ユーノの罪と罰   作:泡泡

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空港火災

 

 「・・・いいえ、初対面ですよ。と言っても人づてに聞いた範囲であれば貴女のことは知っていますよ。高町なのはさんでしたっけ?とても優秀だと噂されていました」

 

 「あ、ありがとうございます。私も貴方の事を雑誌で読んだことがあります。ユーノ・スクライア司書長、無限書庫の状態を正常へと戻しつつある人・・・そう書いてありました。少しあなたとお話がしたいのですが・・・よろしいですか?」

 

 「申し訳ありませんが、疲れているので今度にしてもらえませんか?」

 

 「そ、そうですか。残念です」

 

 会話を素早く切り上げてこの場を立ち去りたかった。本当に残念に思っていることが声の質から分かったが、それぐらいで動揺することなど今の自分にはしたくても出来なかった。

 

 ここにいるのはただの休暇を利用してのことだったし、もう会いたくもなかった。僕の時間はあの時あの場で終わっていたはずだったのに、再会してしまいそしてたどたどしいながらも会話してしまっていた。

 

 未曾有の空港火災が発生し、休暇中だった僕ユーノ・スクライアも救助に当たった。その現場には駆けつけたであろう、彼女らもいたので会わずに済むならそれで良かったがたまたま入った喫茶店で一緒になった大食らいの少女を救おうと動いた結果、高町なのはと出会った(再会した)

 

 その時には救助活動中だったので会釈ぐらいで終わったが、全員を助けたあとの八神はやての魔法で氷漬けにし火を消し止めた。が、立ち去ろうとした時に高町なのはに引き止められたわけだ。 

 

 ――少し時間をさかのぼってみよう――

 

 この物語の主人公、ユーノ・スクライアは無限書庫での仕事を定時で終え、当てもなくブラブラとミッドチルダ国際空港を彷徨っていた。最近ではクロノ・ハラオウンの仕事要請も徹夜続きじゃないとこなせないということが無くなり、ほとんど定時で仕事を切り上げることができていた。

 

 だからといって青春時代の大部分を色で例えるなら黒かほぼ黒に近い灰色で過ごしてきたユーノにとって、空いた時間をどのように過ごすかなどは考えたこともなく彷徨い続ける結果となっていた。

 

 「ふぅ、何をすればいいか分からないなぁ・・・。ハハハ」

 

 仕事を終えたはいいが、人に言えるような趣味を持ち合わせておらず最近のユーノの楽しみは人間観察になっていた。人が沢山いるところに立ち寄って、そして軽食を取りながら行き交う人の観察を繰り返す。

 

 「これって趣味って言えないよなぁ。だけど今日は違ってる・・・」

 

 いつもだったらカウンター席で一人で食べたりしているのだが、今日はユーノはボックス席に座っていた。その原因は・・・。

 

 「ん?どうしたの、お兄ちゃん?」

 

 バクバクと口の中に食べ物が入って瞬く間に無くなる。スバルと名乗った少女はユーノの眼前で盛大な腹の音を聞かせ動けなくなったのだ。ユーノは自分の身を明らかにした後、家族の了承を得てスバルに食事をさせることにした。

 

 「(財布の中・・・足りるかな)」

 

 あまりの食事っぷりゆえにユーノの顔から笑顔が消え、苦笑へと変わる。家族に連絡したところスバルの姉はユーノに対して『大丈夫?』との声をかけ、父親はスバルに腹いっぱい食べないように言い聞かせていたようだった。財力が無い人だと思われていたのかと不安だったが、スバルの食べ方を見ていると大丈夫?と聞かれたのは財布の中身が・・・と言っていたのだろう。

 

 「まぁ、勤めていても使うことのないお金だしなぁ。これだけ気持ちよく食べてくれたら止める意欲すら失せるし・・・」

 

 結果から言うとスバルは軽食屋の食材を8割ほど食したぐらいでオーダーストップがかかり、ユーノもある意味ホッと胸をなでおろしたのだった。

 

 「またね、お兄ちゃん!!」

 

 「スバルも気を付けていくんだよー」

 

 お腹いっぱいになったスバルは、これから姉と合流するというので軽食屋の入口付近で別れユーノはまた独りで人間観察を再開するのだった。かなり軽くなった財布を懐に持ったまま。だが時間がそれほど経過しない内に思わぬ展開を見せるのだった。

 

 

 『空港内にいらっしゃるお客様にお知らせいたします。只今小規模な火災が発生しております。皆様、大事を取って避難していただけますようにお願いいたします』

 

 ピンポーンパンポーンとアナウンスを知らせる音が鳴り、その後に流れてきた声を皆が聞いていた。今のところ小規模ではあるが避難することを推奨するアナウンスだった。それを聞いて外に避難する者もいれば、まだ大丈夫だと自己判断してその場に留まろうとする者などいろいろだった。

 

 それでもすぐに避難せざるを得ない状況へと発展していった。それは小規模なものから中規模、そして大規模火災へと発展していったからだった。右往左往したのはそこにいた客だけじゃなかった。空港関係者も時をおかずここまでおおごとになるなど予想していなかった。

 

 「これはまずいかな?」

 

 ユーノだけは冷静だった。今までこれ以上のピンチを乗り越えてきたと言う経験が物を言う。それでもそこにいるのはユーノのように冷静に行動できる人たちだけではない。親とはぐれた子供もいれば、それを探す親がいたりカップルで来て、どちらかとはぐれた人たちもいてその場は混乱に次ぐ混乱を招いていた。

 

 「お、落ち着いて行動してください」

 

 「どうか、どうか。慌てずに行動してください」

 

 ・・・などと空港関係者による懸命な避難指示も怒号にかき消されて満足に聞こえてこない。当然ユーノも管理局のネームを見せて一緒に避難指示を出しているが、それでも人手が圧倒的に足りない。そして段々と火が迫りそしてあちらこちらで火により、取り残されていく人たちが増えていった。

 

 そして救助の手は間に合わなくなりそうなレベルへと達する。ユーノも何もせずにいたわけではない。片っ端から自分の身分を明らかにして声掛けをして避難してもらえるように最大限とまではいかないものの、そこでできる最善を尽くしたのだ。それからしばらくしてから広範囲に届く声を聞いた。

 

 「この場を臨時に指揮する八神はやて言います。じょ、状況を判断したいので現場にいる局員からの報告を待ちます」

 

 少し訛りの入った声だ。忘れたくても忘れることのできない声だ。過去においてきたはずの罪悪感がユーノの深奥から溢れてくるようだった。あの時から目を背けてきたが、それももう終わりなのかもしれない。ユーノ自身も休日を利用してここに来ていたので彼女の声に反応することなくこの場を立ち去ることもできたかもしれない。

 

 だが、ユーノはそうしなかった。そしてそれがきっかけとなり、再び彼女らと再会することになるのだった。

 

 「こちら休暇を利用して空港に来ている無限書庫司書長ユーノ・スクライアです。空港火災が発生した当初からいますので、大体のことは把握してます。」

 

 「はいっ?ユ、ユーノさん?」

 

 素っ頓狂な声が聞こえてくる。八神はやてだ。久しぶりに聞く声だったのか、一瞬素に戻っていた。その事を嗜めることもせずそのまま話を続けることにした。

 

 「ええ、ユーノですよ。今は緊急事態なので現時点で分かっていることを伝えておきます。と言うかこの場に来ることができる救助隊員はいるのですか?」

 

 「なの・・・いいえ高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンが現場に急行しています。あと行方不明なのは二人だけですね」

 

 八神はやてから送られてくるリストを確認してみる。さっき別れたばかりの彼女の名前が載っている。それと似たような名前がもう片方の行方不明者だ。・・・すると姉妹で不明者という事だろうか。近くにいるであろう父親に聞いてみるとその通りだということがわかった。

 

 辺りに気をつけながら進んでいくと、収束砲で天井ごとぶち破って外に出る高町なのはの姿を見ることができた。彼女の腕の中にはひとりの女の子を抱えているようだ。数分後にはテスタロッサからもうひとりの行方不明者を救助したことを聞くことができた。これで不明者は一人もいないことになる。全員が救助された。

 

 「っとこの場にいたら氷漬けになってしまうな・・・。早くでないと。あぁそれにしてもあの三人には会いたくないものだな。特に高町なのはには・・・」

 

 特に(・・)と付けるのには訳があった。魔法関係者には良く効いた忘却魔法だったが、魔法とは無縁の連中には効きが少し悪かったようだ。それが原因でユーノは修羅場をくぐっていた。

 

 





 当初予定していたstsには移行しないで終わることに決めました。理由は作者のモチベーションがもたないからです。

 ごめんなさい。
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