今回のスローガンは無理しない程度に頑張るということなので、よろしければ応援お願いします。
サッカー、細かいルールは知らないという者はいるだろうが、まったく知らないという者は少ないだろう。誰しもが一度は学校の授業でやったことはある。また、少なくとも見たことぐらいはあるだろう。
しかし、この世界のサッカーは少し違う。アニメやゲームでしか見ることのない必殺技、これを使うことができるのだ。いわゆる超次元サッカーと呼ばれるものであり、どれだけ技術が優れていても、この世界で戦うには必殺技が必要不可欠。これは、そんな超次元サッカーのあり得たかもしれない物語である。
「やっと授業終わったなー。これから何する?」
「俺の家に寄ってかへんか?最近新しいゲーム買うたんや」
「マジで!?じゃあ一緒にやろうぜ!!」
「あー、すまんけど俺はパスするわ。今日部活あんねん」
「なら俺が代わりに行くぜ!それ面白いって噂だからな!」
何気ない日常的な会話が、そこら中から聞こえてくる。学生からすれば楽しい放課後の時間、これから帰って何をしようかと友人と話をしたり、部活動に力を入れる者もいる。
「やった!!放課後だぁ!!サッカーをやるぞぉぉぉぉぉ!!」
そんな楽しげな時間に、どこからか場違いな大声が響いてきた。まだ学校に残っていた生徒は何事かと驚いた。
「な、なに!?不審者でも入ってきたの!?」
掃除しながら廊下で話していた数人の内の一人がおろおろと狼狽える。しかし、残りの掃除していたメンバーはすぐに落ち着いた。
「ちゃうちゃう。いつものアレやろ?」
「ふぇ?・・・ああ、あの子か・・・びっくりしたぁ・・・」
近くのほうきを持って掃除をしていた少年が、冷静に指摘する。アレと聞いて慌てていた女の子はようやく落ち着いた。
「たしか一年前もサッカー部を作るって張り切ってたよね。・・・全然集まってないけど」
先程ごく普通の中学校だと言ったが、一つだけ他とは違う珍しいところがあった。今時には珍しく、最近までサッカー部が存在していなかったのだ。イナズマジャパンが世界を制覇するなり、中学サッカーの需要は上昇。それためどこの中学校にも、サッカー部が創設された。それにも関わらず、この学校にはサッカー部がなかったのだ。だが、それも一年前までの話。ようやくこの中学校にもサッカー部ができたのだ。
「俺はああいうバカっぽいの嫌いじゃないけどな。・・・なんだっけ?たしか、名前は・・・」
「えーっとな、赤城太陽やな。去年同じクラスやったけど、名前からして熱いやつや。その熱さと同じくらいアホでもあるけどな!」
それを聞いて、掃除をしていたメンバーはいっせいに吹き出す。そして、その噂の少年。アホ呼ばわりされた赤城太陽はというと・・・
「・・・おぉい!!誰もいない!?」
部室で愕然とした表情を作っていた。いつもならば、自分含めて二人いる。それなのに今日はそのもう一人が━━━
「・・・うーん、むにゃむにゃ」
「と思ったらいたぁ!!斧街先輩!起きてくださいよ!練習してフットボールフロンティアに出ましょうよぉ!!」
誰もいないかと思っていたら、机に顔を伏せて爆睡していた。教科書を壁のように積み上げているせいで、角度的に見えなかったようだ。・・・というかなぜ枕を学校に持ってきているのだ。怒られるぞ。
「うぅん・・・おっ、やっほー。今日も早いねぇ」
手入れをしていないのか、ボサボサの長い青髪を揺らしながら顔を上げる。彼女の名は斧街雨海、これでも一応サッカー部の部員なのだが・・・なかなか練習をしてくれないサボり魔だ。
「やっほーじゃないですよ!?なんで寝てるんですか!?」
「だって暇だったし」
終学活が終わってすぐ来たので、そんなに待たせていないと思うのだが・・・まあ起きてくれたのでこれでよしとする。
「それじゃあ練習頑張れー。おやすみー」
「あっ、はいお疲れさ━━━じゃないですよ!?先輩も練習するんですよ!!」
また寝ようとしたのを見て、むりやり揺さぶって起こした。まだ寝ぼけているのか、眠たげな目でポリポリと頭を掻いている。
「うーん。・・・いやー、練習はやだねぇ。というより、フットボールフロンティア出場だなんて無謀だよ」
「なっ、なんでそんなこと言うんですか!!」
起きたと思ったら、次はマイナス発言。赤城はその発言を真っ向から否定する。
「たしかに俺達は下手くそかもしれませんけど・・・でも!努力すれば俺達だって!!円堂さんみたいに!!」
努力すれば、夢は叶う。よく言われることだが、実際は絶対に叶うとは限らない。だからほとんどの者は、だいたい途中でやめてしまう。しかし、夢を叶えているものは必ず努力している。諦めずにずっと努力をしていれば、それがどこかで思わぬ力になる時がある。
有名な例を挙げるとするならば、円堂守だろう。才能もあったのかもしれないが、それだけではない。彼だって最初から強かったわけではない。なんなら一番最初の試合はボコボコにされていたのは有名な話だ。
その試合は相手の棄権という形で勝利したことになったが、普通なら心が折れるような内容の試合だった。それでも、そこから這い上がってきた。何度バカにされても、負けても、技を破られても、諦めずに努力を続けた。そうして最終的には、世界大会で優勝するに至ったのだ。単純な才能だけが勝負を決めない、その事を証明したのだ。
「俺達も努力すれば、絶対に夢は叶えら━━━」
「いや、実力以前に人数揃ってないじゃん。それとも二人で目指すのかい?」
「うぐっ・・・」
冷静に痛いところを突かれてしまった。そう、このチームはそもそも十一人揃っていない。メンバーは自分とサボマイスター先輩しかいない。実力以前の問題だった。
「いや、でも・・・これから集まりますって!」
「そのセリフ聞いてかれこれ一年は経つねぇ?・・・そもそも、この地区は結構強豪が多いから、やるだけムダって考えて入ってこないと思うよ」
「そ、そこは反骨精神の強いやつが・・・」
「それなら弱小のサッカー部に行くんじゃない?わざわざサッカー部がないとこに入学しないと思うけどねぇ」
たしかにサッカーをしたいなら、サッカー部がないところに入学しないだろう。上を目指す者なら強豪に、単純にサッカーをやりたいという者なら、強くなくてもとりあえずサッカー部があるところに入学するだろう。あえてないところに入って、一から作ろうなんてことを考える者はなかなかいない。そう考える者はよっぽどの挑戦者か、生粋のドMか・・・
「い、いや・・・わかりませんよ?もしかしたら俺みたいに・・・」
「下調べもせずに入学した人がいるかもしれないって?あんたの他にもいたら傑作だねぇ」
「グハァ!?」
・・・調べてこなかったかの三択だ。全て反論の余地もなく、的確に指摘されて綺麗にKOされた。返す言葉もなく、しばらく燃え尽きたように真っ白になる。
「おーい、生きてるかい?・・・あらら、言いすぎたかねぇ?」
それから数分、なんとか燃え尽きた状態から回復し、フラフラになりながらも立ち上がる。
「・・・十一人集まったら、ちゃんと練習にしてくれますか?」
「んー?集まったらいいよ。それじゃあ集まるまでは寝ていいってことだもんねぇ」
「なんということでしょう。合法的にサボる口実を与えてしまった」
急いで撤回しようとするも、さすがはサボマイスター先輩、すでに眠りに落ちていた。がーがーイビキを掻くその姿には、色気のいの字もない。まあ部員を集めたら練習してくれるということなので、おとなしく探しにいくことになった。
「サッカーやりませんかー!!今なら無料でお好きなポジション!しかもレギュラーになれますよー!!」
というわけで、学校の屋上に上がってひたすら叫ぶ。これが彼の勧誘方法だ。だが、これは勧誘とは呼べない。ただの奇行である。部員が入ってこないのも納得だ。
「・・・な、なんやあれ?」
「屋上で誰か叫んでる・・・関わらないようにしよう・・・」
そんな奇行を見て、まだ入学したばかりで慣れていない一年生は何も見なかったことにして歩くスピードを上げた。制服を着ていなければ、確実に通報案件だ。
「先輩、あれなんすか?」
「あれか?一年前にできたサッカー部の勧誘だな。そうだ、お前もやってみたらどうだ?モテるかもよ?」
そんな中、後輩と帰っていた男グループの先輩が、入ってみたらどうだと茶化している。
「アホか、この辺りけっこうな魔境やぞ。大阪三強と戦うとか考えられんわ。一年に変なこと吹き込むなや」
冗談混じりに適当なことを言ったら、同級生に真顔でやめるように言われた。それもそのはず、この辺りには大阪三強と呼ばれる強豪がいる。
それぞれが各々の役割を果たし、毎年安定した強さを誇る古くからの強豪、
ここ数年で強くなり、その爆発力は計り知れない。天城真矢と千刃梨遠のコンビが特に光る、
タレント揃いの強豪。特に今年は主力が残っており、去年のフットボールフロンティアを経験したメンバーが多くいる、
「そんなことわかってるって、ちょっとふざけたんだよ・・・それに、たとえ三強に勝ったとしても全国大会があるし、本気で優勝目指すなら休む暇ないだろうな」
たとえそれらに勝ったとしても、まだ終わりではない。立ち塞がるのは全国の壁。むしろそこからが本番なのだ。
忍者のごとく素早い動きで相手を撹乱し、わずかな隙を逃さない、戦国伊賀島中学。
いったんペースを握られると、その荒波はもう誰にも止めることはできない、大海原中学。
鉄壁の守備を誇り、相手に付け入る隙を与えない難攻不落の城塞、千羽山中学。
荒れ狂う吹雪のごとく、フィールドを駆け抜けるスピード集団、 白恋中学。
元絶対王者、そして現最強の挑戦者。狙うは王者奪還、帝国学園。
そして・・・もはやその名を知らぬものはいない。伝説の絶対王者、雷門中学。
軽く例を挙げてもこれだけあるのだ。三強でさえそれらを突破するのは容易ではないのに、素人が全国を勝ち上がるなど、夢のまた夢だ。
「そ、そうなんですか・・・さすがにやめといた方がいいですね・・・」
「せやせや、必死のパッチでやっても厳しいで。・・・まあ、応援ぐらいはしたってもええかもな」
いくらむちゃくちゃな挑戦とはいえ、必死で頑張っている姿は好感が持てる。応援するぐらいはいいだろうと、手を振ってあげる。それを見つけた赤城はというと・・・
「ふふふ、俺に手を振っている。つまり俺は期待されているということ!そしてこれは未来のサッカーを担うのは俺だというメッセージだな!」
期待というより、どっちかといえば・・・同情である。もちろん本人はそんなこと知るよしもなく、勝手に自分の将来像を思い描いていた。
もちろんこんな雑な方法で部員が入ってくるはずもなく、結局その日もサッカー部に入りたいという者はゼロだった。
「・・・ほんとに大丈夫、だよな?」
おおかたの生徒が帰ったあと、一人だけになった赤城は不安そうに呟くのだった。
今回も活動報告で選手を募集してるので、よかったら参加してください
前に参加した人も、ぜひ参加してくださいね。前の活動報告も消さずに置いてあるので、そのまま持ってきてもいいですし、新しく作ってもいいですよ〜