(ここはどこだろう?)
薄っすらと目を開き、ぼんやりとしたまま考える。
(何があったんだっけ?)
思い出そうとするも頭がはたらかず、よく思い出せない。ぼーっとしていると、ふと隣に誰かがいることに気がついた。
「……っ! 気がついたか! 大丈夫か? すぐに医者を呼んで来るからな!」
そう言うとその人は離れていった。若い男の人の声だった。
(なぜ私のそばにいたんだろう? 聞き覚えのない声だったけど知っている人だったかな?)
しばらく何か思い出そうとするも思い出せず、ぼんやりとしていると3人程近づいて来ている人がいることにに気がついた 。
「調子はどうだい? 何かおかしいところは無い?」
一人がおばあさんのような声で聞いてくる。やはり知らない声だ。どうやらお医者さんらしい。
「……はっきり目が見えない……あと……ぼーっとする……」
「どれ、診せてみなさい。」
おばあさんが顔を覗き込んでくる。指で瞼を開けたり、ライトで照らしたりしていた。
「ふむ……反応が鈍いねぇ。まだ意識がはっきりしてないのね……もう少し寝ていなさい。診断は起きてからだねぇ。」
「……ねぇ……ここはどこ?」
「それも起きてからにしたほうが良さそうだな。今はゆっくり眠るといい。」
また知らない人の声だ。男の人で、赤い帽子を被っているように見える。
そんなことを考えていたら睡魔が襲ってきた。抵抗する気も起こらず、私は2度目の眠りについた。
◇◇◇◇◇
暗がりの中、再び目が覚めた。どうやら夜らしく、周囲のことは何もわからない。ふと見上げると、白く丸くぼんやりと光るものが見える。あれは……月だろうか?
左を見ると誰かが椅子に座って寝ているようだった。それを見て思い出す。
(そういえば、さっき医者の人が居た気がする。ということは、ここは病院?)
さっきまでより頭がしっかりはたらく。しかし視界は相変わらず良くないようで、隣の人の顔はよく見えない。
(この人も誰なんだろう? 最初にいてくれた人なのかな?)
そう考えて、顔を覗こうと体を起こそうとした。
「……っ!? 」
体を駆け抜ける激痛に思わず呻いてしまう。特に胸の痛みが強烈だった。呼吸が苦しい。息をするたび鈍痛が胸に滲んだ。
「ぅぅぅ……ぁぁぁ! ……はぁ……はぁ」
「……! 大丈夫か!?」
どうやら隣の人を起こしてしまったらしい。やはり最初にいてくれた人の声だった。
「……はぁ……はぁ……だい、じょうぶ……」
「いや、医者を呼んで来よう。安静にしていてくれ!」
そう言うと、その人はまたどこかへいった。さっきの医者の人を呼びに行ったのだろう。
しばらくして痛みが治まった頃、部屋に入って来た人が2人いることに気がついた。
「大丈夫かい? どこかおかしなところは?」
さっきのお医者さんだった。
「起き上がろうとしたら……胸がすごく痛かった……あと、息苦しかった……」
「ああ、ごめんねぇ。安静にしておきなさいと言うべきだったね。目と頭はどうだい?」
「頭はだいぶはっきりしてる……目は……よくないみたい。」
「ふむ。どれ、そのままでいいよ……ふむ……そうか……」
おばあさんの診察を受けていると、もう1人新たに部屋に入って来た人がいた。
「先生。その子の具合は?」
どうやら赤い帽子の人だったみたいだ。
「そうだねぇ……お嬢さんや、かなりショックかもしれないけど聞くかい?」
「…………うん。知りたい。」
「そうかい……なら正直に話そうかね。お嬢さんの目はかなり悪い状態だねぇ。見えなくなっている訳ではないようだけど、日常生活にも支障がでるぐらいよくないね。反射があまり機能していないところを見ると、これから治る見込みも……低いだろうねぇ。」
「……」
「そう……か……」
「……くっ!」
なんとなく察してはいたけど、やはり私の眼はだめになってしまったらしい。分かっていても口に出されるとショックだった。
「身体の方も診ようか。お二人さんや、ちょいと出ていってくれるかい?」
「ああ」
「はい」
2人が出ていくとおばあさんは服を脱がし、腕や脚の包帯を取った。
「傷は……残念だけど、跡が残ってるねぇ。……脚の方もそうだね。さっき腕や脚は動かしたのかい?」
「うん……ちょっと痛かった。」
「ふむ……まだ治りきってないようだねぇ。でも動かないわけじゃないようだね。こっちはもうしばらくすれば治るだろうさ。えぇと、これだね。これを塗っておこうかね。」
薬を塗り終え、包帯を巻き直したおばあさんは聴診器を取り出した。
「今度はこっちだね。痛かったら教えてね。」
そう言うとおばあさんは聴診を始めた。
初めは大丈夫だったが、右の肋骨のあたりで痛みが走った。
「……っ!」
「ここだね。大丈夫かい?」
「……うん。」
「今も息苦しいのかい?」
「……少し息がしづらいかも。」
「そうかい……ふむ……」
その後しばらくするとおばあさんが聴診器を離し、服を着せてくれた。
おばあさんが2人を呼び、再び話し始めた。
「やっぱり肋骨が折れていたみたいだねぇ。それが肺を破ってしまっていたようだね。どちらも治ってきてはいるけど、特に肺の方は完治するかどうか微妙だねぇ。」
「そうか……」
そこまで言うと、おばあさんはふと思い出したかのように聞いてきた。
「そうだ。記憶は大丈夫かい?」
「っ! 待て!」
聞かれて私は記憶を遡る。確か──────
現れる黒い竜
逃げ惑う人びと
大好きなダレカが潰されて
仲の良かったあの娘が引き裂かれて
「ぁあ……あぁぁ!……おえっ……ゲホッゲホッ!……ぁぁぁ……!」
「!?」
「大丈夫か!?」
思い出してしまった。涙が溢れてくる。吐き気が酷く、えづいてしまう。
「団長さんや! タオルと水を持ってきておくれ! ハンターさんはベッドを起こして! 丁寧にだよ! 」
「わかった!」
「ここを……こうか!」
優しくてかっこよかったお父さんは。いつも一緒に居たあの娘は。
村のみんなはあのバケモノに殺されてしまったのだ。
おばあさんが持ってきてもらったタオルと水をくれるが受け取っていられない。悲しみが、恐怖が、憎悪が、私の心をぐちゃぐちゃに掻き回す。
そして、私も殺されかけた。爆発に巻き込まれもう死んだと思った。助かったのか。助かってしまったのか。そこまで考えて、気づいた。
「……っ! お母さんは!? お母さんはどこ!?」
隣に居た"ハンターさん"と呼ばれていた若い人に、身体に走る痛みも気にせず掴みかかった。
「いるんでしょ!? ねぇ、どこなの? ……お願い……会わせて……!」
「……」
半ば懇願するようにハンターさんに聞くが彼は口を噤む。
「なんで……!? なんで答えてくれないの? 早く会わせてよ……!」
彼が黙っていることに不吉さを感じる。嫌な予感が脳裏を掠めるが、そんなわけ無いと振り払う。そうして問い続けると、遂に彼は口を開いた。
「……すまない。」
「……? どういうこと……? なんで謝るの……?」
「あのとき、君以外にもう1人生きていた人を見つけたんだ。」
「!」
「彼女と君を竜車にのせて俺は戻ってきた。確かに彼女は君の母親だと名乗った。」
「それなら!」
「でも……彼女はここにたどり着く前に……亡くなった。」
「…………え?」
理解ができない。
「……すまない……! 俺は、彼女を助けられなかった……!」
ハンターさんが頭を深く、深く下げている。それを見て、脳が少しづつ理解していく。
「うそ……でしょ……? うそ……そんなわけ……そんな……ことって……!」
「……すまない……! すまない……!」
彼は愚直に謝ってくれている。心から悔いてくれているのがわかる。それ故に彼の口が真実を語っているのだと、嫌でもわかってしまう。最悪の想像が、嫌な予感が当たってしまったことを理解していく。
「いやぁ……! いやぁぁぁああぁぁ……ぁぁぁ……!」
「……すまない……!」
その後一晩中、私の慟哭は小さな病室に響き続けた。
これを書くために新しいデータを作りましたが、やっぱり4G(4)のストーリーはいいですね!ムービーなどもすごい惹かれます。なんでクロス系列ではムービーなくなっちゃったんですかね…。確かに作るの大変かもしれないけどやっぱり見たかった…。
話は変わって今回この話を書くにあたってモンハン世界の病院のことを調べようと思ったんですが私の力では設定を見つけられませんでした…。なので、イメージとして「ちょっとは発展しているが現代医学には遠く及ばない程度」の曖昧なものとなってしまいました。でも、実際どうなんでしょうかね?工房のことを考えると精密機械とか作れそうな気もしますが、あまり科学が発展しているように見えないんですよね。何か情報があったら教えてほしいです。