モブになりたいが、周りがならせてくれません…。   作:カフェ・オーレ

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日課回です。はい


本当に、人間?

 

 朝五時。俺は日課の鍛錬で、神社の境内である人と組み手をしていた。境内は鳥居と狛犬が二匹設置されてるだけであって、兎に角広いから問題ない。

 

「フッ!」

「甘いッ!」

 

 ボスッ!

 

「なんのッ!」

 

 ボスッ!

 

 俺の拳と、組み手相手の女性の拳がぶつかり風圧が起きてお互いの髪がチラつく。うわ、少し力いれたつもりなんだけどなぁ。改めて思うけど、この人マジで普通の人間な訳?

 

「フン。まだまだヒヨッコだが大分マシになってきたじゃないか。タツ」

「それは褒め言葉として受け取った方が良いですかね?千冬さん」

 

 織斑千冬。姉ちゃんと幼稚園からの仲で、二人曰く腐れ縁らしい。学生時代は姉ちゃんと一緒に『知の篠ノ之、武の織斑』なんて呼ばれていて、喧嘩売ってきた学生たちをコテンパンにしていた。それに伴って生徒たちの、特に女子からの黄色い声援が絶えなかったという。(姉ちゃんは俺一筋で興味無し)

 なお、姉ちゃんは千冬さんをちーちゃんと呼ぶ。姉ちゃんは気に入った相手を渾名で呼ぶ癖がある。俺ならたっくん。箒はそのまま、箒ちゃん。千冬の弟、一夏は、いっくん。千冬さんはちーちゃ「ほう?なんか不愉快なことを思っている、なっ!」…げえっ!?

 

 ドスッ!

 

「ゴハァ!?」

 

 余計なことを思っていたせいか、動きが鈍っていたらしく、千冬さんの拳(怒り付与、攻撃力アップ)が俺の腹に叩き込まれた。おおおっ!?めっちゃ痛え!!

 

「馬鹿者。組み手とはいえ、相手を前に考え事をするな。もし私ではなく、殺しに掛かってくる奴だったらどうするつもりだ」

「ず、ずびばぜんでじだ…」

 

 や、やっぱり千冬さんは怖い…。一応、超人じみた俺の身体を拳で容易く吹き飛ばすんだよ?この人。姉ちゃんがオーバーテクノロジーの塊なら、千冬さんはもはや霊長類最強じゃないだろうか。そう思っていると俺が考えているのを感じ取ったのか、ギロッと睨んできた。

 

「何やらまた、失礼なことを考えているな。何なら次は半分本気で殴ってやろうか?ん?」

「申し訳ありませんでしたぁ!!」

 

 やばいって!この人の半分って、軽くあの人外姉ちゃんを気絶させるくらいに強い。俺が喰らったら暫く心臓が止まるわ!?

 

「はぁ…。まあいい。それよりもタツ。昨日、束からまた新しい玩具(メカ)を貰ったそうじゃないか」

 

 …え?なんで俺が姉ちゃんから、新しいメカを貰ったことを知ってんの、この人。心眼でも持ってんの?

 

「え、ええ。確かに貰いましたが…。それが何か?」

「何、最近私も仕事ばかりで身体を動かすことが少なくてな。使ってもらい、相手をして欲しいんだ」

「え?千冬さん、確か学園の実技担当を受け持っているって、一夏から聞いたんですが…」

「別に教師だからといって、やるのは生徒だ。私ではない」

 

 まあ、体育教師が授業で身体を動かすってのも案外見たことない。だが、本当にするのか否か、俺の脳内会議が始まった。

 

俺A『どう思う諸君?やった方が良いと思うか?』

 

俺B『私は賛成だ。相手をしないと、次に相手する時に鬱憤晴らしで痛めつけられるぞ』

 

俺C『同意だ。異論無し』

 

俺D『我も然りだ。皆はどうだ?』

 

俺その他『然り!然り!然りッ!』

 

 俺限定脳内会議閉廷である。(この間、0.5秒である)

 

 

「わかりました。では、いきます!」

「よし、来い!」

 

 俺は『三つの隙間が空いたベルト』『妙に右腕が大きい兎』を取り出して、ベルトは腰に装着。兎は軽く投げると自動で浮いた。

 

「…おい、何故兎なんだ?」

「なんでも「私が好きな動物だから!」だそうです。別に気にしないで下さい」

 

 話しながらに、兎の掌からサイ、ゴリラ、ゾウが描かれたメダルを出してもらい、ベルトの空いている隙間に入れていく。後は、ベルトを斜めにして、横に付いているスキャナーをメダルに合わせてスキャンする。

 

チャリン!チャリン!チャリンッ!

 

『サイ!ゴリラ!ゾウ!』

 

『サゴーゾ!サゴーゾッ!』

 

 俺の姿が変化し、頭にサイ、腕にゴリラの豪腕、足はゾウみたいな太い足をモチーフにした姿になっていた。

 

「ほう、どうやら動物の特徴的な力を合わせ持つような姿だな」

『そうらしいですね。さて、時間も時間ですし、最初からフィナーレといきましょうか!』

「ああ、時間も推してきているようだ。決めさせて貰おうか!」

 

 スキャナーで再び、メダルの上をスキャンさせる。

 

『スキャニングチャージ!』

『ハァァァアァァァ!』

「っ……!」

 

 俺は両腕に力を溜め、千冬さんは拳を引いて、目を細める。

 

 そして、両者は足に力を入れ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『セイハァァァァァ!!!』

「ハァァアッ!」

 

 

 

 

 

 ドカァァァァァンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 お互いの拳はぶつかり合って、衝撃波を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、この衝撃波により、庭がボロボロになったので慌てて元に戻した。なお、千冬さんはいつの間にか消えていた。

 千冬さん―逃げたな…!

 

 

 

 

 

 

 

 

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