ところで、ナニワ地下修練場の存在って公に明らかになってるんですかね?試合は全国中継されてましたけど・・・政府は全部知ってて一般人には場所までは公開してない感じですかね。廃棄した施設とはいえもし公開したらナニワランドがめっちゃ叩かれそうだし、営業面やらなんやらで影響出そうなので場所とかは不明ってことで済ませてそう。まあ詳細はわかりませんがそういうことにしておきます。じゃないと話がややこしくなる。ガバガバですが許してください!なんでもしますから!
輪成中学と荒央中学の試合から数日後。城翔中学のサッカー部室にはいつものサッカー部の面々に加え、技術工作部の二人の姿があった。
「あの施設の設備は全部直しておいたから、これからはいつでも使えるわ!ふっふっふっ、ここまで来ると私の才能が怖い!」
例の修練場にあった設備をすべて直し終えたようで、今回はその報告にやって来ていた。相変わらず謎の自信に満ち溢れているが、そこは気にせず直してくれたことに感謝しておく。
「そうか!ありがとう!これで一気にパワーアップできるはず!」
ただこう言ったものの、不安がないわけではない。たしかにあそこには色々置いてあったが、本当にあれで成果が出るのかは定かではない。
そもそもあの施設が何のため物かわからない。いくらかはスポーツのトレーニング器具らしきものがあったが、パッと見た感じほとんどがよくわからないものであの施設がサッカーに関係あるとは到底思えない。雷門が練習していたとかいう噂もあるらしいが、冷静になって考えると信じられない。
とはいえ他に方法がない以上、この修練場に賭けるしかないのだ。
「ついでに追加機能も用意しといた!これで通常よりもさらに強くなれるぜ!」
「追加機能・・・なんやそれ?」
「それは実際に行ってからのお楽しみ!というわけだから今は秘密ね!でも期待していいわ!」
どうやら二人もただ直すだけではなく、色々と試行錯誤してくれたらしい。部費はかなり持っていかれたが、頑張ってくれたのなら何も問題はない。
「へぇー、それは楽しみなんヨ!」
「・・・わざわざ付けてくれたのか。助かる」
話を終え、メンバー全員でナニワランドへと足を運ぶ。本当は技術工作部の二人と一緒に行く予定だったのだが、二人はまだ少しやることが残っているらしい。
そういうことで二人は用事を終わらせてから行くことになった。待っていてもいいのだが、時間がかかりそうとのことでサッカー部は先にナニワランドに向かった。
「・・・で、来たはいいけどこれってどうやって使うんだろ?」
先に修練場に来たまでは良かったのだが、使い方がいまいちわからない。説明書らしきものはなく、技術工作部の二人もいないため説明してくれる人もいない。
「適当にやったらなんとかなるんじゃね?」
「待ってても仕方ないもんね。やってみるんヨ」
とはいえ、あの二人がいつこっちに来られるのかはわからない。ただただ待っているのは時間の無駄、自分達で何とかかしてみることにした。
「あっ、あれとかどうかしら?」
見たことないものが多いためいまいち使い方がわからない。そんな中、獅子神が指を差したのがランニングマシン。たしかにこれなら使い方もおおかた把握している。
「はぇー、でっかいランニングマシンやなぁ。いくらぐらいすんのやろ」
「こんなものがあるとはのう。これは期待できそうじゃ」
たしかにこれだけ大きいと値段も高そうだ。それをタダで使えるのはありがたい。前に使っていた人はこんなにも大がかりな施設をなぜ放置してしまったのだろうか?
「みんなー、そっちの準備はええかー?」
しかし、そこは考えても仕方がない。答えは出ないだろうし、出たとしても何かになるわけではない。最初にこの施設を作った人に感謝しつつ、早速使ってみることにする。
まずはMFの面々で超大型のランニングマシンに乗ってみる。乗ってみた感じは特に違和感はない。ただ大きくなっただけのランニングマシンという印象だ。
「はい!大丈夫です!」
「よっしゃ!合図はうちが任せとき!よーい、ドン!
・・・って言ったらスタートすんねんで」
「そんな古典的なのはいいですから!」
伝統のフェイントを一度挟みつつ、今度こそスイッチらしきものを押して起動。まず最初はゆっくりと動き始める。
「ふーん、ちゃんと動くみたいだね。安心したよ」
「・・・詐欺じゃないみたいだな」
どうやら宣言通りしっかり直してくれたらしい。正直半信半疑でもあったため、しっかりと動いてくれたことでひと安心。観戦しているメンバーも納得の表情を浮かべている。
と、安心していたのだが・・・
「でも・・・なんか、あれだな・・・」
「普通ね・・・?」
何か変わった機能があるというわけではなく、ただ走るだけ。大きいということ以外には何もない。本当にただ走るだけ、ようは普通のランニングマシンだ。ここにはヤバい物もあるとか聞いていたので正直拍子抜けだった。
「まあいいんじゃない?これでも今までよりは効率的になるし」
とはいえ華咲の言うとおりである。ボールだけでの練習ではやはり限度がある。それに複数人同時に練習できるなら普通のものよりも効率が良い。これでも別に問題はないとしばらく走り続けていた。
「・・・って、なんだ!?地震か!?」
何事もなく進んでいたが、突然地面が揺れ始める。まさかこのタイミングで地震でも起こったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
「いや、これは地震の揺れとは違う・・・なるほど。マシンが傾いて、坂状に変化しているみたいだよ」
「へぇー、やっぱり普通じゃなかったのね。面白いわ!」
やはり普通のマシンではなかったらしく、途中から大きな変化が表れ始める。スピードアップはもちろんのこと、角度が変化して坂になる。また、障害物が出てきたりと常に角度が変わってバランス感覚が必要になったりと、このランニングマシンには通常ではありえない機能が搭載されていた。
「これ以外の機材にも何かしら機能が付いているのか・・・面白い。これなら今度こそやつらを叩き潰せる」
「・・・これなら、あの頃の自分に追い付けるかもしれない・・・!」
と、観戦しているメンバーが口々に感想を述べるなか、東条だけはまったく別のものを見ていた。
「おいおい、何見てるんや?水着のねーちゃんでもおったか」
「だったら良かったんだけどよ。それはそうと、これってなんだと思う?」
東条が指差した物を見る。そこにはご丁寧に『絶対に押すな!!』と書かれたボタンがあった。ボタンのカラーも赤色で、周りは黒と黄のストライプと明らかにヤバそうな仕上がりになっている。
「何って・・・ボタンやろ」
「いやバカにすんな。それぐらい知ってる。そうじゃなくて、これって押していいやつだと思うか?」
ここまで危険そうで押すなと書かれていると逆に好奇心がそそられる。だが、やっぱり押してはいけないか?と躊躇う。迷った東条は淀屋に押してもいいか聞いてみる。
「せやろな。これは押さなアカンやつや」
これを聞いたのが麻宮や千景ならば、危険だから押さない方がいいと至極真っ当なことを言っていただろう。だがしかし、東条はこれを淀屋に聞いてしまった。
押すなは押せの合図。淀屋は子供の頃から大阪特有の英才教育でそれを学んできた。つまり、淀屋にはこれが押せにしか見えていない。また、支倉も同じく、これが押せに見えている。
「うちもそう思う。絶対に押すなは押せやでって習った」
「なるほど・・・」
とはいえ危険と書かれている以上、自分達が勝手に押すわけにはいかない。というわけで、現在走っている面々に聞いてみることにした。
「キャプテーン、ちょっといいか?」
「な、なんだ?今は、あんまり話しかけないでほしいんだけど・・・」
しばらく走り続けているため、さすがに疲れが出始めている。できることなら手短に、なんなら話しかけないでほしかった。
「いやさー、ここに危険だから絶対に押すなってボタンがあるんだけど押した方がいいか?」
「えっ・・・危険・・・?」
さすがに危険と言われては放っておけない。すぐに返事を出そうとしたが、赤城は一旦考える。たしかにこの施設は得体が知れない。何の目的があって作られたのか、また何があるのかはわからない。そんなところにあるボタンなど、危険と書かれていなくても押すことはしないだろう。
とはいえここは遊園地の地下。小さな子供が見つけたりする可能性がある以上、あまりにも物騒なものが用意されているとは考えにくい。それに、もし本当に危険なら技術工作部の二人が取っ払ってくれているはずだ。
しかし、わざわざ危険と書いている辺り決して良いことは起こるとは思えない。それに、今無理に確認せずとも、自分達が降りてから何が起こるのかを確認すれば良いだけの話だ。
「・・・わかった。とりあえず今は押さないでくれるか?後で確認するからさ・・・って、マジでキツいなこれ・・・」
「・・・押さないでええんやな?」
淀屋が返事を再度確認するが、問題はない。後で確認すればいいのだから、これは押さないのが適切な判断だろう。それよりも疲れているから声を出したくない。
「そうそう、頼むから押すなよ?」
「あいよ、わかったわ!
東条、押せ」
押すな押すなは押せの合図。フリとは怖いものである。
「任された!!」
「なあ話聞いてた!?」
結局この会話はなんだったのか、あれだけ押すなと言ったのに東条はスイッチを押した。たまらず赤城は声を出した。
「・・・この音は?」
ガコン!!と何か重い物が動く音が聞こえたかと思うと、後ろから嫌な金属の音が聞こえてきた。見ている面々も明らかに表情が凍りついている。
「・・・みんな。今すごく嫌な予感がするんだ」
「・・・奇遇ね。私もよ」
「ワシもそう思うのう。後ろから変な音がしとる」
怖いがこのままというわけにもいかない。覚悟を決めて、恐る恐る振り向いてみると・・・
「・・・なんで丸ノコがこんなとこにあんのよぉぉぉぉぉ!?」
真後ろで鋭い刃が音を立てながら回転している。頭がおかしいとしか考えられない機能だ。近代で拷問器具を作ったなら、このようなものになるが出来上がるだろう。
「うおぉ!?なんじゃあれは!?」
「ちょっと待って!?あれはヤバイってぇ!!死ぬ!!絶対死ぬって!?」
チームメイトの悪ふざけでお亡くなりなるなど冗談ではない。しかもこんなよくわからないところで死ぬなどごめんである。先程までの疲れはどこへやら、全速力で走り出した。
「みんな、パニックになるのが一番良くないよ。一度冷静になるんだ」
しかし、こんな状況でも佐原はいつも通り冷静で表情を変えることなく走っていた。それに続き、この光景を見ていた星見も呆れた様子で口を開く。
「あのねぇ、知られていないとはいえここは遊園地の地下。そんな物騒なものがあるわけないよ」
たしかに言われてみればその通りだ。万が一誰かがこの施設に入り、システムを作動させようものなら誰が責任を取るというのだ。恐らくサボったりしないよう、おどすために用意された物だろう。
星見はやれやれと言わんばかりにゆっくりと刃の方に近づき、ポケットに入っていたハンカチをサッと丸めて刃の方に投げてみる。
結果、ハンカチは粉々に切断された。
「えっと・・・星見?」
「黙って走らないと死ぬよ」
「星見ィィィィィ!?」
いくら自分には関係ないとはいえ、見捨てるのだけは止めてほしかった。
どうやら押したタイミングが終盤だったらしく、あの後すぐにランニングマシン止まった。マシンが止まったことを確認するやいなや、乗っていたメンバーは転げ落ちるようにマシンから降りた。
「はぁ・・・はぁ・・・なぁなんで押したの!?俺押すなって言ったよな!?危うく死にかけるとこだったんだけど!?」
「いやーすまん!でもワイかてあんなことなるとは思わんかったし、なによりフリかと・・・な?」
「な?じゃないわよ!?そっちの悪ふざけで私達死にかけたんだからね!?」
「そもそもあの手のやつは押せと言ったら言ったで押すよね?キミ達最初から押すつもりしかなかったじゃないの?」
まあたしかにあれを予想しろというのも無理はあるが、だからと言って許されるわけがない。今後は止めろと言ったら止めるように言い聞かせなければならない。
「やっほー!思ってたより早く来れたぜー!」
「さーて、ちゃんと練習してるかしら?」
そこへ予定より早く用事を終えた入江と太智がやってくる。丁度いいタイミングだと、赤城はすぐに修練場の危険物を指差した。
「二人とも来てくれたか!ちょっと聞いてくれ!この施設とんでもないものが――――」
「おー、早速これ使ったのか!いやー追加して良かった!」
「だから言ったでしょ!危険だから押すなって書いとけば絶対に押すって!やっぱり私は頭脳明晰!最高ね!」
「ちょっと待て!これ二人の仕業か!?」
こんなにも危険なシステム、てっきり二人が確認をし忘れたのか、はたまた外し忘れただけだと思っていた。しかし、実際はその逆。二人がこの危険極まりない装置を追加で付けた犯人だった。
・・・そういえば追加で機能を付けたとか言っていたのを思い出した。
「死ぬ気でやれ!と言われても実際にはできないもの、そこで!!私達が特別に死ぬ覚悟でできるように改良を加えてあげたのよ!!素晴らしいでしょ!!」
「たしかに実際に死ぬ気でやる人はいないね。ただ、かといって本気で殺しかかるというのは聞いたことがないよ。改良というより改悪じゃないかな?」
「たしかに死ぬ気でやれとは言うけど、本気で殺そうとするやつがどこにいるんだ!?」
むちゃくちゃな理論に対し、佐原は冷静に指摘、赤城は本気で反論する。そしてもう一つ、あることに気づいた。
「・・・って、まさか他にもあるのか!?」
その嫌な予感を裏付けるように、入江は良い笑顔で頷いてみせた。
「もちろん!キーパーに向かって飛んでいくボールが三回に一回ぐらいの割合で鉄球になるとか、一回シュートを決められなかったごとに横の壁が迫ってくるとかの仕掛けを追加してあるぜ!」
「あとは自動で戦ってくれる人型のマシンね!見事に勝利すると何もないけど負けてしまうと大・爆・発するシステムが付いてる!これは特に自信作!!」
素晴らしい技術である。しかし、どんなに素晴らしい技術でも使い手がこれでは宝の持ち腐れ・・・なんなら腐りすぎて兵器と化している。
「とりあえずキミ達の頭の中は危険思想で埋め尽くされているということがわかったよ」
「そんなシステム今すぐに取っ払いなさいッ!!」
当然怒る獅子神、そして後ろで東条があぶねぇ・・・と肩を撫で下ろしていた。さすがの東条も一歩間違えれば大怪我となるようなものに対しては、いつものように余裕な対応はできない。
「何を言ってるの!!あなた達はフットボールフロンティアを勝ち上がりたいんでしょ!!それなのに楽して強くなろうなんて思ってるの!?
楽して強くはなれない!それなりの覚悟を決めるべき!!現にこれなら常に死ぬ覚悟で練習できるから短期間で力を得ることができる!!麻宮!!あなたはパワー不足で悩んでるんでしょ!!だったらこれぐらいは乗り越えないと!!」
「それに盤上先輩は筋肉付けたいんですよね!だったらこの特訓はおすすめっすよ!!死ぬ気でやるから身体に自然と限界まで負荷がかかるから筋肉が付きやすくなる!!」
「・・・た、たしかにその通りかもしれない。楽しながらでは強くなれない。多少のリスクは・・・」
「ほう、効率的に筋肉がつくじゃと・・・?それは面白いのう!!」
「涼華ちゃん!盤上!騙されたらアカンで!これは特訓やない!ただの拷問や!」
自分に厳しいストイックな性格に加え、パワーが足りないという本人も気にしている点を指摘され、麻宮の心が揺れる。また、盤上もさらにパワーが付くという言葉に反応するが、こんな練習をやってたまるかと支倉が二人を止める。
二人が止められたとみるやいなや、今度はターゲットを赤城に変える。
「キャプテン!!あなたもキャプテンらしくもっと実力付けなきゃって思ってるんじゃないの?だったらこの特訓をやるべき!!これなら嫌でも死ぬ気で練習できるから、パワーアップも一瞬!!私と同じく天才になれる!!」
「うっ!?そ、それはたしかに・・・魅力的というか・・・」
「ちょっ、キャプテン!あんたもかい!?」
「ワイも手伝うから誰かあのアホを止めるんや!!」
「よっしゃ任せろ!!俺のキラーブレードで暴走を止めてやる!!」
「斬君が止めるのはボールだけでいいんヨ!?」
たしかにチームをまとめるキャプテンが弱くては話にならないと、こっちもこっちで指摘されて流されそうになっている。斧街がすぐにやめるよう説得にかかり、他も便乗してもうてんやわんやである。
結局二人は納得こそしなかったが、危険物はちゃんと撤去され、無事に普通の練習ができるようになった・・・が、今後また付けないか心配である。
死ぬ気でやれよ、死なないからって言葉があるらしいんですよね。どうせ死なないから死ぬ覚悟を持ってやってみろみたいな話でしたが、じゃあマジで死ぬような状況下ならさらに効率が良くなるのでは?という悪魔じみた発想
まあでもイナイレってたまにギャグアニメみたいなノリも入るし死なないでしょ。だってほら、足に炎纏っても平気だし、爆発食らっても平気だし、ハリケーンクラスの暴風食らってもブッ飛ばされてもしばらく倒れるぐらいだし、なんならゲームだとスーパーノヴァで街破壊してるのにそれを普通に止めてるし・・・超次元ってすごいね(思考停止)
それではまた次回、敵キャラの募集も興味があればよろしくお願いします!