「基本陣形が六種類。状況に合わせて使い分けるってのはどんな感じだ。」
座卓を叢雲、ティー、霧島、比叡の四人で囲んでいる。
机の上には陣形の形の描かれた図面が広がる。
「便利なのは単縦です。状況が不明でも、とりあえず相手の数を減らしやすいので便利です。」
霧島が図面を指し解説をする。
比叡がホワイトボードに実際の戦闘での動きを描く。
解説に合わせて叢雲が実際に運用した報告書を見せる。
そんな講義が何時間も続いた。
「これ覚えて指示出さなきゃいけないのかよ。」
ティーは後ろに倒れ込む。
陣形、制空権、対空、連撃などなど基本を一気に詰め込まれたティーの頭はパンクしていた。
「連撃や対空などはその場の艦娘が判断して行うので細かい指示は不要です。」
比叡が助け船を出すが、ティーの頭に船が入る余地はなかったようだ。
「ところでさ、霧島」
ティーはガバッと起き上がる。
「加賀とお前で艦隊運営してた時って戦果はどうなのよ?」
提督不在期間は加賀と霧島によって運営されていた。その当時の状況をティーは知らされていなかった。
霧島は視線を下げてしまった。講義の時の勢いは一気に身をひそめた。
「鎮守府の運営は加賀が、作戦行動は私が指揮を執っていましたが、正直なところ戦果は微妙と言わざるを得ません。」
霧島は己の実力不足を悔いているようだ。自身の指揮では戦果がないのが事実である。
「マイナスにはなってないんですけどねぇ。」
比叡は報告書を何枚か見ながら呟く。
「歴代の提督で戦果を積み上げた者は?」
「いないわよ。初代の提督が少しは安全海域を広げたくらい。でもその頃は相手もこっちも手探りだったから運よ。残りの提督はクズばかり。」
ティーの質問に叢雲が吐き捨てるように答える。
歴代全ての提督の印象が叢雲には最悪であることが伺える。
「よし決めた!」
ティーは沈黙を突き破り立ち上がる。
霧島、比叡、叢雲はティーを見上げる。
「作戦立案はここにいる四人を中心に行う。基本的には霧島と私が、叢雲と比叡は意見が欲しい時に手伝ってくれ。」
それだけ言うとティーは部屋を出ようとした。
霧島は立ち上がり何かを言おうと口を開いた。しかしその口から言葉が出る前にティーの声が発せられた。
「元々マイナスじゃないんだろお前の指揮は。後はちょっとしたスパイスで勝てるさ。」
霧島は立ち尽くす。比叡も叢雲も霧島を見上げている。
「んじゃ昼飯食ってくるわ。叢雲、食堂まで案内して欲しい。午後は二時くらいから遠征と演習の講義ヨロシク。」
時計は正午を指していた。
執務室
「今回の司令、おもしろそうじゃない?」
比叡の問いかけに霧島は頷いた。