時を操る狐面の少女が鬼殺隊で柱を超えたそうですよ   作:たったかたん

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本編に僅かに登場した人物の裏話。

少し前に書き置きしてたので番外編で載せときますね。


《番外編》とある女性隊士の日常日記

 

 

 

 

 

私の名前は大塚凛、鬼殺隊には両親を殺されたというありふれた理由がきっかけで入隊する事になりました。

顔は…お見合いの話が2人来ていたので、まあ悪くはないはず、と信じます。

 

この日記は私が残したいと思った出来事やその時の感情を書いていきたいと思います。

 

 

私には才能という才能がからっきしなようで、今いる育手の人にも隊士になるのは諦めたほうがいいと隠を進められるくらい才能のない人間のようで今日はすこし落ち込みました。

 

ですが両親を殺した鬼を目の前で斬ってくれた鬼殺隊の方が女性だったのもあって強い憧れを抱いていた私は、鬼への復讐心も相俟ってそんな簡単には折れません。

 

もっと頑張ろうと思います!

 

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修行をして2年がたちました。

他の同期の子供達は皆最終選別に行ってボロボロで帰ってきたり、帰ってこなかったりするのをいつも眺めて、泣きました。

 

私はあの最終選別を受けて帰ってこれるだろうか…、私よりも強い人達が帰ってこなかったのに。

 

 

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前の日記から半年経ちました。

育手の方がやっと折れてくれて最終選別へと向かうことになりました。

ちなみに私は水の呼吸を使いますが、先に言った通りあまり水のような型を繰り出す事はほとんどできないままです。

とても不安で夜も眠れません。明日出発なのに…。

 

 

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なぜか生き残れました。

 

 

理由は単純、鬼と出会わなかったです

 

7日間で遭遇した鬼は二体のみ、動きが速い鬼でもなかったから傷は受けましたが、それほど苦労せず生き残れました。

 

なぜここまで少なかったのか不思議で、とりあえず出発地点へと帰れば、他の人達は皆狐面を被った女の子に感謝を述べていました。

どうやらその子のお陰で鬼の数も減ったおかげで生き残れた人の数は増えたようです。

 

すぐにありがとうと感謝を伝えました。

 

その子は少しだけ震えた雰囲気を纏いながら「そこまで感謝されることではありませんよ、これから頑張りましょう」と言って、入隊手続きを終えたあとすぐに姿を消していた。

 

きっとあのような人が柱になる剣士なんでしょう。

 

とりあえず早く刀が届いてほしいです。

 

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1年過ぎました。

 

私は3日前に初めて内臓に届くほどの深傷を負いました。

今までは基本合同任務で異形の鬼を相手にしたことはあったものの、その時は単独任務で鬼は異能の鬼、全身から刃物を自由に生やせる血鬼術で、最初の接触で腹に一突きされてしまいました。

 

燃えるように熱くなる腹を押さえて距離を取ったものの、もはや動けるほどの力と気力は残っておらず、下品な笑いをしながら走ってくる鬼を見て覚悟を決めたんですが、ぎゅっと目を閉じて……あれ?としばらくしても音も痛みも襲ってこないことに疑問を抱いて恐る恐る目を開けると、黒髪を一纏めに縛った青紫色の日輪刀を持った女の子が立ってました。

 

 

「大丈夫ですか?すぐに医者が来てくれます。それまで傷を押さえて動かないでくださいね」

と少しだけ幼さが残るその声と振り返った少女の顔には、いつしかの最終選別で助けてもらった狐面を着けてて、すごくびっくりしました。

 

 

ある程度の処置を受けたあと、隠の人に担架で運ばれた先は今までお世話になってきた藤屋敷よりも二回りは大きいのではないかと思えるほどの屋敷で、最近噂で聞いていた魁を頂いた人物、大竹雫だとこの時に知りました。出世しすぎてなんと言えばいいかわかりません。

 

寝かされた屋敷の部屋の中には木とイグサの香りが心と体を落ち着かせてくれました。

使用人がいるのかと思っていたんですが、どうやらこの屋敷には雫様しかいないみたいで、傷の手当てや体拭き、着替え、料理に渡って世話をしてくれました。

常に動き回っているのであまりにも申し訳なくなって藤屋敷か病院に行きますと伝えると、雫様は静かに姿勢を正して座ると、お面を外したんです…

 

 

お面の下から現れたのがお人形さんのように整った顔だったので、びっくりしていると雫様は頭を下げて、「あの時、ほんの僅かな時間、私が早く駆けつけていれば貴方は重傷を負わずに済みました、今回の怪我は私の不徳の致すところ…治療をさせてはくれませんか」と言ったんです。

 

階級は最上位にそう言われて突き放せるわけがありませんでした……。

 

1日にここまでの出来事を書いたのは初めてです。

 

 

 

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一月が経ちました。傷が塞がって自分で歩けるようになり、屋敷を歩くようになって分かった事が三つあります。

本当に隠の人もおらず雫様1人という事、毎日昼過ぎの時間に柱の人が訪ねてきて手合わせをしているという事、最後に雫さんの鍛錬は恐ろしく静かにただただ中庭に刀を構えて立っているだけという事。

 

 

鍛錬は不思議ですが、一人で鍛錬している時の雫様には近づくことすらできないほど空気が重く感じる雰囲気を纏っていて、到底私のような人間では理解のできない領域での鍛錬なのでしょう。

 

 

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傷が完治しましたが、すでに私は鬼狩りに向かう覚悟が恐怖心でいまでも夢にうなされるようになりました。

雫様は除隊を勧めてくれたんですが、傷を治してくれた恩を返したい一心で雫様にこの屋敷で使用人になりたいと申し出ると少し悩んでいましたが了承してくれました。

 

明日から頑張ります!

 

 

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最近雫様の雰囲気が暗いです。

どうやら仲の良かった柱の方が戦死されたらしくて、表面上はいつも通りでしたが空元気なのだと話していて直感で分かります、少し心配です。

 

 

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階級甲の隊士と継子を集めた魁稽古が始まりました。

いつも隊士の皆さんを軽々とあしらう雫様はやはり惚れ惚れします。

 

少しだけ元気になったようで良かったです。

 

 

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私が雫様と出会って5年が経ちました。

雫様は既に大人の雰囲気を纏っていて、声も透き通るような美しい声になりました。

私と2人きりの時はお面を外して話してくれるようになって一緒に過ごせる日々がとても楽しく思えるようになりました。

ですが、雫様はふとした時、とても悲しそうな表情をします。

お面を被っていたらきっと気づかないその表情は、近くを見つめているはずなのにどこか遠くを見ているような…。

きっと先代の柱達が皆戦死した方になにか思うところがあるのでしょうか。

ですが顔が整い過ぎているせいか不謹慎にもその顔も美しいと私は思ってしまいます。

 

 

……雫様のことばっかり書いてますね私の日記。

 

 

 

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今日花見をしてて、桜が舞い散る中雫様が私に言ってくれた言葉が嬉しくてどうしても書き残したいのでここに書き残します。

 

「私はいつも、どれだけこの幸せを守ろうとしても、手の隙間からこぼしてしまって、後悔の毎日です。

…数少ない救えた命の中で、凛さんを救えた事、とても嬉しく思います。今日まで私を支えてくれてありがとう。

もし何か力になれることがありましたらいつでも言ってくださいね、好きな男性とか見つけてきたら相談に乗りますから」

 

 

この言葉を聞いた時嬉しいような悲しいような、複雑な感情に襲われました。

もう私は貴方に一生を捧げるつもりですと言いたかったのですが、またもや雫様と桜吹雪が幻想的で見惚れてしまい、やはり何も言えませんでした。

 

私は本当にポンコツです。

 

 

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少し前に真菰さんの稽古に出かけて帰ってきた雫様はどこか沈んだ雰囲気を纏っていました。

少し心配でしたが、「大丈夫です、おやすみなさい」と二言で終わってしまいました、真菰さんに聞いてもそんな雰囲気になる出来事はないと言うので、何があったのでし

 

日記を書いているときに雫様が起きる物音がしたので何かあったのかと行ってみたら、どうやら緊急の呼び出しだそうです。

お館様のご厚意で警邏担当地区を上級隊士4人小隊で代理をしてもらうようになってからは夜は寝れるようになったのに…もし長期任務だったら次はいつ帰ってくるのでしょうか、雫様ですし怪我はしないと思いますけど…雨が降りそうなので風邪に気をつけてほしいです。

 

 

帰ってきた時に疲れを癒すための雫様が好きな羊羹を明日買っておきましょう。

 

 

 

 

 

前半と後半で作風を変えたりしています。原作合流編あたりからの作風に統一しようかと思います。

  • 統一した方が良い
  • 別に気にしない
  • 前半のようなほのぼの要素も欲しい

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