イナズマイレブン 〜熱き太陽の導き〜   作:チェリブロ

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みんなが忘れたであろう頃にやってくる、星クーガです

現在大変なことになっていますが、元気でしょうか?どうか無理だけはなさらないようにしてくださいね

ちなみに私の投稿が遅いのは体調が悪いというわけではなく、平常運転なのでどうかご安心ください


折れた翼、再生の時

「みんなー!新入部員連れてきたんヨ!」

 

「私は二年生の華咲結衣。よろしくね」

 

斧街と裁野の対決から数日後、いつものように部室でメンバーが来るのを待っていると、三日月が新たな部員を連れてきた。

 

「おおっ!いったいどうやって勧誘したんだ?」

 

本格的な勧誘をしてからそこそこ時間が経っていたので、もうこれ以上は増えることはないと思っていた。

 

三日月はいったいどのようにして、彼女の勧誘に成功したのか?

 

「購買で買ったのパンをあげたら釣れたんヨ」

 

「そっか!それは何より・・・釣れた?」

 

釣れたとはこれまた独特な表現だ。まあ食べ物を使って連れてきたので、ある意味間違ってはいないのかもしれない。

 

とりあえず勧誘方法については置いておき、彼女の実力を見てみたいのだが・・・今日はあいにくの雨だ。

 

「キャプテン、今日は休みにしたらどうだい?たまには休憩するのも大事だよ」

 

「・・・お前が休みたいだけだろ」

 

「ちぇ、バレちゃった」

 

斧街の休みたいという考えは裁野に完全に見透かされており、呆れられていた。

 

外が雨だとしても練習はできる。体育館を借りればだいたいの練習はできるし、階段ダッシュや筋トレは体育館を借りることができなくてもできる。

 

・・・とはいえここまで休みなしでやってきた。今まで何かしらやってきた人は問題ないかもしれないが、まだまだ慣れていない素人もいる。もしかすると、知らぬ内に疲れが溜まっているかもしれない。

 

「たしかにずっと練習してたよなぁ・・・よし、それじゃあ今日は休みにするか!」

 

「うむ、筋トレもインターバルが必要じゃ。休みは適度にとらなくてはならん」

 

「そうそう、たまには休まないと体壊すよ。だから今日はしっかりと休憩しよう」

 

「・・・わかった。練習しすぎて怪我をしてもまずいからな。今日は休むか」

 

実際正論なので特に誰かが不満を言うことはなく、この日の練習はなしということになり、荷物をまとめて解散した。

 

 

 

 

 

ただ、赤城の脳内はサッカーで埋め尽くされていた。

 

「うーん、やっぱこれかな?いや、こっちも捨てがたい・・・でもやっぱり・・・」

 

一度家に帰った後、財布を持った赤城はホームセンターへ足を運び、練習に使えそうなタイヤを探していた。

 

「・・・これは重すぎるよなぁ」

 

もちろん重い方が練習にはなるのだが、あまりにも重いと逆に練習にならない。

 

背伸びせず、自分の身の程にあったタイヤを買わないとちゃんと練習できない。それだけでなく重すぎると帰りが地獄と化す。

 

・・・それは過去の経験で既に把握している。想像力がないのも困りものだ。

 

とはいえ軽すぎるものだと練習にならない。最近はチームメイトが加入し、そのメンバーが思いの外上手かったこともあってちょっとばかり焦っている。そのため軽すぎるのも避けたい。

 

「うーん、やっぱり無難な円堂さんモデルのタイヤが・・・あれ?」

 

かの円堂守が愛用していたという(諸説あり)伝説タイヤを買おうと手を伸ばしたその時、見覚えのある人影を見つける。

 

「・・・麻宮、かな?」

 

はっきりと確認できたわけではないが、クラスメイトの麻宮の姿が見えたような気がする。

 

ホームセンターには色々と売っているので、何かを買いに来たのだと思っていたが・・・

 

「たしかこの先ってペットショップだったはず・・・」

 

麻宮らしき人が向かったのは、ホームセンターの奥。ここの奥にはペットショップも併設されているのだが・・・自宅でペットでも飼っているのだろうか?

 

もちろんさっきのが麻宮だったという確証はないが、一度気になるとなかなか集中できない。

 

というわけで、自分もペットショップの方へ足を運ぶことにした。

 

 

 

 

 

それがまさかこんなことになろうとは、思ってもみなかった。

 

「ふふっ、可愛いな・・・」

 

やっぱりいたのは麻宮だったのだが・・・今の彼女はハムスターを手に乗っけて、普段は見ることのない可愛らしい笑みを浮かべている。

 

・・・なぜか絶対に見てはいけないものを見てしまったような気分だ。

 

「こらこら、くすぐったいぞ?・・・本当に可愛い・・・」

 

とはいえこれは偶然起こってしまった過失の事故。決して故意にやったわけではない。ここは大人しく帰って見なかったことにすれば━━━

 

「「・・・あっ」」

 

・・・バレていないうちに振り向こうとした瞬間、完全に目があった。まるで時が止まったかのように両者ともピクリとも動かなくなってしまった。

 

「し、失礼しました」

 

悪くないはずだ。自分は別に何も悪いことをしていない。偶然クラスメイトらしき姿を見かけたので、着いていっただけで、悪意は何もない。

 

しかし、なぜかここにいてはならないような気がした。本能に従い、すぐさまその場から離れようと足を踏み出す。

 

「違うからな」

 

だが、麻宮はそれを許さなかった。

 

「・・・えっ?」

 

恐ろしいくらい落ち着いた声音で肩をガッチリと掴み、逃げることを許さない。

 

「え?いや、あの・・・別に良いと思うぞ?」

 

「違うからな」

 

「その、ちょっと意外だけどハムスター好きなんだよな?別に隠すようなことでも・・・」

 

「違うからな」

 

「いや、でも・・・」

 

「ち・が・う・か・ら・な」

 

「アッハイ」

 

有無を言わせずただ違うと言われ、赤城は納得・・・はしてないが、こう言われると仕方ないので、渋々頷いた。

 

「それで、何か用事があるのか?」

 

手に持っていたハムスターをそっと降ろすと、いつもの凛々しい表情に戻し・・・

 

いや、なんか変な汗をかいてる・・・気のせいだろう。うん、きっと気のせいだ。そんなことより質問に答えなければならない。

 

「よ、用事はないんだけど・・・ちょっと見かけたから話そうかなーって・・・」

 

「そうか・・・そうか」

 

・・・なんだか非常に気まずい。いつもなら会話が続くはずなのに、今は言葉が思いつかない。

 

まさかハムスター一匹にここまで翻弄されるとは思ってもみなかった。というかそんなこと誰が予想できようか?

 

「それはそうと、サッカー部の活動は上手くいっているのか?」

 

麻宮の方もこのままの雰囲気ではきまずいと感じたのか、サッカーの方へと話題をそらす。

 

「お、おう!もちろん!!」

 

サッカーの話題となれば、赤城は無限に話すことができる。なんとか生き延びる道を見つけることができた。

 

「今日も新しい部員が入ってきてさ、実力を見るのが楽しみで仕方ない!」

 

「そうか・・・良かったな」

 

サッカー部の現状、自分の憧れの選手、フットボールフロンティアへの思い。とにかくサッカーのことを熱く語り続ける。

 

「・・・前に、何かあったら相談したらいいって言っていたな」

 

すると、突如として話題が切り替わる。

 

「えっと・・・そういや言ってた。それがどうかしたか?」

 

自分で言っておいてなんだが、そのことについては完全に忘れていた。

 

「あのあと色々考えたんだが・・・赤城の言うとおり、誰かに話した方が良い気がしてな」

 

「ああ、あるなら絶対に誰かに相談した方がいいぞ」

 

悩みを心の底に留めておくより、誰かに打ち明けた方がいい。たしかに言ったのは事実だし、そう思っている。自分がそうなった時にやれるかは別にして。

 

「なら、聞いてくれるか?」

 

「・・・えっ、俺なの?」

 

しかし、こうなるとは思ってもみなかった。自分で言うのもなんだが、相談事なら少なくとも自分以外の方が良いような気がする。自分なんかよりも適任な人はいっぱいいる。

 

「前に答えを教えただろう?まだその分を返してもらっていないから、今回の件はその貸し分だと思ってくれ」

 

それを言われるともう何も言えない。たしかにわからなかったので教えてもらったが、まさかそんなところから引っ張ってくるとは思いもしなかった。

 

「・・・わかった、正直気になってたし聞かせてくれるか?」

 

とはいえ断る理由必要はないし、前から何かあるんじゃないかと気になってはいた。それに頼られて悪い気はしないので、赤城は麻宮の話を聞くことになった。

 

 

 

 

 

かつて麻宮は東北にある中学校のサッカー部に所属していた。

 

強豪校にも関わらず、一年生の頃からレギュラーに抜擢され、天狗になることもなく地道に自身の力を磨いていた。

 

このままいけば、来年にはチームの主軸として活躍、さらに将来日本のサッカーを背負う一人として活躍してもおかしくはない。そんな多くの期待の目を受け入れ、彼女はひたすら己を鍛えていた。

 

 

 

 

 

・・・ところが、フットボールフロンティアの敗戦後に歯車が大きく狂い始めてしまう。

 

世間は麻宮に期待しすぎていた。あの負けた試合は本来なら勝てたはずの試合だと、なぜ負けてしまったのだと強く非難された。

 

自分が責められることも辛かった。しかしそれよりも監督、チームメイトが責められていたことが何よりも辛かった。

 

そのことが彼女の心を傷つけ、焦りを感じさせてしまった。自分がもっと点を取ることができていれば、パワーがあれば、より強力な技があれば・・・勝てたはずだと。

 

そう考えた彼女はある技を習得することに決めた。その技は強力で、未完成の状態でも有り余るほどのパワーを感じることができた。

 

ただ、麻宮はその技の危険性を知らなかった。ただでさえ危険な技なのに加え、過度に自身を追い込む練習を続けた結果・・・練習中に大怪我を負ってしまう。

 

重症だったものの治療は成功。その後は諦めることなくリハビリを続け、なんとかプレーできるようにまで回復し、安堵した。

 

とはいえ、しばらくチームから離れていた代償は大きかった。

 

リハビリをしている間も周りは練習し、自分よりもずっと先へ行ってしまった。それに完全に回復したわけではないので、以前のように動くこともできない。周りは前進し、自分だけが後退した。もうその頃には、埋めようのない大きな差ができてしまった。

 

チームメイトは気にするなと言ってくれたが、彼女はこのままだとチーム全体に迷惑をかけてしまうと判断した。そうして彼女はサッカーをやめてしまった。

 

 

 

 

 

・・・しかし、本当はそうじゃなかったのかもしれない。

 

「でも違った。私はチームのためなんかじゃない。・・・自分のためにやめたんだ」

 

チームから離れる時は当然悲しかった。これから共にやっていこうと誓った仲間と別れるのだから、そう感じるのは当たり前だ。

 

・・・しかし、心のどこかでホッとしている自分もいた。

 

「今まで通りに動けない。周りに置いていかれるばかり。そんな状況が嫌になった」

 

最初は世間からのプレッシャー。それがなくなると、周りとの差が重圧となった。

 

やめればそれらから解放される。そう思い、少し安心してしまったのだ。

 

「だから最初やめた頃はそこまで辛くはなかった。やっとそんな生活が終わる。もう何も気にする必要がないと思ってた

 

・・・でも日が経つに連れて、そんな自分が嫌になった。今はもう後悔しかない」

 

後になって、なぜやめてしまったのだと後悔した。自分のせいでチームに迷惑をかけ、挙げ句勝手にやめていった。責任感の強い彼女は、心が弱いせいでやめてしまったと自分を責め続けた。

 

だが、いくら後悔しても戻れない。一度間違ってしまったことを正すことはできない。

 

「・・・聞いてくれてありがとう。話したら楽になった」

 

それでも話したことにより、気持ちが少し楽になった。最後に聞いてくれた赤城に感謝し、帰ろうと足を踏み出した。

 

「それで、これからどうするんだ?」

 

「・・・えっ?」

 

しかし、赤城はこれで話が終わったなどと思っていない。

 

「だって後悔してるん・・・だよな?このままで終わったら後悔するんじゃないかな・・・?」

 

・・・もちろんこのままで終わっていいはずがない。できることならもう一度フィールドに立ちたい。立ってまた戦いたい。

 

だが、自分には資格がない。自分の都合で勝手にチームをやめた。それなのに、今さらまたやることなどできるはずがない。

 

「・・・私には資格がないんだ」

 

「資格とかそんな難しいことは俺にはわかんない。楽しいか楽しくないかでやってるし・・・麻宮はやりたいのか、やりたくないのかどっちなんだ?」

 

「それは・・・」

 

心の中ではやりたいと思っている。それでも頷くことができない。どんな理由があったとしても、もう自分がフィールドに立つわけにはいかない。

 

意を決して、断ろうとしたその時━━━━

 

 

 

 

「「「わぁぁぁぁぁ!?」」」

 

後ろから数人分の悲鳴と、人が倒れ込むような派手な音が聞こえてきた。

 

「な、なんだ!?」

 

振り向いて確認してみると、どうやら人間雪崩現象が巻き起こったらしい。いったいどこの傍迷惑なやつが騒いでいるのかと思い、よく確認してみると・・・

 

 

 

 

チームメイトの(見慣れた)姿があった。

 

「何やってんの!?どこから出てきた!?てかいつからそこにいたの!?」

 

色々と言いたいことがあったため、思わず三連ツッコミをしてしまう。・・・なんなのだ、三連ツッコミとは。

 

「・・・サ、サッキキタバッカリダヨ」

 

「さっきって具体的にはいつ?」

 

「『ちょっと見かけたから話そうかなー』って言ったところや」

 

「結構序盤の方から聞いてる!?」

 

「・・・一人で解決しようとしているお前が悪い」

 

「えっ、俺なの?結局俺が悪いのか!?」

 

どうやら倒れ込んできたのは赤城のチームメイトらしく、随分と楽しそうにしている。本当に仲がいいと麻宮は感心した。

 

・・・いや、自分もかつてはそうだった。昔の自分は仲間と楽しく試合をしていた。何も考えず、ただただボールを追いかけていた。

 

それなのに、いつからか結果を出すことだけが全てとなっていた。周りの目を気にするようになり、期待に応えなくてはならないと自分を追い詰めるようになっていた。

 

「まったく、遊ぶのもいい加減にしろよな・・・」

 

・・・このチームで、0からやり直してみたい。もちろん今までのように結果をもとめるが、今度は━━━

 

「なあ、赤城」

 

「ん?どうした?」

 

━━━童心に帰り、楽しむことを思い出したい。

 

「チームに入れてくれないか?もう一度、選手としてやってみたい」

 

なぜこの一瞬で心変わりしたのだ。いや、ありがたいことではあるのだが・・・さっきの騒動のどこに仲間になってくれる要素があったのだろうか?

 

とはいうものの入ってくれるのはありがたい。疑問は残るが、入部してくれるのならそこはもう気にしないでおこう。

 

「ああ、これからよろし━━」

 

「やったー!これから一緒にがんばるんヨ!」

 

「いや、だから俺が喋って━━━」

 

「よーしウチが面倒みたるから安心しいや!」

 

「あのな、人が喋ってる時に━━━」

 

「困ったことがあったらなんでも相談しなさい!私が力になるから!」

 

これは新手の嫌がらせだろうか?赤城は訝しんだ。

 

「・・・ごめん、泣いていい?」

 

「知らん。勝手に泣いとけ」

 

「おい本気で泣くぞ!?」

 

やりたい放題のチームメイトの姿を見て、麻宮は思わず笑みを浮かべるのだった。




ハムスターは可愛い。でもペットで飼うなら絶対に猫です(鋼鉄の意思)

そして今回で集まったぞぉ!!・・・一人ずつ丁寧に紹介したかったけど、それやってたら永遠に終わる気がしなかったんや・・・すまない。ちょっと強引なのはわかってる。試合で頑張ってもらうから許してくれ・・・
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