〜前回のあらすじ〜
憐は決意をあらたにした。
「くあー!いい朝だ!」
翌日。復活した憐は久々に心地よい朝を迎えていた。
「ん?なんか腹減ってきたな…」
思い切り伸びをして、上半身を起こす。
その時憐の部屋のドアがノックされ、お盆を持った少女が入ってきた。
「どうぞ」
「あ、起きてたんですね!おはようございます!」
「ああおはよう、エリー。ってそれもしかしてご飯か?」
「はい!お母さんが昨日から何も食べてないだろうからって」
エリーがベッドのそばの机まで運んで来てくれる。たしかに、昨日はぐちぐち悩んでて飯どころじゃなかったし、すぐに寝てしまったことを思い出す。美味しそうな匂いに心踊らせて、憐はその料理を見た。
「…んん?えーっと、これは何かな?」
「朝ごはんです!」
「いやそれはわかる…か…?」
「もしかしてまだ食欲が…」
悲しそうな顔になるエリーに、憐は慌てて取り繕う。
「ある!あるけども…!」
果たしてこれは何なのか。憐の感想はそれだった。なんだこの緑のペースト状のものは。スープ?スープなのか?じゃあなんで目玉とか浮いてんの?なまじ匂いがいいせいかどんどん腹が減って行く。しかし食欲は湧かないという謎な状況に陥る憐。
「あ、もしかしてまだ体が痛むんですね!それなら!」
なかなか動かない憐の状態を勘違いしたエリーは器を手に取る。
「え?ちょまっ」
「はい、あーん」
「なん…だと…」
そしてグチョッと音を立てて掬われ、口元まで運ばれる物体X。しかし、憐はそこには目がいかなかった。
突然だがエリーは金髪碧眼超絶美少女である。いつまでも愛でていたい、撫で回したい…そんな衝動に駆られるような可愛さをもつ十歳児だ。そう、十歳である。だがその天使のような微笑みを前に憐は脳の神経がショートしたかのような錯覚を覚えた。つまり超可愛い。眩い笑顔で「あーん」をしてくる天使(仮)。なんだこの生き物お持ち帰りしてぇ!と思わず見惚れて動きが止まっていた憐を不思議に思ったのか、エリーは首を傾げてたずねる。
「嫌、でした?」
嫌じゃないです。ジャンナイン、俺はもうダメかもしれない。憐が世の
「ヒッ」
なぜだか憐の脳裏にすごくいい笑顔でこちらを見つめるナナの姿が浮かぶ(ただし目は笑ってない)。
「えい!」
「むぐっ⁉︎ …⁉︎ もぐもぐ…!うまい…?」
思わず開いてしまった口にエリーがスプーンを突っ込む。得体の知れない食感に最初は顔を青くした憐だったが、予想外の美味しさに目を見開く。
「うまい…これ美味しいぞエリー!」
「そ、そうですか?えへへ、もっとどうぞ!」
「うむ、うまいうまい」
こんな可愛い子にこんなうまいものを食べさせてもらえるとかここが天国か…」
「か、可愛い…えへへ♪」
「あら。よかったわねぇ、エリー」
憐が至福の時を過ごしていると、リーナがにこやかに笑いながら部屋に入ってきた。
「あ、リーナさんおはようございます。てかもしかして俺声にだしてた!?」
『ああ。ほとんどな』
ジャンナインから小声で告げられた。
「はい、おはようございます。それにしてもよかったわ、元気そうで。昨日は本当に調子が悪そうだったもの」
「あー、ご迷惑お掛けしてすいません」
「いいのいいの。それより、動けそうだったらちょっと来てくれませんか?主人が会いたがってるの」
「え?ええ、わかりました」
(断わりゃよかったかな…)
『諦めろ』
リーナに連れられリビングに向かった憐を待っていたのは、強面のゴツイおじさんだった。ソファに座ったその姿から滲み出るのは圧倒的な強者のオーラ。
「どうぞ」
「は、はい…」
超低音ボイスに勧められるまま向かいのソファに座った憐は、これからなにが起こるのかと戦々恐々としていた。
「まず」
「…っ」
ごくり、と唾を飲む憐。
「娘と妻、そしてこの街を救ってくれたこと、誠に感謝申し上げる。本当にありがとう」
「ええ!?」
しかし、憐の予想とは裏腹に、彼は突然立ち上がると、綺麗な礼をしながら感謝の言葉を述べてきた。
「いやいやいや、頭を上げてください!」
「それはできない。この街の長として、なによりこの家の主人として。感謝してもしきれないほどのことをしてもらったのだ」
「だからってそんな直角になんなくても…って長?」
「はい、主人はこの街の市長なんです」
憐の疑問にお茶を持ってきたリーナが答える。
「じゃ、じゃあ余計ダメですって!気持ちは十分伝わりましたから!」
「しかし…」
「ほらあなた、憐さんが困っていますよ?」
「ぬ…たしかに、恩人に気遣わせるのは悪いな」
見かねたリーナの言葉に、やっと顔をあげる男。
「改めて。私の名前はガイ、この街の市長をやっている」
「あ、俺は一条寺 憐です」
お互い名乗って一旦お茶を飲むと、ガイが再び話を切り出した。
「実は、今日君に会いたかったのはお礼を言いたかっただけではないのだ」
「と言うと?」
「あの怪物についての話だ」
「居場所がわかったんですか!?」
バリケーンについての話題に、思わず身を乗り出す憐。
「ああ。と言っても、奴自体の進路は以前の台風と変わらん。傷を癒しているためか戦闘機で近寄ってもなんの反応も示さない。ただ風にのって漂っているだけだな。そのままいけば、この街に再び来るのは二日後の昼になる」
「二日後…」
拳を握りしめる憐。それを見ながらガイは話を続ける。
「妻と娘が、君がウルトラマンになって戦ったと言っていたんだがそれは本当か?」
「え、ええ」
突然の質問に驚きつつも答える憐。
「ならば君は宇宙警備隊なのか?」
「いえ、違いますけど…」
「出身は?この星ではないだろう?」
「は、はい、今は旅をしてますけど…」
次々と出される質問に、少し面食らいながらも答えていく憐。
それらをきいてガイは深いため息をつく。
「そうか…ならば憐君、君はもうこの星を去った方がいい」
「ええ!?な、なんでですか!?」
突然告げられた言葉に、憐は驚きを隠せない。
「…我が国の王は、強欲なことで有名なのだ。ただの旅人がウルトラマンの力を扱えると知れば、彼は必ず君を捕らえて洗脳を施し、自らの兵力とするだろう」
「洗脳って…いやでも!バリケーンはどうするんですか!」
「幸い、奴は今弱っている。総攻撃を仕掛ければ倒せるかもしれない」
そう言うガイだが、勝ち目は薄いのだろう。あまり自信のある表情とは言えなかった。
「とにかく、まだ君がウルトラ戦士の力を使えることはバレていない。君は私達の命を救ってくれた恩人だ。これ以上、本来関係のなかった君を危険な目に合わせたくはない。今のうちにこの星を去るんだ」
ガイの言葉を受け、憐は一度目を瞑る。そうして思い浮かべるのは元の世界での自分の姿。昔も今も、スケールが違うだけでやっていることは変わらない。ならば、憐の答えはただ一つ。
「…お気持ちはありがたいですが、俺は戦いますよ」
「な!なぜだ!?この星に何かあるわけでもないのだろう?」
憐の答えを聞き驚くガイ。その彼の問いに憐は静かに首を振ると、ガイの瞳を真っ直ぐ見つめる。
「俺はあいつを倒さなきゃなんない。それが俺の旅の目的なんです。でも使命とか約束とか、そういうのよりも、目の前に困っている人がいる、失いたくない笑顔がある。それだけで、命を懸けるには十分だ!…と思います」
熱くなって思わず立ち上がっていた憐は、恥ずかしくなり椅子に座り直す。
そんな憐の言葉にガイは深く頷くと、再び頭を下げる。
「…そうか、ならば憐君。どうかこの星を、よろしく頼む!」
「!もちろんですよ!…あ、バリケーンが来るまで泊めてもらっていいですかね?」
決まりが悪そうな顔で付け加えられた憐のお願いに、ちょうどリビングに降りてきたエリーは喜びの声をあげた。
☆
『マイナスエネルギーの反応を感知。あと2分ほどで真上に来るぞ!』
「きたなクラゲ野郎…!」
二日後、街から10kmほど離れた岩山で、憐はバリケーンを待ち構えていた。少しでも早くバリケーンの姿を捉えようとここに来ていた憐だったが、バリケーンはもう力を取り戻したのか空には暗雲が立ち込め、激しい風が吹き始めていた。
ジャンナインの報告を聞きギンガスパークを取り出す憐。その表情はやる気に満ち溢れている。
「リベンジマッチだ!絶対勝つ!」
『ウルトライブ!シーゴラス!』
スパークドールズをリードし光に包まれた憐は、天を揺るがすような咆哮をあげながら竜巻怪獣シーゴラスへと変身。
調子を確かめるように2、3度尻尾で岩肌を叩くと、シーゴラスは空を睨みながら頭部の巨大な角を発光させた。
直後、次々に巻き起こる黒い竜巻。それらは厚い雲に覆われた空に突き刺さると、バリケーンを取り巻く暗雲を蹴散らしていく。
《見えた!》
自分の力が削られていくのを感じているのか、たまらず悲鳴を上げ雲の隙間から顔を覗かせるバリケーン。憐は待ってましたとばかりにバリケーンに向けて竜巻を殺到させる。
当然自らの能力で竜巻を操ろうとするが、シーゴラスの力を完璧に扱う憐からは主導権を奪うことはできない。結果、四方を竜巻に囲まれたバリケーンは、風の檻にとらわれたように身動きがとれなくなった。
《風を操れるのはお前だけじゃないんだよ!んでもって…くらえ!》
もがくバリケーンを尻目に、シーゴラスは新たな竜巻を発生させるとその中に飛び込み、自ら空へと巻き上げられていく。
回転しながらロケットのように突き進むシーゴラスを見て本能的に恐怖を感じたのか、バリケーンは全力で拘束を解こうと暴れる。そのせいで直撃はしなかったものの、シーゴラスの角は見事バリケーンのかさの一部を抉り取り、飛行能力を奪うことに成功した。
☆
「すごい…」
町の外れにある広場に、たくさんの人々が集まっていた。彼らが見つめる先には、落下していく巨大クラゲと、それを上空から見下ろす一体の怪獣の姿がある。
空にはもはや雲はなく、久方ぶりの青空が広がっていた。
「まさかこれほどとは…」
「お父さん、お兄さんすごいね!」
「あ、ああ。彼ならば本当にヤツを倒せるかもしれないな」
ガイの言葉に満面の笑みを浮かべて頷くエリー。そんな二人の横で、リーナは祈るように手を合わせている。
とそんな真剣な雰囲気の広場へ、小さな宇宙船が着陸してきた。
「こらムッチ!まだ近づけるでしょうが!」
「ナ、ナナちゃん?俺、かれこれ二日間も寝ずに運転してたんすけど?」
疲労困憊と言ったような金髪の男の言葉に、活発そうな美少女がため息をつきながら答える。
「はぁー、情けない。じゃ、アンタは寝てていいわよ。てかむしろいらないか。今日はアタシが必要ってことを、憐に見せてやるんだから!」
「ひどいっす…もう寝よ」
途端にガーガーいびきをたてながら寝始める不良っぽい青年と、「憐、待ってなさい!」と言って走り出す少女。
「お、おい!君達は何者だ!?」
突然現れたこの不審な2人組を警戒していたが、憐というワードが聞こえたことで思わず少女を呼び止めるガイ。それに対する彼女の返答は、しごく簡単なものだった。
「アタシ達?決まってんじゃない、憐の仲間よ!」
☆
《これでもう飛べないし、風も使えないな!》
辺りの雲が晴れていくのを見て、憐は満足気に呟く。
《さ、ラストスパートだ!》
そう言って憐が突き出した手の前に現れたのは、ウルトラマンティガのスパークドールズ。憐は確かめるように頷くとティガを掴み取り、ライブした。
『ウルトライブ!ウルトラマンティガ!』
『テェヤ!』
ティガは空中でパワータイプにチェンジすると、地上で起き上がろうとしているバリケーンに急降下キックを浴びせる。
それにより更にかさが抉れ、大きなイーヴィルクリスタルが露出した。
『チャア!ヘヤッ!』
それを見たティガはクリスタルに向かって連続でパンチを繰り出す。一発一発が重いそれは、クリスタルに次々と突き刺さりヒビを入れていく。
しかし、いつまでも黙ってやられるバリケーンではない。イーヴィルクリスタルに気を取られ防御が疎かになっていたティガの体に触手を巻きつけると、青白い電流を流し込み始めた。
《がっ!?ぐあああっ!ぐくっ、なんだこれ、づぁ!力が入んねぇ!?》
全身を駆け巡る電流により麻痺したティガは、体に力が入らず膝をついてしまう。
バリケーンはすかさず触手を操りティガを無理矢理立たせると、頭部の赤い結晶体を発光させる。そこから放たれた衝撃波は、ティガを数百メートルも吹き飛ばし、山の岩肌へ激突させた。
『グッ…デェアア…』
立ち上がろうとするが、思うように力が入らず前に倒れこむ。カラータイマーも点滅を始め絶体絶命のティガに、バリケーンから放たれた電撃が襲いかかった。
『バトルナイザー・モンスロード!』
しかし、その電撃はティガの目の前に現れたエレキングに阻まれる。
エレキングは電撃を手で振り払うと三日月状の光線でバリケーンを吹っ飛ばし、ティガの手をとって起き上がらせた。
《お前、どうして…》
「ったく危ないわねー。なにピンチになってんのよ」
憐の問いに、近くの山から返答があった。思わず振り返ると、そこには嬉しそうな笑みを浮かべるナナの姿が。
「ほら、サポートしてあげるからちゃっちゃとあのでかクラゲ倒しちゃいなさい。アンタには言いたいことが山ほどあるんだから!」
《だけどコイツは俺が!…いや、そうだな。俺たちの手にかかれば、こんなヤツ一捻りだ!》
思わずナナの言葉を否定しようとした憐だったが、すぐに考え直すと彼女と同じような笑みを浮かべながらバリケーンへと向き直る。
『ハッ!ハアァァァァア!!』
両手を広げ、腕を力を掻き集めるかのように大きく回して胸の前にエネルギー球を生成する。
その灼熱のエネルギーに恐怖したのかバリケーンが電撃を放つが、ティガが怯むことはない。なぜなら、彼には頼もしい仲間がいるのだから。
「エレキング!全部ブチ破っちゃって!」
パートナーの指示に応えるように一声鳴くと、ティガに並び立つエレキングの口から再び三日月状の光線が発射され、バリケーンの電撃を全て相殺する。
その間にエネルギー球を振りかぶったティガは、必殺のそれを全力を込めて解き放つ。
『ハァッ!!』
デラシウム光流は寸分違わずイーヴィルクリスタルを撃ち抜いた。
コアたるクリスタルを失ったバリケーンは素体であるクラゲを残して水となり崩れ落ちる。ティガはすかさずバリアでクラゲを保護すると海へと転送させた。
《テェア!》
そして最後に街の人々がいるであろう方角を見て頷くと、力強く地面を蹴って空の彼方へ消えていった。
「じゃないわよ!なに逃げてんの!」
「悪かったって、昔からの憧れでつい、な…」
「よくもぬけぬけと…!言いたいことが山ほどあるって言ったでしょーが!」
「ま、まあまあ」
「「ムッチは黙ってろ(て)」」
「なんでそこは息ぴったりなんすか…」
戦いを終え、ジャンスターの中。ワイワイとしたその空気には、つい3日ほど前まであったわだかまりは微塵もない。
あの後適当な山の中でライブアウトしガンパッドでジャンスターを呼び寄せた憐だったが、すでにその中にはナナ達が待ち構えていた。最初こそ若干の気まずさで会話もぎこちないものだったが、五分もすれば今まで通りのやりとりが繰り広げられていた。
「あー、少しいいか」
そんな中、憐は一度会話を切り、真剣な顔でナナへと体を向ける。
「…悪かった、ナナ」
そして、謝罪の言葉を口にした。
「…それは、もういいわ」
「いや、俺はお前に」
「いいの。アタシがききたいのは一つだけ」
なおも続けようとする憐の言葉を遮り、ナナは告げる。
「憐にとって、アタシはなに?」
声は震えていたが、彼女の瞳はただひたすらに憐だけを捉えている。その様子から、この問いがナナにとってどれほどの価値を持つのかが伺えた。
その問いの意味も重みも全て正しく理解した憐は、しかしすぐに言葉を返した。
「俺にとってのナナは、大切な仲間…いや、掛け替えのない存在だ」
「この三日間、俺は思い知らされたよ。今までどれほどナナに助けられていたのかをな。俺にはお前が必要なんだ。これからも、一緒にいてくれないか?」
自分の思いを言いきり、若干余裕ができた憐はナナの異変に気づく。喋っている時は夢中でわからなかったが、よく見なくても顔が真っ赤になっていて、その上金魚のように口をパクパクと開けたり閉じたりしている。
「え、う、え、ええ!?そ、これは、ええーとつまり?こ、こくはっ!!〜〜っ!!」
「お、おい!大丈夫か!?」
何かを言おうとして舌を噛んだらしく更に涙目もプラスされるナナ。これはうまく伝わってないのか?と思い至った憐は、さっきの言葉を最も簡単にまとめて言い放った。
「ま、要するに『妹』みたいな存在だな。俺にとってのナナは」
その瞬間、誰かが椅子から転げ落ちる音と、ピシッという何かが氷つく音が同時に聞こえた。
「兄貴マジすか…」
『この流れでこう来るとは…やはり人の心は奥が深い…』
「あ?何いってんだお前ら…うおっ!?」
わけのわからないことをほざく男二人(?)に対しツッコミを入れようとした瞬間、殺気を感じた憐は前転でその場を離脱する。直後頭の位置を通過する鉄拳。
「へー、妹。そっかー、妹ねー」
「あ、ああ。俺には妹がいるんだけどな、雰囲気がそっくりなんだよお前と…ってなんで!?」
今度は頬のすぐそばを拳が通過する。
「いいわ、期待したアタシがバカだった…でもなんか許せないから一発殴らせろ!」
「いや待て落ち着け!」
☆
「本当にありがとう。君には返すことのできないほど大きな借りができてしまったな」
「いいんですって。それより、街の復興とかもあるでしょ?そっちを最優先でやってくれた方が俺としても嬉しいですし」
「そうか…しかしあの強欲王のことだ。復興金など…いや、私が頑張るしかないな。憐くん、困った時は連絡してくれ。なんでも協力しよう」
なぜか殴られた後、憐は別れの挨拶をしに街へ戻ってきていた。太陽はすでに傾いている。ガイの連絡先をガンパッドに記録した憐は、握手を交わす。
「泊めてもらった三日間は忘れません。ありがとうございました」
「こちらは命を救ってもらったんだ。それぐらい大したことはない」
「そうですよ。私達も楽しかったわ。本当にありがとうございました。ほら、エリーも挨拶しなさい?」
リーナとも握手をすると、彼女はエリーを憐の前に立たせた。
「お兄さん、いっちゃうの…?」
エリーと憐はこの二日間で相当仲良くなった。上目遣いに涙を溜めながら、今にも泣きそうな声で問いかけてくるエリーに思わず「ずっといるよ」と言いかけるが、そこはぐっと堪える。
「ああ、俺にはやらなくちゃならないことがあるからな」
「また会えますか…?」
憐は微笑むと、しゃがんで目線を合わせ、エリーの頭を撫でる。
「当たり前だ。俺はエリーが呼べば、例え違う宇宙にいたって飛んでいくぜ?」
「はい…約束、ですよ?」
「絶対だ」
指切りを済ませた憐は、後ろで待っている仲間たちの元へと行こうとして、空から降りてくるヘリコプター的な乗り物に気づいた。
「君かね、ウルトラ戦士や怪獣の力を使えるというのは?」
「…そうですが?」
目の前に着陸したそれから降りてきたのは思い切り王様っぽい人と武装した護衛達。バトルナイザーに手をかけたナナとムッチにアイコンタクトで動くなと伝える。
「ぜひ君には我が軍に来てもらいたいんだ」
「嫌だと言ったら?」
周りを囲う兵隊が武器を構える。それを見て、ガイやわざわざ見送りにきてくれた街の人達も殺気だつ。
「さあ、大人しく…」
「あー、一つ、いや二ついいですか?」
憐はポケットからギンガスパークを、背中のリュックからスパークドールズを素早く取り出すと、リードする。
『ウルトライブ!キングクラブ!』
「な、なんだとっ!?」
憐は王に思い切り顔を近づけると、鋏をシャカシャカさせながら忠告した。
《一つ、俺はお前らの軍には入らねぇ。二つ、この国の人達の為の政治をしろ。…俺はこの街の人達と定期的に連絡を取り合うからな。二つ目が守られてないとわかったらーーー》
ーーー真っ二つかもな。
「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」
顔面蒼白になった王達は全力で逃げ帰っていく。憐はため息をはくとライブアウトした。
途端に駆け寄ってくる街の人々。みな口々に礼をのべてくるので悪い気はしないが、二回目(一回目は挨拶に来た直後)なのでさすがに疲れる。とその時、少し離れたところからこちらを見つめる老人の姿を見つけた。
憐は様々な思いを込めて老人にVサインをする。彼は微笑みながら頷いてくれた。
その後「おい、みんなその辺にしろ」というガイの言葉でやっと解放された憐は、今度こそ仲間たちの元へと辿り着く。
「すっかり英雄様っすね」
「あー、バカ言ってねぇでいくぞ」
「お兄さん!!」
「ん?エリー?」
ジャンスターに乗り込もうとしたところで、突然呼び止められる。振り返ると、エリーがこちらを真っ直ぐ見つめている。
「私、大きくなったらお兄さんのお嫁さんになります!だから、浮気しちゃダメ!ですよ!」
「なっ!?」
驚きの発言に目を丸くする憐。エリーの両隣にいるガイとリーナに視線を向けると、なぜだか力強く頷いている。え、あのガイさん?そんなお前なら任せられる的なノリやめません?と一人トリップしている憐の背筋に冷たいものが走る。
「はっ!この感覚は!」
「れ〜ん〜!アンタってやつは!」
「俺!?俺が悪いの!?」
「いやー、兄貴も罪作りな人っすね〜」
『憐、ガンパッドにガイからあと6年待て、と送られて来ているが』
「はぁ!?何を!?あの人なに言って…」
「お兄さんは、私と結婚したくないですか?」
「結婚しよう」
「なに真面目な顔で言ってんのよこのロリコンがァ!」
「や、やめろ!てかロリコンじゃねぇ!」
「じゃ、じゃあ!アタシと結婚するの!?」
「なんだそれ!!」
…こうしてまた一つ、平和な街の夜が更けていく。
駆け足気味ですがやっとバリケーン倒しましたよ。あれーなんでこんなに手こずったんだろう。予定と違う…
にしてもギンガS!なんですかあれ!最高じゃないか!また毎週ウルトラマンを楽しみにできる日が来るとは!これぞウルトラマン、という感じでしたね。
まあ称賛すべき点はたくさんあるんですが、ふと郎的に嬉しかったのはエレキングやレイキュバス(はパーツでしたが)などこの小説に登場する怪獣がいたことですかね。特にあのエレキング、歴代最強レベルでした。たぶんうちのもあれくらい強いです。
とまあ作品に関係ないことはここまでにして。
いつも遅くてすいません。できれば前のお話を忘れられる前に投稿したいのですが、それには技術も時間も足りず…次も遅くなるかと思いますが、よろしくお願いします。
ではまた次回!
〜次回予告〜
次回はジャンスターでの日常、エリーとの二日間など短い話を集めたものとなります。
次回「束の間の休息」お楽しみに!