スカリエッティの兄弟   作:ヴィヴィオ

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タイトルはソフィの称号です(ぁ



願う少女

 

 

 クイント

 

 

 

 

 管理外世界に見つけた違法研究所。そこに侵入したのだけど、やはりここは戦闘機人に関連ある施設のようだ。

 

「ナカジマ、アルピーノ、あれを見ろ」

「女の子……?」

「女の子が二人ですね」

 

 そこには私にどこか似ている女の子が二人居た。なぜ似てるかは分からない。けれど、何かを感じる。どういうことだろうか……わからない。今はとりあえずおいておきましょう。

 

「二人は救助を優先しろ。お出迎えのようだ」

「「はい」」

 

 ゼスト隊長の声に私達は返事して2人の少女を私が抱え上げる。

 

「メガーヌ、護衛を頼める?」

「任せて。ガジェットくらいなら余裕よ」

「いや、どうやらガジェットではないようだ」

「っ」

「みたいですね……」

 

 コツコツと歩いてくる音が研究所内に響く。その足音は軽く、まるで幼い少女のような感じだ。

 

「何が出るかわからん、さっさと後退しろ」

「残念ながら逃がす訳には行きません」

 

 奥の方からこちらに歩いてきたのは六歳程の女の子だった。オレンジ色の髪を揺らし、太ももの上の部分までしかない白のワンピース。そのワンピースには炎が描かれた物と黒いマントに白い炎が描かれた物をつけている。首元には紋章が刻まれた金色のペンダントをしている。

 

「敵か……」

「少女とかやりにくわね」

「そうだね。でも、クイントはその子達を連れて逃げる? それとも三人で無力化する?」

「いや、ここは俺とアルピーノであたる。ナカジマは一度下がって他の者達に二人を渡して戻ってこい」

「了解」

 

 私は後ろに向かって走り出す。

 

「逃がさないと言いました」

「お前の相手は俺達だ」

「そうだよ。お嬢ちゃんには事情を聞きたいからね」

「そうですか……なら、力ずくで止めます」

 

 少女がそう言った瞬間、周りに無数の円形に三角形魔法陣が出現した。直ぐに私は足を止めて距離を取る。

 

「近代ベルカ式か?」

「これは見覚えが……」

「って、これはソフィちゃんも使ってた古代ベルカ式です!」

「つまり、この子は古代ベルカに関わりのある存在という事か……」

 

 魔法陣から浮かび上がってくる無数の甲冑姿の騎士達。それは正しく騎士団のようだ。伝わって来る気配はどれもやばい。戦場を知っている者特有の濃密な殺気を放っている。

 

「予想以上にまずいか……ナカジマの撤退を援護する。アルピーノ、行くぞ」

「はい!」

 

 ゼスト隊長が少女へと突撃し、私の横にメガーヌが来る。

 

「王命を持って命じます。倒してください」

 

 その声と共に甲冑騎士達が私を目指してくる。その速度はかなり早い。拳が私目掛けて襲いかかって来る。でも、両手は塞がっている。なら、私が取れる手段は蹴りしかない。だから、後ろにバク転しながら拳を回避し、伸びた拳を蹴り上げる。

 

「ナイスアシスト! 零距離砲撃!」

 

 そこにメガーヌが拳を叩き入れて拳から砲撃魔法を放つ。甲冑騎士は吹き飛ばされて行動不能になったのか、瞬時に身体が光って大爆発を起こした。

 

「ちょっ、これって……」

「質量兵器じゃない!?」

 

 前方からも爆発音が聞こえる。これは本当に不味い。どうなるか分からないけど、相手はストライカー級のSランクだと思った方が良い。

 

「ナカジマ、アルピーノ、炎の中を突破しろ。ここは撤退する」

「「はい!」」

 

 私達は爆発の影響で包囲が緩んだ場所から一斉に逃げ出す。もちろん、結界を全開にして炎を防がないといけない。それに炎の海だというのに、敵はお構いなしに迫り来る。とてもじゃないが、ここで戦えない。室内では逃げれる場所が少なすぎる。

 

「全隊員に通達。脱出して包囲を行え」

『『了解!』』

『ゼスト隊長、その……増援がストライカー級魔導師が1人来ました!』

『それに追加でもう1人ストライカー級が来るそうです』

「わかった。そいつらは……いや、いい。わかった」

『はっ』

 

 前方から紫の光を纏い、後方に大爆発を起こしながらやってくる1人の少女。見覚えのある少女だ。

 

「ソフィちゃん久しぶり!」

「援軍に来ました。その子達は……?」

「救助した者達だ。先ずはここから脱出するぞ」

「今もいっぱい召喚されてるみたいだし……」

 

 背後には炎の中を行軍してくる甲冑騎士の軍団が居る。それを見たソフィちゃんはもう一度手に抱えている二人を見て、私達の方を向いた。

 

「殿は私がします。先に脱出してください」

「しかし……」

「問題有りません。穿て裂閃! 無限の拳閃! 蒼空を駆けよ! ゼロ・ディゾルヴァー!!」

 

 そう言ったソフィちゃんは魔法を発動させて炎の中を駆け抜けていった。

 

「あいつなら大丈夫だろう。今は脱出する」

「了解……」

「分かりました」

 

 なんとか脱出した後、私達は救助した二人を預けて直ぐにソフィちゃんの救助へと向かおうとした。だけど、研究所の壊れた天井から光の翼を作ったソフィちゃんが出て来た。

 

「空戦魔導師ってずるいよね……」

「そうだね……」

「お前ら、まだ終わってないぞ」

「「すいません!」」

 

 見ると、研究所からは無数の甲冑騎士が現れる。しかも、辺り一帯に召喚用の魔法陣が形成されて、そこからも出現している。そして、ソフィちゃんが隣に来た。

 

「助かった。さて、最後に掃除をせねば返して貰えんだろうな」

「奥に居た人も最後には逃げていった。ここは破棄されたと考えていい」

「だけど、私達まで逃がしてはくれないか……」

「当然だけどね」

 

 でも、自爆はやっかいよね。Bランクでギリギリ防げるくらいだし、そもそも連中は陸戦Aクラスの実力は充分にある。

 

「あ、旦那が来ました」

「奴か」

「旦那さん?」

 

 メガーヌの言葉に色々な反応を返す皆。それと同時にメガーヌの横に転送魔法陣が形成されて、中から1人の黒髪男性が現れる。その男性は朱色と黄色の二本の槍を同時に使う二刀流ならぬ二槍流を使う人。もちろん、二刀流も使うけどね。

 

「無事か、メガーヌ」

「ええ。来てくれてありがとう」

「一応、管理局を通して連絡を入れておいたが、行き成り呼ばれるのは困るぞ」

「いいじゃない。妻を守るのも夫の役目でしょ」

「そうだな。ゼスト、アレは……」

「自爆する敵だ。見覚えがあるのか?」

「いや、見覚えがあるのはこっちだな」

 

 メガーヌの言葉にソフィちゃんを見るディルムッド。ソフィちゃんも見つめ返している。

 

「ご同輩よ、アレをどう見る?」

 

 そう言って、槍をこちらに向かって来ようとしている甲冑騎士に達に向けて聞いている。

 

「……バーサーカーの外見だけ。中身は別物。古代ベルカの騎士。倒すと発火性の高い液体を巻き散らかして自爆する」

「……となると、マリアージュか」

「可能性としては」

「アレが何かわかっているのか?」

「ああ、アレは古代ベルカで猛威を振るっていた屍人兵器、マリアージュだろう。少女みたいな奴が居なかったか?」

「居たわね」

「それが冥府の炎王と呼ばれる古代ベルカの王だろう。しかし……」

「「?」」

「いや、なんでもない。それよりも蹴散らした方がいいだろう。隊の連中を下げて、戦える奴だけで戦った方が被害はない」

「確かに後方支援くらいにさせた方が良いか。よし、これより殲滅戦を仕掛ける」

「「「「了解」」」」

 

 それから始まった戦いは流石というか、なんというか、ソフィちゃんとディルムッド、隊長の独壇場みたいな感じだった。ディルムッドはメガーヌの援護も受けて無双してるし。

 程なくして戦いが終わると、メガーヌがディルムッドに抱きついたりしてイチャイチャしている。私も帰ったらしようかな。でも、ディルムッドは一部の隊員から向けられる視線を嫌がっていた。

 

「ソフィちゃん、彼の事を知ってるの?」

「知ってる。あちらも私を知ってる。同じ古代ベルカに繋がる者だと思う。でも、詳しいことは覚えていない。記憶の継承がそこまで完全じゃないのかも」

「そっか。あ、私は隊長に報告してくるね。今日は助かったわ」

「うん。こっちも助かった」

「え?」

「手がかりが見つかった」

「そうだね。確かに良かったね」

 

 私はゼスト隊長の元へと向かう。その時、ちょっと振り返って見たソフィちゃんの顔は暗い笑みをしていた感じがした。

 

「そ、ソフィちゃん?」

「? どうしたの? クイント、何かあった?」

「う、ううん、なんでもない」

 

 私は気のせいだと思って、隊長の所へと向かった。

 

 

 

 

 

 ソフィ

 

 

 

 

 俺は今、1人で夜のミッドチルダを歩いている。今日は危なかった。もうちょっとで原作をいらない所で変えて取り返しのつかないことになりかけていた。転生してはや10年ちょっとが経過している為、原作の時系列がかなり怪しくなっていた。だから、スバルとギンガを救助する時だとは思わず、メガーヌとクイントの二人が殺られる時だと思って、イクスまで投入してしまった。

 

『幸い、気づいた時にはイクスも私達が出て来た所だったので、逃げる隙を作ってくれましたしね』

「残ってからは簡単だったな」

『はい』

 

 1人で残ったら直ぐにイクスと合流して話を行い、戦力を図る事に変えた。そこで部隊に対してマリアージュを放ち、イクスの撤退時間を確保しつつ改造マリアージュがどこまで有効か判断する場所とするつもりだった。だが、そこにご同輩である転生者がやって来た。ディルムッド・オディナ。ケルト神話に登場するフィアナ騎士団の随一の戦士で輝く貌の異名を持ち、名誉を重んじ、忠誠を捧げた主のために戦うことを何よりの喜びとする根っからの騎士。その力を持つ存在。いや、あの姿はFate/Zeroに出て来るサーヴァントに変わりは無い。メガーヌがいつもグローブをしているから気づかなかったが、彼女の手には令呪が存在した。つまり、ただしくサーヴァントの力を持つという事だ。実際、奴の戦いは凄まじかった。

 

「エセルドレーダ、奴の特典、なんだと考える?」

『Fate/Zeroのディルムッド・オディナの身体とディルムッド・オディナの保有する宝具。腰に下げていた剣もある事からランサーでありセイバーであるといった所。つまり、宝具で2個か4個を消費していると考えられるのですが、おそらく2個でしょうね。セイバーとランサーのクラスを特典として望めばディルムッド・オディナの身体を持つ彼には自然と宝具が与えられる。与えられなくとも宝具とクラスで3個です。身体と合わせて4個。後は単体でも現界可能な力でしょう。ひょっとしたら、メガーヌと恋仲になるのも特典かも知れませんが、そこまではわかりません』

「そうだな。しかし、今回は転生者の存在がわかっただけ良しとするか」

『イエス、マスター。メガーヌ・アルピーノには転生者であるディルムッド・オディナが共に居るという事を考えて作戦を作らねばなりません。それがわかったのは行幸です。転移妨害を超えて来たのですから』

「そっちも考えるか……しかし、まともそうな奴だったな。味方に引き入れるか? ルーテシアは手に入れる予定だったのだから、その母親と父親も別に構わんだろうし……」

『仲間に入らない可能性もありますから……』

「ルーテシアを人質に使うか? いや、戦闘後ならともかく、最初から人質にして屈服させるのでは俺の美学に反する」

『申し訳ございません。マスターの美学がイマイチわかりません』

「簡単だ。奇襲や裏切り、謀は構わんが、最初から負ける事を前提にしたり、自身の力が相手に及んでいないというのを認める人質などといった手段は嫌だという事だ」

『狙撃とかはいいんですよね?』

「個人同士の事だからな。油断するのが悪いのだよ。人としての情けを断ち、神に逢うては神を斬り、仏に逢うては仏を斬る。行く手を阻む者、悪鬼羅刹の化身となりに討ち滅ぼす。これが俺の理念だ」

『素晴らしいです。では、ディルムッドは……』

「ああ、丁度言い配役が居る。それになってもらおう。父親も娘と母親を守れるのなら本望であろうよ」

 

 ディルムッドとは何度かあって、信頼を得ておかねばならんが……そちらは問題無いだろう。メガーヌやクイントから聞いているだろうしな。

 

「あっ、エセルドレーダ。ジェイルに研究所の事を謝っといて。それと、プロトタイプを取り返すのは止めてくれってさ」

『イエス、マスター。他にはありますか?』

「他か……そうだな……アーカムに研究所を用意するからそっちで研究しろって言っておいてくれ。もちろん、本来の研究所も作成する。そちらは影武者を配置しておくように頼むってさ」

『イエス、マスター。全てはマスターのお望みのままに』

 

 これで全てのイベントを消化した。無印編、一期のスタートだ。同時にこれはシノンの頑張りが俺達の戦力に直結してくる。楽しみだ。

 

「トレース・オン。では、行きましょうか、私達の船へ。習熟訓練は必要ですから」

『イエス、マスター』

 

 緑の髪の毛へと姿を変えて転移する。これから一年間、訓練を行う。役者が訓練しないと劇はつまらなくなる。せっかくの舞台をないがしろにされるのは御免だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

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