ウルトラギャラクシー〜異世界の救世主〜   作:ふと郎

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episode4 仕掛けられた罠

《いくぜ!》

 

「くっ!ならば兄者、俺も戦うぜぇ!」

 

『バトルナイザー・モンスロード!』

 

 憐の参戦により劣勢になったマグマ星人(弟)が繰り出したのは凶剣怪獣・カネドラス。

 頭の一本角を飛ばす「ドラスカッター」と口から吐く超高温の炎が武器の怪獣である。

 

「いけぇ、カネドラス!あのベムスターを…」

 

「アンタの相手はピット星のレイオニクスであるこのアタシよ!やっちゃって、エレキング!」

 

(あ、やっぱ名乗るんだ)

 

 憐の方に向かおうとしたカネドラスを、横からタックルで吹き飛ばすエレキング。

 

《ナイス、ナナ!さぁて、いこうか!》

 

 その一言で、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 〜ナナvsマグマ星人(弟)〜

 

「おのれ小癪なぁ…カネドラス!焼き払っちまえ!」

 

 その指示で素早く立ち上がったカネドラスの火炎放射を、横に転がって避けるエレキング。

 

「お腹がガラ空きよ!ライトニングカッター!」

 

 転がった勢いのままスムーズに立ち上がったエレキング。そこから放たれる三日月状の光刃は火炎放射後で動きの止まっていたカネドラスの腹部に直撃し、再度吹き飛ばす。

 

「いい調子、このまま決めちゃいましょ!」

 

 エレキングはヨロヨロと立ち上がったカネドラスに長い尻尾を巻きつけると直接電流を流し、そのままトドメをさそうとした。

 

「おい、カネドラス!いつまでぼうっとしてやがる!ヤツにドラスカッターを叩き込めぇ!」

 

 その言葉に電流攻撃で朦朧としていた意識を覚醒させたカネドラス。

 首を大きく振って必殺の「ドラスカッター」を発射する。ドラスカッターはエレキングの右肩を切りつけたあと、ブーメランの要領で大きく旋回して今度は背中を切りつけ再びカネドラスの頭部に戻ってきた。

 そのダメージでたまらず尻尾の拘束をといてしまったところにすかさず超高温の炎が襲いかかり、エレキングは膝をついてしまう。

 

「フッハッハッ!これで終わりだぁ!」

 

「くっ…どうすれば…!」

 

 再度ドラスカッターの発射準備に入ったカネドラス。

 いまだ膝をついているエレキング。

 絶体絶命の状況の中、ナナはドラスカッターを打ち破る秘策を思いついた。

 

「エレキング、尻尾で相手の体勢を崩して!」

 

 ナナの指示に、力を振り絞って応えたエレキングは尻尾を振り回してカネドラスを後退させる。

 

「まだそんな力があったか。しかし、その程度では時間稼ぎにしかならんぞぉ!」

 

「こんだけ稼げれば充分!新技よ、くらいなさい!」

 

 ナナと思考を共有したエレキングに、新しい技のイメージが流れ込んでくる。

 カネドラスは体勢を立て直し、すぐさまドラスカッターを放とうとしたが、エレキングにとってその時間は新技の準備には充分だった。

 エレキングは連続でライトニングカッターを射出するとそれを横一列に並べ一枚の巨大な刃を作る。

 

「俺の勝ちだぁ!ドラスカッター!」

 

「ライトニングスラッシュ!」

 

 それを紫電を纏った尻尾で弾いて打ち出す。

 高速回転しながら迫る黄金の刃は、ドラスカッターを軽く真っ二つにしてそのままカネドラスを直撃し、爆散させた。

 

「そんなぁ…」

 

「我ながらエグい技ね…。うんでも勝ったし。憐も…ちょうど勝ったみたいだしね。いこ、エレキング!」

 

 ナナの視線の先には、ものすごい爆発を起こしている砂浜があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 〜憐vsマグマ星人(兄)〜

 

「サタンビートル!全弾発射ぁ!」

 

《いきなり⁉︎》

 

 開始早々ロケット弾を大量に放ってきたことに驚きながら、角からの光弾で次々撃ち落としていく憐。

 しかしきりがないので残りは空に上がることで回避した。

 

「フッフッフッ、サタンビートルに空中戦を挑むか!愚か者めぇ!」

 

 マグマ星人がそう言うと、サタンビートルは背中から羽を展開させ、猛スピードでこちらに向かってきた。

 憐は光弾を発射するが全て避けられ、距離がどんどん縮まっていく。

 

《うっわ早!でも、そっちがその気ならこっちだってやってやんよ!くらえ、フライングインパクト!》

 

 憐は更にスピードを上げてサタンビートルを振り切り、宙返りで方向転換。サタンビートルと真っ向からぶつかっていった。

 拮抗する両者の角と角。しかし、回転を加えドリルのようにサタンビートルの角を削り始めたことにより、憐が優勢になる。そしてついに、ベムスターが角を打ち破り、サタンビートルは落下していった。

 

《愚か者はお前の方だったな!》

 

「くっおのれぇ…」

 

 サタンビートルが落下したところの近くに着地したベムスター。様子を伺っていると突然サタンビートルがベムスターに飛びかかり、口から毒ガスを吹き付けた。

 

「かかったなぁ!その毒ガスこそサタンビートルの真骨頂、先ほどの比ではない!今度こそ死ねぇ!」

 

 辺り一帯を毒ガスが覆い、マグマ星人が勝利を確信して笑う。

 しかし、すぐにガスが渦を巻き始め、すべてベムスターの腹部に吸収された。

 

《さーて、万策尽きたか?》

 

「ぐぬぅ…いや待て!サタンビートルは体に毒ガスを溜め込んでいるから倒したら大爆発を起こすぞ!それは困るだろぉ⁉︎」

 

 必死に倒さないよう説得するマグマ星人に、無慈悲な言葉がかけられる。

 

《大爆発?大丈夫、吸収すればいいから》

 

 その言葉と共に頭部の角からベムスタービームが放たれ、サタンビートルは大爆発を起こしたが、すぐにベムスターに吸収され、それを見たマグマ星人が膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

「で?なんでこんなことしたんだ」

 

「俺たちゃ邪魔者を消そうと思っただけだぁ…」

 

「なんでアタシ達が邪魔だったの?」

 

「いや、あんたらもレイオニクス大会(フェスティバル)にでるんだろぉ?」

 

「「レイオニクス大会(フェスティバル)?」」

 

 捕まえたマグマ星人の話を要約すると、この先の開拓惑星・ナオで開かれるというレイオニクス大会(フェスティバル)。それはレイオニクスなら誰でも出られるものであるが、自分達が優勝しやすくするためにレイオニクスを片っ端から狩っていた(不意打ち毒ガスで)、というものだった。

 

「レイオニクス大会ねぇ…理由はわかったが、ナナ、こいつらどうする?殺されかけたわけだし」

 

 と問いかけた憐だったが、ナナはあることで頭がいっぱいで上の空であった。

 

「レイオニクス大会、か…」

 

「おい、おいナナ!聞いてんのか?」

 

「ほえ?なに?」

 

「ほえ、じゃねぇよ。こいつらどうする?って話だよ」

 

「あ、そ、そうね。うーん、じゃ、ナオまで案内してくれたら許してあげる」

 

「誰が自ら敵を増やすようなことを…」

 

「兄者!折角助かった命だぜぇ!それぐらい安いもんだろぉ!」

 

「ぐっ、確かにそうだなぁ。わかった、案内しよう」

 

「おい、ちょっと待て!なんで行くことになってんの⁉︎」

 

 なんだか行く流れになっているが、ギンガスパークが反応していない以上、憐にはそこに行く必要がない。

 しかし、ナナにはあった。

 

「アタシの目的、覚えてるわよね?」

 

「あ、ああ。お姉ちゃんを…!そうか」

 

「そう。そんな大会があるなら確実にお姉ちゃんはいる。だからアタシ、行きたいの」

 

 ナナの真剣な表情を見て、憐はすぐに思い直した。

 

「なら、さっさと行こうぜ。俺はナナに協力するって言ったしな」

 

「憐…!」

 

『カモン!ジャンナイン!』

 

「つーことだ、相棒。よろしく」

 

『もちろんだ、相棒。早く乗れ』

 

 ナナの嬉しそうな顔に恥ずかしくなった憐はジャンナインとの会話にうつった。

 

「待たれよ!」

 

 憐がジャンスターに乗ろうとすると、砂浜にラゴン達が降りてきた。

 

「おう、よかったな。元に戻って」

 

「本当に、本当に、ありがとう。このご恩は一生忘れん。一族みんな感謝しておる」

 

「ありがとう!」

 

「あんたはこの星の救世主だ!」

 

「よせやい。照れるだろ」

 

「デレデレね」

 

 口々に褒め称えるラゴン達と満更でもないどころかめちゃくちゃ嬉しい憐。

 

「もういくのか?」

 

「ああ、やんなくちゃならねぇことがあるからな」

 

 憐がそう言うと、ラゴン達が食料をたくさん出してきた。

 

「こんなことしかできないが、受け取ってくれ」

 

「ほんとか⁉︎悪りぃな、こんなに」

 

「我々がしてもらったことを考えればまだまだじゃ。今後困ったことがあったら遠慮なく言ってくれ」

 

「ああ、わかった。じゃあ行くわ!」

 

「あ、俺たちの円盤とってきていいですか?」

 

「うん。でも、逃げたりしたら許さないから♪」

 

 そのイイ笑顔を見て、憐は改めてナナを怒らせてはならないと心に刻んだのだった。

 

 ちなみに、この話はこの星で後世まで語り継がれることになるとかならないとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

「さて、やって参りました惑星ナオ!それにしてもなんもないな」

 

『開拓惑星だからな』

 

「それにいろんな種族がいるわねー」

 

『レイオニクス大会が開かれるからな』

 

 憐達の会話からわかるように、開拓惑星だけあってなにもない。だからこそ異様に目立つあの巨大なドーム(上空から確認したところ直径3kmほど)が会場だろうと当たりをつけて歩いている最中である。

 

「君たちも大会に出るんすか?」

 

「あ、俺は付き添いです」

 

「出るのはアタシ」

 

 やがてドームに近くなってきた時、後ろからケムール人に声をかけられた。

 どうやら彼もレイオニクスらしく、この大会についていろいろと教えてくれた。

 

「この大会は、今回が初めてじゃないんすよ。今大会は第三回。今まで参加した人数は各32人。今回もそんくらいじゃないすかねー」

 

「へーよく知ってんな」

 

「アンタは今まで出たことあんの?」

 

「俺すか?ないっすよ。それと俺の名前はムッチっす」

 

「優勝者はなにが貰えるのかしら?」

 

「お前目的ズレてないか?」

 

 早くも勝つ気まんまんなナナは優勝商品を知りたがる。

 その質問にムッチは声のトーンを低くして語り出した。

 

「優勝者には表向きは一生遊んで暮らせるほどの富が与えられるって話っす」

 

「ん?表向きは?」

 

 ムッチの含みのある言い方に聞き返す憐。

 

「…こんな噂があるんすよ。過去、大会でベスト4に残った者は誰一人として帰ってきていないっていう」

 

「なによそれ。そんなの確かめようと思えばすぐ確かめられるじゃない」

 

「そうなんすよ。この噂の奇妙なところは確かめようと思えば確かめられる、もっと言うと誰かが確かめているはずなのに流れ続けてるってとこなんす」

 

「なるほど、確かに奇妙だな」

 

「それとこの大会、主催者が誰なのかハッキリしてないんす」

 

「ハァ⁉︎なによそれ!そんなことあり得るの⁉︎」

 

「ハイっす。みんな戦いに夢中であんま気にしてないんすけどね。あ、ここが受付っす。じゃまた!」

 

「ねえ、この大会…」

 

「ああ、怪しさMAXだな」

 

 立ち去るケムール人を見送りながら、エントリー場所に足を向ける憐とナナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 受付を済ませ、明日から始まるという大会に備えて準備することになった二人(ジャンナインはガンパッドを通して会話している)。

 今は一通りこの付近を見て回りたいという憐の希望で別行動をとっていた。

 

「いや、なんかこういうとこ見るとホントに色んな作品が混ざってるってのがよく分かるなー」

 

 モネラ星人など、本来M78星雲がある宇宙には存在しない宇宙人、怪獣が「ギャラクシークライシス」という事件によってごちゃ混ぜになったのが大怪獣バトルの世界。憐は今、それを身をもって体感していた。

 

「俺は今、本当にウルトラマンに会える環境にいるのか…。うわっ、なんか感動で涙出てきた」

 

『感極まっているところ悪いが、そろそろ待ち合わせ時間ではないのか?』

 

「ん?おお、やべっ!ありがとうジャンナイン」

 

 時計を見て慌てて走り出す憐。どうにか時間内に待ち合わせ場所に着くと、道路の反対側にナナらしき人物がいるのを確認した。

 

「あ、おーい!ナナー!もう時間…」

 

「だ〜れだ?」

 

 そこまで言って突然視界を塞がれた憐。犯人は声でわかるのだが、あまりにあり得ない現象に若干声が引き攣る。

 

「ナナ、だよな…?」

 

「そうに決まってるじゃん!なによ面白い声だして」

 

 ナナは笑っているが、憐にはどうにも解せない。

 

「いや、だってお前さっきまであそこにいただろ!」

 

「へ?何言ってんのよ。アタシはあっちの方から来たんだけど」

 

「そんな…」

 

 全く反対方向を指差すナナに、狐につままれたような気持ちになる憐。あれー、見間違い?いやそんなはずは…、とブツブツ言いながらジャンスターに戻る憐に、首をかしげるナナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

『さあいよいよレイオニクス大会の始まりです!実況はわたくしプレッシャー』

 

『解説は私ヒマラ』

 

『でお送りして行きまーす!では早速参りましょう!Aブロック一回戦!おおっと、これはいきなりの注目カードだ!キュラソ星人キューラvsリフレクト星人カッキー!』

 

『コレは面白くなりそうですねぇ』

 

『ではでは一回戦Aブロック一試合目、両者定位置について…ファイッ!』

 

 

 

「どうだった?お姉ちゃんの名前、あったか?」

 

「ううん、なかった。…でも出るからには優勝狙ってくから応援しててよね!」

 

「おう!変な噂もあるが、がんばれよ!」

 

 

 A〜Dのブロックのうち、ナナはCブロックの二試合目。まだ開始までは時間がある…と言いたいところだが、一気に三試合同時進行なので案外余裕がないかもしれない。

 

「アイツ、流石にピット星人の姿で戦うんだな…。んじゃ、俺は応援席確保しに行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ、一回戦も残り半分を切りました!Cブロック二試合目!ピット星人ナナvsゴドレイ星人ドーラ!』

 

『ピット星人は元々エレキング使いとして有名ですからねぇ。レイオニクスとしての能力も高いでしょう』

 

『なるほど〜!では、両者定位置について…ファイッ!』

 

 

「いけ、エレキング!」

 

「いきたまえ、メタシサス!」

 

『『バトルナイザー・モンスロード!』』

 

 開始の合図とともに怪獣を召喚する両者。

 

「僕はあまりレディを痛めつけるような真似はしたくないのですが、致し方あ…」

 

「なにごちゃごちゃ言ってんの?エレキング、ライトニングカッター!」

 

 なにやら喋っているドーラを無視し、仕掛けるナナ。当然エレキングの攻撃は当たり、メタシサスは吹き飛ぶ。

 

『おおーっと、コレは強烈な一撃だー!』

 

『いやあのエレキング、よく鍛えられてますねぇ。今の攻撃はかなりの高エネルギーでしたよ』

 

 

「ちょっ、卑怯じゃないかねキミ!」

 

「もう試合は始まってんの!尻尾を叩きつけてそのまま放電!」

 

 エレキング(ナナ)の容赦ない攻撃によって既にダウン寸前のメタシサス。

 

『いやーヒマラさん、ナナ選手容赦ないですね』

 

『あの攻撃の繋げ方はいいですねぇ。くらった方は一溜まりもないですが』

 

 

「くっ、なんと嘆かわしいことか!メタシサス、この無礼者に正義の鉄槌を!」

 

 その言葉とともにエレキングの動きが鈍くなる。その隙に空間転移で距離をとったメタシサスが透明化。完全にその姿を消した。

 

『なんと、メタシサスの姿が消えた!』

 

『コレは重力をかけてエレキングの動きを阻害しましたね。そして透明化。うまい手です』

 

 

「ふっふっふ、見えない攻撃に恐れおののくがいい!」

 

 不利な状況にも関わらず、ナナに焦りはない。

 

「エレキング、ライトニングカッター、最大出力!」

 

 エレキングは口に電気エネルギーを限界まで溜めると後ろを振り返り、すぐさま発射。三日月状の刃は今まさに襲いかかろうとしていたメタシサスの口に直撃し、見事撃破した。

 

『そこまで!勝者はピット星のレイオニクス・ナナ選手!中々の熱戦でしたね!』

 

『どちらもよく戦いました』

 

 

「バカな、メタシサスの透明化は完璧だったはず…」

 

 未だになぜ敗れたかわからないドーラに、ナナは告げる。

 

「ああ、知らなかった?エレキングの角はね、電磁レーダーになってるの。だから姿を消そうが地面に潜ろうが、全てお見通しだから。じゃ、お疲れ様」

 

『試合を終えた二人に大きな拍手を!』

 

 大歓声に見送られながら控え室へと戻るナナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

「よっ、お疲れさん」

 

「どうよ、アタシの戦いっぷりは」

 

「めっちゃ強かったな」

 

「でしょでしょ!もっと褒めてもいいのよ?」

 

「えらいえらい」

 

『そんなにすごかったなら僕も見たかったな』

 

 なんか仔犬みたいだな、と思いつつ褒め続ける憐と嬉しそうなナナ。

 明日も試合があるため、早目にジャンスターに戻ってきた二人は、さっきからずっとこの調子だった。

 

「ふぁ〜、明日も早いしアタシもう寝る」

 

「お、そうか。明日もがんばれよ!」

 

「ありがと〜。おやすみ…」

 

「ああ、おやすみ」

 

 ナナが自分の部屋に戻ったのを確認してから、憐とジャンナインは今日の成果を報告しあう。それはナナが余計なことを考えずに試合に集中できるようにという憐の配慮だった。

 

 

「俺は噂について手当たり次第聞いて回ったが、ムッチ以上の情報はなかった」

 

『僕は敵に悟られないようにしたためにあまりデータは得られなかったが、一つ興味深いことがわかった』

 

「…それは?」

 

『あのドームから、巨大なマイナスエネルギーが感知された』

 

「なんだって⁉︎でも、ギンガスパークにはなんの反応も…」

 

『なにもイーヴィルクリスタルだけがマイナスエネルギーではない、ということだろう』

 

「つまり、イーヴィルクリスタルなしの根っからの悪者ってことか」

 

『…憐、くれぐれも気をつけて動けよ?』

 

「ああ。とりあえず、俺も今日は寝るわ」

 

 こりゃ予想以上にヤバそうだ。そう思いながら、憐は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

『さあ二回戦Cブロック第一試合!ナターン星人ランvsピット星人ナナ!勝った方がベスト8ですよ!』

 

『ラン選手は豊富な手数をもつテクニックタイプですからねぇ。ナナ選手のダイナミックな戦い方との激突はとても楽しみです』

 

『では両者共に定位置について…ファイッ!』

 

 

「フン」

 

「お願い、エレキング!」

 

 

『『バトルナイザー・モンスロード!』』

 

 

「先手必勝!」

 

「なに?ガードしろ、ガギ!」

 

 開始早々エレキングがライトニングカッターを連続で発射し始めた。ランが召喚したバリア怪獣ガギはそれを見てガードしようとバリアを張る。しかし、それは悪手だった。

 

「ふふっ、かかったわね。エレキング、ライトニングスラッシュ!」

 

 エレキングが発射した光刃は空中に留まり次々に合体し、巨大な三日月状の刃を形成。ガギが危険と判断し回避行動をとろうとした時にはエレキングの長い尾に黄金の刃が弾き出された後であり、特に何もできないままガギは撃破されてしまった。

 

 

『試合終了ー!コレは大会史上最短か⁉︎』

 

『あの技は隙が大きいぶんかなりの威力をもってますねぇ。回避に専念するのが正解でしょう』

 

 

「おつかれ、エレキング」

 

「…強いな、きみは」

 

 戦いが終わり控室にもどるナナに、ランが声をかけてきた。

 

「まだきみは若いだろう。なぜそんなにも強いのだ?」

 

 そんなランの問いに、ナナは笑顔で答える。

 

「んー、あんまり恥ずかしい姿を見せたくないヤツがいるからかな?なんちゃって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 その後三回戦も危なげなく通過し見事ベスト4入りを果たしたナナは、ジャンスターに戻ってきてすぐ寝てしまった。

 

「ふう、ベスト4入りか…。あの変な噂がなけりゃあ素直に喜べんのにな」

 

『情報が少ないため後手に回るしかないが、何か起こるのは間違いないだろう』

 

「…俺も明日に備えて早く寝るか」

 

 そう言って自分の部屋に向かおうと歩き出した瞬間、突然何もないところから人が現れ、憐に銃を突きつけた。

 

 

「お前…ムッチ!?」

 

「悪いすけど、あんたの相方のバトルナイザーはいただグフゥ!?」

 

『侵入者捕獲完了…なんだ憐、知り合いか?』

 

「え?あ、ああ。大会に関する情報を教えてくれたやつだ」

 

 ジャンナインによって電磁ネットに捕らえられたのは先日噂を教えてくれたケムール人のムッチだった。

 

「くっ、ただの人間かと思って油断したぜ…」

 

「お前、なんで侵入してきたんだ?バトルナイザーがなんとかって言ってたけど…」

 

『素直に言ったほうが身のためだぞ』

 

 身動きの取れないムッチは観念したのか、ため息を一つつくとしゃべり始めた。

 

「わかった、言いますよ。言えばいいんでしょ?でも、その前に一ついいすか?」

 

「ん?なんだ?」

 

「あんた、大会についてどこまで知ってる?」

 

「お前に聞いたところまでだな」

 

「つまりなにも知らないと」

 

『どういう意味だ』

 

 ジャンナインの問いに、ムッチは真剣な表情で答える。

 

「今から話すのは、この大会に隠された真実だ。それを聞けば、あんたらにも危険が…」

 

「はっ、そんなの今さらだろ!」

 

「そうすか…なら心して聞いてくださいね」

 

 次にムッチから告げられたのは、衝撃的な内容だった。

 

「ベスト4に入ったものは皆、大会の主催者によってバトルナイザーを取り上げられ、モルモットとして研究されるんす」

 

「モルモット⁉︎」

 

「その黒幕の名はヤプール。やつらは自分たちのことをそう呼んでました」

 

 

 

 

 

 




~次回予告~

ムッチから明かされる衝撃の事実。
そして現れる黒幕。
絶望的な状況の中、憐が下す決断とは!

次回「異次元の復讐者」、お楽しみに!



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