがバーゼ! あんたバカの割にはやるじゃない!」
「バカって何さー! もう援護してあげないぞー!」
「はいはい、その調子でよろしく!」
これは手強い。思わず私はマシンガンを強く握りしめます。と同時に楽しくなってきました。ついつい笑みが溢れてしまいます。
「これはこちらも負けてられませんね、姫さま」
「……っ! そうですわね!」
私と白虎さんは同時に顔を出し、射撃を開始。狙いはローズさんではなく、その背後で援護しているバーゼさんとアルキテクトさんです。
「向こうはこちらでなんとかします! フレズはローズさんを!」
「うん、わかった!」
私の言葉に頷くと、フレズは二本の剣をローズさんに打ち込みます。
対しローズさんはそれを弾きながら応戦。フレズに食いついています。
お互い一歩も譲らぬ剣戟。どちらも剣先が見えないほどに速いです。
「おおっと! これは白熱してきたぞぉ! これはなかなか見所ですねぇ、妹さん」
「みんな頑張れ。勝利の女神が応援してる」
「私という勝利の女神も応援しているぞーっ!!」
「て勝利の女神はお前たちかーい!!」
イノセンティア姉妹のボケに全員が一斉に声を上げます。それだけ私たちの息が合い、白熱しているということでしょう。おそらく、多分。
「やるじゃないフレズ!」
「そっちこそっ!」
「おっと! 二人とも援護!」
「ちょっと無理ー!」
「あっちの射撃の対応で手一杯」
「そりゃそうよ、ね!」
ローズさんはフレズの剣を弾くと、高く飛び上がり、近くにあったコンテナの上へと降り立ちました。
「逃がさない」
フレズもそれを追いかけて、同じコンテナの上に行きます。
「そこ!」
するとローズさんは着地の瞬間を狙い、フレズ目掛けて突進しました。
「そう来ると思ってた。轟雷!」
「任せてください!」
私はフレズの合図とともに高く飛び上がります。そして空中でローズさん目掛けて銃口を向け、照準を定めました。
「バーゼ! 空中なら当てれるでしょ! 援護!」
「任せて! 狙いを定めてぇ……!」
私の行動に反応し、バーゼさんが私に狙いを定めます。
しかしバーゼさんと私は直線上にいたことから、私を狙うには顔を出すほかありません。
そのカバーをするために、アルキテクトさんは白虎さんがいる方向にガトリングを撃ち込みます。
お互いほとんど掛け声無し、作戦無しの状態でここまでできたのが不思議でなりませんが、きっとこの時の私たちはいつも以上に仲間を信用していたはず。
そう、だから私は信じたのです。白虎さんを。
「させません! そこですわ!」
白虎さんは飛び出し、バーゼさんに向けてライフルを撃ち放ちました。
当然体を出してしまったため、アルキテクトさんの攻撃が被弾。戦闘不能となります。
「よし! そこぎにゃあ!?」
しかし一切ブレることなく、白虎さんはバーゼさんにライフルを発射していたため、弾が見事命中。バーゼさんも戦闘不能に。
「おおっと、ついに試合開始から、ええと何分だっけ」
「姉さん、ごめん、測ってない」
「ええと、白虎選手バーゼ選手ともにダウン!」
間一髪、バーゼさんが撃つよりも速くダウンさせられたので、私は無事です。
「くっ!」
アルキテクトさんはすぐさま私に銃口を向けてガトリングを撃ち込みます。しかしガトリングは弾がバラけるため、上手く私に当たりません。
「ローズさん、覚悟!」
と同時に私もローズさんに撃ち放ちました。
「何が覚悟! よ!」
ここで誤算が発生しました。ローズさんが急停止して、事もあろうか私の撃った弾丸をすべて弾いているのです。
「なんて出鱈目な!?」
私は思わず声を上げてしまいます。
そしてハッとして、アルキテクトさんの方を見ます。というのも、ガトリングの弾が飛んでこなくなったからです。
見てみると、アルキテクトさんがバーゼさんの武装を拾ってこちらに構えていました。
「取った!」
照準を定めたアルキテクトさんは、引き金を引いて弾を発射しました。
「しまっーー!?」
このままでは直撃する。そう思った瞬間、私もアルキテクトさんも目を見開きました。
ライフルの弾が途中で何かに阻まれ、爆発したのです。
何が起こったのか最初は理解できませんでした。
「轟雷は私が守るって、言ったよね」
その言葉で我に帰り、声の主の方を見ます。
そう、フレズです。フレズが双剣の片方を投げて、ライフルの弾を相殺したのです。
私は降下しながらすぐさま狙いを変え、アルキテクトさんに照準を定めました。
「アルキテクト!」
ローズさんがいち早くそれに気がつき、フォローに入ろうとしました。
「させない」
それをさせまいと、フレズは剣を片手にローズさんに踊りかかります。
「そこです!」
照準が定まった瞬間、私はマシンガンを連射。弾はアルキテクトさんに向けて飛んでいきます。
「させない」
アルキテクトさんは咄嗟に飛び込みながらライフルを撃ちました。
「一か八か!」
私も咄嗟にマシンガンを射線上に投げます。
するとライフルの弾はマシンガンに当たり爆発。マシンガンの弾は標的を失いただ地面に当たるだけとなりました。
着地した私はすぐに白虎さんのライフルを構えて、まだ立ち上がっていないアルキテクトさん目掛けて撃ち込みます。
「ごめんローズ。私も脱落」
直撃を悟ったアルキテクトさんがそう言った直後、ライフルの弾は彼女を打ち抜きました。
「ここでアルキテクト選手も脱落! 僅かな時間に起こる出来事が多すぎるぞー!!」
「みんなすごい、みんな頑張った」
この一連の流れの間固唾を飲んでいたイノセンティア姉妹が、漸く口を開けます。
「実況も解説も放棄してるじゃないのよ」
一人残されたローズさんが、フレズから距離を取って愚痴を吐くように呟きました。
「これで二対一。降参する?」
剣を構えたまま、フレズが言います。
「降参? まさか」
「ですが私もローズさんに狙いを定めます。そうなれば、勝ち目は無いかと」
するとローズさんが口元を緩めて、ニヤリと笑みを浮かべました。
「ねぇ、轟雷? ところで私のガトリングどこに行ったの?」
「ガトリング? そんなのアルキテクトさんの側にーー」
私は思わず息を呑みました。
アルキテクトさんの側にあるはずのガトリングがありません。
「まさか!?」
声を上げて、ローズさんの方を見ます。
すると丁度ローズさんの手元にガトリングが落ちてくるところでした。
「マズいっ!」
完全に油断していたフレズが地面を蹴り、距離を詰めようとします。
「ダメ! フレズ!」
しかしそれは却って不利になる行動です。何故ならもう、ガトリングは彼女の手元にあるのだから。
「残念だけど、こっちの方が一枚上手だったわね」
ローズさんは無情にも、突進してくるフレズ目掛けてガトリングを撃ち放ちました。
「きゃああああ!?」
弾丸はすべてフレズに命中。フレズは失速し、そのまま転ぶようにダウンします。
「くっ!」
私はライフルを構えて射撃しました。
「残念、そんなの当たらないわよ!」
しかし完全にフリーになったローズさんはすべて走って躱してしまいます。
近接武器を持たない私が圧倒的に不利です。況してや相手は射撃武器も有している。
なんとかしなければと、私は思考を巡らせました。ですがどれだけ考えても、打開策は思いつきません。このままでは負けてしまいます。それは嫌です。
私は撃ちながら走りました。走った方向はアルキテクトさんのところ。彼女が使っていたライフルを手に入れるためです。
「させない!」
しかし、フレズの武装を拾っていたのか、ライフルに剣が突き刺さりました。これでは使うことができません。
「ローズ選手、突っ込む! これは勝負あったかーっ!?」
「くっ!」
ローズさんがついにこちら目掛けて突進してきます。
ライフルを撃ちますが、全て躱されてしまいます。万事休す。絶体絶命。もはや打つ手なし、そんなところでしょうか。
「いえ、まだです!」
そうです。まだ手はありました。ローズさんが投げたフレズの剣、これを引き抜いて応戦すれば。
私はすぐさま行動に移しました。
射撃を繰り返しながら後退します。
「だからさせないっての!」
一方のローズさんはガトリングを撃ちながら近づいてきます。弾が何発か当たってしまいましたが、まだ設定された数には達していません。
なんとか私は剣のもとにたどり着くことができました。
「よし、これで行きます!」
紙一重で剣を素早く引き抜き、ガトリングの弾を避けます。
そして剣を片手にライフル銃を構え、私も被弾しないように走りました。
この時、この場にいる誰もが予想していませんでした。
私が身構えた直後、私だけでなくイノセンティア姉妹も凝視する出来事が発生してしまうのです。
「つかまーえた!」
「え、ちょ、プリム!?」
どこからかともなく現れたプリムさんが、ローズさんの背中に飛び込んで捕まえてしまったのです。
「おはようローズちゃん」
「ちょっとプリム! 邪魔しないでよ!」
「あらやだ、私を置いて楽しいことするなんてズルいわ〜。すごくズルいと思うの〜?」
「あれ? プリムなんか怒ってる?」
雰囲気で察しました。プリムさんが何やらすごく怒っていると。
「眠ってるみんなも起きて〜?」
プリムさんの声掛けに、スリープ状態にあった方たちが目を覚ましました。
「なになに? バトル終わったー? て、あれ? プリムがいるー」
「おはようバーゼちゃん」
「プリム、どうしてローズに跨っているの? イチャイチャは他所でやるべき」
「そうじゃないのよ〜? アルキテクトちゃん?」
「ヤバい、逃げよう妹よ」
「うん、逃げよう姉さん」
「逃がすつもりはないわよ〜? イノセンティアちゃんたち?」
プリムさん、明らかに怒っています。怖いです。めちゃくちゃオーラがすごいです。
「これ提案したの誰〜?」
「えっ、えっと、私ですわプリムさん」
「そっか〜。うんうん、まあ誰が提案したとかどうでもいいのだけど」
「仲間外れにしてすいません、プリムさん」
「うんうん、違うわフレズちゃん?」
何に対して怒っているのか全然わかりません。一体全体、プリムさんは何を怒っているのでしょうか。
「ねぇ、みんな? 聞きたいのだけど……」
何を問われるのかわからず、全員固唾を飲み込みます。
「ここ、誰が片付けるのかしら〜?」
言われて、全員固まりました。無論私もです。
周囲を見渡してみると、戦闘のせいでさらに部屋が汚くなっているのです。
あ、うん、なるほど。わかりました。何を怒っているのか。確かにその通りです。ただでさえ汚なかった部屋が更なる惨状になっているのです。
最初に来たということから、誰よりも(勿論クラウンさんよりも)マスターとこの家を案じているらしいプリムさんにとって、看過できない状態だったのでしょう。
「全員、今すぐここを片付けなさい!」
「はいすいませんでした!!」
その後私たちは、部屋が元の状態になるまでプリムさんに睨まれながら片付けをすることになるのでした。
片付けが終わったあと、メラスさんに言われたことを忘れません。
「姉さんを本気で怒らせると、誰よりも怖いわよ……」
まったくもってその通りだと、今でも思います。
どうも。マスターのマスターによる以下略。
ねえ先生。前後編って言ってましたよね? なんで中編挟んでるんですか? というかメイド関係なくない?
先生、はやく私のポメラ返してください。私も新作の続き書きたいんです。だから早くーーえ? 人物紹介終わるまでは返さない? 嘘だドンドコドーン。
というわけで、中編如何でしたでしょうか。
私がなぜ武装をなかなか作らないのか? それは単純にガールを増やす方が楽しいからです!(キリッ
あとほら、この話みたくどこででも戦闘されちゃ困るしお寿司。
でもそろそろ武装もしっかり組み上げていきたいところ。なんせ部屋片付けましたからね。武装置く場所もそれなりに確保できましたし。
という身の上話はここまでにして、次回後編もどうぞお楽しみに。
轟雷先生、張り切っています!