イナズマイレブン 〜熱き太陽の導き〜   作:チェリブロ

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さぁーて、今回はいつもより早めにやってきました。そしてお待たせしました!イナイレを読んでる人が好き(であろう)かつイナイレを書いてる人が苦戦する(個人的感想)でおなじみの試合ですよ!

ちなみに監督はまだいません。練習試合ですし、無理につける必要もありませんのでいないです。雷門も序盤は不愉快な監督さんで実質いないようなものでしたし多少はね?

それと敵キャラ募集+連携技置き場を作ってるので、よろしければご参加くださーい。でも無理はしなくていいですよ?揃わなかったらこちらで用意するので、そこはご安心ください!


初試合!輪成中学!①

前回の必殺技の練習から実に一週間。ついにその日がやってきた。

 

「・・・この日が来たッッ!!!」

 

目を覚ますやいなやフルスロットル。朝食を掻き込むように平らげ、一瞬で荷物をまとめて勢いよく家を飛び出し、全速力で学校に向かう。

 

「おはよー!!!」

 

「おっ、おう・・・」

 

学校についてからもテンションは高いままをキープ。そのせいで周りから少し引かれたり、授業中にはずっとニヤニヤしていたせいで度々怒られた。

 

それでもテンションは一向に下がることなく、そのままの調子で放課後を迎えた。

 

「みんな!急いで準備しろー!!早くしろー!俺は待ちきれないんだー!!」

 

普段から明るい彼だが、それにしても今日は異常に高い。何かしらの薬の使用が疑われるが、決して法に触れるようなことはしてない。

 

それなのば、なぜこんなことになっているのか?

 

「まったく、子供みたいですね。少しは落ち着いてくださいよ」

 

「でも僕も楽しみですよ。あんな風にはならなりませんが。・・・だから地味なんですかね・・・?」

 

余りのテンションの高さに星見からたしなめられる。そして存在感を出すためには、ああすればいいのかと血迷う千景。

 

「これ以上アホの子が増えても困るからキミはそのままでいいよ。めんどくさいし」

 

本当になってしまうと困る。何よりあんなのが二人もいると面倒なので、星見がとめる。

 

「でも楽しみなのはわかるんヨ。初めての試合だもんね!」

 

「そうじゃのう。ワシもこの日が待ち遠しかったぞ!!」

 

ここまで赤城のテンションが高い理由。その理由は前回の練習試合の話が関係している。

 

サッカー部が創設されてから初めての試合。ついに本格的に始動するのだから、気持ちが高ぶるのは当然だろう。

 

実際赤城以外のメンツも、いつもと比べると全体的にテンションが高くなっている。もちろん赤城ほどではないが。

 

「そうだろそうだよなー!!なんたって試合ができるもんなぁ!!」

 

それにしても赤城だけは異常なほど高い気がする。いや、気がするではなく間違いなく高い。

 

だが、無理もない。自業自得ではあるものの、創設してから一年もの間はずっと試合できなかった。他よりも長い間、彼は待っていたのだ。

 

それが念願叶ってようやく試合ができる。そう、一年もかかってしまったが、一つ夢が叶ったのだ。

 

「赤城、輪成中学というのはどんなチームだ?」

 

他にもサッカー部のある中学はあるのに、こんな素人チームとわざわざ試合を受けてくれたのだ。裁野もどんなチームなのか興味があるのだろう。

 

・・・もっとも彼の場合は試合でどう立ち回るかを考えるために相手のことを知りたいのだろうが。

 

「輪成っていったら近所にあるところか。あそこにもサッカー部あったんだな」

 

「知らなくて当然だよ?あそこはニ年前に創部されたみたいだけど、試合経験も少ないし、大会に出たのは去年が始めて。世間にはあんまり知られてないみたいよ」

 

どうやら華咲が色々と調べてくれていたようだ。調べた結果によると、一年差で創部されていたことが判明した。そうなると少しだけ親近感が沸いてくる。

 

「へぇー、こっちは一年前で向こうは二年前か。これは負けらんねぇな!」

 

「まっ、一年前に創部とはいえこっちは実質今年からのようなもんだからねぇ。二年で広がった差は大きいよ?」

 

そう言って、斧街はチラリと赤城の方を一瞥する。

 

「そ、それはすみませんでした・・・。でもこうして試合できるわけだし、今日は楽しんでいきましょうよ!」

 

まるで悪びれてない。たしかに過去のことはいくら後悔しても帰ってこない。過去に後悔するぐらいなら、今目の前にあることを解決した方がいいだろう。

 

ただ、少しぐらいは反省してもらいたいものだ。

 

「キャプテン。全員の準備が整ったようだ」

 

「そうか!それじゃあ急いで出発だー!!」

 

もう待ちきれないと言わんばかりの満面の笑みを浮かべ、輪成中学にむけて歩きだした。

 

 

 

 

 

 

「・・・ここか?」

 

出発し、歩くこと数十分。目的の場所にたどり着いた。

 

「ああ、ここで間違いない・・・多分」

 

念のために確認し、正門から堂々と中へ入る。まだ残っている生徒も多く、物珍しそうにこちらを見ている。支倉や東条はそれに対して手を振ったりしていた。

 

「うーん、なんだかいい匂い・・・釣られそうになるね」

 

「思ったんやけど、校舎とかって建てんのいくらぐらいかかるんやろうな?」

 

他にも呑気な会話が聞こえてくる。今回が初めて試合となるわけだが、意外と緊張してないのだろうか?

 

「・・・おっ?来よったな」

 

校舎を見ながらしばらく歩いていくと、ユニフォームを来た人達が現れる。間違いない、この人達が今日の相手だ。

 

「前は自己紹介できへんかったな。俺はキャプテンの三堂豹馬や。素人同士なかようしような」

 

「はい!俺は赤城太陽!城翔中学サッカー部のキャプテンです!今日はお願いします!」

 

お互いに軽く自己紹介をし、ガッチリと握手をかわす。

 

「よっしゃ、早速やけど移動しよか。ついてき!」

 

「はい!」

 

向こうも早く試合がしたいのか、すぐに案内を始める。赤城達も三堂の後をついていった。

 

 

 

 

 

「ふーん、あれが相手チーム?結構強そうじゃない?」

 

「けどわりかし最近できたらしいで?たしか一年前やったかな?」

 

「じゃあ俺らんとことほぼ同期やん。親近感沸いてくんなぁ」

 

「ほぼって言ってるけど一年差よ・・・?まあいいけどね、そんな細かいこと」

 

「よそんとこに負けんなー!派手にやったれー!!」

 

グラウンドに到着すると、すでにギャラリーが集まっているのが確認できる。

 

どうやら校内で噂になっていたらしく、試合を一目見ようとギャラリーも大勢集まってきたようだ。さすがは人気スポーツのサッカーだ。

 

「おお・・・サッカーは全然知らんかったけど、結構盛り上がるんやな・・・」

 

「うぅ・・・試合自体は初めてじゃないけど・・・やっぱり緊張するんヨ・・・」

 

試合前に調整をしていると、ちらほらとそんな声が聞こえてきた。さすがに試合前となると緊張するらしく、数名を除いて表情が固い。

 

「・・・よっと」

 

そこで、耳元で思いっきり手を鳴らしてみる。パンッと乾いた音が辺りに響いた。

 

「ひゃあ!?」

 

「・・・!驚きました・・・」

 

よほど緊張していたのか全然気づいておらず、ビクッと肩を揺らし、驚いていた。

 

「ちょっ、何してるのよ!?ビックリしたでしょ!」

 

「いや、折角の試合なのに緊張してたからさ・・・これで落ち着いたか?」

 

「えっ?ま、まあたしかに少しは落ち着いたけど・・・」

 

多少荒療治ではあるが、こうすることで緊張を緩和させることができる。タイミングを間違えたり、知らない人にやるとめちゃくちゃ怒られるのでオススメはしない。

 

とりあえず多少は緊張がとれたようなので、ここでもう一押ししておく。

 

「みんな、初めての試合だから緊張するだろうし、不安もあると思う!俺も内心はドキドキしてる!!」

 

むしろ緊張するなという方が難しい。普通の人でも試合慣れするまでは緊張する。ましてや初絡みとなると、その不安は大きいだろう。もちろん赤城にも不安はある。

 

「でも難しく考える必要なんてない!勝ち負けは置いといて、まずは初めての試合を楽しもう!!そうすりゃ自然と結果はついてくるさ!!」

 

それでも純粋に楽しもうとする赤城の姿に周りもつられ、自然と笑顔になる。そう、まずは楽しむこと。それがサッカーをする上で一番大事なことなのだ。

 

まあ実際は赤城も結構不安に思っていたりするのだが。それは態度にも顔にも出さない。だってキャプテンだもの。加えて始めての試合ということもあり、不安もあるものの楽しみという気持ちが勝っていた。

 

「苦節一年、やっとキャプテンらしいことできたねぇ」

 

「それは言わないでくださいよ!?気にしてるんですから!」

 

この一言さえ言われなければ、完璧に決まっていた。

 

 

 

城翔中学フォーメーション

━━━麻宮━━━━三日月━━

━━━━━━赤城━━━━━━

━━佐原━━━━━━星見━━

━━━━━━盤上━━━━━━

━淀屋━━━━━━━━千景━

━━━支倉━━━━黒鉄━━━

━━━━━━東条━━━━━━

 

 

 

輪成中学フォーメーション

━━━━鶴葉━━南仁輪━━━

━━━━━━三堂━━━━━━

━━太井正━━━━京破━━━

━━━━河内━━西谷━━━━

━能寺━━━梅岡━━━西谷━

━━━━━━芳本━━━━━━

 

これが初めての試合、色々と試してみたいことがある。まずは一年生や初心者を出して、様子を見てみることにした。

 

そしてコイントスの結果、ボールは城翔中学からだ。

 

「みんな、まずは自由にやっていいぞ!」

 

赤城の一言の後、ホイッスルが鳴らされる。まず麻宮は三日月にボールを渡し、続けて佐原にボールを回した。

 

「自由にか。難しい注文だね。とりあえずできるだけのことをやってみようか」

 

ボールを受け取った佐原は確実に、そして丁寧にドリブルをし攻め上がる。彼女が持ち合わせているスピードもあり、いいペースで前に運べている。

 

「いただきっ!」

「む、させないよ!」

 

だが、まだまだ甘い箇所がある。そんな隙をみすみす見逃してくれるわけがなく、スライディングを仕掛けられる。

 

それを練習でやったように避けようとしてみたが、やはり練習と実践ではまるで違う。完全に避けることはできず、ボールは弾かれてしまった。

 

「オーケー、あとは任してください!」

 

しかし、こぼれ球は赤城がしっかりと拾って再度攻撃を仕掛ける。

 

「河内、西谷!二人がかりで止めろ!」

 

「任してください!」

 

「俺ァは簡単にはやられたりせぇへんぞ!!」

 

二人の選手が道を遮る。このまま強引に突破するか、それともパスを出していったん体勢を立て直すか。答えは・・・

 

「正面突破してくのみ!」

 

その瞬間、赤城の背中から炎が燃え上がる。

 

「な、なんだ!?」

 

DFの二人が驚いている間にも炎は燃え続け、次第に形状は歪な翼の形へと変化していく。

 

「追えるもんなら追ってみろー!!ヒートウィング!!」

 

燃え上がる炎の翼を大きく広げ、ボールを上手くキープしながら二人の頭上を飛び去った。

 

「おお、なかなかやるやないか。だがすぐってアッツゥ!?」

 

飛び去った赤城の後を二人が追いかけようとした瞬間、地中から突然火柱が噴出し、追いかけようとする者達を遮る。

 

「麻宮ー!思いっきりいっていいぞー!!」

 

相手のディフェンスを見事に振り切った赤城はFWの麻宮に繋ぐ。

 

「・・・ああっ!」

 

ボールを浮けとった麻宮は持ち前のスピードとテクニックを活かし、DFを華麗に突破。キーパーとの一対一に持ち込む。

 

「まずは一点・・・決める!」

 

ゴールに狙いを定め、一睨み。すると地面が一瞬にして凍りつき、氷のフィールドが形成された。

 

「フリーズショット!!」

 

蹴り出したボールは氷をまといながら超スピードでゴールを襲う。

 

「うおっ!?はや━━━」

 

相手は素人と聞いていたので油断もあった。しかし、それを差し引いても速い。なんならその辺の選手よりも遥かに速く、鋭いシュートだった。

 

キーパーの油断に加えて麻宮の実力が重なる。まずいと感じた頃にはもう遅く、すでにボールがゴールネットを揺らしていた。

 

「しもたな・・・完全にやられたわ」

 

「おぉぉぉぉ!!!やったぞ!!みんな、先制点だ!!」

 

初試合で相手から先制点を奪う。赤城は嬉しさのあまり、自分が決めたわけでもないのにガッツポーズを決めた。

 

正直なところ、まさかここまで上手くいくとは思っていなかった。もちろんいいチームだとは思っているし、相手の油断もあったとは思うが、それにしてもまさかここまでの力があるとは予想外のことだった。

 

「なぁ、あいつらこの間創部したんだよな?」

 

「なんか強くね?あれで初心者なのか?」

 

対して輪成中学のメンバーは、城翔中学の実力に驚いていた。城翔中学はつい最近できたばかりの無名チームと聞いていたので、実力は対したことないと思っていた。自分達も人のことを言えるほど強いわけではないが、さすがに素人に翻弄されるようなことはないだろうと思っていた。

 

だが、実際は予想を超える強さだった。本当に初心者なのかを疑うぐらいには、完成されたプレーをしていた。

 

・・・実のところ、城翔中学にはサッカー経験者が十人いる。しかもただの経験者ではなく、強豪校にいたり、かなりの実力を持っていたり・・・とかなり手練れの経験者が集まっていた。そのため、その辺のチームよりは強いチームに仕上がっていた。

 

「みんな落ち着くんや。こんなしょっぱなから慌ててどないすんねん」

 

驚きを隠せない輪成中学のメンバー。そこにキャプテンの三堂がやってくる。

 

「たしかに思ってたよりはやるみたいや。けどな、勝たれへんような相手でもないぞ?」

 

三堂の言葉にハッとする。たしかにこちらの予想よりも強い。それは間違いないことだ。

 

しかし、予想よりも上だっただけ。冷静に相手のプレーを振り返ってみれば、まだ自分達の方が()()()()()

 

「気持ちで負けたら話にならんぞ!しっかりせえ!」

 

キャプテン直々に気合いを入れ直したところで試合が再開。

 

こちらが点を入れたので、今度は相手からのボールだ。

 

「さっきみたいにいくと思ったら大違いやで!!」

 

やはり先程は油断があったのか、比べてみると明らかに動きがよくなっている。

 

「ワシが相手じゃ!かかってこい!」

 

「ワイがいることも忘れとったらアカンで!!」

 

それでも臆することはなく、盤上と淀屋の二人が行く手を阻む。

 

「おー、連携がようとれてるなぁ・・・」

 

三堂は一度その場で止まり、じっくりと動きを見る。

 

そして、獣の力をその身に宿し、ギラリと瞳を輝かせる。生物が本来持っている野生の本能を解放した。

 

「でもな、そんな守りじゃ甘いで?・・・ワイルドパンサー!!」

 

しなやかでありながらどこか野性的なステップ。二人を圧倒し、僅かな間を華麗に抜き去った。

 

「おぉーっと、うちんとこのキャプテンの華麗な必殺技だぁぁぁ!」

 

「さすがキャプテン!芸術点は満点だ!!」

 

「しかもモフトパンクユーザーなので得点はさらに十倍に!」

 

「サッカーで得点十倍ってどういうことなんヨ!?」

 

「おおっ、ナイスツッコミ!」

 

「えっ?・・・あ、ありがとう?」

 

これは褒められたのか?ありがとうと言ってるし、一応褒められたのだろうが・・・なんだか釈然としない。

 

しかしそれを深く考えている場合ではない。もうすでに三堂は鶴葉にパスを出し、キーパーとの一対一に持ち込んでいる。

 

「これで振り出しだな!!ローリングキック!!」

 

フィギュアスケーター顔負けの勢いで回転し、そのままの勢いを乗せてボールを蹴る。

 

正直他と比べるとあまりパッとはしないが、あれでも一応必殺技だ。普通にシュートするよりは威力が高い。

 

「まずい!?誰か援護できないか!!」

 

この世界では技には技で対抗するのが常識。というのも、超常的な技に対して、ただ普通に止めようとしても止められるはずがない。

 

例外があるとすれば二つ。

 

一つはシュートブロックだ。何人かで蹴り返そうとしたり、身を呈して阻めば威力は落ちるため、技を使わずとも止められるようになる。

 

もう一つは身体能力の差。たとえば幼い小学生が必殺技を使ったとしても、相手が筋肉モリモリマッチョマンの変態なら意味がない。技など必要ないだろう。

 

「・・・すまない、ここからでは間に合わない」

 

「すまん!うちもここからじゃ無理や!やから斬君、あんたが止めるんや!」

 

しかし先程にもあったが、状況は一対一。シュートブロックはどうあがいても間に合わない。

 

そして、東条は身体能力は平均以上ではあるものの、所詮はそれまでだ。ましてやサッカーは素人。このままでは確実に決められてしまうだろう。

 

「へへっ、何もしてなかったわけじゃないぜ?」

 

だが、なぜか東条は不敵な笑みを浮かべ、ゆっくりと息を整え始める。そして彼は、イメージを頭の中に思い描いた。

 

「今ならいけるぜ!!」

 

その言葉と同時に、右手に青色のエネルギーが発生。それは徐々に形を変え、鉈状の形を形成した。

 

「あれは!?」

 

「見てな!!これが俺の必殺技、キラーブレードだ!!」

 

腕を振りかぶり、鉈をボールに叩きつける。しばらく拮抗したのち、ボールを切り裂き見事に止めた。

 

「す、すごいぞ東条!!いつのまにそんな技を覚えたんだ!?」

 

赤城の記憶では、東条は技を完成させることはできていなかったはず。そもそもいつイメージを固めたのかもわからない。

 

「東条、お前まさか日曜のやつって・・・」

 

「おう!前にイメージが大事って言ってたろ?だから映画を見てそこから着想をな!あとはこっそり練習してた!」

 

「やっぱりそうやったんやな!なんかおかしい思ったらワイに黙ってそんな思惑を張り巡らせとったんか!ズルいぞ!!ワイはあの映画見てた時はポップコーンが美味かったぐらいしか考えてなかったんやぞ!!」

 

どうやら淀屋には何か心当たりがあったらしい。なんだか不服そうにしている。

 

「まあまあ、今は試合中だしその話はあとにしようぜ?何か奢ってやるしさ」

 

「言うたぞ!絶対に忘れたなんて言わさんからな!あとでそこそこ高いもん奢ってもらうで!!」

 

奢りという魔法の言葉により、東条は許された。あのままずっと話され続けても困るのでありがたいが、それでいいのか淀屋よ。

 

「じゃっ、あとは頼んだぜ!!」

 

東条が投げたボールを佐原がトラップし、追加点を取るために再び攻め込む。

 

「まさかこんなに苦戦するとはね。でも、こっちも黙ったままじゃいかないぞ!!」

 

だが、またしても阻まれる。先程の二の舞になりたくはないが、相手は経験者、対してこちらは始めてまだ間もない素人。普通に勝負しても突破するのは厳しいだろう。

 

「・・・そうだね、一か八かでやってみよう」

 

ならば可能性に賭けてみよう。それに、後輩が成功させたのだから、先輩が意地を見せなくてどうするのだ。

 

「覚悟はできたかな?今度こそいただくよ!」

 

相手が迫ってきているが、そんな時こそ冷静に。そして駆け抜けるのだ。相手を置いていき、目で追わせない。そう、風のように、速く━━━

 

「・・・疾風ダッシュ!!」

 

それはまるで吹き抜ける一陣の風。他を圧倒するスピードで、一気に抜き去った。

 

「おおっと!?」

 

「物は試しというけどやってみるものだね。それじゃあ三日月、あとは任せるよ」

 

東条が必殺技を完成させたことによる相乗効果か、佐原も技を完成させることができた。これにより勢いに乗った城翔中学は相手を少しずつ押し込んでいく。

 

「アクロバットキープ!!」

 

名のとおりアクロバットな動きで翻弄。大地、そして空をも駆け、相手に手を出させない。

 

「このまま二点目もいただくんヨ!!バウンドフレイム!!」

 

ディフェンスを突破した三日月はすぐにシュートを打つ。炎をまとったボールが右、左、右と不規則に跳ね回る。

 

「もう油断はせえへんで!!」

 

先程のようにはいかない。今度こそは止める。その思いを胸に、芳本が右腕を掲げる。すると、何かが手に収まった。

 

色は白。扇のような形だが、扇と比べるとかなり巨大で叩くための形状をしており、やや不格好だ。

 

そう、これこそがツッコミ道具の一つ、ハリセンである。

 

「ヒッティングハリセン!!」

 

通常サイズのものより無駄にデカいハリセンを向かってくるボールに叩きつけ、見事に弾き返した。

 

「くくくっ、ナイスだぜ!」

 

大きく弾かれたボールは京破は確保。やや乱雑にディフェンスを突破していく。

 

「よーし、ここから先は行かさへんで!!」

 

破竹の勢いで突破していた京破だったが、まだ技も使えず、決して才能があるとも言えない淀屋が必死に食らいつく。

 

このままいけば勝てる。そのためには、DFである自分が守るしかない。いつものおちゃらけた態度はそこにはなかった。

 

「邪魔だなこの野郎!」

 

「今だけは嬉しい言葉やで!」

 

相手の動きを上手く阻害し、先へ行かせない。充分な仕事ができている。

 

「でも、少しは周りを見た方がいいんじゃねぇの?」

 

「・・・っ!しもた!」

 

気づいた頃にはもう遅い。京破は淀屋の死角にいた南仁輪へとパスを出した。

 

「よくここまで頑張ったなぁ。けど、今度こそ同点やで!!」

 

ニヤリと笑みを浮かべると、青い光に包まれたボールを真上に蹴りあげる。

 

「さあさあみんな、大阪に来たのなら寄ってきいや!通天閣シュート!!」

 

ボールは一定の高さでとどまり回転。さらに大阪の象徴、通天閣を背景にし、高所から激しく回転するボールを蹴り落とす。

 

「上等だ!キラーブレード!!」

 

東条も習得した技で対抗。切れ味抜群の刃物でボールを叩き切ろうと試みる。

 

「・・・ぐっ、なにぃ!?」

 

だが・・・健闘むなしく、東条の技は破られてしまった。

 

「よぉぉぉし!まずは一点やでぇ!」

 

決めた南仁輪が吠え、見ていたギャラリーも一気に沸き上がる。

 

「おっかしーな。止められると思ったんだけどな・・・」

 

一方東条は何がダメだったのか、疑問符を浮かべていた。正直この強そうな技なら、どんなシュートでも止められるんじゃないかと思っていた。

 

そこへ、なんだか話しにくそうにした支倉が声をかける。

 

「・・・あのな、斬君。そのキラーブレードって技やけど・・・もうあるんや」

 

「・・・えっ?」

 

「ついでに言ってやろう。それはそこまで強い技とは言えない」

 

「ええっ!?」

 

「・・・それに通天閣シュートはそこそこ強い技なんですよ」

 

「えぇぇぇぇぇ!!??」

 

驚愕の事実。認めたくない現実。そして止められなかった理由。さまざまな思考が混ざりあい、ガックリと肩を落とす。

 

まさか必死に考えた技がすでに世の中にあり、ましてや弱い技・・・ショックを受けてしまって当然だ。これはもしかすると、しばらく立ち直れないかもしれない━━━

 

「で、でも普通なら必殺技を完成させるのにもっと時間がかかるんヨ!だからもっと自信持って!」

 

「そうだよなぁ!普通は無理だもんなぁ!やっぱり俺はスゲェよな!!」

 

褒められるとすぐに立ち直った。・・・褒められたから立ち直ったのか、それとも褒めてくれたのが女子だったから立ち直ったか、どちらにせよそれでいいのか東条よ。

 

 

 

 

 

そして、ここから一方的な試合展開になってしまう。

 

「よっしゃ、ガンガン攻めてくで!!」

 

「みんな、ここが踏ん張りどころだぞ!!」

 

最初こそ順調だったが、やはりそう上手くはいかない。一年という期間は大きく、徐々に自力の差が見え始める。

 

「・・・っ!すまない・・・」

 

「大丈夫や!気にせんでええで!」

 

初心者組のミスは経験者組がカバーしてなんとか持ちこたえようとするも、少しずつ差が広がってしまう。

 

「通天閣シュート!!」

 

「キラーブレード!!」

 

必死に抵抗するも、流れには逆らえない。次第に疲れも見え始め、ドドメの一点を入れられて前半が終わった。

 

得点は三対一。やはりあの一点から試合の流れが傾いてしまった。この二点差、どうやったら返せるのか・・・正直思いつかない。

 

「いやぁ、練習と試合は違うもんやな」

 

「・・・そうですね。後半はもっとチームに貢献したいです」

 

ベンチに戻りながら前半を終えての感想を話す。聞いてみると、思ったように動けなかった者がほとんどのようだ。

 

「みんなよく頑張った!初めてでここまで戦えたんなら」

 

気休めなどではなく、初めての試合にしてはよく頑張ったと思う。三点で止められたのなら上出来だ。なんならもっと大差をつけられてしまうかもしれないと思っていた。負けても仕方ない試合でこれなら何も問題はない。

 

「・・・じゃ、これからはあたいの出番かね?」

 

「みんなよく頑張ったわね。あとは私に任せておきなさい!」

 

そして、ベンチに座っていた経験者達がゆっくりと立ち上がった。




短い文だと読みごたえがなく、あんまり読んだ気がしない。そのため描写を細かくし、頑張って文章を増やしてみた

だが、書いてきて気づいてしまった。大事なのは的確にまとめてあるかであり、長文だからといっていいものになるとは限らない・・・と
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