それと双輝中学の募集を締め切りました〜。なんとか募集人数以上来たので、現在選考してます。採用発表はもう少しお待ち下さい
六限目終業のチャイムが学校中に鳴り響く。授業を終えて挨拶を済ませると、帰るために荷物をまとめ、終学活の準備をする。
それが終わってからの行動は各生徒によって異なる。そのまま家に帰る者もいれば、教室や図書室に残って勉強をする者、掃除当番に当たっていたり、先生からの呼び出しで帰れない者と多岐に渡る。
そして、部活動のために帰らない人も当然いる。城翔中学サッカー部に所属しているメンバーも、放課後から練習があるため帰っていない。
「暇だなー。なんか面白いこと言ってくれー」
「無茶言うなや。四六時中おもろいこと言えるやつなんかそうおらんわ」
件のサッカー部の部室では、男子二名が暇そうに話をしていた。
どうやらこの日は東条と淀屋の二人が一番乗りだったらしい。
「てかなんで俺達意外に誰もいないんだ?華咲は日直らしいから送れるってのは聞いてるけど」
「さあ?どうせ授業が長引いたとかトイレとかちゃうんか?知らんけど」
「まあ普通に考えてそうだよなー。・・・ところでなんか面白い話ないのか?」
「その話二回目やぞ。なんで時間置いたらおもろい話出てくると思ってんねん。それとも早めの認知症か?」
「そんなこと言うなよー、ホントはあるんだろ?ケチケチせずに教えてくれよ」
「せやからないもんはないわ。さっさと諦めんかい」
暇すぎて何か面白い話はないのかと聞く東条に対し、そんなものはないから諦めろと断言する淀屋。
しかし無理もない。この二人は仲がよく、休み時間にも度々会っている。そのためわざわざ部活動の時まで待つ必要もなく、面白い話があればだいたい休み時間に教室で話している。なくて当然なのだ。
「ちくしょー、このままじゃ暇で死んじまうよ。ホントに何もねぇのかよ〜?」
「・・・せやなぁ、おもろい話ではないけど質問してええか?」
面白い話が思いついたというわけではないが、ちょうど聞きたいことを思い出した。
本人も暇さえ潰せればこの際なんでもいいということなので、暇潰しついでに聞いてみる。
「ほな聞かせてもらうけど、なんでキーパーになったんや?」
淀屋が前から気になっていたこと。それはなぜ彼がキーパーになろうと思ったのかだ。
キーパーは相手の攻撃を防ぐ最後の壁。ここで止められないと失点は確実。他よりもプレッシャーを感じるポジションのはず。
目立つといえば目立つが、あまりにも荷が重いポジション。経験者でもないかぎり、理由もなくやりたいとは思わないだろう。
単にあんまり動いてなさそうだから楽だと思ったのか、根拠のない自信があったのか、はたまた他にやる人がいなさそうだったから自ら進んで引き受けたのか。
それとも、実は何か強い思い入れがあったり・・・
「なんでって後ろにいるポジションだから女子の尻見てても気づかれないだろ?」
・・・まあそんな高尚な理由を持っているはずがなく、正直な下半身に従っただけだった。
「それめっちゃわかるわ」
そして淀屋は淀屋で共感している。中学男子はそういうことを考えるお年頃でもあるので、仕方がないのかもしれないが・・・とにかく下心しかなかった。純度100%の下心だ。
「そういう淀屋はなんでDFなんだ?モテたいってならやっぱりFWとかだろ?」
いったんお年頃の話を置き、再びポジションの話に戻る。
サッカーにおいて花形といえるポジションといえば、やはりFWというイメージが強い。
もちろんMFやDFが不人気というわけではない。むしろこれらは試合で勝つためには非常に重要な役割を担っているポジションだ。
とはいえ得点を決めるという試合を動かし、なおかつ目立つポイントからやはりFWの人気は高い。ましてやFWには有名な選手も多いこともあり、なおさらだ。
もちろんそれだけに競争率も高いが・・・それでも素人も多いこのチームなら、一度挑戦してみてもよかったのではないだろうか?
「なんでかって、そんなもん決まっとるやろ━━━」
いつものおちゃらけた表情はそこにはなく、まさに真剣そのもの。きっと、今度こそはマトモな理由が・・・
「━━━さっきの東条の理由もあるんやけどな・・・ほら、フィールドならなんと合法接触やぞ!!」
「なっ、なんだとぉ!?」
・・・出てくるわけがなかった。東条と同じく、何か深い理由があるわけではない。結局二人はお年頃の男の子だったというわけだ。
「な、なんてことだ・・・俺の考えが浅はかだったってのか・・・ッ!!」
「考えが浅はかすぎるで。もっと考えなアカンなぁ?」
崩れ落ちた東条を見て、これは勝ったなと言わんばかりのドヤ顔で見下ろす。まさに勝ち組と負け組、社会の縮図がそこにはあった。
「・・・でもそんな暇あんのか?試合になったら他のこと考えてられないんじゃね?特にフィールドプレイヤーならなおさら」
しかし、ここで思わぬ反撃を食らうことになる。
「えっ・・・いや、それは・・・な、なんとかなるやろ」
正直な話、前の試合でもボールを奪うということに無我夢中で他のことを考えている暇はなかった。ベンチにいる時ならまだあったかもしれないが・・・その時も味方の応援で精一杯だったし、そもそもベンチだと意味がない。
「やっぱキーパーだって。キーパーならシュートが来るまでの間は女子の尻も見れるし、相手の顔と胸もしっかりと観察できる!」
「ぬぐぅ!?」
普段は頭の悪い二人だが、こういう時だけは頭が活性化される。遺伝子にでも刻まれているのか、はたまたエロスというものが偉大なのか?真相は闇の中だ。
「くっ、たしかに東条の言うとおりやな・・・」
「だろ?結局俺の方が一枚上手だったな?」
さて、こんな話を他人に聞かれたどうなるか?相手にもよるが、軽蔑されるのは容易に想像できる。
「・・・キミたちは実にバカだな」
「・・・えっ?」
ふと、入口の方から声が聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ、あー・・・おっす・・・来てたのか?」
顔を向けてみると、たしかに来ていた。どうやら終学活が終え、部室に来ていた星見の声だったらしい。とりあえずぎこちない挨拶を返す。
「キミたちがなぜ今のポジションを選んだのかを話してた時からいたね。それにしても本当にくだらない」
まるで養豚場の豚を見るような目でこの一言。我々の知らない世界ではご褒美になったりもするが、そちら側の世界ではない人にとっては普通は傷つく一言だ。
ただ今回の場合は特に弁明することはない。それもそのはず、二人が悪いからだ。
「あの・・・?ワイら一応先輩やし、せめて敬語ぐらいは使ってくれへんか・・・?」
「あれ、知らないのかな?敬語というものは敬える相手に使うんだよ」
「俺たち敬われてないの!?」
「逆に聞くけどさっきの会話のどこに敬える要素あるのかな?あるのならぜひとも教えてほしいね?」
たしかにない。少なくともさっきの会話を聞いて、敬える要素などどこにもなかった。逆に蔑む要素ならいくらでも見つかった。敬語を使われなくなっても仕方がない。
「待て!安心してくれ!俺はいわゆるナイスバディーなお姉さんにしか興味はないから星見は安心してくれ!」
「ふーん、なるほど。最低という言葉すらも生温いみたいだね」
別に胸の大きさや身長を気にしているわけではない。だが、自分はまだ一年だ。これからいくらでも成長の余地はあるという意味も込めて睨みつけておく。
やっぱり気にしているんじゃないかと言ってはいけない。痛い目を合いたくなければ、余計なことを言う前にお口にチャックをしておこう。
「ちょっと!!何やってんのよ!!」
さらに、この場に獅子神までやってきた。端から見ると、男子二人に後輩の女子が冷ややかな目線を当てているというこの状況。もうややこしいことになる気しかしない。
「ああ、獅子神先輩。実はこの二人が『やっぱり女の身体は最高だぜー、グヘヘヘー』みたいなことを言ってました」
「待て!?それは誇張しすぎだぞ!!」
「せや!いくらなんでもそれは拡大解釈やぞ!」
「あんたら・・・いい加減にしなさいよーーー!!!」
残件ながら獅子神には二人の弁明が聞こえていないため、当然怒っている。しかし、いつもよりさらに機嫌が悪いようにみえる。ここに来る前に何かあったのだろうか?
「女の子の前でそんなこと言うなんて最低よ!!どういう神経してんのよ!!」
と、そんなことを考えている暇はない。すぐにでもフォローして彼女の怒りを静めなければならない。
「せやから安心しろって!ワイらはペチャパイには興味ないんやて!」
「私だってなりたくてなったわけじゃないわよッ!!!」
「あべし!?」
これぞまさしく余計な一言。余計すぎる一言を言ったせいで、獅子神の強烈なキックをくらい、淀屋は地面に沈んだ。
なぜあれでフォローできると思ったのか?それは淀屋にしかわからない。
「お、落ち着くんだ!たしかに胸はないけど尻の方は悪くないと思うぞ!!」
「支倉先輩と同じこと言うなぁ!!」
「あっ、まさか機嫌悪い理由ってそれか!?支倉先輩余計なへぶ!?」
キックされる寸前、いい笑顔でサムズアップしてる支倉先輩の姿が頭をよぎった。これが走馬灯なのか?とりあえずセクハラ先輩。あなたのせいで可愛い後輩の命が儚く消えていきました。責任取ってください。
「ふぅ、大丈夫だったかしら!感謝しなさいよ〜?」
若干八つ当たりの分もあったが、星見の危機(ただの勘違い)でもあったため、今回は妥当な判断だろう。ニッコニコの笑顔で胸を張った。
「・・・いや、別に助けてなんて言ってませんよ」
だが、星見な特に感謝するわけでもなく、すたすた歩いていってしまった。
「・・・へ?ちょっとー!?待ちなさいよー!!」
感謝されると思っていた獅子神は、一瞬呆然としたあと、すぐに星見を追いかけていった。
「・・・えっと、何があったんだ?」
部室に入った赤城が不思議そうに首を傾げる。部室に入って最初に見たのは倒れた淀屋と東条。そして、それを赤城と同じように、不思議そうに見ているメンバーの姿だった。
「黒鉄?何か知ってるか?」
「・・・いや、俺が来た頃にはすでに・・・手遅れだった」
なんということだ。自分の知らない間に部室で事件があったようだ。二人は恨みこそ買うようなやつではなく、むしろ誰とでも仲良くやれるような人物だ。
ただちょっと下半身に正直な二人なので、原因がないとは断言はできない。ようするに、意外でもないということだ。
「・・・可哀想だね。安らかに成仏するんヨ・・・」
「・・・アホか、まだ生きとるわ・・・」
それから目を覚ました二人に話を聞いたが、どうにも記憶がおぼろげらしい。ただ、支倉先輩が何かしたという証言があったので、このあとあらぬ疑いがかけられたとか。
完全なネタキャラになりつつある二人ですが、試合だとなんだかんだ真面目に動いてくれるのでセーフです。それに中学男子といえばちょっとした下心があるお年頃だし多少はね?
さて、今後の展開ですが、次回はストーリーを進めて、その次に試合に入る予定です。その後はまだ具体的には決まっていませんが、また日常回をしたいなぁ・・・とも思っています。今度は誰にスポットを当てようかな?
それと他のチームの募集は現在も続いていますので、ご協力お願いしまーす。ではまた次回まで、さらば!