「彼女と海に行く」いい響きですよね。憧れます。

 黒髪ロングな女の子と海に行く約束をする。ただそれだけな話。


※本作品は・小説家になろう様
     ・カクヨム様
     ・マグネット!様
      にも投稿させて頂いております。
 

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 タイトルを見て「コイツ……煽ってるな(憤怒)」と思った方。安心してください。

 作者も見事に毎年彼女無しですから(泣)


夏の終わりまでにどうしても投稿したかった話。

「あ゛あ゛あ゛づい゛い゛」

 

「そうだねぇ、暑いねぇ」

 

 時は八月上旬。陽炎が踊り出すほどの灼熱の中に男女が一組、胸元をパタパタと扇ぎながら他愛のない世間話をして歩いていく。そんなありふれた、とある夏の話。

 

「なぁ、今年もう海とか行ったりした?」

 

「……? 海自体行ったことないけど……急にどうしたの?」

 

 突然の質問に黒髪ロングの少女は困惑する。少女は日光アレルギーなのだろう。夏だというのに長袖のワイシャツを着ている。染み出た汗に色白の肌が浮かぶ。

 

「いやぁ胸元にミミズばれがあったからさ、クラゲにでも刺されたのかなぁと思ったんだ」

 

「ちょっと! どこ見てんの!」

 

「いやちがっ……別にやましい気持ちで見てたわけじゃ無いんだって! 自分の彼女が傷をこさえていたら誰だって心配しちゃうだろ?」

 

 尋常でなく焦った様子の少女にたじろぐ青年が一人。シャツから透けて見える乙女の柔肌に目線が吸い寄せられていたことがバレバレである。うらやまけしからん。

 

「……でも海に行ってないんだったら、なおさらなんでそんなところにミミズばれができるんだよ。おかしいだろ」

 

「うっそれは……」

 

 言いよどむ少女。不審がる青年。まさに一触即発! そんな空気の中ッ! 少年が放った言葉はッ!

 

「なに? クラゲでも飼ってんの?」

 

「……うん。正確には飼ってるというよりかは、飼われてるって言った方が正しいかな? お世話をしてる時にね……ぴちゃぴちゃ跳ねちゃってね……そう、それで……」

 

「……なるほど」

 

 明らかに無理がある回答に何故か納得する青年。普通刺されるとしても腕なのでは? 作者は訝しんだ。

 

「クラゲはね。長い触手を持ってるの。それで獲物を引きずり込んで……虜にして……そのあとゆっくり消化していく。そうやって何人も深い海に落としてきた。誰も抵抗できなかった」

 

「……? なぁ……そのクラゲの写真……見せてくれないか……?」

 

 青年は息をのむ。

 

「私ね、もう飼われるのをやめようと思ってた。あなたと出会って今の状況が異常だっていうことに気づいたから。私もう行くわ。やっと踏ん切りがついた」

 

「俺も一緒に行ってもいいか?」

 

「どうして?」

 

「海に行くんだろ? 一人っきりで溺れたらどうすんだよ」

 

 -------

 

 打ち上げられたクラゲがびちゃびちゃと音を立てている。自分の出した海水によっておぼれ死んでいく。

 

 豪奢なつくりの部屋には海が広がり、高級そうな家具を浸していく。

 

「……いつか一緒に海に行きたいな。もう日焼けを気にする必要もないし。ここから数年は行きたくても行けないけど」

 

「そうだな。……きっと、きっといつか行けるさ」

 

 口づけを交わす二人をサイレン音が包み込み始め、玄関からは誰かが激しく呼び立てる声が聞こえる。

 

 とある夏の話に、報われる人物なんていない。

 

 

 

 

 




 評価、感想を書いていただけると恋愛運が高まると聞いたことがあります。あくまで聞いただけです。だからやめて! 殴ろうとしないで! そんなことしてるから彼女が出来ないんですよ!(大ブーメラン)

 次回、恋人がいないクリスマスでお会いしましょう。

 

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