4姉妹、提督と会敵その1
夜
金剛・榛名の部屋
「新しい提督が着任したみたいデース。」
「榛名は大丈夫でしょうか……」
「大丈夫。何も心配することないネ。」
比叡・霧島の部屋
「新しい提督が着任したみたいですね。」
「はぁ。次こそまともだといいんだけど。」
「霧島、榛名のことお願いね。」
「比叡お姉様も、金剛お姉様が無理しないようお願いします。」
提督執務室
「激戦区って割にはあんまり戦艦が配属されてないのな。」
「そりゃ艦娘が運営してる鎮守府に戦艦なんて回されないわよ。」
「んで主力戦艦はこの金剛4姉妹でいいのか?」
「霧島さんは加賀さんとこの鎮守府を運営していた戦艦ね。作戦立案なら一番信用できる。同室の比叡さんは何考えてんだか分かりにくいけど、頼りにはなる。」
「なるほどな。そしたらしばらくの作戦立案はその2人に協力を求めようか。」
「榛名さんは優しいけど……アンタとは上手くいかないかもね。金剛さんは、まぁ、元気な人だわ。」
「随分雑な評価だな。」
朝、執務室のドアが勢いよく開く。中には叢雲と新米提督ティーがいたが2人とも驚かない。ティーはドアの向こう側に誰かいるのを察知していたし、叢雲はやかましい来客が来る展開を予想していたからだ。
「HEY!テイトク!金剛型1番艦の金剛デース!」
部屋の中にいた2人は作業の手を止め金剛の方を見る。
「わざわざ挨拶どーも。」
ティーは返事をする。金剛は机を挟んでいる叢雲とティーに近寄ってきた。
「2人は何をしてるデスか?」
「ん?着任2日目だからな。提督として必要なことを教わっているのさ。」
「だからしばらく全員休暇なんですよ。この新米に色々仕込まないと。」
そこで会話は途切れた。ティーと叢雲は勉強会に戻っただけだが。
金剛は黙ってしまった。これまでの提督と何かが違う。そもそも新米提督であっても艦娘から運営の基礎を教わるなんてことはまず無い。戦果を求める提督ならしばらく休暇なんてことはあり得ない。艦娘に手を出す提督ならわざわざ艦隊運営を学ぶことをする必要はない。なお金剛の頭の中には普通の提督という選択肢が消えていた。
「テイトク~。何か手伝えるコトは無いですカ?」
金剛は目の前の男の真意を探るために更に仕掛ける。金剛にとっては提督が着任するたびに行ってきた手段である。
「ちょうどよかった。1つ頼まれて欲しい。」
ティーは金剛を見る。金剛は嬉しそうに頷く。
「お前の妹の霧島と比叡に執務室に来るよう伝えてくれ。嫌ならそれはそれで構わん。」
金剛の目の色が僅かに変わる。
「比叡と霧島に何の用デス?」
「作戦立案について教えて欲しいんだ。特に霧島は提督不在の間に勤めていたそうじゃないか。」
金剛はウインクを返すと部屋を出た。
ドアが閉まり足音が遠ざかっていく。
「なるほどね。アレが叢雲の言ってた『人間の提督は敵』ってやつか。」
「気づいたんだ。」
「警戒心バリバリじゃねーか。」
「見た目、めっちゃ友好的じゃない?」
「甘いな叢雲。」
甘いと言われた叢雲は顔を顰めた。
「霧島、比叡、提督が呼んでマース。作戦立案についてだそうデース。」
「お姉様、新しい提督はどうでしたか?」
「Umm……怪しいとしか言えませんネ。でも大丈夫。2人ともお姉ちゃんが護ってあげますヨ。」
「まぁ気を付けるに越したことはありませんね。警戒して行きましょう比叡お姉様。」