スカリエッティの兄弟   作:ヴィヴィオ

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強化型マリアージュ試作一号

 

 

 

 

 さて、面倒な転生者共を避けて地球へとやって来た訳だが、ここではまず戸籍を手に入れる事が必要だ。だが、戸籍などは魔法でどうとでもなる。

 

『ここは変わっていますね。平和なんですか?』

「そうだ。基本的には平和な国だな。この世界でも争いは当然の如くあるがな」

『そうですか……』

 

 倉庫街を歩きながらここに来た目的を思い出す。そう、ここに来たのには二つの目的がある。一つは金を稼ぐ為だ。方法はまあ、簡単だ。薬の取引などに押し入る。調査はカラス達が行ってくれているから場所もわかる。そして、もう一つは……いや、これは後でいいな。

 

『レオン、あそこに誰か居る』

「見張りだな」

 

 倉庫街の場所に男たちが数人で集まって飯を食べている。そいつらは普通の様子だが、適度に辺りを警戒している。

 

『あれがそうなのですか? そんな感じはしませんが……』

「まあ、間違っていても問題は無い。何せ俺は悪だからな」

 

 そいつらに向けて移動すると、何人かがこちらに気づいてやってくる。

 

「おい、姉ちゃん、こんな所で何しているんだ? ここからは関係者以外立ち入り禁止だぜ」

「そうか。だが、関係無い」

「なんだと?」

 

 男の言葉を無視して生成したマリアージュのコアを掌に持ち、男の口へと叩き入れる。マリアージュのコアは即座に活動を開始して、毒液を噴出する触手を伸ばして男の脳を貫き、殺して改変していく。

 

「おい、てめえっ!!」

 

 慌てた男の仲間がこちらへとやってくる。俺はそれを眺める。

 

『魔法は使わないんですか?』

「はっ、俺が使えると思っているのか? 自慢じゃないが、エセルドレーダ頼みだよ。コントロールできないからな」

『本当に自慢じゃありませんね』

「最小クラスの力でも地球がぶっ壊れるからな」

『確かに桁がおかしいですね。もう、これは魔力の海ですね……しかも、なんだか混沌としていますし』

「それが俺の特性だ」

「何をひとりで食っちゃべってやがる!!」

 

 男の1人がナイフを持ち出して突き刺そうとしてくる。それを待ってやると、ナイフが突き刺さるその前に無数の光が男を貫いて穴だらけにしてしまった。

 

「な、なんだっ、何が起こった!!」

 

 慌てる男達を無視して、俺は起き上がってきた物を確認する。そう、物だ。それは人型をしているが、既に人間ではない。その証拠に腕には無数の目の様な物が存在している。そして、容姿はどんどん変わり、黒色で作られたメタリックな鎧へと変化する。

 

『始まるのですね……』

「そうだな」

「グゥォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッッ!!」

 

 その姿はFATE/ZEROに出て来たバーサーカーの様な姿である。

 

「知能は無いが、構わんか。命令だ……殺せ。一人たりとも逃すな」

 

 マリアージュは命令をすると瞬時に足場にベルカ式の魔法陣を展開した後、加速して他の男を腕で腹部を貫いて殺す。そして、マリアージュのコアを体内に放って抜き取る。

 

「存外賢いか?」

『いえ、結界を張るようには私が命令しました。隠匿した方がいいんですよね?』

「ああ、そうだな」

 

 俺達が話している間に次々と古代ベルカの騎士となったマリアージュに屠られていく。当然の如く、男達も必死こいて反抗してくる。

 

「くそっ、化け物めっ!! 死にやがれ!!」

「撃て、撃てぇええええっ!!」

 

 拳銃を取り出して撃ってきたり、クレーン車のクレーンをぶつけようとしてくる。銃弾に関しては完全に無視し、クレーンに関しては逆に掴んで受け止め、武器とする。その姿はまさに兵器。

 

『マリアージュの追加起動を確認しました』

 

 イクスの言葉に最初に殺された死体の方を見ると、そこには同じ騎士甲冑に身を包んだ存在が複数立ち上がってきていた。それも、先のバーサーカーと同じだ。鎧には古代ベルカの国である覇王家の紋章が刻まれている。兵力が増えれば殲滅は容易いだろう。

 

『命令に変わりは有りません……か?』

「ない。見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)だ」

『了解しました……』

 

 嫌そうにしながらイクスがマリアージュ達に指令を伝える。

 

「別に嫌ならしなくてもいいぞ。俺がコントロールしてやるから、イクスは眠っていてもいい。眠れないなら目を背けて耳を塞いでいろ。ユニゾンを解除する事はできないが、それぐらいなら構わんぞ?」

『いえ、いいです。これは私の兵器としての業です』

「それこそくだらん事だがな。特に兵器だというならそれは使用者である俺が持つ事だ。それに俺は貪欲だからな、他人に自分の業を背をわせる気などない」

『そう、ですか……』

 

 そんな会話をしていると古流ベルカの格闘武術覇王流(カイザーアーツ)を使うだけあって、直ぐに制圧が完了したようで、彼らが二列に並び、臣下の礼を取って跪く。俺はその間を進んで血まみれになった倉庫の中へと入る。

 

「薬はどうするか……管理局にばら撒いてみるか?」

『処分しましょう。それは王として、統治者として見過ごせません。例え傀儡の王だったとしてもです』

「そうか、なら処分しよう。別段必要もないものだ」

『はい』

 

 薬は焼却して札束の詰まったケースだけ持って振り返る。そこには30体のマリアージュが存在する。

 

「というか、こいつらどうするかな……流石にこのまま連れてくのは不味い」

『そうなのですか?』

「こんな騎士甲冑を身に纏った奴なんてコスプレ会場にしか居ないって」

『コスプレ……?』

「いや、いい。とりあえず召喚用の魔法陣でも刻んでどっかに配置しておくか……待てよ、壊れてもいいんだから管理外世界に放置すればいいか」

『酷い扱いですね……』

「そうでもないさ。よし、お前ら、今から送る場所で原生生物を狩っておけ」

 

 一斉に頷くマリアージュ達を管理外世界へと送り込んでおく。原生生物の掃除を担当して貰えば拠点を作れる。それに……こっちとしても美味しい事は他にもある。ケースをデバイスとして機能するようになったイクスの中に収納して移動する。次は街の中で買い物を……買い食いをするのだ。ショッピングモールでユニゾンアウトして、イクスにクレープを買ってやったりした。

 

「なんですか、これ……甘くて冷たくてあたたかくて美味しいです」

「そりゃ、いちごと生クリーム、アイス入りだからな」

 

 椅子に座り、姿相応のように必死でクレープを食べるイクスの横で、俺はレタスとソーセージ、コーンの入ったクレープを食べる。そんな感じで過ごしていると、ニュースが流れて来た。

 

『○○市にある××町三丁目の郵便局に午後13時23分に強盗が押し入りました。犯人は拳銃を所持しており、窓口に居た○○さんを射殺しました。その時、客の1人が犯人ともみ合いになり、拳銃を奪って発砲し、犯人を射殺したとの事です』

『確か、射殺したのは子供らしいですね……おっと、これは言っちゃダメだったか……』

 

 聞き覚えある事件に俺は思わずニヤリと笑ってしまった。早速、カラスを飛ばして確認してみる。すると予想通りの子が居た。これは面白い。もしかしたら、あの子も居るかも知れない。色々と楽しみが増えた。

 

「どうしましたか?」

「食べ終わったら行くぞ、イクス。次の目的地が決まった」

「わ、分かりました」

 

 イクスは手に溢れていたアイスの汁を急いで舐め取ってから布巾で綺麗に拭いた。それから慌てたように俺についてくる。全く、可愛い娘だ。

 

「?」

「イクス、取り忘れだ」

「あっ!? あぅ……」

 

 イクスの顔に付いていたアイスを舐め取って軽くキスした後、イクスの手を取って移動する。

 

 

 

 

 

「どうしたのだね? 先程からイライラしているようだが……」

「いえ、何でもありません。それよりも設置の方はどうですか?」

「完了したよ。うん、問題無く起動している。前よりも格段に性能がいい。これなら更に効率があがるよ」

「それは上々ですね。スカウトの方も完了しています」

「ほう、誰だね?」

「プレシア・テスタロッサです」

「彼女か。確かに彼女も素晴らしい研究者だ」

「それに加えて本人がSランク魔導師ですからね。後、その娘のDNAを素体として提供してくれます」

「ふむ。彼女の娘は確か……」

「はい、数年前に死んでいます」

「娘を蘇らせたいのか。健気で一途だが愚かだ」

「おや、嫌いなのですか?」

「まさか! むしろ、好感が持てる! 敢えて言うなら大好きさ! 死者の蘇生、大いに結構! 私も手伝ってあげようじゃないか!」

「ドクター、マスターの為になるなら構いませんが、マスターの願いからずれる事は許しませんよ」

「何、弟の期待にも答えるさ。いや、むしろ協力をお願いしてみよう。彼女に恩を売って私達兄弟の野望にも協力してもらおうじゃないか」

「……確かに彼女程の研究者が味方になるのなら嬉しいですね。分かりました。マスターには私から話しておきます」

「ああ、頼むよ」

「それではドクター。私はプレシアを迎えに行ってきます」

「そちらは任せたよ。私は他の研究者達の相手もしないといけないからね」

「こちらはお任せください。マスターの為に全力を尽くします」

「君も健気だな。私も頑張るとするか」

 

 

 

 

 

 

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