ユーノの罪と罰   作:泡泡

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 この場合フェイト


2話:気持ち

 どうしちゃったの?それがあの時抱いた(フェイト)の気持ちだった。なのはが仕事中に落ちたという一報を聞いて急いで病院に駆け込んだ。執務官になるため準備の真っ最中だったけれども、親友の一大事に指をくわえているなんて出来なかった。

 

 私が来てからしばらくしてユーノもやってきた。焦燥しきっているのは傍から見ても分かっていた。ユーノにとってなのはは大事な人だったからだ。

 

 それからなのはの家族やすずか、アリサと地球のメンバーも揃った。だけどその場に漂う雰囲気は戦場を思い出すほどのものだった。いきなりなのはのお父さんがユーノに詰め寄ったのだ。

 

 誰かのせいにしなければ、なのはのお父さんも自分を保てなかったのかもしれない。この事故は誰のせいでもないはずだったから。えっと、言うのは簡単行なうのは難しいみたいな言葉が当てはまるのかな。

 

 ユーノに近づいていったなのはのお父さんにユーノは辛い言葉を投げかけ続けた。それは自暴自棄とも思えるような投げやりな言い方。クロノに対してもそれは変わらなかった。そばに来たすずかは顔面蒼白になっているし、アリサはただじっと黙って二人に視線をやっていた。

 

 私もユーノに声をかけたかったけれど、アルフに腕を掴まれてそこから動くことができなかった。それからしばらくは執務官になるための勉強となのはの病室を行き来する毎日だった。それと無限書庫に行ってユーノの様子を見るために行った。

 

 数回、ううん数十回は諦めずに訪ねた。けれど、無限書庫で働いている他の司書たちによってユーノへの面会を全て断られた。チラリと見えたユーノは相変わらず忙しそうに無限書庫の一角で仕事しているように見えた。私も頑張らないと・・・。

 

 それから数日後、なのはの意識が戻った。『良かった。これで一安心』って思ったのも束の間、なのはの将来が閉ざされたかに思える事態が分かった。

 

 「このままだと退院しても元の生活に戻れる可能性は極めて低いと思います」

 

 「えっ、それはどう言う・・・」

 

 「高町さんの怪我は思った以上に難しいところまで来ているということです。治療はしましたがそれでも将来、空を飛ぶ事は出来ない・・・いいえ空を飛ぶ可能性はゼロに近いです。これがミッドチルダの医療の限界です。申し訳ありません」

 

 「・・・・・・」

 

 目の前が真っ暗になった。最初になのはがいないところで関係者だけを集められて打ち明けられた。高町家の人々や私たち全員の心に影をもたらした。呆然としているなのはの家族を別室に残したまま私はユーノにも声をかけておこうと思った。無限書庫に行っても会えないのなら、デバイスを介して話そうと思った。

 

 「フェイトか、用件は手短にしてもらいたい。クロノのヤツからまた(・・)ありえないぐらいの資料請求がきたんでね」

 

 「なのはが目覚めたよ。忙しいとは思うけどユーノもこっちに来れない?」

 

 「っ、そうか」

 

 「それだけ?」

 

 一瞬顔が歪んだようにも思えたけれどそれも確認できなかった。

 

 「他に何か言うことでもあるのか?悪いけれど本当に忙しいんだ。あと一時間半でA級犯罪者に関する資料をクロノに届けなきゃならないんだが・・・」

 

 腹立たしさを隠すことなくぶっきらぼうに告げる。最初はこうじゃなかったのにね。私の事を気遣ってくれて執務官試験に対する心構えや過去の問題文を探してくれたり、親身になって相談に乗ってくれたりしていたのに。

 

 「ご、ごめん。私はただなのはが目を覚ましたよって言いたかったんだ。ほらユーノはなのはのこと大事に思っているように私には見えたから・・・ね」

 

 「・・・そうか」

 

 その言葉を最後にデバイスを介した通信は一方的に切られる。戻ったらクロノにどこに連絡していたかと聞かれたから隠すことなく『ユーノに連絡をした』って言ったらクロノも『そうか』しか言わず、黙った。そのあと部屋から出てきたなのはのお父さんとお母さんは、なのはの病室に向かっていった。多分話に行くのだろう。私も行こうとしたけれど、クロノに止められた。家族で話し合うのが先だろうって・・・。

 

 数十分ほど、廊下で待っていた。すると、お父さんとお母さんが出てきた。かなりのショックを受けていたが、リハビリを含めた治療に前向きな発言をしていたことが伝えられた。私もなのはの様子を見に行こうとしてクロノの方を向いた。すると『いいよ』と言わんばかりに頷いたので病室の扉を開けて入っていった。

 

 なのはとの会話はとても弾んだ。あまり消極的なことは言わないようにしながらも日常的な話をして盛り上がった。だからなのはが気にしているユーノの話が出てきた時には何を言おうかとても迷った。

 

 「ユーノ君は・・・?まだ来ていないの?」

 

 「ユーノにもなのはが目覚めたことを伝えたんだけれども・・・。緊急性の高い調べ物をしているからまだ来れないってさ」

 

 「そうなの?でもそれが終わったら来るよね?」

 

 「う、うん・・・」

 

 口を濁すことしかできなかった。そのあとはお医者さんらが来て『目を覚まして間もないから、もう休んでください』と言われ病室を後にした。

 

 廊下に出てクロノの姿を探した。すると離れたところであまり見ないような剣幕をして、誰かと話しているのが見えた。こちらに背を向けていることから少し近づいても大丈夫と思い近づいてみた。

 

 「っ、だから気がついたと言ったろ!!それでも君は突っぱねるのか?」

 

 『―――――――――』

 

 「ああ分かっているさ。それも大事だってことぐらい。それを請求したのは僕自身だからな。だがそれと同じぐらいなのはの事は大事じゃないのか?」

 

 『―――――――――』

 

 「はぁ?お前何を言っている?償わなければならん?何をわけのわからん事を。とにかくそっちに行くからな!!」

 

 『―――――――・・・』

 

 「ちっ、切られたか。あのフェレットもどきは何を考えている?っとフェイトか、なのはとの会話はもういいのか?」

 

 「うん、お医者さんが来てもう安静にしたほうがいいですよーって言ってたから切り上げてこっちに来たんだ。・・・もしかしてユーノと話していたの?」

 

 腹立たしげに通信を終え振り向くと、そこにフェイトがいたことに気づき一転して優しい声をかけてきた。

 

 「ああ、あのフェレットもどきと少し話していてな。資料を集めるのが大事だとか、償いがどうとかイマイチ意味不明な事を伝えるだけ伝えて通信切られたんだ」

 

 「そ、そっか・・・。きっとユーノも忙しかったし、なによりもなのはのお父さんにものすごい剣幕で言われたことを気にしているんだよ」

 

 「・・・ふん、そうだといいな。フェイトはこれから試験に向けてか?頑張るんだぞ」

 

 ワシャワシャと少し頭を乱暴に撫でられる。

 

 「もう、それは髪が乱れるからイヤって言ってるでしょ!!」

 

 

 そう言いながら撫でられることは好きだった。小さい頃はお母さんから撫でられることもなく育ってきているからだった。それからしばらくの間、ユーノがなのはのところに来ないことを気にしていたが毎日の忙しさに段々と考えることを止めていった。だからなのはにユーノのことを聞かれても話題を変えたりして考えないようにしていた。

 

 ――そんなことしなきゃよかったのに・・・。

 

 あれからしばらく経ってのことだった。ふと考えてみるとそこに空白の記憶らしきものがあったのは・・・。私も何を言いたいのか分からない。何かを伝えたいのにそれが言葉になって出てこない。周りの人たちもそうだったみたい。学校に出てアリサやすずかと会話する機会があった時にそれが分かった。いいえ、分からないことが分かった(判明した)のだ。

 

 「ねぇ?フェイト・・・」

 

 「うん、何アリサ?」

 

 「あのね。あぁもうっ!!最近いっつもこうなのよ」

 

 「ア、アリサちゃん?いつもって?・・・あぁそっか。私もよ」

 

 アリサが何かを言いたそうにして口をパクパクする。すずかもその気分は分かるようだ。私も何かを言いたいけれどもその正体が分からないことを二人に伝える。

 

 「フェイトちゃんもそうなんだ・・・。最近、と言っても数日前からかな。頭の中に霧がかかっているようにはっきりしないんだ。アリサちゃんもそうらしくて相談されたんだけれども、私も分からないしお姉ちゃんに聞いても分からないって・・・。ホントどうしちゃったのかしら」

 

 私が学校にこれていない時にも二人はその気持ちを味わっていたようだ。結果は私たちに共通して何かモヤモヤしたものが存在することが分かった・・・と言う曖昧極まりなかった。その症状は周囲の知り合い全てに影響しているようだった。もっと詳しく言えば魔法関係者とその友人たちに。

 

 その現象を不思議に思ったクロノがエイミィに頼んで私やはやて、なのはのデバイスを解析したそうだがそれでも何も分からなかった。そう思ったのはここまで沢山の人達の記憶欠如が見られたため魔法がかけられた影響なのではないか、そう思ってのことだった。

 

 何か大切なものを失ったかのような・・・。でも、ある人と初めて(・・・)出会ったとき、デジャヴを感じ取った。

 

 「はじめまして。フェイト・(テスタロッサ)・ハラオウンと言います。今日はよろしくお願いします」

 

 「こちらこそ。ユーノ・スクライアと言います。無限書庫へようこそ!!何やら無限書庫を利用したいそうで・・・。珍しいですね、ここに資料請求される方は多いですが自ら足を運んでくる人はめったにいないですよー」

 

 「ええっと、大層な理由があるわけじゃないんです。こういう事は人任せじゃなくて自分で調べないとって思っただけなんです」

 

 「へぇ~そうですか~。では調べ方を教えますのであとはご自身で見て実感してください。あとここから見える赤い線より先には行かないでくださいね?禁書がありますので」

 

 「はいっ、分かりました」

 

 無限書庫を訪れた時に感じたデジャヴ(違和感)だった。初めてきたはずなのに、初めてじゃないような感覚。初めて出会ったはずのユーノ司書長なのにどこかで親しく会話しているのが思い浮かぶ。

 

 「あとは年齢も近いみたいなので気楽に呼んでください。と言っても僕の話し方は職業柄ですのですぐに変えられるものではありませんが・・・」

 

 「そうですか?もしよろしかったらフェイトと呼んでください」

 

 「・・・じゃあフェイトさんと呼びますよ」

 

 「はいっ」

 

 やっぱり既視感が残る。これから数日の間はユーノさんのところにお邪魔して調べ物をするわけだからその間にこの感情がはっきりすればいいなぁ。




 フェイト視点。クロノのこと人前では「クロノ」で茶化して「おにいちゃん」って言ってたっけ。フェイトが養子になったのは二期途中?終了後?そこらへんが曖昧なので間違ってたら指摘願います。

 この作品は読む人が読むとアンチ傾向にあったり登場人物のキャラ崩壊等が含まれる場合がございますので嫌なら批判するよりそっと閉じることをオススメします
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