ちなみに荒央中学の締め切りはだいたい1ヶ月を目処に考えています。ただし、早い段階で集まった場合は早めに締め切ります。なので送りたい方は定期的に覗いておいてください
双輝中学との試合から一日が経過。負けてしまったため、しばらく試合はない。今日から再び練習の日々となる。だが、もう既に練習は始まっているのにも関わらず、赤城は部室に残っていた。
「どぉーしたらいいのかなぁぁぁぁぁ・・・」
残っている理由は非常にシンプル、ただ単にこれから先のことで悩んでいた。
とはいえそうなるのも無理はない。あのチームは同地区の相手。つまり再び戦う可能性が非常に高い。しかもあれで地区ナンバー2の実力であり、まだ上がある。なんなら全国にはさらに強いチームがいる。
これが円堂守のような選手であれば面白い相手とまた戦えるという発想になるのだろうが、そんな化け物じみた鋼のメンタルを持っている選手は数少ない。どうしたらいいのかわからなくなるのも仕方のないことだろう。
・・・とはいえ、赤城のメンタルは少々低すぎる気がしないでもない。特に追い込まれた時のメンタルが低すぎる。
「何かいい作戦はないのか・・・?でも作戦あっても勝てるとは思えないし・・・そもそも思い付かないし・・・」
練習時間を増やせばいいのだろうか?だが、時間を増やすのにも限度がある。となると設備の強化が考えられるが、相手が相手とはいえ結果は一回戦敗退。そんなチームに充分な部費を用意してくれるとは思えない。
「これ勝ち目あるのか・・・?ここはもう来年に賭けるしか・・・いやそれだと先輩が卒業しちゃうし・・・みんなと一緒に頑張りたいし、迷惑かけちゃうし・・・」
「キャプテーン。あんたがサボっちゃだめだぞー」
「うおわぁぁぁぁぁ!?」
悩んでいると、練習しているはず(おそらくサボり)の斧街が声をかけてきた。いったいいつからいたのか、赤城は唐突に声をかけられ思わず叫び声をあげる。
その反応を見た斧街はこれが見たかったといわんばかりにケラケラ笑っている。
「いやぁ、それにしても昨日の試合は大変だったねぇ。ボッコボコにされちまったんよ」
「えっ、あっ・・・で、でもみんな諦めずに頑張ってましたよ!」
キャプテンが不安になっていたら、チームにも全体にも影響する。そう考えた赤城は、とりあえず何事もなかったかのように話を合わせておく。
「ふーん、
斧街の言葉で部室内の空気が止まる。しばらくの間、沈黙が流れた。この空気に耐えきれず無理やり言葉を絞り出す。
「な、なんですか・・・?」
「・・・まっ、なんでもないさ。それより早く練習に来なよ。サボって怒られるのはあたいの専売特許なんだからさ」
手をヒラヒラと振って部室から出ていった。とりあえずホッと一息つくが、肝心の勝てる方法は相変わらず浮かばない。
最初は楽しむことを第一にやっていたはずなのだが、いつの間にか芽生えた勝ちたいという気持ち。キャプテンの責任感からだろうか?
「・・・やるしかないかぁ」
こうして悩んでいる時間こそ無駄。その時間があるなら少しでも足掻くために練習した方がいい。頬を軽く叩き、気合いを入れ直してからグラウンドに向かった。
「キャプテン今まで何やってたんだよ?まさか・・・俺達に内緒で秘蔵のエロ本でも見てたんじゃねぇだろうな!?」
「なんやて!!そんなもんなあるんかいな!?一人だけサボってそんなもん見とるなんてズルいぞ!!」
「そんなものないからな!?誤解を生む発言はやめてくれ!!」
グラウンドでは他の選手がすでに練習を始めている。赤城もその中に加わり、東条の余計な発言を訂正してからすぐに練習を始める。
「・・・それにしてもメガトンヘッドとは、なかなか癖の技を覚えようと思ったんですね」
以前淀屋が使った技、メガトンヘッド。シュートブロックの技としてはなかなか強い反面、本来はシュート技のため通常のディフェンスでは使えない。DFとして使うには扱いがかなり難しい技だ。
「ん?あの技そんな名前なんか?」
「いや知らんってことはないやろ?メガトンヘッド覚えようとしてたんちゃうんか?」
「いや、あれはたまたまっすわ」
衝撃のカミングアウトに思わず絶句。淀屋いわく本当は別の技を覚えようとしていたらしく、メガトンヘッドはたまたまできたらしい。
そういえば、あの試合の時も自分が使ったにも関わらずなぜか驚いていた。たしかに何も知らずにヘディングして、いきなり何か出てきたらああいう反応になるのも頷ける。
「なら、本当は何を覚えようとしてた?」
「ガニメデプロトンって技っす」
「・・・じゃあメガトンヘッドは本当に偶然できたんですか?」
「せやな。なんかようわからんけど咄嗟にやったらできたわ」
淀屋は今まで運動をしていなかったため、基礎能力はあまり高くなさそうだが、意外とセンスがあったりするのだろうか?だとするなら今後期待できるかもしれない。
と、ここまでは良い解釈をした場合の話だ。
「ってガニメデプロトンもシュート技でしょ。DFのあんたが覚えてどうするのよ?」
問題なのは覚えようとした技だ。ガニメデプロトンはシュート技。もちろんDFがシュート技を覚えてはならないというわけではない。それにガニメデプロトンでシュートブロックというのもできないわけではない。
だが、基本的にはブロック技を覚えるのがベスト。結果として覚えたメガトンヘッドもブロックできるシュート技ではあるが、こっちは意図的ではなかったのでまだいい。問題なのは意図的に覚えようとしていた技がシュート技だということだ。
正直ロクな理由ではないだろうが、一応なぜ覚えたのかを言うように促してみる。
「だってかめ○め波みたいでカッコいいやん!」
やっぱりというか、人によっては頭を抱える返答をしてきた。しかし無理もない。策や利便性なんてクソ食らえ、カッコいいか否か。年頃の男の子にとってはこれが一番大事なのだ。
「こら!か○はめ波とか言うたらアカン!話がややこしなるやろ!」
「いやいや!あれどう見たってかめは○波やん!誰かどう見たって○めはめ波やん!」
「だからやめなさいよ!!色んな意味でまずいから!!」
前の試合でかなりの大差での負けたとあって落ち込んでしまうかもしれないと思ったが、そんなことはなかった。ちょっと騒がしくはあるものの、次こそは勝つとみんな練習に励んでいる。
「・・・よし!次こそ勝つぞー!!」
みんなが張り切っているというのに、自分がくよくよするわけにはいかない。とにかく練習をするしかないと奮起し、赤城も練習に本腰を入れる―――――
「お前らじゃ勝てないな。確実に」
――――――はずだった。
「・・・え?」
いつの間にかグラウンドに見慣れぬ男が入ってきていた。ボサボサの髪の毛、悪い目付き、そして気だるそうにした態度。こう言うと悪いが、明らかに不審者にしか見えない。少なくとも赤城にはそう見えた。
「ちょっと!誰よあんた!」
「なんだ知らんのか?俺はこの学校の理事長だ」
こんなことを思うのは申し訳ないが、こんな小汚ない理事長がいるわけがない。誰がそんなわかりやすすぎる嘘を信じるというのだ。赤城以外もそう思っているのか、皆が怪しむ視線を投げかけ・・・
「えぇ!?す、すみませんでした!」
・・・獅子神は将来詐欺にでも引っ掛かるんじゃないだろうか。いい子なのは間違いないのだが、それゆえにものすごく心配になる。一年の星見に至っては完全に呆れており、頭を抱えている。
「どう見ても嘘に決まっているよ。二年生にはまともな判断をできる人がいないのかな?」
双輝中との試合前に、自分のところも結構なイロモノなのではないかと疑っていた赤城であったが、どうやら本当かもしれない。しかし中にはまともな人もいる。一緒にするのはよくないだろう。
「う、嘘吐いたのね!?ますます怪しい!」
この嘘に限っては引っかかった方が悪い気もする。たぢそのことは一度置いておく。何はともあれこの謎の男が怪しいという点においては間違いないのだ。
「はっはっはっー!驚いたかサッカー部!」
謎の男に疑いの目を向けていると、どこからかバカみたいな高笑いが聞こえてくる。それと同時に二人の男女が姿を現した。
「技術工作部に現れた期待の超新星!
「同じく技術工作部の
カッコつけて盛大に登場してもらったところで悪いが、まったく聞いたことがない。名前もそうだが、そもそも技術工作部があったことすら知らなかった。
「なにっ!?技術工作部やて!?」
「知っているのか支倉先輩!?」
どうやら支倉はその存在を知っているらしく、やたらと大袈裟な対応をしている。東条もそれにならってわざとらしい反応をしていた。
「顧問こそいるものの部員は二名しかおらん!ほぼほぼ機能していないも同然!いわゆる幽霊部活動やな!」
「酷い言いようね!?そんなに言うことある!?」
「まあ全部事実で否定はできないんだけどな!悲しいぜ!!」
「・・・あっ、そういえば入江ってやついた気がする」
「まったく、同じクラスなのになんで天才である私の存在を忘れてるのよ!東条、あなたには私が天才である所以を話してあげるから後で来なさい!」
「あー、それ言われて思い出したけど太智って俺達のクラスにもいたや」
「そうそう、俺は赤城達と同じ二組だぜー」
「・・・なんで来たか話していいか?」
ここまで黙っていた技術工作部の顧問が口を開く。このままあの二人を喋らせても話が進まなさそうなので、話してもらうことにした。
「なら、その前に話しておこう。なぜ俺がお前らに勝てないと言ったか
これに関しては単純な話だ。元から持っている技術、残された時間、環境。何もかもがお前らにはない。ないない尽くしってやつだな」
「うぐっ・・・」
先程まで赤城が考えていたことだ。これに関しては紛れもない事実。このチームの何人かは初心者、経験者もいるが、長い間サッカーをしていなかったためブランクがある。
それを解決するのは時間だ。時間さえあればどれだけ下手だろうが、ブランクがあろうが問題ない。じっくりと解決できる。しかし、それも残り少ない。
時間がないなら、よりよい練習環境を用意すればいい。整った環境があれば効率のいい練習ができる。たとえ下手でも、時間がなくとも、これさえあればぐんと成長することができる。
だが、それもない。このチームには何もないのだ。
「・・・結局何が言いたいんですか?わざわざ私達を煽りに来たというわけではありませんよね?」
「その先はこの天才の私と、そんな私と部活ができる幸運な太智が説明してあげよう!!」
華咲の問いに対し、入江と太智の二人がポーズを決めて前に出る。ちゃんと説明してくれるのかものすごく心配だが、そんな心配を余所に二人は話を始める。
「我々技術工作部は現在部員が二人。一応顧問はいるし、この私天才のがいるけどさすがにこれだと部活としては認められない!そのせいで部費もまともに貰えず物を作ることもできない!
対してサッカー部は部員こそいるものの顧問がいない。いちいち誰かに頼むのも面倒だし、手続きとかも大変でしょう!!」
一応ちゃんと説明してくれているが、身振り手振りがいちいち大袈裟だ。それこそ演劇部にでもなったらどうだと言いたいが、話が進まないためここは我慢する。
「だからこそ合併を持ちかける!うちの顧問の
ようするに、技術工作部とサッカー部で合併をしようという提案だ。
たしかに合併すれば、向こうは一応形状の必要な人数が揃えられる。なおかつ足りない部費もこちらの分を使えばある程度補える。
こっちは正式な顧問を迎え入れることができる上に、役に立つかはさておきマネージャーが来てくれる。たしかに一見すると悪い話ではなさそうだが・・・一つだけ問題があった。
「・・・ちょっと待て、八割も持っていくんかいな!?」
こちらの分の部費を八割も持っていかれる。いくらなんでも横暴としか言いようがない。
「別に良いでしょ?ユニフォームとかはもう揃ってるし、あと買うといっても追加のボールとかドリンクぐらいじゃない?あっ、交通費に関してはちゃんと出すから安心よ!」
「いやボールだけでどうしろって言うのよ!?」
「こっちも設備とかがいるんヨ!!そんな余裕ないんヨ!!」
「せやぞ!せめてもうちょいまけんかい!!」
たしかに監督とマネージャーは欲しいが、部費八割は持っていきすぎだ。それにこれに加えてもう一つ要望があるというのだ。まだ時間はある。それなら頑張って監督を探す方を選ぶ。
「・・・俺を監督にしてくれれば強くなれると保証しよう。それなら悪い話じゃあないと思うんだが?」
だが、新凱は自分さえ監督にすれば確実に強くなる。何か確信があるような含み笑いもしている。ハッタリのような気もしない。
「・・・ひょっとして、昔すごい選手だったんですか!?」
実はこの人がかつてはすごいプレーヤーで、効率の良い練習方法や緻密な戦略を立てられるというのなら話は変わってくる。
それならばぜひ監督になってもらいたい。八割持っていかれるのはやはり痛いところではあるが、もしすごいプレーヤーだったというなら良い機材を無理に買う必要はなくなるため、対等な等価交換となるだろう。
「いや、まったく」
しかし、そんなことはなかった。なんならサッカーどころか運動ですらほとんどしたことがないという。
「・・・なら、どうやって俺達を強くするんです?申し訳ないが信用できません」
黒鉄の言うとおり。それでどうやって強くなれるというのだ。部費徴収のために適当なことを言っているとしか思えない。
「・・・あなたが監督になったら、勝てるようになるんですか?」
だが、それでも赤城は話を聞くことにした。
「勝負事に絶対はないからな。勝てるとは言えん。だが、このままやるよりは強くなれるというのは保証しようか」
具体的な方法を言ってこず、濁している時点でかなり怪しい。それでも赤城は首を縦に振った。
「・・・わかりました!お願いします!」
「えぇー。キャプテン、本気かい?」
「怪しいのはわかってます!でも、可能性があるなら賭けみてもいいんじゃないですか?」
決して疑っていないわけではないし、正直信用はまったくしていない。だが、普通にやっても予選で負けてしまう可能性の方が高い。ならば、多少のリスクを負うことが必要になってくる。
「・・・まっ、キャプテンがそう言うんならしゃあないな。ついていったるか!」
「私も賛成だ。本当に強くなれるのなら、このチャンスを逃すわけにはいかない」
「仮に何かあれば抵抗するだけだ。問題ない」
ちょっと物騒な声も聞こえてきたが、みんなも納得してくれた。見た目が怖かったりおちゃらけたりすることもあるが、本当にみんな良い人だ。
「おっし!決まりだな!それじゃあ行くぜ!」
「行くって・・・どこに行くんだ?」
「なに、来たらわかる」
そう言うと、新凱は不敵な笑みを浮かべて歩いていった。
不自然に思いながらも、みんなで新凱の後についていった。学校を出て、そこそこの距離を移動し、たどりついたのは・・・
「あの・・・ここって遊園地ですよね?」
ナニワランド、大阪の有名なテーマパークの一つ。観光名所として人気のスポットだが、これといってサッカーに関係があるような施設ではない。
「やっぱり騙したのね!!怪しいと思ったわ!!」
「・・・騙すのは、よくないです」
「くそー、俺達を騙しやがって!でも折角来たからには遊んでいかないと失礼だから遊んでいくぞ!もちろん全部奢ってもらうからな!」
「まずはジェットコースターからや!それが終わったらバイキング、あとはせやなぁ・・・」
「おっとビックリハウスも忘れたらあかんで!何かあったらいつでもあねさんに抱きついてええからな!」
「後ろ三人、本当は遊びたいだけだね?」
「ちょっと!遊びじゃないのよ!・・・ま、まあたしかに楽しそうだけど・・・」
「おおっと、キミもあっち側なのか?」
「まあ待て、黙ってついてこい。金は払ってやる」
そんなわけで入場料は新凱が支払い、中へ入る。ジェットコースターや観覧車など定番のものからよくわからないものもあり、数名は目を輝かせていた。
しかし新凱はそんなものには興味がないのかさっさと歩き、辿り着いたのは・・・先程支倉も言っていたビックリハウスだった。
「さすが監督さんよくわかってるやん!じゃあまずは誰と組むか決めなあかんわな!誰かくじ引きとかできるもん持ってへんか?ないならあねさんが決めさせてもらうで!とりあえず斬君とマサキ君でペアな」
「なして!?なしてこいつなんかと一緒なんですか!?」
「こんなんは女の子とペア組むんが普通やろ!?なんでよりにもよってこいつやねん!?」
ギャーギャー騒いでいるあっちはもう放っておき、残ったメンバーがビックリハウスについて話し合う。
「・・・ふむ、たしかここはそれなりに怖いと有名なビックリハウスだね」
「ほう、ワシはあんまり詳しくないんじゃが・・・そんなに有名なのか?」
「もちろん日本一とかそういうわけじゃないけど、こういうテーマパークの中ではそこそこ怖いって評判なんヨ。ま、まあ・・・私は全然平気なんヨ・・・?」
「・・・本当?」
「ウソナンテツイテナインヨ」
「そこそこか・・・なんか、近いものを感じるなぁ・・・」
そこそこというのが絶妙に中途半端。赤城は悲しながら親近感を覚えてしまった。
「・・・なんや獅子神。震えとるけど・・・まさか怖いんか?」
「は、はあ!?べ、べつにぃ!!怖くなんてないけどねぇ!!」
抗議から戻ってきた淀屋が獅子神に声をかける。本人は平気だと言っているが、話しかけられた瞬間にビクッしており、声も足も震えている。説得力はまるでない。
「・・・わっ!」
「ひやぁぁぁぁぁ!?・・・東条!!!あんたねぇぇぇぇぇ!!!」
「ちょっ!悪かったって!あやまいででででで!?」
「・・・俺たちの目的はそっちじゃない。こっちだ」
余計なことをして獅子神にシメられている東条はさておき、新凱はビックリハウスの隣にある茂みの中を歩いていく。赤城たちもそれについていく。
「・・・階段?」
「作業員用の裏口か?それにしては随分とわかりにくいところに・・・」
赤城達が不審に思うのを他所に、勝手に入っていく。正直入っていいものなのかとは思ったが、しょうがないので中に入る。
「なんだか不思議な部屋だね。食べ物の匂いは・・・しないか」
「・・・さすがにこんなところにはないと思いますよ」
ここは物置なのだろうか?色々なものが置かれており、さらに青空が描かれたのどかな絵が飾られてある。
「さて、お前ら。やってこい」
新凱の指示で、入江と太智の二人が奥にある装置を動かす。すると何かが動く音がし、壁の絵が青空から夕暮れの景色に変化した。
「あとはまた階段から移動すればいい」
「あの、それだと外に出ますよね?」
「大丈夫よ!この私を信じなさい!」
同じ階段なのだから外に出るだけのはず。疑問に思いながらも入江に押される形で階段を移動する。
「・・・っ!これは!?」
本来なら外に出るはずだというのに、階段を移動してたどりついたのは外ではなく、どこか前衛的で形容しがたい不思議な部屋だった。
「次はここだな。ついてこい」
「は、はい・・・」
さらに部屋にある装置を操作し、奥にある謎の乗り物に乗って下へと移動する。そこには様々なトレーニング機材に加え、よくわからないがすごそうなものがあった。
「こんな場所があったのか・・・?」
「ふっふっふっ、驚いたでしょう!私のような天才でなければ見つけられなかったわ!」
胸を張って自分の天才アピールをしてくる入江。新凱は面倒だったのか相手にせず、ここについての話を始めた。
「ここはたまたま遊びに行っていた入江と太智が見つけてな。最初見つけたときは何の施設かはわからなかったが、調べていくうちにサッカーの練習をする施設だということがわかった」
「それで研究魂に火が着いて詳しいデータを取りたかったんだけどさぁ、俺達はサッカーなんてしたことない!いやー、困ったもんだぜ」
「・・・なるほどな。さっき言ってたもう一つの要望はデータ収集の協力か」
「そういうことよ!それぐらいなら構わないでしょ?別に不利益があるわけじゃないし!」
部費こそほとんどなくなってしまうが、たしかにこれなら部費もほとんど必要ないだろう。こちらが惹かれ始めたのを察してか、新凱はこちらをノリ気にさせるべくある情報を話す。
「一つ良いことを教えてやろう。実はあの雷門中学もここで練習したことがある」
「えっ!?」
雷門中学。もちろん知らない人はいないだろう。イナズマイレブンの再来と言われ、新たな伝説を作り上げたチームだ。
全国大会で優勝し、エイリア事件では中心となって事件を解決、さらには多くの選手が世界大会に選出されるなど、まさに伝説のチーム。そんなチームがここで練習していた・・・それならば、自分達もかなりのパワーアップが見込めるだろう。
「・・・まあただの噂だかな」
「いや嘘なんですか!?」
まさかの嘘に数名はお手本のように綺麗に転けた。あまりにも真剣な表情と真面目なトーンで話していたものだったため、普通に信じてしまったのだ。そんな期待できる嘘は吐かないで欲しい。
「そんな反応をするな。なんでもここは宇宙人の基地だとか強化人間を作り出すための施設だとか眉唾な噂しかたってない。それに比べれば俺のはまだありえそうな噂だろう」
そう言って悪びれもせず、頭をポリポリと掻いている。そういえば宇宙人というと、昔エセ宇宙人が襲撃してきたというニュースもあった。それからもう四年も経つ。時の流れは早いものだ。
「でも使えるのかしら?結構古そうよね、これ」
いつからあって、いつから使われなくなったのかはわからないが、それなりに時間が経っているのかところどころ古びているところがある。
「そこは安心してくれ!今俺達が修理してるところだぜ!」
「おそらく今月中には完全に直るわ!さすが私!見慣れないものでも直すことができる!まさに天才!!」
さすがは技術工作部・・・と言いたいところだが、これは技術工作の範囲なのだろうか?いささか疑問ではあるが、この際気にしてはならない。
「ただここでの練習はおそらくかなりハードなものになる。それでもやるのか?」
まだ全容はわかっていないが、普通ではないのはたしか。間違いなく厳しい練習になるだろう。しかし、それでも答えは決まっている。
「・・・もちろん、俺はやります!!えっと・・・みんなもいいか・・・?」
というより、普通にやっても勝ち目がないのから実質選択肢はない。やるというよりやるしかないという表現の方が正しい。
「私は構わない。厳しい方が特訓になるからな」
「それに面白そうだし、むしろ楽しみなんヨ!」
「秘密基地的なやつは男のロマンや!テンションあがるでぇ!!」
そんな赤城の本心は露知らず、むしろみんなは楽しみにしている。
「決まりだな、それじゃあ今日から俺が監督だ。まあザッカーはほぼ知らんから試合のときは自由にやってくれ」
なんとも無責任だが、練習施設を見つけてくれ、使えるようにしてくれるだけありがたい。新凱監督に感謝し、これからの構想を練ることにした。
雷門の成長は元のセンス、諦めない心とかも大きな要因だったのでしょうが、やっぱりイナビカリ修練場の効果も結構あったと思います。で、何か近いものはないかなーと思ってたら・・・あったんですよねー、かなり都合のいいものが
これで理論上はイプシロンぐらいの力を付けられますし、なんなら改造するからさらに強くなれる・・・はず。もちろんついていけたらの話ですけどね