スカリエッティの兄弟   作:ヴィヴィオ

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あの人をスカウトしてみる

 

 

 

 

 生体ポッドから出したイクスを手術台に乗せて確認する。真っ白な綺麗な肌をさらす綺麗な裸体をしているイクスはその年齢を感じさせない。とても千年の時を過ごしているとは思えない。

 

「過去の技術力は馬鹿げているな……」

「マスターも人の事はいえないかと」

「まあな。それより、どうだ?」

「機能不全は回復しています」

 

 エセルドレーダが空中に投影してきたデータを見てから改良を考える。先ずは魔力量だな。彼女の能力はマリアージュに偏っている。いや、リンカーコアがそれ用に調整されているのだ。

 

「しかし、本人の戦闘能力が全くといっていい程有りませんね。指揮官でもなく生みだすだけとは……完全な母体ですね」

「だろうな。強化するのは個人戦闘能力と魔力量の増加、マリアージュの強化だな」

「指揮官能力も欲しいですね」

「そうだな」

 

 エセルドレーダに操作させ、眠っているイクスのリンカーコアを出させる。そこに生体部品を追加していく。ついでに俺とのバイパスを作って魔力供給のラインを太くする。同時に繰者システムをさらに強化しておく。もちろん身体能力も。

 

「どうせならマリアージュはゴルンノヴァの兵器を搭載させるか」

「おもしろそうですね。それに追加してこちらの武装も出しておきましょう」

 

 マリアージュの武装自体はイクスにも使えるようにしておこう。次に……いや、それ以上に面白いデータが見つかった。

 

「これは……」

「改造されていましたか……さすがですね」

「手に入ったこのデータは使えるな」

「古代ベルカ、それも映像ですか……」

 

 見つけられたのは戦場のデータ。それも圧倒的な程の量だった。今までマリアージュが戦ってきた1000年以上の戦闘データだ。どうやら、記録されていたようだが、イクスが指揮官でも武人でもなくそれを活かす事ができなかった。なら、それを利用する。

 

「ベルカの騎士データ、これをマリアージュに利用する」

「ただの自爆する燃える兵器から殲滅兵器へと進化させるのですね」

「古代ベルカの王らしく、騎士団を作ってやろうじゃないか」

「面白いですが、素材はどうするのですか?」

「プロジェクトFATEを使う」

「では、評議会経由でジェイルから依頼された機材の作成を行います」

 

 アレなら死体を簡単に用意できる。それも優秀な素体の奴だな。

 

「この王様は宝の宝庫ですね」

「そうだな。よし、後は五体の完全操作の術式を入れておこう」

「確かにそれが有れば便利ですね。それにマリアージュを完全操作も可能ですね」

「そういう事だ」

 

 入れた術式を刻めばこれでイクスの強化は終了。後はマリアージュの素体のみだ。直ぐにイクスに服を着せてから移動する。ブリッジに移動して艦長席に座る。そしてイクスを膝の上に乗せて作業を行う。頼まれた機材の作成は問題無いが、量産用の機材を設計するのだ。

 

「んん……ここは……」

「起きたか」

 

 イクスが目覚めたようだ。俺は早速片手でイクスの喉を撫でてやる。

 

「……貴方は……正気ですか……?」

「何がだ?」

「本当に私を女として扱う気なのですか?」

「そうだ」

「馬鹿ですね」

「お前にはその価値があるだろ」

「んっ!? んぶっ、ちゅ……」

 

 イクスの唇を奪って、貪ってやる。イクスは真っ赤になる。そのままイクスの可愛い口を舌で開いてその口内をむしゃぶりつくす。

 

「何するんですか!」

「別に自分の女にキスしただけだ」

「くっ……確かに私の繰者は貴方ですが……って、そんな事よりも後ろから変な気配が……」

「ん?」

 

 イクスの言葉に後ろを振り向くと、そこにはエセルドレーダがゴスロリの服の裾を噛んで羨ましそうに涙目でこちらを見ていた。しかも、裾を噛んでいるせいでお腹から白い下書きまでもがしっかりと見えている。

 

「エセルドレーダ、お前も来い」

「ま、マスター……」

「ほら、早く」

「はい!」

 

 尻尾をブンブンと振っている感じをさせながらこちらにやってきたエセルドレーダを抱き寄せて深い口づけをし、イクスと同様に膝の上に乗せてやる。すると、随分と機嫌が良くなった。相変わらずの忠犬ぶりだ。

 

「ちょろいのですね……」

「五月蝿い」

「喧嘩はするな。それより、そっちはどうだ?」

「こっちは問題無く完了しています」

「なら、ジェイルに繋いでくれ」

「イエス、マスター」

「そのジェイルという人は何者ですか?」

「兄だ」

 

 イクスの質問に答えていると、エセルドレーダがジェイルを呼び出した。すると直ぐにスクリーンが現れて、画面にジェイルの姿が映し出された。当然の如くかなり若くて、まだ高校生から中学生くらいの姿だ。

 

『やあ、元気かい?』

「ああ、そっちはどうだ?」

『こちらも良好さ。連中の面倒な依頼を無視すればだが……まあ、今回は構わないのだけどね。それよりも、そっちの子は新入りかい?』

「そうだ。名前はイクスヴェリア」

『ほう、冥府の炎王と呼ばれる古代ベルカの王か。これはちゃんと挨拶をしておこう。私はジェイル・スカリエッティ。そこに居るレオンの兄になる。よろしく頼む』

「私はイクスヴェリアです……よろしくするかはわかりませんが……」

『構わないよ。さて、こちらが依頼した資材は用意できたかね?』

「それは問題無い。変わりにこちらはプロジェクトFATEに参加したい。構わないか?」

『ふむ……こちらとしてもありがたいな。しかし、問題がある。素体と研究者がたりん。そちらは使えそうなのを知らんか?』

 

 足りないのか。しかし、そう都合よく優秀な研究者を知っているはず……いや、知っているな。適任者が居るじゃないか。確実に素体になりえるDNAまで提供してくれるだろう。

 

「わかった。そっちはこちらで用意しておこう」

『素体は多い方が良い。色々と数を頼みたい』

「了解した。任せておけ。資材は何時もの手段で送る」

『期待しているよ』

 

 ジェイルとの通信を終えて、俺はイクスとエセルドレーダを降ろした後、老人どもに連絡して場所を知らせるよう手配しておく。

 

「それで、どうするのですか? 手配したのだけでは足りないでしょう?」

「もちろんだ。直ぐに探査機を作成する」

 

 エセルドレーダが聞いてきたので小鳥型の探査機を作成して、多数の世界に放つ。もちろん、地球にもだ。むしろ、地球に多く送る。地球はなんだかんだいって掘り出し物が多そうだからな。

 

「エセルドレーダ、鳥達は任せる」

「イエス、マスター」

「イクスは……俺と一緒に出かけるぞ」

「何処に行くのですか?」

「スカウトだ」

 

 イクスを連れて向かう場所。それは管理局が管理し、支配している場所。管理局本局だ。今の俺は手配もされていないし、特に問題なく向かえる。もちろん、最高評議会の用意したパスでだがな。

 

 

 

 管理局本局にあるとある施設。そこにイクスを伴ってやって来た。いや、正確ではない。ユニゾンした状態でやって来たのだから。これによって見た目がかなり変わっている。ついでにヴィヴィオ達が使っている大人モードを利用してイクスを成長させた姿になっているのだ。もちろん、同じではなく、瞳の色が俺と同じ金色になり、髪の毛の下の方も金色になっている。そんな姿でここに来た目的は1人の女性だ。アポを無理矢理とったので問題無い。待ち合わせの場所である喫茶店の席は紫の髪の毛をした女性が1人居る。

 

「私になんの用かしら?」

「スカウトだ。人造生命の研究をしているだろう?」

「っ!? 知っているのね。それで、私にどうして欲しいのかしら?」

「我々も人造生命の研究を行っている。その研究に協力して頂きたい。こちらが提示できるのはこんな感じだ」

 

 俺が話している間、イクスには周りを警戒してもらておく。

 

「確かに私にとってもいい事ね」

「アリシア・テスタロッサを蘇らせたいのだろう? こちらには最悪、もう一つの手段を提示できる」

「へぇ……それは?」

「マリアージュ……屍人兵士のシステムを利用し、アリシアを死者として蘇らせる。記憶などは色々と実験せねばならないが、其の辺は問題無いだろう」

 

 イクスから採取したデータをプレシアに渡してやる。

 

『……人のデータを好き勝手にしてくれますね……』

「……生き返らせるのは無理なら、そのままで居させるという事ね。わかったわ。いいでしょうその契約、乗ってあげるわ。これにはアリシアの遺伝子提供も入っているのね」

「ああ、そうだ。それに仕事を成功させてくれればプレシア、貴方に次元間航行も可能な移動庭園を与えよう」

「わかったわ。それじゃあ、私は今の場所をやめてくるわ」

「いや、それは問題無い。出行という形で先ずは手配しておく。そこからこちらへ本格的に移籍してもらう」

「それじゃあ、二日頂戴。準備しておくから」

「わかった。待ち合わせ場所は……面倒だ、こちらから迎えをよこすからこの場所に連絡をくれ」

「ええ、それじゃあよろしくね」

「こちらこそ」

 

 プレシアと別れた後、支払いを済ませて移動する。

 

『これからどうするのですか?』

「言っただろう、スカウトだと。いや、正確には少し違うがな」

『どういう事ですか?』

「素材集めだよ。優秀な魔導師のな。その為、第97管理外世界へと飛ぶ。イクスはしばらく俺のサポートだ。エセルドレーダには別の事をしてもらうからな」

『分かりました』

 

 路地裏に入り、人目を避けて壁に持たれかかる。

 

『ジャマーを発動して、ダミーを生成……座標を登録して……準備を完了しました。これでいいですか?』

「ああ、問題無い」

『それでは転移します』

 

 自分の下に魔法陣を作成し、第97管理外世界地球へと移動した。ここでの目的、優秀な魔導師の素材を確保する事。それは色々とあるが、転生者達と敵対する必要はあまりない。俺達の目的は奴らにとってどうでもいい事だろう。なにせ、直接なのは達をどうこうするつもりはないのだから。

 

 

 

 

 

 

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