元殺人鬼は提督になったとさ   作:ツメナシカワウソ

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本日二回目の投稿でございます。テストが終わったからなんだってし放題だぜ。


第3話『大包平夜叉式』

「餌だぞー」

 

楼牙は今ペンギン部屋にて明石から大量に貰ったペンギン達の世話をしていた。ペンギン部屋とは執務室の一部を拡張して作られた部屋であり、文字通りペンギン達が狭い段ボールから出て自由に暮らしている。内部にはブランコやら滑り台やらの遊具もついており、さながら小さな公園である。

 

「よく噛んで食べろよー」

 

そんなことを言いながら、楼牙はペンギン達にイワシを与える。本来開発の失敗によって生まれたペンギン達は餌を必要としないが、試しに与えたところ懐いたので定期的にやっている。そこへ、子供のような外見の艦娘達がやってくる。

 

「わぁ!ほんとにペンギン達がいるのです!」

 

「удивительное(すごい)」

 

「まさか提督にこんな趣味があるなんて!」

 

楼牙は戦慄する。先日体当たりされた艦娘・・・暁に似たような外見の艦娘が3人もいることに対して。

 

「うっ・・・」

 

「ごめんなさい提督。姉妹達がうるさくて」

 

その中でも比較的大人しそうな艦娘が彼を気遣うが、こうみえて楼牙は慎重派である。また体当たりを食らって病院行きというのは困るので、一歩下がる形となった。

 

「まぁ、そいつらが見たいならいつでも良いが、オレには体当たりしないでくれ」

 

「?暁、また何かしたのかい?」

 

「ししししてないわよ!なんにも!本当に!」

 

「はいはい」

 

そのやり取りは殆ど人間と変わりなく、楼牙は本当に彼女達が戦場で戦わされるのかと思うと少々心が痛む。

 

「・・・」

 

「どうしたんだい提督?」

 

「いや、なんでもない」

 

言えない。彼女達は戦うことを義務付けられている身なのに、自分だけが『女子供を戦わすのは如何なものか』などという綺麗事は、断じて言えない。裕翔からもそれは聞かされている。しかし、どうしても、思考の何処かで彼女達が戦うのは間違っていると思ってしまう自分がいる。気がつくと、制服の手袋から血が滲み出すまでに強く拳を握っていた。そこへ、楼牙のスマホが鳴る。どうやら電話のようだ。

 

「うおっ・・・ん?んん?」

 

どうにかして電話に出ようとするが、生憎彼はスマホの操作方法を全く知らない。説明書など読んでいないからだ。しかし、電話には出なければならない。苦渋の決断として、彼は艦娘達に操作を任せることにした。

 

「あー。誰かこいつをどうにか出来る奴はいないか」

 

「仕方ない人だなぁ。はい。これで電話に出れるよ」

 

「助かった・・・もしもし」

 

「もしも〜し!明石です!頼まれていた刀が出来上がりましたよ〜!」

 

「わかった。すぐ行く」

 

そう言うと楼牙は勢いよく執務室のドアを開け、工廠へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!どうも楼牙さん!コレですコレ!」

 

そう言われて明石に渡されたのは、かつて自分の使っていた刀とほぼ同じ物であった。造り込みは鎬造(しのぎづくり)、庵棟(いおりむね)。刀身は幅広く、重ね(刀身の厚み)薄く、腰反り高く、切先は猪首(いくび)となる。地鉄は小板目肌が約(つ)み、地沸(じにえ)つき、地景(ちけい)しきりに入り、淡く乱れ映り立つ。刃文は小乱を主体に小丁子、互の目(ぐのめ)まじり、足・葉(よう)入り、小沸つき、匂口深く冴える。帽子は乱れ込んで浅く返り、二重刃ごころがある。彫物は表裏に棒樋(ぼうひ)を掻き流す。茎(なかご)は生ぶ。先は栗尻。鑢目(やすりめ)は勝手下り。目釘孔は2つだが、茎尻近くに3番目の目釘孔らしき刃側に欠けこんだ大きな窪みがある。

 

「これは・・・間違いない。大包平(おおかねひら)だ」

 

自然と楼牙は、この刀の銘を口にする。

 

「よく知ってますね!でも残念!これは只の大包平じゃありませんよ!」

 

「ほう?」

 

明石は胸を張り、自分の作り出した刀の銘を高らかに宣言する。

 

「この刀は・・・大包平夜叉式(おおかねひらやしゃしき)!」

 

こほん。と一つ咳払いをし、楼牙は気になっていたことをそのまま言う。

 

「で、どこが違うんだ?」

 

楼牙は制服を着るのに30分かかるあたり一見馬鹿に見えるが、何も考えず行動しているわけではない。当然、新しい自分の武器を作った本人に、どこが良いだとか、どこの扱いに注意しろだとかの説明を早いとこしてほしいのだ。名前は別にその後でも良いだろう、というのが楼牙の発想である。明石はその意思を汲み、その辺から設計図を取り出す。

 

「えーとですね?基本的な構造は大包平と同じにしましたが、重ねを若干厚めにして重みを出したんですよ!それともう一つ!というかこれが大事なんですが、使う金属をウルツァイト窒化ホウ素に変えたので超硬いです!絶対折れませんよ!」

 

自信満々に語る明石を見ながら、楼牙はその手に取った刀の刀身を見る。ウルツァイトとかいう金属を使っているからか、刀に反射した赤色の光が此方をギラリと睨みつける。

 

「・・・ありがとう。早速使ってくる」

 

「え?」

 

明石が声の主を探そうとした頃には、もうその姿は消えていた。




因みに大包平と鉱石の解説はWikiを使用しました。
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