数日後、○○市にある××町三丁目の郵便局に移動した。ここに来るまでに盗んだバイク……もとい、盗んだ金で買ったGSX1300Rハヤブサというバイクで来た。一応、念の為にユニゾンはした状態だ。
『ここに何の用があるんですか?』
「ここには無いな」
キープアウトと書かれた黄色い物や青いビニールシートで覆われた場所を見た後、バイクを走らせて近くの住宅街に入っていく。何処にいるか、わからないので情報収集を行っていく。これは魔法で相手の精神を操作して聞いていく。そして、判明した場所へとバイクを進める。その途中で小学生達の下校時刻になったのか、数人が帰宅している様子が見えた。
「やーい人殺しー」
「犯罪者って奴だろ!」
「悪者だぁ!」
複数の子供が1人の女の子に対して物を投げている。その女の子はうつむきながら必死に歩いていく。
『これは虐めですか?』
「そうだな」
その女の子に今度は棒で叩こうとしだした。それに対して、俺はバイクを走らせて横から女の子をかっさらっていく。
「ひっ!?」
「え!?」
そのまま抱え上げて、前に乗せた後、適当に速度を上げて逃げる。認識阻害も使い、調べた場所まで移動する。
「おい」
「っ!?」
こちらを見て怖がっている女の子を下ろす。名札には朝田詩乃の文字がある。どうやら、ここの世界は微妙にSAOも入っているみたいだ。
「安心しろ、お前に危害を加えるつもりはない」
「そ、そうなの……?」
「ああ。ほら、ここがお前の家だろ?」
「ほ、本当だ……」
『この子が目的ですか?』
イクスの事に肯定を示す。
「お前が朝田詩乃で、郵便局に押し入った強盗を撃ち殺したので間違い無いな」
「……う、うん……でも、アレは……」
「知っている。あの件でお前がとやかく言われるのは間違っているし、虐められるのも間違いだ」
「そ、そうだよね……」
俺の言葉に仕切りに頷いてくる。話を聞く体勢になったのを確認して、思考誘導の魔法をイクスに使ってもらう。
『できました』
「そう、何も間違っていない。そもそも殺人がダメな事だなんて権力者が自らを脅かさない為に決めた事を受け継いでいるだけだ」
「う、うん……」
「と、こんな話はどうでもいい。俺はお前を契約を持ちかけに来た」
「けい、やく……?」
「そうだ。お前の血液を少し貰う変わりに母親の病気を治してあげよう」
「本当!!」
「ああ。それとお守りもあげよう」
「あ、あげる。お母さんを治してくれるならいいよ!」
「そうか、家族思いだな。では、腕を出してくれ。何、少し痛いだけだ」
「うん……」
詩乃の腕に注射器の針を刺して血液を抜く。抜いた物を直ぐに試験管に入れて保存する。その後、思考誘導の魔法を入れたお守りと魔法薬を渡す。
「これを母親に飲ませるといい。それで解決だ」
「お姉さん……本当に治るの?」
「ああ。俺は魔法使いだからな」
「魔法使い?」
「そうだ。証拠を見せてあげよう」
バイクをデバイスに収納して、転移魔法を発動していく。
「俺はこれで帰る。信じる信じないは好きにするといい」
瞬時に転移で詩乃の前から消えて、色々な所を経由してスカリエッティの研究所に飛ぶ。
「マスター!!」
「おう」
転移すると、直ぐに飛びついてきたエセルドレーダを抱き上げてやる。エセルドレーダは頭をスリスリとこすりつけてくる。
「やあ、こうして直接会うのは久しぶりだね」
「そうだな。それより、クローンは?」
「そっちに関しては成功といえるわ。ただ、リンカーコアが貧弱ね」
ジェイルとプレシアもこちらへとやって来た。俺はユニゾンアウトしてから二人の元へと向かう。
「それが本当の姿なのね」
「ああ、そうだ。改めて名乗っておこう。俺はレオンハルトだ。レオンでいい」
「わかったわ」
「さて、早速だがリンカーコアは現在では最低の物になるのか?」
「現在ではオリジナルの半分くらいかな」
「そうね」
「それで充分だ。この血からクローンを作ってくれ。容姿も変更を行う」
「どれ、少し解析してみるか」
ジェイルが試験管を受け取って、詩乃の血を解析していく。それと同時になんとも言えない表情になる。
「あら、魔導師としては使い物にならないわよ?」
「Dランク……いや、もっと低いか」
「それでいいんだよ。その子は魔導師としては使わないからな。ただ、細胞にこれを適応させて欲しい」
「これはまた……」
「でも、面白そうじゃない」
「だろ?」
「ふふふ、よかろう。では、早速作ろうか。容姿に関してはどうするんだい?」
「水色の髪に青い瞳……こんな感じだな」
「わかったわ。じゃあ、作ってみましょうか」
「ああ」
ジェイルとプレシアが居なくなったので、待っていたイクスとエセルドレーダに振り返る。
「イクスはマリアージュの制御訓練をしておいてくれ」
「分かりました」
「エセルドレーダは俺と一緒に来い」
「はい!」
「っと、それ以前の報告はどうなっている?」
「研究資材と材料共に問題なく補給が完了しています。ただ、優秀な魔導師の素材がまだになります。確かにプレシアの物は提供されていますが、足りないです」
「わかった。ジェイル、とりあえず優秀な魔導師素体の材料を確保してくる。クローンに関しては任せる」
「ああ、わかった。そっちは任せるよ」
ジェイルに行った後、俺は大きな白衣を着る
「エセルドレーダ、ユニゾンだ」
「イエス、マイマスター!」
ユニゾンした後、変身魔法で身体を大きくして転移する。転移先は海鳴市に転移する。そして、海鳴大学病院の医師を探索する。
『マスター、ここで何をするんですか?』
「何、ちょっとした観察と調査だ。サーチャーを出せ」
『イエス、マスター』
しばらく待ち続け、数時間が経過した。そして目的の者達が見つかった。1人は原作の魔法少女の1人、八神はやて。もう1人がはやての主治医である石田幸恵だ。
『補足しましたが、どうしますか?』
「石田幸恵を追え」
『はい。休憩するようですね。八神はやては次の検査をするそうです』
「なら丁度いい。結界を張って石田幸恵を隔離しろ」
『イエス、マスター。隔離完了しました』
「わかった」
立ち上がって移動する。全く、エセルドレーダは優秀だ。
直ぐに結界内に入って、不審がっている石田幸恵に当て身を食らわせて気絶させる。
『これをどうするんですか?』
「何、簡単な事だ」
変身魔法で石田幸恵の姿へと変わり、彼女を眠りの魔法を使って閉じ込めておく。その間に移動して注射器を確保しつつはやてを追う。だが、ここで問題が発生した。そう、そこには黒の剣士が居たのだ。ご丁寧にはやてと会話している。しかし、あれだな……小学生と園児の組み合わせとは。いや、それより問題があるな。原作よりフェイトが若くなるのか。そもそもフェイトはちゃんと年齢を刻んだのかも不明だな。ある一定の場所まで一気に成長させたと思えるから問題は無いのか?
まあ、其の辺はどうなるかわからんが、あちらに任せるか。
「エセルドレーダ、会話を拾えるか?」
『やってみます……』
「はやて、大丈夫か?」
「兄やんは心配しすぎやって。私は1人で平気やから」
「しかしだな……」
「はやてはいろんな奴に狙われているからな」
「そんな事ないって」
周りを警戒するキリト。確実に怪しい。というか、おそらく転生者だろう。面倒な事だ。だが、計画を変更する必要がある。本来の計画なら八神はやてを拉致する予定だったのだが、残念ながら転生者が既に近くにいるのなら、接触は最低限でいい。
「はやてちゃん」
「あっ、先生、どないしたん?」
「ごめんね、採血しなきゃいけないのを忘れてたの。ちょっと待ってる間に来てくれるかな? 彼がここで待っててくれたら順番も大丈夫だから。こっちは直ぐに終わるから」
「ええで。兄やんもいい?」
「はやてがいくなら俺も……」
随分と過保護だな。こちらに気づいたのか?
『それはありえません。偽装は完璧です。相手のインテリジェンスデバイスにも気づかれて居ません』
素晴らしいな。流石はナコト写本とエセルドレーダだ。
『ありがとうございます。ですが、デバイスとして性能の格が違います。たかが古代ベルカ式の双剣と神代の私を比べるのは……』
そうだな。俺のエセルドレーダが負けるはずないか。
『はい!』
「順番の事もありますから、本当に直ぐです」
「お願いや。先生、行こ」
「分かりました」
はやてを連れて移動し、診察質で採血を行う。
「それじゃあ、はやてちゃん。今から採血を行うわね」
「はい。んっ」
はやての腕に注射器を刺して血液を抜く。これで八神はやての血液を手に入れた。色々と今の間に仕込むか?
『それはオススメ出来ません。先程の者に気づかれる可能性があります』
それもそうだな。可能な限りこちらには気づいて欲しくない。よし、今回はこのままで終わりだ。血液だけで我慢しよう。
「ありがとう。それじゃあ、はやてちゃんはお兄さんの所に戻って」
「はーい」
元気よく移動していくはやての車椅子を見送り、俺は隔離しておいた石田幸恵を呼び出し、偽りの記憶を与えておく。それと同時にこちらに逐一情報を伝達するように暗示を賭けてやる。これではやての情報は流れてくるだろう。次に狙うは白い魔王となる。そして、余裕が有れば夜の一族であるすずかの血液か細胞だな。
『マスター、調べたところ、次の目的地に潜入しやすいイベントがありました。それを使いましょう』
「よくやった。エセルドレーダ、助かる」
『♪』
褒めてやると無茶苦茶喜ぶエセルドレーダの気配がする。現状では本当に役に立つし、可愛い忠犬だ。