時を操る狐面の少女が鬼殺隊で柱を超えたそうですよ   作:たったかたん

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葛藤するのを表現するのは難しいですね、すこし伝わりづらいかもしれません。


嫉妬

 

 

 

 

「雫は柱を超える存在になると、私は思っている」

 

そう聞いた時、周りの音が消えたような錯覚を覚えた。

柱合会議で大事な話があると言われた時、何事かと心配していた。

だが話を聞いていれば先ほどから大竹雫という人間の名ばかりしか言わない。その人間がなぜお館様に会ったばかりのくせにここまで気に入られるのか納得がいかなかった。

 

柱の上に作られる位は魁と言ったが、その意味を聞いてもその人物とやらを見比べると納得ができなかった。

 

(…どうしてですか、お館様)

 

 

 

----

 

 

 

僕はある町で米屋をしていた。ある夜、戸を叩かれて何事かと開けた瞬間、動きの素早いものが見えた。自分が血だらけだと気づいたのは地面に倒れた時だった。

 

何がどうなっているのかわからず、恐怖に従いながら家の外に這い出るとその化け物も追ってくる音がした。

殺されると思った瞬間、道の先から刀を持った人が駆けつけてきてくれてその化け物を退治してくれた。だがそれを見た瞬間僕は気を失なってしまった。

 

意識を取り戻した時にはどこかの屋敷の中でベットに入りながら包帯で巻かれている状態だった。介護してくれる人に聞けば、親は亡くなっていたそうだ。

 

傷が深かったのだろう、何も動いていないのに痛くて、動けなくて、毎日泣いていた。そんな僕を支えてくれたのはお館様だった。

 

毎日優しい声で支えてくれた。

そこで鬼の存在と鬼殺隊のことを教えてもらい、救ってくれた恩を返すために一生忠誠を捧げようと鬼狩りになる決心をした。

 

 

 

 

しかし僕には才能がなかった。

 

 

 

育手の人にも精々中堅行ければいいだろうと言われるほどに。

しかし僕はただただ恩を返したい一心で血反吐を吐きながら鍛錬し、毎度のごとく任務では大怪我を負った。

死ぬ恐怖はなく、お館様の近くでお役に立ちたい一心で鍛錬を続け、五年後にしてようやく柱までに登りつめた。

 

だが、大竹雫。

この子はたった一ヶ月でここまできたとお館様は言っていた。信じられなかったが、会議の後の炎柱の手合わせでその技を見た時、腹に蹴りを入れられたような衝撃を覚えた。

 

天賦の才と言う存在を、現実を直接叩きつけられた気分だった。

 

大竹雫についての議題が多かった柱合会議の後、ニヶ月した頃に彼女を除いた柱が集められた。

 

「雫は柱の仕事に慣れてきているようだから、柱のみんなで順に手合わせ稽古を付けて貰えないかな」

 

お館様が一人の柱の為に他の柱を呼んで強くしてほしいというのは、それこそ期待の表れというものだった。

 

そしてそれから数ヶ月、どんどんと強くなっていく彼女を見ていて鬱憤が溜まっていたのか、目の前で風柱と手合わせし終えた大竹雫に向かって嫌味を言ってしまった。

 

 

「あなたが柱になることを容認したのも、お館様が見たこともないほどにあなたを強く進めたからです。それに柱を超えるなど、可能性の話であって決して勘違いしないように」

 

 

半分本気だが、半分は嘘だ。彼女の実力は分かっている。でも気持ちが追いつかない。

 

しかし彼女は不機嫌にもならず、まっすぐこちらを見てまだ未完成の技で認められてもらっては困ると言った。心も体も未熟だと。

それが僕には大竹雫が12才の少女には見えなかった。

 

まるで、もっと年上のような雰囲気がある時さえあった。

 

その時はそのまま言い返さず出て行ったが、その事が風柱から伝えられたのか、岩柱がやられた近くの村を探索する任に僕と大竹雫がつく羽目になった。

 

 

----

 

 

山の中を歩いていても、案の定会話は無い。

彼女から話題を出してきても話題を出そうとはしない自分に原因はあるのだが、やはりどうしても拒んでしまう自分がいる。

この任に大竹雫と一緒の理由も何となく理解出来ているのに、阻む理由が嫉妬だと気付いているのがなお腹立たしい。

 

(年下の子に対して嫉妬など、情けない…)

 

そう思いつつ村に着いた。

どこを見渡しても崩壊した家と血痕の数々、まるで竜巻が通った後のような光景だった。

 

(岩柱と戦った後の餌の補充ってところでしょうか)

 

その後大竹雫を右から村を回ってもらい、自分は左から歩いていると、丑三つ刻をまわった頃、瓦礫の方から何やら物音がした。

 

「……だれか、そこにいますか?」

 

話しかけた途端、角が生えたおでこの出ている鬼が瓦礫の隙間から飛び出してヒィィィと言って走るように逃げていく。

 

(…こいつ!十二鬼月の気配!!)

 

弱腰で逃げているのにもかかわらずその鬼が放っている鬼の気配は今まで戦ってきた鬼よりも数段格が違って濃厚だった。

 

 

「逃がしません!!」

 

《葉の呼吸 参ノ型 矢じり葉》  

 

 

力強い踏み込みで鬼の背中に追いついた途端、最速の居合技で首を刎ねた。

 

やったか、でも弱すぎると頭の中で思った途端、斬った頸と体が別の身体となって再生した。

 

(な!?)

 

そう思った瞬間、槍が目の前に迫ってきていた。

 

「くっ!」

 

それを首をひねって間一髪で躱すと同時に牽制の技を放つ。

 

《葉の呼吸 弐ノ型 葉針》

 

現れた二体の鬼を穴だらけにすると同時に錫杖を持つ鬼が地面に錫杖を叩きつけるのが見えた。

 

「腹立たしい!腹立たしい!」

 

その刹那、その鬼から雷が広がった。

 

(二体で別の力を!!)

 

《葉の呼吸 参ノ型 矢じり葉》

 

咄嗟に放った技は雷を斬るとまではいかなかったが、充分に威力を殺してその隙に後退する。

 

(一体どんな血鬼術だ。頸を斬ると増えるのか?しかも個体別で力を持っているとなると、厄介だ)

 

攻撃自体大したものでは無い。柱なら十分遅れをとることはないものだ。だが弱点がわからないとなると不利なのはこっちだ。

 

「この身のこなし、柱か、悲しいのう。強いのに死んでいく定めとは何と悲しい生き物なのだ人間は」

 

「うるさいぞ哀絶、早く終わらせろ」

 

どう攻めるか考えてもあちらは待ってくれないし、必死に鬼の弱点を探すがどう考えても見つからない。

その瞬間、目の前に雷が見えた。

 

《葉の呼吸 参ノ型 矢じり葉》

 

それを先と同じ技で切り抜けるとその鬼は錫杖を持っている腕を肩から切り捨ててさらに蹴りを入れて距離を空けさせる。

それと同時に横から槍が迫ってきた。

 

《激涙刺突》

 

一瞬の間に5回突いた斬撃は木々を軽々と粉砕していく。それを隊服を裂きながらも躱し、その鬼の胴体を半分に斬った瞬間、その下半身から新たな鬼が構成されていく。

 

(場所は問わず斬ったら増えるのか!)

 

新たに現れた鬼に対処しようとした瞬間、錫杖鬼を蹴飛ばした方面からカカカっと声がした。ふと見た瞬間聞いたことのない高音が自分の耳を襲った。

「…っ!?」

 

音が聞こえず、視界がチカチカしながらも牽制の技を放とうとした瞬間、ひゅうと風が体を撫でた。

その直後、強い衝撃を上から受けて地面へと叩きつけられる。

 

「…がはっ!?」

 

「柱か!久方ぶりじゃのう、楽しませてくれ!」

 

大きな葉のような団扇を仰いだのだと気づいたのは槍の攻撃をギリギリでかすり傷を負いながら回避した後だった。

 

(…この鬼たち、一体一体が強力な血鬼術を持っている…)

 

斬っても死なない、斬れば増える、血鬼術は別々でさらに強力なものばかり。

 

(…今までの柱がやられるわけですね……。)

 

どう攻めるか考えていると後ろから声が聞こえた。

 

 

「磯島さん!加勢します!!」

 

大竹雫だ。

 

しかし援軍のはずなのに僕は彼女を未だに拒んだ。

自分でもなぜここまで拒絶しているのか理解ができない。ただただ頭にあるのはお館様の優しい微笑みだけ。

それを言えば彼女は戸惑いながらも共同戦をしようと言ってきてくれるが、口が止まらなかった。

 

「この戦いで上弦を討ち取って、僕は、僕が、優秀だと証明する!!」

 

《葉の呼吸 弐ノ型 葉針》

 

深緑に近い色の日輪刀から繰り出された技は、細長く鋭い斬撃を生み出し、四体同時に鬼の体を斬りつけた。

 

鬼が怯んでる間に更に接近し、低めの姿勢から技を繰り出しす。

 

《葉の呼吸 伍ノ型 葉蔓斬》

 

蔓のようにうねりながら鬼の体に巻きつき、そこから斬り刻む斬撃。複数の標的には有効な技だ。

 

その瞬間、葉蔓斬を右腕を切られるのみで躱した鬼が錫杖を地面に叩きつけた。

 

「腹立たしい!!」

 

その刹那、辺り一面に雷が無差別にひろがる。

 

「腹立たしいのは、こっちです!! 」

 

《葉の呼吸 参ノ型 矢じり葉》

 

なんども防いできた鋭い一撃で雷自体を斬ると、頸を斬りにかかる。

 

《葉の呼吸 陸ノ型 秋紅葉》

 

葉の呼吸で一番威力のある技が決まり、最後の鬼の頸がおちる。

斬っても増える鬼、だがそれはもとは同じ鬼だ。同時に全ての頸が落ちれば勝ちは有ると判断した。

 

構えを解いたその時、カカッと誰かの笑い声がした

 

「磯島さん!後ろ!!」

 

その刹那、鼓膜が破れそうになるほどの高音が頭の中を暴れまわった。

 

「………ッ!!」

 

(…油断、したっ!)

 

 

「頸を斬られた、腹立たしい、まったく、油断してるからこうなるのだ!」

 

錫杖を地面に叩きつけると先ほどよりも威力の上がった雷が自分へと向かってくる。

 

(…避けれない!)

 

やられると目を閉じた瞬間、そこから離れた地面へと瞬きをする間もなく降ろされた。

 

「磯島さん!あの鬼達は一体だけでも下弦と同じかそれ以上の能力があります!二人でやりましょう!!」

 

「……いえ、まだやれます。さっきは油断した、次はない。救ってくれたことには礼を言います。あなたは下がってください」

 

(まだだ、今のは僕の慢心が生んだ隙をつかれた。次はない。)

 

そう大竹雫に返事をした瞬間、全身にぞくっと悪寒が走り嫌な汗が吹き出る。

その原因となっているのが大竹雫だと理解したのは彼女が喋り終えた後だった。

 

「………分かりました、好きにしてください。でも、磯島さんがやられると判断した時は無断で磯島さんを助けます」

 

 

「……あなたは……いえ、ありがとうございます」

 

大竹雫に自分が何を感じ取ったのかはわからない。

だが大竹雫から折角貰った機会を無駄にしようとも思えないし、それで良いのかと葛藤している自分がいた。

 

(…僕は、本当にこれでいいのか?)

 

その瞬間、豪っと音が聞こえ、振り返ると大竹雫が空へと吹き飛ばされるのが見えた。

 

咄嗟に名を叫ぶがあっという間に目視できない距離へと飛ばされるのを呆然と見送った後、鬼達がいたところから今までより数段上の威圧感を放つ声が聞こえた。

 

「逃げる者を迷わず頸を斬るとは、それはもう鬼畜の所業だ。柱よ」

 

その瞬間、いつのまにか周りにいた鬼の気配がいなくなっていることに気づく。

 

何が起こったと声がしたところを見ると、憎の文字を太鼓に書いた子供のような鬼から恐ろしい数の木の龍が迫ってくる瞬間だった。

 

 

前半と後半で作風を変えたりしています。原作合流編あたりからの作風に統一しようかと思います。

  • 統一した方が良い
  • 別に気にしない
  • 前半のようなほのぼの要素も欲しい
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