イナズマイレブン 〜熱き太陽の導き〜   作:チェリブロ

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うーむ、話し方とかはこんな感じで合ってるのかな?何かあればご連絡ください〜


狐面の少女とせっかち関西人

二年二組の教室、そこで赤城で悩んでいた。サッカー部ができて一年経過したにも関わらず、部員はたった二人しかいないこの現状。しかも二人のうち一人は三年で、このままでは卒業してしまい、一人だけになってしまう。さすがに危機感を感じ始めていた。

 

「あー、授業終わって部室行ったら部員が集まってるとかないかな〜?」

 

あり得るわけがない独り言を呟き、深いため息を吐く。別にサボっているわけではない。ちゃんと毎日欠かさず勧誘活動をしているのに・・・どうして誰も来ないのか。

 

「・・・もしかして声か小さくて聞こえてないのか?もっと大声でアピールしないとダメなのかな?」

 

もはやふざけているようにしか見えないが、念のために言っておこう。本人は至って真剣である。

 

「いや、いっそのこと拡声器でも借りてくるべきか?でもそんなものどこに・・・」

 

「もう!辛気くさい顔しちゃって〜、そんなんじゃあ幸せが逃げちゃうヨ!」

 

そんなことを考えていると、誰かが後ろから声をかけてくる。振り向くと、頭に狐のお面を着け、八重歯をキラリと輝かせた、小柄な少女がいた。

 

「んん?お前は・・・三日月だったよな?」

 

今年から同じクラスになった、三日月帝瑠。その人懐っこい笑みからして、人懐っこい印象を感じた。

 

「うん、うちは三日月帝瑠だヨ!それで、何を悩んでるんヨ?」

 

目の前に移動し、ニコニコとした笑顔で相談に乗ってくれる。口調が少し気になるが、そんな細かいことはいいだろう。それよりも今はサッカー部のことだ。

 

「実は・・・サッカー部に誰も入ってくれないんだよ・・・」

 

「そっかぁ、それは大へ・・・え?この学校にサッカー部あったの?」

 

三日月の記憶では、この学校にサッカー部はなかったはず。実際活動しているところを一度も見たことなかったので、思わず首を傾げた。

 

「何言ってるんだ!俺が毎日屋上から勧誘してるじゃないか!」

 

「えぇ!?放課後のやつキミだったの!?というかあれサッカー部の勧誘だったの!?・・・てっきり応援団の練習か、新手の儀式か何かかと思ってたんヨ・・・」

 

「ば、ばかな!?俺の完璧な勧誘が訳のわからん儀式だと・・・」

 

応援団ならまだしも、学校の屋上に上がり、ひたすら叫ぶ謎の儀式だったとしたら迷惑きわまりない。ご近所さんからの苦情待ったなしである。・・・とはいえ、そのように勘違いされても仕方のないところはある。

 

「俺が・・・間違っていたのか・・・」

 

まるでこの世の終わりかといわんばかりに暗く沈む。そんな姿を見て、三日月が慌ててフォローを入れる。

 

「ま、まあまあ!原因がわかったんだしこれからこれから!なんなら私もサッカーをやってたし、一緒に入って手伝うんヨ!」

 

「そっかー、三日月もサッカーやってたのかぁ・・・

 

 

 

 

 

サッカー部に入ってくださいッ!!!」

 

これがジャパニーズ土下座。頭を地面につけ、綺麗なフォームの土下座で必死に頼み込む。

 

「いやそう言ったんヨ!?」

 

「本当に入ってくれるのか!?やったぁぁぁぁぁ!!女神が舞い降りたぞぉぉぉぉぉ!!」

 

大声で叫び、手を握って上下にぶんぶん動かす。ホントにそんなに喜ぶかというぐらい喜んでいる。

 

もちろん喜んでもらえるのは嬉しいのだが、周りから注目を集めてしまって、ものすごく恥ずかしい。

 

「な、なんだ?あれ?」

 

「赤城君と三日月ちゃんだよね・・・?」

 

「これはスクープだッ!!メモしておかなければ!!」

 

「ちょっと!?一回止めて!ストップ!!ストップッ!!」

 

このままではあることないことを書かれてしまう。尾ヒレ、加えて背ヒレも付けられて、明日の朝に誤った情報が全クラスに広まってしまう。それだけは阻止しなければと時間はかかりつつ、なんとか赤城を止め、クラスの誤解を解くこともできた。・・・一部は懐疑の目で見ていたが、気にしてはいけない。

 

 

 

 

 

 

そんな朝の一騒動から時間は過ぎ、学生ならみんな大好きな時間。そう、お昼休みとなった。というわけで、赤城は三日月と共にサッカー部のことについて話しながら、購買で買い物を済ませた。

 

「しまった・・・買いすぎた・・・」

 

「だからやめておいた方がいいって言ったんヨ?」

 

あるある・・・なのかはわからないが、購買に行くと、どれも美味しそうに見えてついつい多く買ってしまう。近くのベンチに座って食べていたが、買いすぎたせいでいくつか食べきれなかった。とはいえ今すぐに食べきらなければいけないというルールはない。家に帰ってからのんびり食べればいいので、教室に持って帰ろうとしたその時だった。

 

「ああああぁぁぁぁぁ!!!家に財布忘れてしもうたぁぁぁぁぁ!!!」

 

やたらデカい声が購買の方から聞こえてくる。あまりの大声に思わず二人は耳を塞いだ。

 

「誰だ・・・?こんなところで大声出すのはよくないよな。場所を考えた方がいいぞ」

 

「赤城君、人のこと言えないヨ」

 

なぜか三日月につっこまれてしまった。どういうことだと頭をかしげるのを見て、これはダメだと三日月は深くため息を吐いた。

 

「ワイの・・・ワイの飯が・・・二つしかないワイの幸せの時間が無惨に消えてしもたで・・・」

 

「(絶対もう一つは体育の時間なんヨ・・・)」

 

見た目で判断しただろという意見はさておき、名札の色を見るに同学年だろう。少し大袈裟な気もするが、育ち盛りの中学生が、昼食縛りをするのはなかなかキツい。・・・次第に気の毒に思えてきた。

 

「・・・なあ、ちょっといいかな?」

 

「なんや?すまんけどワイはいま機嫌悪いねん。話しかけん方がええで」

 

わかってはいたが、かなり機嫌が悪そうだ。それに見た目とコテコテの関西弁が拍車をかけ、すごくガラが悪く見える。それでも赤城は用件を伝えた。

 

「いや、さっきパン買ったけど余ったからよかったら━━━」

 

「マジかいな!?ほな遠慮なくもらうで!!」

 

こちらが最後まで言い切る前にパンを奪い取り、ものすごい勢いで食べ進める。

 

「す、すごい食べっぷりだね・・・」

 

よっぽどお腹が空いていたのか、その食べっぷりは気持ちがよかった。そして一分とかからず、三つのパンをすべて食べきった。

 

「ごっそうさん。いやー、お前のおかげで助かったわ!危うく午後の授業で死ぬところやったで!」

 

「いやいや、そんな大袈裟な━━━」

 

「メシを嘗めとったらアカンで!ちゃんと食わんかったらぶっ倒れてまうわ!・・・せや!なんか手伝えることないか?」

 

こっちの話を聞き終わる前に向こうが話し始める。どうにもせっかちなようだ。しかし急に手伝えることと言われても・・・と、そこで閃いた。

 

「・・・そうだ!だったらサッカー部に入ってくれないかな!人数が足りなくて困ってるんだ!」

 

せっかく恩を返したいというのだから、ここはサッカー部に入ってもらおうと交渉を試みる。

 

「サッカー?うーん・・・すまんな、ワイは野球派なんや。野球おもろいで〜。特に京阪トラーズの選手はみんなカッコええで!」

 

だが、当の本人は野球派らしく、残念ながらサッカーには興味がないようだ。

 

「そっかー、俺は野球の方はあんまり詳しくないからなぁ・・・ごめんな」

 

「いやいやこっちこそパンをもろたのにすまん!この借りはまた別の機会に返すことにするわ!」

 

さっきの機嫌の悪さはどこへやら、笑顔で手を振りそのまま走っていってしまった。

 

「なんだか嵐みたいな人だったね」

 

たしかになんというか、豪快な人だった。そしてその後ろ姿が見えなくなったところで、赤城が思い出したかのような声をあげる。

 

「あっ、そういえば名前聞いてなかった・・・」

 

気づいた頃にはもう遅く、もうどこにも姿はない。まあ別に無理してまで聞く必要はないし、同じ学校かつ、同じ学年なのだからいずれまた会うだろうとその日は教室に戻っていった。

 

 

 

 

「くかー・・・くかー・・・」

 

「斧街先輩!起きてください!!新入部員が来ましたから!!」

 

放課後、新たに加入してくれた三日月の紹介をするために部室まで来たのだが・・・案の定眠っていた。

 

「話は聞いてたけど本当に寝てるんだね・・・」

 

嘘だと思ってきたのか、本当に眠っている斧街の姿を見て、三日月は呆れていた。しばらく攻防が続き、ようやく目を覚ました。

 

「うーん、おはよー・・・ん?増えてるねぇ。もしかして新入部員?」

 

目を擦りながら三日月の方に視線を向ける。

 

「はい!うちは三日月帝瑠です!よろしくお願いします!」

 

「おー、礼儀正しいねぇ。あたいは斧街雨海、よろしく頼むよ」

 

自己紹介を終えたところで、また斧街は眠ろうと顔を伏せた。それを赤城が起こそうとするいつものやり取り・・・と同時に━━━

 

 

 

 

 

「おう!邪魔すんで!」

 

━━━サッカー部の扉が勢いよく開けられた。

 

「うお!?なに!?」

 

「アカンなぁ、そこは邪魔すんねやったら帰ってって言わな。こっちもボケられへんで」

 

いったいそれは何の決まりなのだとツッコミたくなったが、いちいちそんなことをしていてはキリがない。それよりも・・・いったい何をしに来たのか、そっち方が気になった。

 

「ええっと・・・何しに来たんヨ?」

 

赤城の心の声を代返するかのように、三日月が質問する。そして、その質問がきた瞬間、それを待っていたと言わんばかりに男はニヤリと笑ってみせた。

 

「入部希望や!サッカー部志望、淀屋マサキ言います!これからよろしゅうたのんますで!」

 

「え・・・えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 

 

 

遡ること数時間前、お腹が膨れた彼は笑顔で教室まで戻っていった。

 

「ねぇ、マサキ君。機嫌いいけど何かあったの?」

 

淀屋マサキ。生まれも育ちも大阪、まさしく生粋の大阪人だ。趣味は地元のプロ野球チーム、京阪トラーズの応援をすること。サッカーへの興味は微塵もない。そんな彼に、クラスメイトの女子が話しかける。

 

「おう!なんやサッカー部のやつが空腹のワイにパンを恵んでくれたんや!あいつは絶対ええやつやで」

 

赤城が淀屋の名前を聞いてなかったことに気づいたのと同様に、彼もまた赤城の名前を聞いてなかったことに気づく。まあ同学年なら会うことは多いだろうと気にしないでいた。

 

「ふーん、サッカー部かぁ・・・えへへ、憧れちゃうなぁ」

 

「・・・なんやて?」

 

憧れる。女の子がニヤケ気味に発したその言葉を聞いた瞬間、彼の目付きが変わった。

 

「だって、豪炎寺君とか風丸君とかみんなカッコいいもん!憧れちゃうのは当たり前だよ!」

 

「なん・・・やと・・・ッ!!」

 

その時、彼の心は強い覚悟で満たされた。もっとも、今挙げられた選手がイケメンであるという事実を彼は知らない。

 

 

 

 

 

「まあ色々あったんや!何はともあれこれからは仲間やで!」

 

「ああ、もちろん!!よろしく!!」

 

そんな事情を知らない赤城は素直に喜ぶ。もっとも理由を知っていたとしても、人数が人数なので素直に喜んでいただろう。

 

「赤城君よかったね!サッカー部仲間が増えたんヨ!」

 

同じく部員が増えるとピョンピョン跳ね回って喜ぶ三日月。対して眠ろうとしていた斧街はというと、目を丸くして驚いていた。

 

「まさか一年がかりで一人しかスカウトできなかったのが一日で二人もスカウトしてくるなんて・・・明日は傘を持っていった方がいいかねぇ」

 

「何が言いたいんですか!?」

 

この日だけで部員が二人増える。少しずつではあるが物語は動き始めていた。




募集は今も活動報告にてやっとりますんで、よろしければ参加してください〜

ただFWとGKはもう充分ですかね。あの中から選ぼうと思ってます。送ってくださってもいいですが・・・採用は厳しいかと。まあ敵としての転用はできますけどね

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