混血の艦隊   作:corin7121

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今更ながら夏イベお疲れさまでした。
仕事の関係上、乙乙丙でクリアしました。
E-3で削り中にグレカーレが来てくれてよかったんですが・・・・・・









ジョンストン掘り失敗しました!


パラオの提督

「よう。森でケガをしたって聞いてな。容態はどうだ?」

 

「あっ、その。しばらく安静とのことです」

 

足のケガで動けなかった清霜が医務室で一人夕食を取っていると提督の赤座がやってきた。先程まで執務室で書類相手に奮闘していたのか少し目が死んでいたが。

 

「そうか。まあ無理だけはするなよ。トラックに還りたかったらまずはケガを治すことを・・・・・・どうかしたか?」

 

赤座がトラックの話をしようとしたら清霜は俯いて暗い顔をみせていた。

 

「赤座提督。その、質問をしてもいいですか?」

 

「質問?」

 

何か思い詰めているような清霜の表情に赤座は素直に答えてあげようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正義ってなんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「そう。清霜がそんなことをね」

 

たまたま食堂の前を通りかかった霞は電気が点きっぱなしだったこともあって誰かいるのか中を覗いてみれば一人机に向かって頭を抱えていた赤座がいた。

 

長年一緒に戦ってきた相棒が今更何を悩んでいるのか問い質してみれば予想以上に難しい答えが返ってきた。

 

「それで?司令官様は何て答えてあげたの?」

 

「それができていたらこんな所で悩んでなんかいないよ」

 

残念なことに赤座は清霜の問いに答えてあげることが出来なかった。それもそうだろう。なにせ赤座の両手はどす黒く染まり切っている。正義を語る資格はとうの昔に捨ててしまった。

 

悪者をやっつける。

 

単純な話でよければそれで終わりだ。

 

でも清霜が求めている応えはもっと深いところにある。そしてそれを語る術を赤座は持っていなかった。

 

「今でもさ、たまに夢に出るんだよ。あの日の事」

 

それは赤座が日本から脱出を余儀なくされた日。赤く紅く朱く染め上げた呉のことを。

 

「後悔はしていないつもりだったんだけどさ。やっぱり心のどこかで懺悔をしている自分がいるんだよな」

 

やったことに後悔はしていない。もっと早くに行動するべきだったと思ったぐらいだ。しかし伸ばした手に残ったものはあまりにも少なかった。

 

「電や金剛たちは今の俺を見たらなんて思うかね」

 

「そうね。あの娘たちなら私と違って笑って支えてくれていたと思うわよ」

 

「霞は支えてくれないのか?」

 

「私は支えるより蹴り上げるのが仕事だったから」

 

目を閉じれば呉での生活を思い出す。初期艦だった電と手探りで作戦を練っていたことを。毎日のように執務室に突撃してきた金剛と、それを止めようと奮戦していた霞のことを。呉で一二を争う艦隊と呼ばれ、ついには日本最強と恐れられていたことを。

 

くだらない理由で全てをふいにして。今じゃ辺境の地で艦隊の真似事をして。

 

「そんなに思い詰めた顔をしないでよ。電も金剛もここにはいないけど私がいる。春雨もいるし扶桑もいる。ココアやシュウさんみたいな人達もいるけど、少なくともこの泊地に居る皆はあなたの味方よ」

 

「そうだな。暗い顔ばかりしていられないもんな」

 

昔の肩書は捨てたがそれでも今はこのパラオの最高責任者であることに変わりはない。

 

艦娘であろうと深海棲艦だろうと関係なく、自分の自分たちの平和のために働いている。

 

不思議なことに呉に居た頃に比べて充実していると感じているのは、皆暗い過去を持っていても前を向いて生きているからだと思う。皆を導いていかなくてはいけない自分が立ち止まっている暇なんてどこにもない。

 

「ありがとう霞。おかげで少し気が楽になった」

 

「どういたしまして」

 

「ところで話は変わるんだけど」

 

「?」

 

「規則を破って一人で哨戒に行ったんだってな?」

 

「!!」

 

哨戒は最低でも二人以上。一人で泊地の外には出ないこと。それがパラオのルールだ。

 

霞の実力は知っているから一人で哨戒に向かっても無事に帰ってくるとは思う。しかし、ここは正規ではないが軍だ。軍規を破っておいてそれを見過ごすわけにはいかなかった。

 

「諸々の事情があったのは認めるが、それならそうと俺に相談するのが筋だと思うが?」

 

「お、仰る通りです・・・・・・・」

 

あの日は野分もいたしロ級やナ級も泊地に居た。駆逐にこだわらなくてもヲリバーや大鳳、矢矧といった空母や軽巡もいたのだ。強いからといって勝手に一人で海へ行ったとあれば咎められても反論のしようがない。

 

「そういうわけだから明日。演習するから準備しておけ」

 

「!!!!」

 

ここではある意味名物になっているこの演習。圧倒的不利な状態で行われる上にそれを数セット繰り返す。演習中に大破しても戦闘終了後にバケツをぶっかけてからの即再開。勝とうが負けようが関係ない。

 

以前磯風が食堂でやらかした時はパラオに所属する全員が入れ代わり立ち代わりし、結局日付が変わるまでノンストップで行われた。

 

翌日磯風は重度の筋肉痛と疲労で寝込み一週間は死んだ目をしていた。もっとも、目に活気が戻った直後にまた再犯したのでその後の演習では三日にわたって行われたこともある。

 

聴いたものみな震えだす。仏さまは顔を背けて地獄の鬼も土下座する。それがパラオの演習なのだ。

 

「今回は連帯責任だからそのつもりでな」

 

良かった、と思って良いのだろうか?地獄巡りに御供がいたところで向う場所は地獄に変わりない。

 

むしろ人数が増えたのだから手加減なしに容赦なく潰しにかかる可能性もある。唯一の救いといえば戦闘に関していえば破格の腕前揃いであることぐらいか。

 

「ちなみに、逃げだしたら?」

 

「とくに考えていないが、千本組手とかどうだ?」

 

「相手は?」

 

「俺」

 

「うん。みんなすなおにえんしゅうにさんかするとおもいます」

 

「どうした、顔色が悪いぞ?」

 

顔面蒼白で魂の抜けた霞は心の中で叫んでいた。

 

 

 

 

 

―――あなたと千本するぐらいなら演習の方がまだマシよ!




てなわけで次回は演習回。一応次でパラオにいる艦娘と深海棲艦は全員出たことになると思います。
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