ウルトラギャラクシー〜異世界の救世主〜   作:ふと郎

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長らくお待たせしました。
報告などは後書きにて。


episode11 死神の尖兵 ー前編ー

 

 

「おっはよ〜!」

 

「…おはよう」

 

「おはようっす。あれ、なんか兄貴疲れてません?」

 

 ムッチが朝食(もっとも、朝も夜もない宇宙では、起きてから食べる最初のご飯をそう呼んでいるにすぎない)をテーブルに並べていると、ナナと憐が一緒にコックピットへ入ってきた。

 

『コックピットでご飯を食べるのはやめ「…ああ。聞いてよムッチくん。この人容赦ないんだよ」

 

「この程度で根を上げてるようじゃ、とてもじゃないけど毎日ウルトラマンに変身できる様にはならないわよ?だいたい、厳しくしろって言ったのはアンタじゃない」

 

 今までの戦いで自分の力不足を痛感した憐は、とりあえずティガに変身しても筋肉痛にならないような身体作りをナナの監督の下はじめたのだが、3日目にして既に満身創痍である。

 

「あのな、どこの宇宙に初日からつるほど筋トレさせる奴がいんだよオイ」

 

『コックピットでご飯を「あ、明日はアタシのサンド…んん、攻撃を受けてもらうから」

 

「ねえ今この人サンドバックって言おうとしたよね?」

 

「御愁傷様っす」

 

『コッ「この人でなし共!あ、元から人間じゃないか…」

 

 若干キャラが崩壊しつつある憐は、痛む身体に鞭を打ち、ノ全身で「俺体痛いです」アピールをしながらノロノロとテーブルに向かう。

 

「「いただきまーす」」

 

「うっそだろお前ら!」

 

 育ち盛りしかいないジャンスター号の食卓。腹を満たすためならば弱者など捨ておかれる非情の世界である。

 

『…』

 

 ちなみに、食事を邪魔する者にも容赦はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食後に4人で談笑していると、憐は内ポケットの中のギンガスパークが微かに震え始めたのを感じた。

 

「おっ!クリスタルの反応ありだ!ジャンナイン」

 

 

『了解。メインエンジン停止、逆噴射…機体の停止を確認。憐、いけるぞ』

 

「よし…こっちだ!」

 

 憐の言葉を聞き、ジャンスターはすぐさま航行を停止し、その場に留まる。その後、憐はギンガスパークの反応が強まる方角を探すのだが、ジャンナインは憐の動きをジャンファイトシステムの応用によりトレースすることで、船体の向きをリアルタイムで調節し、正確な進行方向の特定を可能としていた。

 

「きゃっ!」

 

「どわぁっ!ちょ、兄貴!急に動かすのは勘弁っす!」

 

『それいつも言われてるな』

 

「そして毎回謝ってるな。ごめん二人とも」

 

「まあそんな吐きそうな顔で謝られたら許すしかないんだけどね…」

 

「自分が一番弱いのになんで無茶するんすか…」

 

「…この時だけは無重力の方が良いと思う」

 

『船内に一定方向への重力があってはじめて、君が地に足つけて正しい方向に腕を向けるという動作ができるんだ。諦めろ』

 

 

 イーヴィルクリスタルと距離がある場合、その反応がすぐ消えてしまうのともしばしば。そのため憐はなるべく早く方向を決定しようと素早く腕を振るう。しかし、ジャンナインの完璧すぎるトレースによる機体の急旋回で被害がでる(主に憐)ことも多々あった。

 

「三半規管も鍛えるべきね…トレーニングメニューに追加しとこ」

 

「だからまだ始めたばっかだし…なんだその分厚いノート」

 

「これ?これは…えーと、アタシの日記とか、アンタのトレーニングメニューとか色々書いてある何でもノートよ」

 

「へー、日記なんて書いてるんすか。見たいっす!」

 

「イヤ」

 

「良いじゃん。俺も見たい」

 

「絶対にイヤ」

 

『ナナの心拍数が急上昇中』

 

「ッ!」

 

「あれ?もしかして…なにか恥ずかしいことでも?」

 

「マジかよ気になる。ほら、見せてみすまん調子乗ったその厚さはヤバイから振りかぶふぅ!!」

 

 ナナはその日の日記に、手をあげてしまったことへの後悔を書くはめになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリスタルの反応を辿って航行を続けていると、一行は衛星軌道上に小惑星帯を持つ惑星に辿り着いた。大小様々な岩の塊の隙間を縫うように進んでいく中、ジャンナインのレーダーに生命反応が現れる。

 

『有機生命体の反応を確認、後方からかなりのスピードで、いやテレポートで接近してくる』

 

「そいつがイーヴィルクリスタルっすかね」

 

「どうだろうな。クリスタルの反応は大きくなってきてるし、この付近にあるとは思うがそこまで急上昇ってわけじゃないし」

 

『距離2000。モニターに映像を出すぞ』

 

 映し出された映像に、三人は目を凝らす。じっと見つめていると、星々の輝きとは違い段々と大きくなる黄色の発光体に気づいた。

 

「あっ、アレっすね」

 

「え?どこどこ?」

 

「ほら、あの黄色いのっす」

 

「あー!確かに!って憐?どうしたの黙っちゃって」

 

 

 その問いには答えず、憐は自分を落ち着かせるように敢えて静かに指示を出す。

 

「ジャンナイン、全速力でこの小惑星帯を抜け、目の前の惑星に着陸。二人は戦闘準備だ」

 

『了解。みんな、衝撃に備えろ。出力最大』

 

「うわっと!」

 

「っつ!ジャンナイン、あの星灰色一色だし無人だよな?」

 

『データではそのようだな。…小惑星帯を抜けた。これより惑星の重力圏に突入』

 

「だからどうしたのよ、憐」

 

「後ろから来てる奴にビビってんだよ」

 

「あの黄色いのっすか?」

 

「ああ、あいつは多分…ゼットンだ」

 

 

 憐の言葉で船内に緊張が走る。

 

「ぜ、ゼットン!?あの1兆度の!?」

 

「毎度のことながらよく一目で分かるわね。にしてもゼットンかぁ」

 

『3、2、1、着陸。…なるほど、ゼットンと戦うには小惑星では小さすぎるというわけか』

 

「そういうわけだ。ほら二人とも、来るぞ」

 

 モニターに上空から降下してくるゼットンの影を認め、憐はティガのスパークドールズを取り出す。それにならってバトルナイザーを構えながら、ナナは憐に尋ねる。

 

「…勝てると思う?」

 

「みんながいるんだ、大丈夫さ。それにあいつからも(・・・)イーヴィルクリスタルの反応が出てる。なら、なんとしても勝たなきゃならない」

 

「作戦はなんかあるんすか?」

 

「おう、今から早口で言うから聞き漏らすなよ」

 

『噛むなよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウルトラーイブ!ウルトラマンティガ!』

 

『『バトルナイザー・モンスロード!』』

 

 土を巻き上げながら横並びに実体化した3つの巨体は、お互いに頷き合うと空を見上げる。

 

『ハッ!』

 

「いけ!」

 

「くらえっす!」

 

 上空に向かってティガスライサー、三日月状の光刃、磁力光線が一斉に飛んでいくが、それら全てをテレポーテーションで避けたゼットンは、三体の真ん中、ティガの目の前に現れる。

 

『グウゥッ!』

 

 間髪入れずに繰り出されたドロップキックをまともにくらい倒れこむティガ。

 

「させないわ!エレキング!」

 

 ティガに火球を放とうとするゼットンへ、エレキングの尻尾が絡みつく。ティガを吹き飛ばしたということは、ゼットンは丁度アントラーとエレキングに挟まれる形になっているのだ。体を走る高圧電流に、ゼットンはたまらず膝をつく。

 

『ンー…ン、ハッ!』

 

「今っすね!アントラー!」

 

 

 後転して距離をとったティガは、パワータイプに変身。それを合図にムッチの指示で発射された磁力光線がゼットンを捉え、交代するようにエレキングは尻尾の拘束を解く。

 

 《ナナ!》

 

「エレキング、ライトニング…あー、エミッション!」

 

『今考えたなその名前』

 

「ジャンナイン黙ってて」

 

 エレキングの口から電撃が飛び出す。引き付けられそうになる体を踏ん張って堪えているため、身動きが取れずテレポーテーションを封じられたゼットンは、それを胸で吸収し、逆に波状光線に変換してエレキングへ照射する。

 

「エレキング、戻って!」

 

 《今だ!》

『ハァァァー…!ハァ!!』

 

 すぐさまナナはエレキングをバトルナイザーに戻し波状光線を避ける。と同時に、ティガはデラシウム光流を横を向いているゼットンへと叩き込んだ。

 

「やった!」

 

 《いーや…》

 

「うわ、タフっすね…」

 

 ナナが歓喜の声を上げるが、ティガは再び構えをとる。

 無防備な状態に真横から炸裂したデラシウム光流だったが、倒すには至らなかったようだ。

『ゼットン…』という不気味な鳴き声と共に煙の中から現れたゼットンは右腕を失い、ヒビが入った右の発光体からは光を失いつつも、未だ健在だった。

 

『バトルナイザー・モンスロード!』

 

「上等よ!」

 

「プランFっすね!」

 

『チャアッ!』

 

 殴りかかってきたティガを、しかしテレポーテーションで簡単に避けて見せたゼットンは、三体の背後に距離を置いて現れ1兆度の火球を乱射する。

 

「じ、地面に潜れ!」

 

『テヤッ!』

 

「ライトニングカッター乱射!頑張って!」

 

 バリアで身を守っていたティガは、ライトニングカッターと火球が相殺された際の爆発に乗じて空へと飛び上がり、急降下の飛び蹴りをくらわした。左のツノを折られたゼットンは地面へと倒れこみ、地面から突き出してきた巨大なハサミにがっしりと体を挟まれた。

 

 《ナナ、エレキングは大丈夫か?》

 

「なんとかね。それより今は、あいつを倒さないと」

 

 相殺しきれなかった火球をくらい地に伏していたエレキングを助け起こしたティガは、アントラーに投げ飛ばされ地面を転がるゼットンを見やる。カラータイマーは既に点滅を始めていたが、憐に焦りはない。

 

 

 《ああ、一気にいくぞ。あのゼットンのためにも》

 

 片腕でなんとか立ち上がったゼットンは足に走る衝撃でバランスを崩しそうになる。アントラーの顎に捕えられたのだ。痛々しい姿になったゼットンの表情からは何も読み取れないが、足を挟まれたままバリアーを張ったその姿からは、なんらかの覚悟を感じた憐だった。

 

 

 《フッ!ハァァァァァ…!チャアァッ!!》

 

「エレキング、フルバースト!」

 

 幾千もの稲妻が一点に降り注ぎ、そこへ重なるようにして燃える炎のような色のゼペリオン光線が突き刺さる。

 

『……!』

 

「いい加減、倒れなさい!」

 

 ピシッ、と薄氷にヒビが入るような音が響き、一度入った亀裂は急速に全体へと広がっていく。

 

「あと一息っす!」

 

『ゼットンの頭部のエネルギー密度が高まっている。火球を放つつもりだ!』

 

 バリアーが決壊した瞬間、ゼットンから特大の火球が放たれた。しかし、それがティガとエレキングの合体光線と拮抗したのは一瞬であり、直後にゼットンは頭部に光線を浴びて火花を吹き出した。

 

 

『爆発に巻き込まれる!上空へ離脱するぞ!』

 

『テェア!』

 

「エレキング、戻れ!」

 

「アントラーもっす!」

 

 

 

 ティガとジャンスターが安全圏に逃れたところで、ゼットンは後ろに倒れ込みながら大爆発をおこした。それを見つめながら、憐はふと違和感を覚える。

 

 《イーヴィルクリスタルが出てこないな》

 

 普段なら倒せば出てくるはずのイーヴィルクリスタルが、一向に現れないのだ。

 

「嘘…じゃああのゼットンは野生の…?」

 

 《いや、たしかに反応はあったん…!?ぐああっ!》

 

「憐!?」

 

『これは回避出来ない、二人とも、着弾に備えろ!』

 

 並んで滞空していたティガが突然落下し、直後にジャンスターも下から突き上げるような衝撃に見舞われる。

 

「今のは火球!?まさかまだゼットンが…」

 

「違う!アレ見て!」

 

 コックピットのモニターに映し出されたのは、背中から地面に叩きつけられたティガに向かって歩みを進める、紅い怪獣の姿だった。

 

「新しい怪獣!?」

 

 《モンス、アーガー…?なぜ…》

 

 モンスアーガーは起き上がろうとするティガに蹴りを入れると、両手を合わせて追い打ちをかけるように三発の火球を放つ。

 

『グッ…デェアァァァ!!』

 

 爆炎に包まれたティガから苦悶の声が漏れ、カラータイマーの点滅はその間隔を狭めていく。

 

「憐!このっ…!」

 

「こうなったらアントラーを…」

 

『待て!どうやらレイオニクスが足元にいるようだ』

 

 バトルナイザーを構える二人を止め、ジャンナインは映像を拡大させた。モンスアーガーの近くに、バトルナイザーを手にした少年らしき人物がみとめられる。

 

 

 

 

 

『チャッ!』

 

 煙の中から青い光線が飛び出し、様子を伺っていたモンスアーガーに直撃。ティガフリーザーをまともにうけたモンスアーガーはたちまち凍り付いてしまった。

 

(たしか、モンスアーガーの弱点は、頭の天辺!くっ、時間もない。これでトドメだ!)

 

 炎の中でスカイタイプにチェンジしていたティガは、空へ跳ぶ。

 

『ハッ!』

 

 急降下キックを仕掛けるティガ。そこへ静止の声がかかった!

 

「あ、兄貴!レイオニクスは取り押さえたっす!」

 

「そいつ倒すのストーップ!」

 

 《ええ…》

 

 ティガは宙返りをして見事に着地した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいやめろ!はーなーせー!」

 

「ほーら、大人しくしないと溶かしちゃうっすよ〜?」

 

「ゴボゴボさすな!泣いちゃうでしょうが!」

 

「俺にもその位の優しさがあってもいいと思う。つーかこの星空気あったのか…」

 

『それもそうだが、僕は有機生命体が存在していることに驚きを隠せない。データに齟齬が…?』

 

 ムッチの瞬間移動により背後から取り押さえられた少年レイオニクスは、縄でぐるぐる巻きにされながらジタバタと暴れていた。

 ムッチに支えられなんとか立っている憐が言うように意外にも空気のあるこの星だが、辺りは一面岩だらけ、空を見上げても闇にこの星の太陽がポツンと浮かんでいるだけという徹底した死の星っぷりだった。ガンパッドから漏れるジャンナインの声から察するに、首があったら傾げていそうな勢いで人がいることが不思議でならないらしい。

 

「はあ…いてて。んで?君はなんで俺たちを襲って来たんだ?」

 

 憐の問いに、少年は噛みつくように答える。

 

「お、お前達が、ゼットンを連れてきたからだ!この侵略者共め!」

 

「あー、なるほど…」

 

「たしかに見方によっちゃあそう見えるっすけど…」

 

『戦場に選んだという点では間違いではないな』

 

「アタシらちゃんと倒したのに…」

 

「おーい!ライムー!」

 

「ッ!父さん!?」

 

 思わぬ回答に三人がなんとも言えない顔になっていると、何事か叫びながら一人の男性がこちらへ向かってくる。どうやらライムと呼ばれたこの少年の父親のようだ。

 

「何してんだ父さん!隠れてなきゃいてぇっ」

 

「何言ってんだこの馬鹿たれが!す、すいませんお三方!うちのドラ息子がとんだご無礼を!」

 

「いやいや頭を上げて下さい」

 

「そういう訳には…」

 

「話が進まないんで」

 

 憐になだめられ、しぶしぶといった様子で土下座をやめた男性は自らをオランゲと名乗った。

 

「こうなった以上いつまでも外にいるのは危険です。詳しい話は中で」

 

「父さん!」

 

「ナナ、縄を解いてやってくれ。…ライム君、俺たちは侵略しに来た訳じゃないんだ。信じてくれないか」

 

 憐の言葉に、自由になったライムは顔を背け、先ほどオランゲがやってきた方向へ走って行ってしまった。

 

「嫌われちゃったっすねー」

 

「あいつ…あ、すいません。こちらです」

 

 オランゲの案内でしばらく歩くと、人工的な扉の前に辿り着いた。ソレを通り、地下へと伸びる階段を下って行くと、ガヤガヤとした喧騒が次第に大きくなっていく。

 

「人の声が聞こえる…」

 

「ここは避難用のシェルターです。もっとも、このような物が星中にあるので、今ここにいるのはごく少数ですが」

 

 階段を下り終え、開けた場所にでる。かなりの大きさの空間で、数千人はいるように思える。

 憐達が入ってくると、人々の視線が一斉に向けられた。耳をすませば、「あれが宇宙警備隊の人ー?」「まだ子供じゃないか!」というような声も聞こえてくる。

 

「おい!みんな静かにしろ!」

 

「オランゲさん、これは一体?」

 

「まずは今この星が置かれている状況についてお話しせねばなりませんね」

 

 

 オランゲが言うにはこうだ。

 一ヶ月前、突如円盤群が飛来し、この星の一番大きな衛星に巨大な建造物を築き上げた。ほぼ同時期、付近にゼットンが現れたため、オランゲ達の種族ーアーゲル族というらしいーは地上での生活を放棄し、この地下シェルターでの暮らしを余儀なくされている、と。

 

「じゃああのゼットンは尖兵、いや哨戒兵ってところか」

 

「まあだいたいの事情はわかったけど、そもそも地上での生活ってどうしてたの?」

 

「たしかに、上にはなーんもないっすもんね」

 

 ナナのもっともな疑問に、オランゲは笑って答える。

 

「ああ、それは元から侵略者に備え、先人が開発した生命体にも機械にも環境を誤認させる電磁波を流しているためですね。このバッヂをつければ影響を受けません」

 

『僕にも干渉するとは恐ろしい技術力だな』

 

(モンスアーガーって時点でなんとなく予想はしてた)

 

「なにうんうん頷いてんのよ憐」

 

「ライム君が操ってたモンスアーガーはなんなんすか?」

 

「ああ、あれも代々受け継がれてきた生物兵器なんですが、ライムがレイオニクスを発現しまして。収納スペースが空くからあいつに任せたんですが…」

 

「俺達を敵だと思って、弱った所を叩きにきたって訳か」

 

「勝手に抜け出したみたいで。やはり子供に持たせるには過ぎた力でした」

 

「正義感があるっていうのは良いことだと思うわよ、アタシは」

 

「やっぱりナナさんなんか甘くない?」

 

 外敵対策に監視衛星も小惑星風にカモフラージュしているという話を聞いた後、憐は自分達の自己紹介と旅の目的を打ち明けた。

 

「なんと…あなた方は宇宙警備隊ではなかったのですか」

 

「ええ、なんか騙していたみたいですいません」

 

「いえ、謝らないで下さい。しかしそうなるともうなりふり構ってられませんね」

 

 オランゲは静かに会話へ耳を傾けていた人々へ向き直ると、指示を飛ばす。

 

「おい!衛星にコマンドを送れ!…ああそうだ、SOSだ!それと絶対に外に出るなと全シェルターに連絡!急げ!」

 

 一気に慌ただしくなった室内で憐達が唖然としていると、オランゲが振り返る。

 

「ああ、これでも私、副族長のような立場でして。こんな小さい星ですが、2億はいます」

 

「あの、SOSって?」

 

「今までは地上になるべく出ず、電磁波で死の星に見せかけることでヤツらの目を欺いてきましたが、ゼットンが帰ってこないとなると攻め込まれるのも時間の問題でしょう。なので、宇宙警備隊に助けを求めるために」

 

「そっか、アタシ達が倒したせいで…」

 

「遅かれ早かれこうなることは分かっていました。あなた方のせいではありません。それより、この星から脱するなら急がなければ」

 

「いや、どうやらそいつらがイーヴィルクリスタルを持ってるみたいなんで、黙って帰る訳にも」

 

 憐は未だ強い反応を示すギンガスパークを取り出す。

 

「まさか3人で乗り込むつもりですか!?それはいくらなんでも」

 

「無謀?そんなのー」

 

「そんなの、やってみなくちゃわからない、でしょ?」

 

「負ける気はねーっす!」

 

『自己修復は完了している。いつでもいけるぞ』

 

「と、いう訳なんで。大丈夫、少なくともこの星には一歩も入れませんから」

 

 憐はそう言うと、仲間達と共に出口へ向かう。

 

 

「ほ、本気ですか!?」

 

 オランゲの投げかけた言葉は、既に階段を駆け上がり始めた彼らには届かない。

 

「さあ、暴れるわよー!」

 

「な、何体ぐらいいるんすかね?」

 

「ねえ待って!引きずられてる俺のことも考えて!この速さだと一段上がるごとにダメージくらってるよ俺!」

 

 しかし、かわりに聞こえてきた声に、オランゲは少しだけ希望が湧いてくる気がしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お久しぶりです。生きてました。
私生活が忙しくなってしまい、小説執筆の時間も意欲も失いかけていなのですが、やはり放っておけずに再開することにしました。
これからも更新の間隔は長くなるかもしれませんが、絶対完結させるので、応援よろしくお願いします。

前話で予告していた短編は、その…いずれまた機会があったら。
ではまた次回、お楽しみに!
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