ちなみにそろそろ荒央のメンバー募集を締め切る予定です。また、残り二校も荒央よりは遅いですが、締め切っていく予定なので参加する方は下記のURLから活動報告へどうぞ〜
↓イナイレ予選敵キャラ募集
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=237225&uid=233843
前半で疲労がたまったメンバーを数名交代し、後半戦が開始。三日月からのボールを受け取った佐原が果敢に攻めていく。
「もうだいぶ点差は開いてるけど、まだまだ攻めさせてもらうよ!スパイラルドロー!!」
「・・・っ!」
だが、ゴールまでの道は遠い。菠羽の技の前になす術もなく奪われてしまい、ボールはFWの飛野の元へと渡ってしまう。
「なるほど、それなら私が止めようか」
「させるか、このボールは無駄にしない。ラプターズステップ!!」
まるで猛禽類が木々をくぐり抜けるかの様に動き、並外れたボディバランスと繊細なボールコントロールを活かして獅子神を翻弄し、抜き去る。
完全に前半からの悪い流れが続いていたが、ここで交代したばかりの盤上が魅せる。
「なかなかやるのう!じゃが、これ以上はいかさんぞ!パワーチャージ!!」
「なにっ!?」
両拳を打ち付けてパワーを溜める。そして一気解放し相手にチャージをかけ、そのまま吹き飛ばした。
「ガッハッハッ!ワシだって何もしてこなかったわけじゃないぞぉ!!」
必死の特訓により習得した技を早速有効活用し、ボールを奪い取ると、佐原へとパスを繋いだ。
「さっきはしくじってしまったからね。その分を取り返させてもらうよ・・・疾風ダッシュ!!」
「くっ!なかなかやりますね!」
ボールを奪うことに成功し、佐原も相手の守りを崩して突破していく。後半が始まってすぐにチャンスが生まれる。
「斧街、あとは任せてもいいかな?何せワタシはか弱いから、シュートしても得点はできないだろうしね」
「あいよ〜。じゃあ任せときな」
技もない自分のシュートでは決めるのは無理だと判断し、ここは斧街にボールを託す。だが、椈月姉弟が立ちはだかる。
「へぇ、二対一かい?上等だよ!」
流れが来ている今なら、なんとか得点まで持っていけるかもしれない。他の選手はマークされているため、ここは無理にパスを出さずに正面突破を試みる。
「リオちゃん、いくよ!」
「だからちゃん付けするなマダネキ!!」
「うぅ・・・今なら見逃してくれるとにぃ〜!」
そんなやり取りをしながらも、椈月姉弟はお互いの息を合わせてそれぞれが役割通り、完璧に動いてみせる。
「ブロックサーカス!!」
姉のまのんがスライディングしかけ、ボールを上げる。そしてタイミングを合わせて跳躍していた弟のリオンがボールをトラップし、華麗に降り立つ。
「あ、あれぇ?おかしいねぇ・・・」
「ドンマイなんヨ!斧街先輩!」
いけるかと思ったが、やはり勢いで押しきれるほど甘い相手ではない。攻め込まれても落ち着いて対応し、こちらの攻撃を許さない。
「よーし!もう一点入れるぞー!」
その後も双輝中学は手を緩めることなく、怒涛の勢いで攻撃をしかけてくる。軽やかなドリブルでこちらのディフェンスを華麗に突破していく。
「ヴァイススラッシュ!!」
「キラーブレード!!・・・だぁぁぁぁ!?」
いくら守りを固めても猛攻を凌ぎきることはできず、またしても得点を入れられてしまう。だが、赤城はもうあまり気にしていない。というのも、ここまで来たら追加で何点取られようがもう変わらないだろう。
点を取られるのは仕方がない。とにかく一点でいいから得点を入れる。それ以上はいらない。いや、そもそも取れても一点が限界だ。
それでめ試合結果が0と1では話が変わってくる。 もしこのまま何もできずに負けてしまえば、双輝中学への完全な敗北のイメージがついてしまう。
次に戦う試合でも、今回の何もできずに負けた試合が想起される。勝てるビジョンが浮かばず、萎縮して圧倒される。それだけはあってはならない。
そうならないようにするためには、ここで爪痕を残しておく必要がある。これは今ではなく、未来のため。もう何点取られようが構わない。一点を取るためにひたすら走る。
「ストームトラップ〜!キャプテ〜ン!」
「よっし任せろ!!そよかぜステップ!!」
だが、たった一点ですら届かない。相手に翻弄されボールを奪われる。すぐに相手の攻撃が再開し、こちらは守ることで精一杯。とても攻撃のことを考えられるような状況ではない。
「飛野!もう一発決めてこい!」
またしても攻め込まれ、天城からのパスを飛野がトラップし、ゴールを見据える。
「・・・これでトドメだな」
ボールにスピンをかけて上空へ蹴っ飛ばし、そのあとに飛野自身も飛び上がり、オーバーヘッドシュートを放つ。
「ファルコンドライブ!!」
先程までとは別の技。ボールは隼が獲物を捕らえるかのような勢いで鋭く、速くゴールまで突き進んでいく。
「何度でも何度でもブロックしたるわ!コールドカッター!!」
もちろんただでは打たせないと、支倉はすぐにブロックした。威力は削れたものの、まだ東条が止められるほどの威力ではない。このままでは追加点は免れないだろう。
「おーし、東条!ここはワイに任しとけ!!」
と、そこに現れたのは後半からDFとして参戦した淀屋。しかし技を修得していない彼では止めることはできない。いったいどうするのかと思ったその瞬間、なんと淀屋は頭突きで対抗した。
「それはさすがに無茶じゃないかい!?」
「なにおう!!男は無茶してなんぼやぁ!!」
両足で必死に踏ん張るも、さすがに無理がある。徐々に押され、足の踏ん張りもきかなくなってきた。
「ぬぐぐぐ・・・ナメんなぁぁぁぁぁ!!!」
もうダメかと思ったその時、淀屋の頭からバチバチと電気のようなものが迸った。かと思うと、頭から溢れだしたエネルギーが、巨大な手の形に変化した。
「な、なんだありゃ!?」
エネルギーで構成された巨大な手は握り拳を作り、ボールと衝突。なんとそのままボールを弾き返した。
「お、おおっ!なんか出た!頭から手が出てきよったぞ!」
言葉にするとなかなかシュールなものである・・・とか思っている場合でもない。弾かれたボールは菠羽が確保し、すぐさま逆サイドにシュートを打ってきた。
「ちょっと想定外だけど、それならこうするまでだよ!マッハウィンド!!」
「やべっ!?」
飛野のシュートに対応しようとしていた東条は慌てて逆サイドに戻ろうとするが、スピード重視の技ということもあり、このままでは間に合いそうにない。
「・・・ここは任せろ」
それを見た黒鉄がシュートブロックをしかけようと走る。しかし、相手のシュートは速く、対して黒鉄はあまり足が速くない。
この距離では身を呈してのブロックはできないだろうと諦め、失点を覚悟した。
「・・・ザ・ウォール!!」
だが、その心配は杞憂に終わった。黒鉄の背後に巨大で雄々しい壁がせりあがり、相手のシュートの進行を阻害する。
「東条、後は頼む・・・!」
まだ技が完成しきっていないのに加え、正面ではなく多少横にズレていたということもあり、止めるには至らなかった。それでも充分な時間を稼ぎ、威力も下がった。
「ナイスゥ!後は俺に任せときな!!」
ここまでしてくれて止めないわけにはいかない。東条は真正面からボールを抑え込み、無事に止めきってみせた。
「よーし、取ってやったぞー!!」
「いやぁ、これはもう一点取られたかと思ったわ。みんなええ活躍やったで!」
失点を覚悟したが、ここはなんとか相手の猛攻を凌ぐことに成功した。
と、ここまでは良かったのだが、やはり現実そう上手くはいかない。結局この後ボールを奪われ、またしても流れるように点を取られてしまった。
みんなも隙をついては攻めて相手の攻撃を必死に守ろうとするものの、結局突破口を見つけられないまま時間だけが無情に過ぎ、後半も残り時間わずかとなった。
「みんな!絶対に一点は取ろうな!!」
「もちろんだよ。さすがにこのままでは終われないからね」
「後ろはワシらに任せとけぇ!!今度はしっかり止めたるわ!!」
赤城はみんなの指揮を下げないために一応一点を取るとは言ったものの、ここからどうすればいいのかがまったく思いつかない。今ある自分達の技では、相手キーパーを打ち倒すことはできない。
不意を突こうにもそんな余裕はなさそうだ。仮にできたとしても生半可な手法では確実に対応してくるだろう。とはいえ正面衝突ではこちらが負ける。どうしたらいいかのわからない。
「ぬぉぉぉぉ!パワーチャージィ!!」
「くっ、すみません!」
「どんまいどんまい!すぐに取り返すぞ!」
ここで盤上が再びボールを奪取。そして赤城へとパスを繋いだ。信じてパスを出してくれたはいいが、いまだに得点する方法は・・・
「・・・そうだ!」
決して良案と呼べるものではない。今この瞬間に思いついた、破れかぶれの雑な方法。当然成功するかはわからない。
「(いけるか・・・いや、他に選択肢はない!やるしかない!!)」
だが、他に方法が思い付くわけでもない。このままやられるだけだと今後に関わる。ならば可能性が低いとしても、それに賭けるしかない。
「三日月・・・頼む!」
「はーい、任されたんヨ!」
まずは三日月にパスを出す。しかし、ここでディフェンスを突破しなければならない。突破さえできれば、どうにかなるかもしれない。
「えへへ、させないよぉ!ワックスフロア!!」
「あの子も使えるのか!?」
三日月のいる方向に対してモップがけをし、あえて通りすぎるがこれでいい。モップがけした後の地面はつるつるとなり、バランスを崩させるつもりだ。
「どういう技がわかっていれば対策のしようはあるんヨ!アクロバットキープ!!」
「あ、あれぇ!?」
とはいえ一度見ている技なら対策できないこともない。地面が滑りやすくなり、立てなくなる。それならば地面に触れなければいい。空間をフルに使い、地面に降れることなく移動し、モップがけで降りた。
「このシュートは絶対に決めるんヨ!バウンド・・・」
そして本日二度目のシュートに持ち込む。三日月はボールを回転させ、地面に埋め込む。やがてボールは勝手に浮き上がり、そのままシュートする・・・はずなのだが、今回は違う。
「今だ!上に打ってくれ!!」
「えぇ!?上!?」
シュートを放つ直前、赤城は上に向かって打てと言い出した。赤城の意図が読めず、三日月も困惑する。
「遠慮はいらないから、できるだけ高く打ち上げてくれ!大丈夫!信じてくれ!」
「え、ええっと・・・わかったんヨ!」
とはいえ何の意味もなくこんなことを言うわけがないだろう。言われたとおり、三日月は高くに打ち上げた。
「何を考えてるのかわからんけど、ありゃ上げすぎたな。これじゃあ俺らの出番はないな」
「そうだね〜。あれじゃあ打てないし、ブロックする必要は―――」
「ヒートウィング!!」
「えぇ!?」
そう、確かにあの高さでは普通は
「まさか・・・?」
これでシュート際に邪魔はされない。あとは別に難しい話ではない。非常に簡単な話だ。ボールは高いところから落とせば、よく跳ねるようになるというだけの話。
「一か八かだぁ!!ハイバウンドフレイム!!」
より高所から叩きつけることによってさらに高く、よりダイナミックで不規則なバウンドし、まるで炎を纏った大蛇のようにも見える。これならばまず軌道は読めないだろう。
「チッ!ブラックチェーン!!」
黒い鎖がボールに向かっていくが、これだけ動きが大きいとまず当たらない。技で止めるのを諦め、仕方なく両手で強引に抑え込む。
「・・・ぐぁぁぁぁ!!!」
だが、いくら地力の差があるとはいえ必殺シュートを技なしでキャッチするのはかなり厳しい。これで止められるはずがなく、ボールはゴールに吸い込まれていった。
「よ、良かったぁ!一点入ったぞ!」
着地後の妨害技などはあったが、空中に作用する技を持っていなかったのが幸いだった。もしあれば、確実に妨害されて打てなかった。
また、今回の技はぶっつけ本番。制御できず、変な方向に飛んでいってしまう可能性もあった。成功したのはかなり運が良かったといえるだろう。なんなら入らないことが前提だったし、決められなくて仕方ないという覚悟はしていた。
・・・あくまで最後まで諦めない意思を見せるためにやったことなのだが、まさか入るとは自分でも驚いた。
『城翔中学!!なんとこの終盤で一点を返したぁぁぁぁ!!!必死に食らいつくも、今の今まで翻弄されるばかりでしたが、見事一点を奪い取りました!!
しかし試合はここで終了!良いプレーを見せてくれましたが、残念ながら一回戦で敗退です!』
一点決めたところで試合終了のホイッスル。最終的な結果は8対1と惨敗だが、最後の一点は希望の一点となるだろう。
相手は地区ナンバー2の相手。そもそも負けて当然の試合だ。もっと点差が開き、一点も取れなかったとしても仕方がなかった。
それでも創設されたばかりのチームで相手が強豪でも工夫すれば得点を入られるという事実。きっと良い経験になったはずだ。
「まさか最後に決められるとはなぁ。なかなかやるじゃないか!」
「いや・・・みんなのお蔭ですよ・・・!俺一人じゃ、どうにもならなかったですし・・・!」
「そうだよな、サッカーはチームスポーツだもんな!」
試合が終わり、息を切らしながら相手キャプテンの天城と話をする。今日の試合の良かったところ、盛り上がったところなどを話し、健闘を讃えあう。
「ところで・・・天城キャプテンって何かした?」
「・・・えっ?」
しかし、その話を後ろで聞いていた双輝中のメンバーがとある疑惑について話し合い始めた。
「そういや何もしてねぇような気がする・・・何かしたっけ?うちのキャプテン」
「ちゃんと何回か相手のディフェンスを突破してたよ!まあ、あんまり目立ってなかったけど・・・」
「でも声は出てたよね〜それはすごく良かったと思うよ〜。目立ってはなかったけど」
「んー、やることはやってたけど目立ってはないのはたしかだね。俺の方が止めてたし活躍って面では俺の方が上かなぁ?」
「リオちゃん!そんなこと言っちゃダメでしょ!目立ってなくても仕事はしたんだからちゃんと褒めないと!」
「お、お前らぁぁぁぁぁ!!!」
「わぁ〜、追いかけっこだね〜!」
散々な言われようで動かないわけがなく、天城と双輝中メンバーの追いかけっこが始まる。
「・・・キャプテン、とりあえず帰るかい?」
「そ、そうしようか・・・?」
城翔中学のメンバーはこの状況をどうしたらいいのかわからないが、いたところで何もできない。天城には悪いがスルーして帰ることにした。
これで試合は終了、次に城翔中学が試合をするはFF予選ですね。それまでにどこまで強くなれるのか・・・お楽しみに
今月はもう一話出せるかな・・・?