スカリエッティの兄弟   作:ヴィヴィオ

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さくらちゃん危機一髪

 

 

 

 

 芳乃さくら

 

 

 

 ランサーをインストールしたボクはハティに向かって駆けていく。こちらに反応してきたハティは前足で踏み潰そうとしてくる。それをさらに加速して内側に潜りながらゲイ・ボルクを振り上げて足裏を切り裂く。そのまま身体を回転させて横凪に足を切る。

 

「さくらちゃん!」

「気にせずやっちゃっていいよ!」

「でも……」

『問題ありません。あの動きは尋常ではありません』

 

 ハティの周りを高速で駆け回りながらゲイ・ボルクで攻撃し、前足や放って来る氷柱を避けて反撃する。

 

「そもそも今の彼女に貴方が魔法を命中させる事は不可能です。アレは物語で語られる英雄……竜を駆逐するなどの偉業を成し遂げた人間を遥かに超越した存在と同じような存在です。そうですね、勇者といった方がいいでしょう。レベル1くらいの魔法使いではどうにもなりません」

「……わ、わかった! 身体に中ってもあんまりダメージはでない……なら、こうするだけ! 行け、ディヴァインシューター!」

 

 なのはちゃんから援護射撃が飛んでくる。それはボクの背後から迫っていた氷柱を叩き落としてくれる。なのはちゃんを敵と認めたのか、ハティは高く飛び上がって回転しながら氷柱を吐き出しつつ、なのはちゃんへと向かっていく。

 

「ひっ!?」

 

 このままじゃなのはちゃんが不味い。でも、ボクがそんな事をさせない。同じ声の仲間はボクが守るんだ!

 

「うにゃにゃややややややぁぁぁっ!! 行け、刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)

 

 飛び上がりながら、全魔力を込めてゲイ・ボルクを放つ。真名開放のおまけ付きだよ。刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)を放つと同時にボクのインストールが強制解除されて元の姿に戻った。でも、発動された刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)は確実にハティの心臓にあたるはずだよ。因果逆転の呪いによって、真名を解放すると心臓に槍が突き刺さったという結果を作ってから槍が放たれるから避けられない。見事、なのはちゃんに到達する前にハティを貫いた。そして、落ちたハティを見たボクは問題に気づいてしまった。

 

「ちょ、さくらちゃん!」

「どうしよう、やっちゃった!」

「あわわわ」

「やっちゃいましたね……」

 

 ハティの心臓。それはつまり……ジュエルシードって事になる。砕け散ったジュエルシードは内部に蓄えていた魔力を開放しだしていく。ボク達の目の前で真っ白な光の柱を

 

「な、なのは、封印を!!」

「う、うん……」

「無理です……っ!? さくら、避けなさい!」

「へっ?」

 

 ボクはシュテルの声に慌てて離れようとしてこけた。その瞬間、頭の横を物凄い速度で何かが駆け抜けていった。その風圧でボクはゴロゴロと転がってしまう。慌てて起き上がって現場を見ると、ジュエルシードが発していた魔力は黒い球体のような物に飲み込まれて周りの道ごと綺麗にえぐり取られたように消滅していた。

 

「な、何これ……」

「さくらちゃん、大丈夫!!」

「う、うん、なんとか……」

「よ、よかったよぉ~」

「にゃははは」

 

 抱きついて来るなのはちゃんをボクも抱きしめる。お互いに無事を確認しあう。魔法少女って、凄く危険なんだね。改めて思い知らされたよ。でも、止める訳にもいかない。なのはちゃんをこんな危険な事に1人で立ち向かわせる訳にもいかないし。

 

「あぁ、ジュエルシードが壊れちゃった……」

「これは予想外でしたね」

「君のせいだよ! どうするの、これ!」

「別に問題はありませんよ」

「いや、でも……」

「はい、どうぞ」

「え? 何……って、ジュエルシード!?」

「「ふえ!?」」

 

 ユーノ君の声にボクもなのはちゃんも驚いちゃった。確かにユーノ君が持っているのはジュエルシードだった。

 

「でも、なんで?」

「え? さっき壊れたはず……」

「アレはイミュテーションといいたいところですが、ただの小型魔導炉に私の魔力を供給していただけです。ほら、腕を突き刺してハティの形を作りましたよね?」

「そういえば……」

「あ、まさかあの時!」

「ええ、あの時に形を作った後に抜き取って置きました。後はこちらで遠隔操作をしていただけです。だいたいこれはチュートリアルですよ。そこまで危険なはずないじゃないですか」

「シュテルちゃん……凄くスパルタだよ……なのははもう無理」

「ボクも……」

「だらしないですね。いえ、まあこれくらいは大丈夫だとわかっただけ充分としましょう」

「そういえば、さっきのって何?」

「私にはわかりません」

「そう……」

 

 シュテルちゃんは事前に気づいたみたいだけど、アレってボクを狙ってたよね。いや、軌道が微妙にずれてたから違うのかな?

 今は情報がなくてわからない。でも、とりあえずゆっくりしたいかな。

 

 

 

 

 イクスヴェリア

 

 

 

 

 計画通りゲイ・ボルクを手に入れました。転生者のクローニングは不可能なので死体はそのまま下位のマリアージュによる焼却処分を実行しました。しかし、予想以上に転生者が居ますね。頭部を破壊しない限り即死しない。心臓を破壊してもしばらくは持つとは思いませんでしたね。しかし、宝具を奪うには出した状態で殺さないといけないとは、面倒です。

 しかし、あちらにシュテルが潜り込めたのはいいことですね。情報がちゃんと入ってきます。しばらくは掌で踊って貰えますね。

 

「……」

「……」

 

 私が道を歩いて進んでいくと周りからマリアージュ達が歩いて来ました。彼らの手にはロストロギアが存在している。

 

「流石はシノンですね。私の欲しい宝具を全て手に入れてくれています」

 

 私は受け取ったロストロギアを持った状態でレオンに連絡を入れます。すると、直ぐに連絡が入った。

 

『そちらの首尾はどうだ?』

「問題ありません。むしろ順調です。手に入れたロストロギアは予定通り私が使っても問題無いのですか?」

『むしろ、そっちの方がいい。その3つが有ればマリアージュはとんでもない事になる』

「では、使わせて頂きます」

 

 私は手に入れた宝具のうち二つをマリアージュの核と融合させます。これによって私にも扱えるようになる。そして、それを体内に戻して再融合させることにより完全に同化して私の物とします。すると、握っていたゲイ・ボルクに黒い物が巻きついて私の宝具となる。こちらにもマリアージュを融合させておく。これで私の物になって問題無く扱えます。

 

「さて、下がりなさい」

「「……」」

 

 私の護衛をしていた者も含めて私の後ろに展開された空間へと入っていく。私が手に入れたロストロギアは騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)。奪うのは少し苦労したみたいです。特別な弾丸を使って奪ったみたいですが。にしても王の軍勢が空なのは可哀想でした。所詮は紛い者なら仕方無いでしょうが。これからは本当の王である私が使ってあげましょう。

 

「あ、お疲れ様」

「はい、お疲れ様です、シノン」

 

 私が道を歩いていると、曲がり角からヴァイオリンケースを背負って歩いてきたシノンと出会った。

 

「ねえ、なんで殺しちゃ駄目だったの?」

「あの子は利用するようです。今はこのまま放置する事が決定しました」

「そう。残念。それより、ロストロギアはどう?」

「こちらは問題無いです。ありがとうございました」

「ん。なら良かった」

 

 次の計画の為に移動しましょう。私はシノンと共に黒幕という役目がありますし、これから忙しくなりますね。

 

「イクスはこれからどうするの?」

「マリアージュ達を引き連れて時の庭園に向かいます」

「場所は?」

「問題ありません。あれは私達ブラックロッジが提供した物ですから、その座標も全てわかっています。それに人形に会いにいく必要がありますから」

「私達も人形みたいなものだけどね」

「それはそうですね。ですが、あちらはそうなるように細工された存在ですから。私達は管理局の思惑を超えればいいのです。それにあそこには色々と細工してありますし、転生者達に色々と好き勝手にされるとこちらの計画が狂って迷惑ですからね」

「レオンならそれすらも楽しみそうだけどね」

「そもそも、キャストに紛れ込んでいますからね。でも、今はとりあえず温泉に入ってゆっくりしましょう」

「私はどうしようかな……しばらくは仕事もないし……アーカムに戻ってようかな?」

「それならシュテルに協力してあげたらどうですか? ジュエルシードが暴走したら止めてくれると助かるでしょうから」

「そうだね。じゃあ、温泉でも入ってゆっくりしてよう。それよりイクスは転移で帰らないの? もう結界を抜けたけど」

「転移できないシノンを置いて1人だけ帰る訳にいかないですから」

「そう」

 

 どことなく嬉しそうなシノンと一緒にタクシーに乗って海鳴温泉へと戻りました。次の日、アーカムに存在するマリアージュ達を王の軍勢へと入れて私は時の庭園へと飛びました。それと、途中でプレシアにも連絡を入れておきました。

 

 

 

 

 

 

 

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