サーヴァント召喚のために触媒を求めてデュエルする話   作:紅緋

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スカディ来るって聞いてないんですけど(憤怒)
慌てて書いたし、分割することになったし、投稿しようとしたらピックアップ期間終わってるし……クソァ!!

あと話の流れがクッソ雑でごめんなさい。



1800万DL記念PUでスカディを召喚したい①

「スカディ来ました! スカディ来ました! スカディ来ました!」

 

 立香はマイルームで、鬼気迫る表情でデュエルディスクからカードをドローしていた。

 引いているカードは【シャドール】や【氷結界】、【ラヴァル】、≪覇王城≫などデッキとしての纏まりは一切ない。

 しかし、それでも立香はまるで素振りに集中しているアシュヴァッターマn――バッターのようにドローするカード1枚1枚に心血を、魂を込めていた。

 

 それはあまりにも唐突だった――2019年11月13日

 ――1800万DL記念

 ――スカサハ=スカディ――ピックアップ。

 

 セイバーウォーズⅡで自棄になって回したスペース・イシュタルの傷が癒えていなかった立香は歓喜し――2秒後に嘆き悲しんだ。

 彼が貯めていた聖晶石は僅か120個。

 

『マーリンがあんなに温存されたんだから、スカディはキリよく2000万だろう』

 

 そう思っていた矢先のピックアップだったのだ。

 想像よりも早く召喚する機会を得て歓喜した。

 想像よりも少量の所持聖晶石の数で悲嘆した。

 何故、何故こんなに石がないのかと、立香は自問自答し、スペース・イシュタルとカラミティ・ジェーンに石を180個ブッパした所為かと、3秒で気付く。

 

 色変え宝具やNP50チャージ、スターの数だけ追加効果など、決闘者の闘争本能ならぬ誰得コンボ創作意欲が刺激され、引かない訳にはいかなかったのだ。

 その結果は――この場では語るに値せず。

 

 とにもかくにも、立香は昨年のスカディ召喚失敗を反省し、今はいつでも「引けたZE☆」と並行世界の同僚マスター、先輩騎空士、後輩指揮官に報告できるよう、触媒と成り得る――かもしれないカードのみをデッキにしてドロー素振りをしていた。

 

 スカディはスカサハの面がある――であれば『影の国』要素となる''影''繋がりで【シャドール】。

 2部2章は''氷と炎''、であれば【氷結界】と【ラヴァル】。

 宝具の''城''は≪覇王城≫や≪シャインキャッスル≫等々。

 

 決闘者らしく、触媒はカードで用意した。

 準備は万端。

 これで引くことが出来なければ自分はただの敗北者だ。

 

 ふぅ、と一息入れてから素振り(ドロー)を終え、改めて召喚素材の貯蓄状況を確認する。

 石は120個。

 呼符は7枚。

 44連の召喚と、7回の単発召喚が可能。

 

 握り締めた石と符を持ち、自身のドロー力を想起する。

 大当たり――マスター赴任初回単発アキレウス。

 呼符――イスカンダル、アルジュナ、大いなる石像神。

 配布石召喚――シグルド、BB、ブラダマンテ。

 予算内――酒呑童子、シトナイ、ジャンヌ(水着)、司馬懿。

 

 思い起こせば自分のドロー力は決して低くはない。

 そうだ、自分はこれだけ星5のサーヴァントの召喚に成功したのだ。

 ならば今回も必ず成功する。きっと。めいびー。

 

 つい先日マーリンに石900個、アルジュナ(オルタ)に720個、土方に540個使ったような記憶があるが、あれは事故だ。

 例えるならば初手で≪インヴェルズ・マディス≫3枚に、≪インヴェルズ・グレズ≫、≪手札断札≫が揃ったようなもの。

 鉄と血に塗れた機動するフリーダム・ガンボーイの世界で、世界の破壊者めいたマスクドライダーな色彩のモビルスーツに乗っていた中の人だって手札事故を起こしても懸命に回していたんだ。

 ならば自分も今ある手札で回す――召喚するだけ。

 

「――いざ、往かん。見果てぬ地平へ(スカスカシステム)――」

 

 勝ち誇った――澄み切った笑みで立香は召喚スペースへ歩を進める。

 自信に満ちた、自身の勝利を微塵も疑っていない顔だ。

 何せ負ける要素がない。

 スカスカシステムと相性の良いアキレウス、ブラダマンテ、ワルキューレ、パールヴァティー、ランスロット(狂)と多くの触媒(英霊)がこのカルデアには居るのだ。

 完璧な布陣だ、と確かな手応えを感じつつ、立香はふっ、と笑みを零して聖晶石に手をかけ――

 

 

 

 

 

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「――で、石120個と呼符7枚使って出なかったショックで我が弟子は部屋に籠ってしまったと」

「あぁ……しかも召喚に応じたのがマリー・アントワネット(5人目)とパールヴァティー(5人目)、ランスロット(狂・5人目)と、スカサハ=スカディと相性の良いサーヴァントばかりだった所為か、余計に落ち込んでしまってな…」

「星4が3人も出ただけでも充分だと思うべきなんだけどねぇ」

 

 いつもの――という言い方では語弊があるかもしれないが、食堂には幣カルデアの過労死同盟(孔明・司馬懿・マーリン)が集まっていた。

 紅茶片手に――マーリンは新発売の【@イグニスター】デッキを弄りながら――マスターの今回の召喚結果を他人事のように話す。

 マーリンが来たお陰で孔明と司馬懿の周回労働環境は改善され、3等分されたので今では余裕かつ優雅、慢心を以てカルデアで過ごしている。

 ギル祭りの時は漆黒すら生温いほどの深淵の闇の如きブラック環境に死に掛けたが、それ以降はイベントはのんびりペース。

 先日のセイバー・ウォーズⅡも3人で順々に周回していたので、今では強い仲間意識さえ芽生えている。これが結束の力だ。

 

「確かに星4が3人――しかも5人目ずつだから、宝具レベル5になったことは喜ばしいことだろう」

「ちょっと待ってくれ義兄上。星4ってそんな簡単に宝具5にはならないだろう。星1~3とは違うのだろう?」

「何を言う。彼女らは私よりも先にこのカルデアで召喚され、数多のすり抜けで着実に宝具レベルを重ねていった歴戦の猛者達だ。1年以上先輩なのだから重なることも儘あるだろう」

「そうなのか…?」

「そうだろうさ、現に並行世界のマスターは私や君達を宝具レベル5にしている者だっているのだから」

「そうなのか…」

 

 腑に落ちない、という表情を浮かべる司馬懿嬢だが、彼女は召喚されてからまだ半年程度。

 最初期から並行世界のマスター達と星の数ほどの特異点と異聞帯とイベントを渡り歩いた孔明、マーリンに比べれば経験値がまだ足りていない。

 また、決闘者でもないので飲み込みもさほど早くもないのだ。

 

「まぁ、それはそれとして……折角のスカサハ=スカディ召喚の機会が訪れているんだし、ここはマスターが私にやったようにデュエルで決めれば良いんじゃないかと私は思うんだが」

「待ちたまえマーリン(ろくでなし)。何故そうなる? 英霊全てがデュエルできる訳じゃないだろう」

「そんなことはないさ司馬懿嬢。以前、私と水着獅子王がデュエルしていた光景を英霊の座からほとんどのサーヴァントが見ていたらしくてね。今、英霊の座では一種のデュエルブームらしいよ」

「誰が言っていたんだそんなこと」

「この間22連で来た英雄王。ちなみに彼は【ガエル】と【DD】使いだね」

「何をやっているんだ英雄王…」

 

 そんなに英霊の座は娯楽に飢えているのかと司馬懿は眉間に手を当て、孔明は先日同行したギル祭り周回で合間にマスターとデュエルしていた英雄王の姿を思い出してため息をつく。

 しかし、考えてみればそうかと思わざるを得ない。

 実際にデュエルモンスターズでは自身をモチーフとしたカードやテーマも数多く存在しているので、それを使って愉しみたい気持ちもゲーマーたる孔明としても得心した。

 幣カルデアでも【DD】デッキを英雄王を始めとして、聖処女、カエサル、アレキサンダー、テルなど5人。

 他、攻撃力3000ドラゴン持ちがシグルド、土方、天草、ケイローンなど。

 他にも友達をなくすコンボを繰り出してくるサリエリや、ワルキューレの次女が代行天使を組んだりなど、英霊の座だけではなくカルデアでも流行っているのだ。

 ならばそれを使わない手はない――のかもしれないと、ちょっぴり不安を覚えつつ、孔明はマーリンの案に概ね同意する。

 

「ふむ……それなら今回も水着獅子王に行ってもらうのか? 彼女ならシャイニング・ドローもカードの書き換えもデッキトップ創造もデステニードローもできる万能(チート)決闘者だろう?」

「残念なことに彼女はマスターの慰安デュエルの真っ只中で忙しい。よって今回は''彼''に行ってもらうことにするよ」

「……''彼''?」

 

 誰のことだろうかと司馬懿がマーリンが顔を向けた方向に視線をやり――あぁ、と納得した。

 確かに''彼''であれば過不足ないだろう。

 マスターと同郷であるが故にデュエルモンスターズとの親和性も高く、カルデア内で毎月行われる大会でも第3回と第5回で優勝し、キング・オブ・デュエリストの称号を2度も受け取っている実力者だ。

 その力を十全に発揮し、確かな結果を齎してくれるに違いない。

 デュエルは完全に門外漢な司馬懿だが、ここぞという時にマスターの力となれる彼に尊敬の眼差しを向け――途中で何故スカサハ=スカディと何の縁もゆかりもない''彼''が? と表情に出していると、マーリンはにっこりと満面の笑みを浮かべて口を開いた。

 

「なんでも、『あれはいいおっぱいだ。是非とも目にしたい』って嬉々として立候補したよ」

「最低だなあの男」

 

 コンマ1秒で尊敬の眼差しは軽蔑のそれに代わり、司馬懿は養豚場の家畜――というよりも、肥溜めの汚物を見るような眼差しになる。

 当の''彼''はそんな司馬懿の侮蔑の視線に気づいているのかいないのかはわからないが、いつの間にか食堂の片隅に置いてあった水着エレナの特徴的な造形のバイクに跨り、颯爽と出発。

 向かう先は英霊の座(1800万DL記念バナー)

 バイクのアクセルを噴かし、音速を超え、光速に達するべく、加速する疾風に乗って疾り出した――

 

 

 

 

 

 ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 

 

 

 

「ど~れ~に~し~よ~う~か~な~?」

 

 同時刻、英霊の座にて。

 件のピックアップで全並行世界のマスター達が阿鼻叫喚としている中、スカサハ=スカディは無邪気な笑みを浮かべながらデッキを組んでいた。

 先日の水着イベント時、たまたま見かけた水着獅子王とマーリンのデュエルを観て興味が湧いた。

 しかもデュエルモンスターズの中で探せば北欧神話繋がりで【極神】や自身の有する宝具に因んだ【???】など、自身のイメージに合致するカード群もあり、これで楽しむのもまた一興と、暇を持て余した神々の遊びとして英霊の座では一大ブームとなっていた。

 この世界のマスターに召喚されていない仲の『当然、正位置ィ!!』と叫ぶ太陽王、【セイクリッド】使いのホムンクルス、【アンブラル】デッキで煽ってくるナポレオン等、相手には困らない。

 スカディ自身も当初は『やはりイメージは大事だろう』と【極神】を使っていたが、破壊ではなく墓地送り、手札に戻され、除外され等、散々な目に遭ってしまったので、''少々''手心を加えたデッキに変えていた。

 ルンルンウキウキワクワク気分でデッキを組む姿は立派な決闘者。

 エクストラ枠をどうしようか。

 このカードを入れて安定性を上げたい。

 あぁ、でもこっちを入れて意外性も捨て難い等、実に楽しそうである。

 そしてメインデッキが決まり、エクストラの残り1枠も確定。

 某テーマ2種を組み合わせ、デッキテーマのイメージも自分に合致――完璧なデッキだ、と幼い少女のように嬉しそうにスカディは微笑む。

 

「よし、できたぞ。これが私の【シン――」

「【新撰組】だぁああああああぁぁっ!!」

「ひゃんっ!?」

 

 いざデッキ名を誇らしく呼ぼうとした瞬間、スカディは突然部屋の扉をバイクでぶち破ってきた侵入者に驚いて頭を両手で押さえてしゃがんだ。

 キキィーとけたたましいブレーキ音を響かせながら、侵入者は器用にバイクをピッタリとスカディの眼前で停止。

 停止痕が床に痛々しく刻まれるも、侵入者は特に気にする様子もなく、バイクに乗ったままスカディの方――より詳しく言えば胸部――を凝視し、堂々と声を張り上げる。

 

おい、デュエルしろよ(良いおっぱいだな、おい)

「ふ、不埒者っ! と、突然何だ貴様は!?」

 

 言いたいことと見ているものが合っているようで合っていない侵入者にスカディは若干涙目になりながら声を荒げた。

 侵入者はスカディのその豊満な胸部から一切視線を動かさず、バイクに乗ったまま、右腕を高く掲げ、人差し指を天に向けて答える。

 

「新撰組副長、土方歳三だ。アンタを座から引きずり下ろ――迎えに来た。ウチのカルデアに来てもらう」

「おい、途中が物騒な物言いだったぞ。それに私の目を見て言え。そこ()は私の顔ではない」

「気にすんな。俺は立派なモンだから見てるだけだ。俺は気にしちゃいねぇ」

「貴様、バーサーカークラスだな?」

 

 会話が成立していない様からスカディは土方をバーサーカークラスと断定。

 これだから狂っているクラスは、と内心でため息を吐きつつ、女王としての威厳を保つため、ピシっと綺麗な姿勢で立ち上がる。

 

「貴様の言動と行動は正直目に余るものだが、異聞帯の女王として君臨した私だ。許そう――して、貴様は何のためにわざわざこの英霊の座まで来たのだ?」

「最初に言ったじゃねぇか。『俺とデュエルして、俺が勝てばカルデアに来てもらう。俺が負ければそいつ()を揉む』と」

「言ってない。''デュエル''と''カルデア''の単語しか合ってない。それにさらっと自分の欲望を混ぜるな、痴れ者」

「チッ、流石は神霊だな…俺の策謀をいとも簡単に見抜くとは……」

(何なのだこやつは……)

 

 馬鹿なのか阿呆なのか間抜けなのかデュエル脳なのか――全部該当するのだが、スカディが土方に抱いた第一印象はそれらだった。

 何故かかわいそうなものを見るような眼差しを向けるスカディ。

 

 それに気づいていないのか、土方はバイク――D・ホイールのパネルを操作。

 ふぃーんとソリッドビジョンシステムの起動音が部屋に響く。

 

「何にせよデュエルだ。俺が勝てばカルデアに来てもらう。負ければカードでもアイスでも、何だったら身体でも差し出す所存だ――ウチの沖田(殺)が」

「……まぁ、カルデアとやらからわざわざこちらに来たのだ。デュエルぐらいはしてやろう。丁度、私のデッキがたった今完成したところだ。デッキテストに付き合ってもらうぞ」

 

 カードとアイスの単語が聞こえた瞬間、スカディはキッと目を細める。

 娯楽に飢えている英霊の座で新たなカードとアイスは無視できない存在だ。

 それに自分も新たなデッキを試したい気持ちもある。

 まさにうってつけなこの状況では断る道理もない。

 

 スカディはルーン魔術でるーん、と氷を精製。

 その氷が左腕に纏わりつき、段々とデュエルディスクの形へと変わる。

 キャスターらしく、手に持っていたカードを中空に放り投げ、吹雪と共にデュエルディスクへ収納。

 ソリッドビジョンとは違う、魔術的な技術で自身のLPを表示。

 

 対する土方は既に準備万端。

 D・ホイールは起動済みであるし、スカディが宙にカードを放った時にオートシャッフルを起動。

 ダヴィンチちゃんとバベッジ、叡智持ちのシグルドと水着エレナの協力の下で(魔)改造されたクマラ・ホイールもとい、クマラ・ホイール・オブ・フォーチュンは臨戦態勢。

 

 視線を交わし、緊張感が漂う。

 時間にして数秒、僅かな間を置いてから両者の口が同時に開く。

 

「「デュエル!!」」

 

 示し合わせた訳でもなく、自然に声が重なった。

 決闘者なら当然である。

 

「……ところでバイクに乗ったままデュエルするのか?」

「分離機能忘れたらしい。走りはしねぇから安心しろ」

「…そうか……」

 

 バイクに乗ったままデュエルするのも決闘者なら当然である。

 

 

 

 

 

 ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 

 

 

 

「先攻は私だ。手札から≪ダークシー・レスキュー≫を捨て、≪クイック・シンクロン≫を特殊召喚。次いで魔法カード≪アイアンコール≫を発動。自分場に機械族がいるので、墓地からレベル4以下の機械族を効果を無効にして蘇生。≪ダークシー・レスキュー≫を蘇生。さらに魔法カード≪機械複製術≫を発動。攻撃力0の≪ダークシー・レスキュー≫2体をデッキから特殊召喚」

 

 最初の手札を見た瞬間、スカディは『私カードに愛され過ぎではないか?』と内心で困りつつも喜んだ。

 初手から一気に動くことができる上、場合によっては先攻から盤面を完成させることも可能。

 尤も、盤面の完成にはドローしたカードにもよるのだが――

 

(まぁ、''6枚''ドローしてから考えればよいか)

 

 ――実に決闘者らしく、とりあえず回せるだけガンガン回していこうと決めた。

 

「私はレベル1の≪ダークシー・レスキュー≫3体に、レベル5の≪クイック・シンクロン≫をチューニング。現れよ、勇士よ。レベル8、≪ロード・ウォリアー≫をシンクロ召喚。シンクロ素材として墓地に送られた≪ダークシー・レスキュー≫の効果発動。デッキからカードを1枚ドローする。3体素材となったので3枚ドローだ」

「……≪ロード・ウォリアー≫か…」

 

 一瞬、土方が何か含んだように呟いたが、スカディは気にせずプレイングを続行。

 初手で大量展開して1枚になった手札が4枚に回復。

 さらに通常召喚権もまだ残っている状況。

 引いた3枚のカードを見て、スカディはまた一歩盤面の完成に近づいたことに手応えを感じる。

 これならば、もしかすれば、もしかするかもしれないと、胸が高鳴っていく。

 

「≪ロード・ウォリアー≫のモンスター効果発動。デッキからレベル2以下の戦士族か機械族1体を特殊召喚する。私はデッキから≪ラッシュ・ウォリアー≫を特殊召喚。そして≪ロード・ウォリアー≫をエクストラデッキに戻し、魔法カード≪シンクロ・キャンセル≫を発動。シンクロ召喚に使用した素材を墓地より蘇生。≪クイック・シンクロン≫と3体の≪ダークシー・レスキュー≫を蘇生」

(モンスター5体…か……)

 

 手札1枚を消費してスカディの場にはモンスター5体。

 チューナー交じり、レベルもある程度固まっていて、召喚権も残っている。

 これならば''神''であろうと容易に喚べるな、とデッキに遊び心を加えても一興かと心の片隅に置き、次手へ。

 

「チューナーの≪クイック・シンクロン≫と≪ラッシュ・ウォリアー≫をリンクマーカーにセット。リンク2、≪水晶機巧-ハリファイバー≫をリンク召喚。≪ハリファイバー≫のモンスター効果発動。リンク召喚成功時、デッキからレベル3以下のチューナー1体を効果発動不可で特殊召喚。デッキからレベル3の≪ドリル・シンクロン≫を特殊召喚」

「…≪ドリル・シンクロン≫……?」

 

 土方の片眉がピクリと上がる。

 今現在、スカディが使用したカードは彼の霊基にも縁ある者が使用したカードが多く、それらのカードの効果も自ずと把握していた。

 だが、この状況で出すには少々疑問があるモンスターの登場に違和感があるのだ。

 何故この状況で、と思っている最中、スカディが浮ついた声色を発する。

 

「レベル1の≪ダークシー・レスキュー≫3体にレベル3の≪ドリル・シンクロン≫をチューニング。現れよ、全てを穿つ(ドリル)を持つ勇士よ。レベル6、≪ドリル・ウォリアー≫をシンクロ召喚。シンクロ素材となった3体の≪ダークシー・レスキュー≫の効果でデッキから3枚ドロー」

 

 さらなる手札増強。

 3枚だった手札は一気に6枚へ。

 新たに引いた3枚のカードを一瞥し――微笑む。

 着実に、確実に理想の盤面へ近づいている。

 残りのキーカードは1枚――しかし、それもすぐだ。

 

「墓地の≪ラッシュ・ウォリアー≫の効果発動。自身を除外し、墓地の【シンクロン】1体を回収。≪クイック・シンクロン≫を回収。魔法カード≪悪夢再び≫発動。墓地の闇属性・守備力0のモンスター2体を回収する。私は≪ダークシー・レスキュー≫2体を回収」

「チッ、展開して1枚だった手札が8枚たぁ、随分とグルグル回すのが好きみてぇだな」

「フフ、これでも統治者だったのだ。管理(ソリティア)は得意分野だぞ? さて、続けて私は≪ドリル・ウォリアー≫の効果発動。自身を除外し、手札を1枚捨てる」

 

 土方の皮肉を歯牙にもかけず――むしろ誇る胸を張って答えるスカディ。

 相変わらずでっけぇ、と彼の邪な視線には気付かず、続けてデッキの≪ドリル・ウォリアー≫(キーカード)を起動。

 

「私は――≪暗黒界の術師 スノウ≫を捨てる」

「――ん?」

「カード効果で捨てられたことにより、≪スノウ≫の効果発動。デッキから【暗黒界】1枚をサーチ。≪暗黒界の龍神 グラファ≫を手札に」

「お、おい…! ちょっと待――」

「レベル5以上の闇属性――レベル8の≪グラファ≫を墓地に捨て、手札から≪ダーク・グレファー≫を特殊召喚。≪ダーク・グレファー≫の効果発動。手札から闇属性1体を捨て、デッキから闇属性1体を墓地に送る。≪ダークシー・レスキュー≫を手札から捨て、2体目の≪グラファ≫を墓地に送る。手札の≪ダークシー・レスキュー≫を捨て、≪クイック・シンクロン≫を特殊召喚。装備魔法≪継承の印≫を墓地の≪ダークシー・レスキュー≫に対象に発動。墓地に同名3体存在する場合、内1体をこのカードを装備して蘇生する。≪ダークシー・レスキュー≫に≪クイック・シンクロン≫をチューニング。2体目の≪ドリル・ウォリアー≫をシンクロ召喚。効果で1枚ドロー。リンク2の≪ハリファイバー≫と≪ダークシー・グレファー≫をリンクマーカーにセット。リンク3の≪デコード・トーカー≫をリンク召喚」

「MA☆TTE!!」

 

 あとはもう川の水が流れるが如く。

 土方の制止の声も虚しく、スカディは8枚まで増えた手札を湯水の如く使い、残り3枚。

 マーリンほどでないにせよ、1人で淡々――ではなく、ウッキウキのキャピキャピJKのように、それはもう満面の笑みで愉しそうにデッキを回していた。

 

 スカディの使用デッキは【シンクロン暗黒界】。

 別名を【ドリル暗黒界】、【ブラック・ドリル】、【黒ドリル】等と呼ばれるデッキだ。

 【暗黒界】はカード効果で手札から墓地に捨てられることで効果を発動するモンスター群。

 ≪暗黒界の取引≫や≪暗黒界の門≫等を使用することが主だが、それでもどうしても安定性に欠く。

 

 それを補うのが≪ドリル・ウォリアー≫だ。

 ≪ドリル・ウォリアー≫の自身を除外し、手札を捨てる起動効果を持つ。

 そう、この手札を捨てる――発動コストではなく、効果扱いなのだ。

 

 そのお陰――その所為で【暗黒界】モンスターの効果を発動することができる。

 しかも≪ドリル・ウォリアー≫自身は除外されているため、相手ターン中は安全圏に退避している。

 自分ターンのスタンバイフェイズに特殊召喚され、墓地のモンスター1体を回収する効果があるので、その効果処理後であれば対処することができる――

 ――逆に言えば、そのタイミングでしか対処することができない。

 帰還時に特殊召喚されるので≪奈落の落とし穴≫や≪激流葬≫を発動すれば――と思われるが、『タイミングを逃す』。

 何とこの≪ドリル・ウォリアー≫の帰還効果、自身が特殊召喚された''後に''墓地のモンスター1体を回収する効果処理が挟まるので、特殊召喚成功時の罠は発動すら許されない。

 ≪ブレイクスルー・スキル≫や≪デモンズ・チェーン≫といったフリーチェーンの罠カードなら効果処理後に撃てば対処できるだろう。

 

 しかし――

 

「手札から3体目の≪グラファ≫を捨て、≪トレード・イン≫を発動。レベル8モンスターを捨てることでデッキから2枚ドローする。2体目の≪ドリル・ウォリアー≫の効果発動。自身を除外し、手札から≪暗黒界の尖兵 ベージ≫を捨てる。≪ベージ≫の効果。カード効果で手札から墓地に捨てられた場合、自己蘇生。そして≪ベージ≫を手札に戻し、墓地から≪グラファ≫を自身の効果で蘇生。フィールド魔法≪暗黒界の門≫を発動。墓地の≪スノウ≫を除外して効果発動。≪ベージ≫を捨て、1枚ドロー。捨てられた≪ベージ≫を自身の効果で蘇生。≪ベージ≫を手札に戻し墓地から2体目の≪グラファ≫を自身の効果で蘇生。≪ベージ≫を通常召喚。≪ベージ≫を手札に戻し3体目の≪グラファ≫を自身の効果で蘇生」

 

 ――この状況で≪ドリル・ウォリアー≫を止められれば、の話になってしまうが。

 スカディのフィールドにはエクストラモンスターゾーンに≪デコード・トーカー≫。

 そのリンク先2箇所に2体の≪グラファ≫、メインモンスターゾーンにはもう1体≪グラファ≫。

 さらにフィールド魔法≪暗黒界の門≫により、3体の≪グラファ≫の攻撃力は3000。

 ≪デコード・トーカー≫も自身の効果で攻撃力を3300まで上げている。

 

 フィールドのカードを対象に取るカード効果は≪デコード・トーカー≫の効果で≪グラファ≫をコストにして無効化。

 その≪グラファ≫はスカディの手札に≪ベージ≫が存在する限り、何度でも蘇生可能。

 仮に≪グラファ≫を除去しても≪ドリル・ウォリアー≫の効果で回収され、≪ドリル・ウォリアー≫の効果で手札から捨てられればフィールドのカードを破壊される。

 

 つまり――スカディのフィールドは完成したのだ。

 

「フフ、どうだヒジカタとやら? これぞ我が名に紐つけられし宝具≪暗黒界の門≫(ゲート・オブ・スカイ)だ。今までは太陽王に『当然、正位置ィ!』と運命力の違いを見せつけられたり、竜に変身する割に星々の力を使ったホムンクルスに我が父君をバウンスされたりしたが、このデッキなら生半可なことでは突破できぬぞ」

「…………」

「むっ、驚きのあまり声も出ぬか? まぁよい、何ならサレンダーも許そう。そしてカルデアなるところに戻り、伝えるがよい――我が力、決して安くはないとな」

 

 理想に近い盤面を先攻1ターン目に完成させたからか、スカディは余裕を持った――それでいて、どこか冷徹な笑みを浮かべる。

 当の土方は眉間に皺を寄せ、盤面を注視するばかり。

 スカディの言葉も耳に入っているにはいるが、今はそんな''些細な''ことに意識は割けない。

 

「……俺のターン、ドロー」

「……続けるか、愚かな……サレンダーすればこれ以上酷くはならないというのに…」

 

 失望したような、見損なったような声色でスカディは土方を見る。

 この状況からの逆転する気概だけは評価するが、それでもこの盤面を容易に覆せるとは思えない。

 そこまで戦況を見ることができない猪武者だったか、所詮はバーサーカークラスか、と半ば侮辱にも近い印象を抱き――

 

「手札から≪バイス・ドラゴン≫を特殊召喚。相手にのみモンスターがいるとき、攻守を半分にして特殊召喚できる。続けて手札から≪ダーク・リゾネーター≫を召喚」

「――むっ?」

「俺はッ! レベル5の≪バイス・ドラゴン≫にッレベル3の≪ダーク・リゾネーター≫をチューニングッ!! 王者の咆哮、今天地を揺るがす! 唯一無二なる覇者の力を、その身に刻むがいい!」

 

 ――土方の場に、2体のモンスターが現れたかと思えば、その2体はすぐに5つの光星と3つの光輪へ姿を転じる。

 光り輝く星々は彼の背後で3つの光輪の中央に5つの光星が一列に並ぶ。

 光輪一杯に光が満ち、巨大な柱を見間違うほどの光の奔流が輝く。

 

 刹那。閃光が広がり、僅かな間だけスカディの視界を奪う。

 そして焼けるような、憎き熱が全身を包み込むように熱波となって襲い掛かる。

 

 忌むべき熱と、眩い光が収まったことを感じたスカディはゆっくりと瞼を開けようとし――その瞳が大きく開かれることになった。

 自分の場にいた3体の≪グラファ≫は忽然と姿を消し、≪デコード・トーカー≫と≪暗黒界の門≫だけが在る。

 一体何故、と疑問に思っていると、自分のLPも減少していることに気付いた。

 LP8000からLP6500。

 いつの間に1500ものダメージを受けたのかと、益々混乱しているスカディの視界に、先ほどまで存在していなかったものがいる。

 

 一見、地獄だと感じた。

 

 深淵のような暗い黒色。

 劫火のような紅い赤色。

 悪魔のような異形の翼。

 

 スカディの目の前――つまりは土方の背後には、紅蓮の悪魔ともいうべき魔竜が鎮座していた。

 獰猛そうな牙列の間からは吐く息の如く炎が零れ、頭部の捻じれ曲がった角など悪魔そのもの。

 大きな裂傷が走っている右腕には未だに紅い炎が燃え盛り、あの炎が先の熱波だったのかと察した。

 

 たかが1体のモンスター――それも、悪魔のような竜。いや、古来から竜と悪魔は同義だ。ならばあれこそは邪悪の根源のようなもの。

 そんなものに、我が愛するしもべ達は焼き尽くされたのかと、スカディは忌むべきものを見るように、魔竜と土方へ視線を向ける。

 

「こいつが俺の――我が魂、≪レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト≫だ。神霊さんよ、サレンダーとか温いこと言ってんじゃねぇよ――」

 

 その敵意に満ちた視線を受け、土方は普段の仏頂面で返す。

 ただし、その内心を怒りの炎で猛らせていた。

 

 スカディが安くない力だとは承知している。

 だがそれは暗に、挑みに来た自分を矮小な存在だと愚弄しているのか。

 ひいては自分と契約を結んでいるマスターをも愚弄しているのか。

 

 そんな道理、許せるハズがない。

 ならばどうするか。

 簡単だ。

 

「こいつぁ決闘(デュエル)だ。中途半端なことはしねぇ――どっちかが斃れるまで……存分に死合おうじゃねぇかッ!!」

 

 ――力を以て捻じ伏せるのみ。




【ドリル暗黒界】は優秀。
≪レベル・スティーラー≫現役時代はもっと展開早かった。
名称ターン1で良いから返して(懇願)

ちなみにスカディは初めてのピックアップの時に引きました。
なんか単体バスター宝具で、自分にNP80チャージするし、「ぎゃてぇ」って言う小鳥ちゃんの声帯でしたけど、ピックアップで星5術だからスカディです。
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