イナズマイレブン 〜熱き太陽の導き〜   作:チェリブロ

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というわけでお待たせしました!イナイレ新年初投稿です!今年も頑張って投稿していきたいと思います!

・・・それにしても、あのセンター試験から一年が経つのか。去年が懐かしいなぁ・・・あの人参テロは許してはいけない


捨てた夢をもう一度

「よし、後ろは任せてくれ。ここから先へは行かせない」

 

「・・・ここは僕らで止めます」

 

フットボールフロンティア優勝。無謀にも思える目標を掲げ、毎日練習に励む。

 

「佐原先輩!ここは任せます!」

 

「ふむ、こちらが隙だらけ。通らせてもらおうか」

 

サッカーコートには、十三人の人影があり、それぞれ練習に励んでいる。

 

 

 

 

 

・・・そう、十三人である。

 

「おう!ここはワシに任しとけぇぇぇ!!」

 

見るからに筋肉質なゴリラ・・・もとい男が佐原の前に立ち塞がる。

 

いったい何があって、こんなことになったのか?まずはそのことについて軽く説明しておこう。

 

 

 

 

 

「キャプテン、今日はどんな練習するんだ?」

 

「そうだな・・・試合慣れしたいし、たまにミニゲームとかも練習に組み込んでみるか?連携とかの勉強になるし・・・」

 

ある日の放課後、特に何かおかしいことが起こることもなく、いつものように部室に入ると━━━

 

「ワシは盤上豪!ワシが入ったからにはもう安心じゃ!ガッハッハッ!」

 

━━━謎の人物が豪快に笑っていた。

 

「・・・は、はい?」

 

「なんじゃ?せっかくワシが来てやったんだからもっと喜ばんか!」

 

来てやったと言われても、そもそも呼んでないし、それ以前に誰なのだ?

 

もしかすると誰かの知り合いなのかもしれないと思い、他のみんなの知り合いなのか聞いてみたりもしたのだが・・・誰も知らないという。

 

・・・本当にこの人は何者なのだ?

 

「すみません、どちら様で?」

 

「うむ!ワシは盤上━━━━」

 

「あっ、それはさっき聞いたんで結構です」

 

そこではない。名前はたしかに大事だが、今重要なのはそこではないのだ。

 

「えっと、入部希望ということでいいんですよね?」

 

「そうじゃ!ワシは入部希望の盤じ━━━━」

 

「そこはもう結構です。盤上先輩でよろしいでございますよね?」

 

訳がわからなすぎて、最後は自分でもよくわからない言葉遣いをしてしまうぐらい困惑した。

 

対して盤上は、珍しく動揺している赤城のことを気にすることなく話しかけてくる。

 

「これからよろしく頼むぞ!!ガッハッハッハッ!!!」

 

「は、はあ・・・」

 

 

 

 

 

とまあそんなことがあり、盤上は入部することになった。

 

はっきり言って不安しかなかったのだが、意外にも安定しており、特にパワーを活かしたプレーは目を見張るものがあり、期待できる。

 

・・・それよりも問題なのはこっちだ。

 

「ちょっ!?起きてくださいってば!」

 

「うぅん・・・あっ、おはよー」

 

赤城はベンチでぐっすり眠る斧街を起こす。ここまで堂々とサボっていると、もはや清々しい・・・わけがない。

 

「十一人揃ったら練習するって言ったじゃないですかぁ!」

 

「えー、ちゃんとしたじゃないか」

 

「いやいや!!三十分ぐらいしかしてないじゃないですか!?東条が捨てられた子犬みたいな目でこっち見てますよ!?」

 

「斧街先輩ぃぃぃぃぃ!!俺はいつまでも待ってますよぉぉぉぉぉ!!!」

 

「まあまあ、焦ってもしょうがないよ。のんびりとやればいいんじゃないかい?」

 

東条の叫びも虚しく、ご丁寧にマイ枕を取り出しまた眠る準備をし始めた。・・・いや、あの枕どこから取り出した?

 

「おーきーてーくーだーさーいーよぉぉぉぉぉ」

 

どこから取りだしたかはさておき、必死に揺さぶって起こそうと試みるが、なかなか起きてくれない。どうしたものかと頭を悩ませていると・・・

 

「・・・・・・」

 

見知らぬ男が見るからに不機嫌そうな顔をして、グラウンド内に入ってきた。

 

「・・・?あのー、俺達が使ってるんで関係ない人は・・・」

 

「・・・やる気がないならやめたらどうだ?他のやつの目障りだ」

 

赤城の制止を無視し、男は斧街にはっきり目障りだと言い放った。

 

「・・・部外者に言われる筋合いはないと思うけどねぇ」

 

対して斧街も負けじと言い返す。元を辿ればサボってる斧街が悪いのだが、見知らぬ人にいきなり罵倒されたら機嫌も悪くなるだろう。

 

「・・・なら、俺と勝負だ。俺が勝ったらちゃんと練習しろ。負けたらサボるなり勝手にするんだな」

 

「・・・随分と自信があるんだねぇ。いいよ、その勝負受けようじゃないか」

 

 

 

 

 

 

「はわわ・・・とんでもないことになってるんヨ」

 

先程まで平和な空気で練習していた。だが、謎の男の乱入により周りの空気が一気に殺伐としたものとなり、みんなも心配そうに・・・

 

「おおええぞー!どっちが勝つか賭けた賭けたー!」

 

「じゃあ俺は斧街先輩が勝つって方に、赤城院の魂を賭けるぜ!」

 

「あんたらは何やっとんねん!?」

 

・・・意外とそうでもなかった。みんなこの状況を結構楽しんでいる。

 

別に仲が良いのは悪いことではないので、別に止めたりはしないが・・・勝手に人の魂を賭けるな。

 

「お前が持っているボールを奪ったら俺の勝ち。逆に俺が奪えず、ゴールを決めたらお前の勝ちだ」

 

勝負方法は極めてシンプル。斧街からボールを奪ったら相手の勝ち。

 

逆に奪われることなく、斧街がゴールを決めたら相手の負け。ただそれだけだ。

 

そして使うスペースはサッカーコートの半分の領域。一対一で戦うには広いかもしれないが、お互いそれでいいというので、変更はない。

 

「・・・始めるぞ」

 

「ああ、さっさと始めようか」

 

それぞれルールの確認を済ませ、いよいよ二人の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

「・・・そらよっと!」

 

「ふん、その程度で抜かせると思ったかッ!!」

 

僅かな隙を見つけ、ゴール近くまで攻め上がろうとする斧街に対し、男は的確に立ち回り、前に行かせない。

 

「・・・これでどうだッ!!」

 

「おっと危ない!」

 

そしてただ前に行かせないように突っ込んでくるだけでなく、ボールを奪うことのできるチャンスを待っている。

 

「チッ、もう少しだったんだがな」

 

「なるほど、言うだけのことはあるみたいだねぇ」

 

動きに翻弄されることなくついていき、抜かそうとしても先を読んでいるかのように前へ行かせない。

 

明らかに素人の動きではないのがわかる。経験者、それもなかなか腕が立つ選手なのは明白だ。

 

「なら・・・これはどうだい!!」

 

だからといって、現役のサッカー部が負けたら話にならない。

 

いったん後ろに下がると、ボールを空へ向かって蹴りあげる。さらに自身もボールを追うように跳躍。

 

「自分では正面からの突破は無理だと判断、だから相手の上を飛び越えていこうという魂胆だね」

 

「はい。斧街先輩はスピードに関しては低い部類に入ります。テクニックも高いわけではありませんし、不意をついて上から突破しようとするのは妥当な選択ですね」

 

斧街のプレーを見て、真面目に分析する千景と星見。

 

「見てみい東条!!斧街先輩の胸がめっちゃ激しく動いとるで!!あんなん今まで見たことないぞ!?」

 

「クソッ!なんで俺はカメラを持ってきておかなかったんだ!?圧倒的後悔ッ!!人生の汚点ッ!!一生の不覚ッ!!」

 

同じく斧街を見ているが、まるで着眼点の違う東条と淀屋。

 

「・・・もうウチはツッコミせぇへんからな?あとは頼れる後輩に任せるけどそれでええな?」

 

「先輩!?あれをなんとかしろって言うんですか!?頼られたいといっても限度がありますよ!?」

 

そんなバカ二年生ダブルスの相手に疲れ、後輩にバトンを押しつける支倉と、手に余るバカを押しつけられて動揺を隠せない獅子神。

 

こうしてみるとふざけているところもあったが、この時全員が共通して斧街が勝つと思っており、善戦はしたものの男の方が負けたと思っていた。

 

 

 

 

 

だが・・・男は諦めていない。いや、上に飛んでくれたのは、彼にとってはむしろ好都合だった。

 

「・・・くらえ」

 

足をゆっくり後ろに引き、風を纏わせる。そして、暴風を纏わせた足を相手の方に向かって振りだした。

 

「サイクロン!!」

 

静かに集まっていた風が、斧街の真下で荒れ狂う竜巻へと変化し、その辺り一帯が強風地帯へと変貌する。

 

「・・・えっ?ちょっと!?必殺技が使えるってのは聞いてな━━━」

 

急いで足に力を入れようとしたが、彼女は現在空中にいる。力を入れて踏ん張ろうにも、そのための場所がどこにもない。

 

耐える間もなく易々と吹き飛ばされ、その際にボールも別の方角へ飛ばされてしまう。

 

「・・・決着だ」

 

最後に飛んでいったボールを男が確保し、ゲームセット。

 

あまりに一瞬、思わぬ形で決着がついた。

 

「い、今のって、必殺技・・・だよな?」

 

「ありゃサイクロンじゃな。帝国学園あたりが使うシンプルかつ強力な技じゃ」

 

相手の足元から竜巻を発生させ、吹き飛ばす。その隙にボールを奪う。

 

本来は相手が地上にいるときに使うのだが、相手が空中にいるときに使えば今のように避けようがない。より有効的に使えるというわけだ。

 

「・・・あっはっはっ!いやー、負けちまったねぇ。こいつは予想外だよ」

 

最初は斧街もキョトンとしていたが、自分が負けたことを再確認すると笑いだした。ここまできれいに負ければ悔しさもなく、むしろ爽快だった。

 

「さあ、約束通り練習しろ」

 

「はいはい、練習すればいいんだろ?おとなしく従いますよっと・・・ザン君!ちょっとそっちに立ちな!」

 

負けたからには約束を守らなければならない。斧街はボールを持つと、東条をゴールに行くよう手で示し、自身もゴール前へと移動した。

 

「・・・さぁーて、ザン君。あたいがシュートするからちゃんと受け止めなよ?じゃないと練習にならないからねぇ」

 

「は、はい!」

 

いつものどこかおどけたような笑みではなく、どこか不敵な笑みを浮かべ、シュートを打った。

 

「そらよっと!」

 

体重を乗せた、威力のある重いボール。約一年前からサッカー部にいたとだけあって、基本がしっかりとできている。

 

しかし、真正面から来ているため、素人でも決して止められないというシュートではない━━━

 

 

 

 

 

━━━はずだった。

 

「・・・あれ?」

 

先程までこちらに向かってきていたボールが水に包まれ、突如地中へと姿を消したのだ。

 

「ど、どこいった!?」

 

ボールが急に消えて動揺を隠せない。そんな東条の様子を見ていた斧街はニヤリと笑い、ゆっくりと口を開く。

 

「・・・サブマリンショット!」

 

それと同時に、地面から勢いよくボールが飛び出してくる。

 

「嘘だろおい!?」

 

さすが目の前にまで迫っていたボールに反応することはできない。ボールは見事にゴールネットを揺らすこととなった。

 

「うおおおお!!!斧街センパーイ!?いつの間に必殺技を!?実は隠れて練習してたんですか!?それともさっきので覚醒したんですか!?」

 

それに真っ先に反応したのは赤城だった。全力ダッシュで斧街の元に駆け寄る。

 

「まさか、元から使えたやつを使っただけだよ」

 

約一年ぐらい一緒にいたのに、彼女が必殺技を使えることを知らなかった。とんだサプライズである。

 

「・・・・・・」

 

そんな和気あいあいとした様子を見た男は、自分の役目を終えたと言わんばかりに、背を向けグラウンドから出ていこうとしていた。

 

「あっ、待ってください!」

 

それに気づいた赤城は男を呼び止める。男は素直に足を止め、赤城の方へと向き直り頭を下げた。

 

「・・・勝手に乱入したことは謝る。すまなかった」

 

「いやいやそんなことはどうでも良いですよ!!それよりサッカー部に入りませんか?サッカーやってたんですよね!!」

 

サッカーをやっていたとは一言も言っていないが、先程のプレーを見れば相当やっていたのがわかる。もし入ってくれれば、即戦力となるだろう。

 

だが、男は表情を変えないまま首を振った。

 

「・・・どんな理由があったとしても、俺は一度サッカーから離れた。今さら戻れるはずがない」

 

やはりサッカーをやっていたようだ。しかし、何か事情があってサッカーから離れ、もう自分はやらないと心に決めているらしい。

 

「でも・・・戻れるはずがないと思っているなら、サボってる斧街先輩を注意したのはなんでですか?」

 

「それは・・・」

 

もうサッカーを諦めた。もう自分とサッカーは何の関係もない。

 

・・・本当にそう思っているなら、この場を無視していたとしてもなんらおかしくはない。いや、諦めたというならそっちの方が自然な反応だ。

 

「・・・まだ、サッカーに未練があるからじゃないんですか?」

 

心のどこかでは、奥底では・・・まだやりたい。そんな思いがあるのではないだろうか?

 

「未練が残ったままやめたら納得できないと思います!もう一度、俺達とフットボールフロンティアを目指しませんか!!」

 

フットボールフロンティア。かつて自分が目指した舞台の名に、思わず心がざわつく。

 

「良い目をしている。・・・俺も昔はそうだったのかもな」

 

「・・・またサッカーをすれば、取り戻せますよ。熱かった頃の自分を」

 

・・・必死になってボールを追いかけた日々。ただただ大舞台を夢見たあの日々。

 

がむしゃらに頑張り、必死に夢の舞台を目指した。弱いと言われようが、勝てなかろうが、ただひたすら練習してきた。

 

だが、着いてくる者は一人もいなかった。一向にやる気を出さない。最初から諦め、ただ無為な日々を過ごすチームに嫌気が差した。

 

融通が利かなかった自分はそこでドロップアウト。一度は完全に夢を捨てた。

 

あれから時間も経った。もうサッカーをすることはないと思っていたのだが━━━

 

「・・・裁野だ。よろしく頼む」

 

━━━また目指してみるのも悪くないかもしれない。

 

「はい!これから一緒に頑張りましょう!!」

 

ガッチリと握手を交わし、周りからは拍手が送られる。男は・・・裁野業は、もう一度夢に向かって歩き出す。

 

「おー、良かったねぇ。それじゃあたいは頑張ったんでこれで・・・」

 

「・・・もしあの女がサボってたら俺に報告しろ。すぐに叩き起こす」

 

「うげっ、そりゃないよ・・・」

 

またサボろうとする斧街に釘を刺す。心強い監視役が入り、サッカー部はまた一つ前進する。




多少のゴリ押し感は否めませんが、こうでもしないといつまで経っても集まらない。なぜかって?展開を作るのが下手だし、書くのが遅いからです

なので、次回で全員揃えます(鋼鉄の意思)

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