ベルがアークスなのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
ドラクエ10オフラインに嵌っちゃいまして。
「た、大変見苦しいものを見せてしまい、申し訳ありませんでした……!」
「あ、いや、まぁ……。リリが凄く怒っていたのは伝わっていたから……」
リリが顔を真っ赤になりながらも只管謝罪してる事に、僕はただ苦笑するしかなかった。
さっきまで本当に凄い光景を見せられたけど、今はソレを微塵も感じられない。
少しばかり説明しよう。
僕が無断でソーマ様の部屋へ入った瞬間、凄い剣幕で主神の髪を引っ張りながら罵倒するリリを見た瞬間、呆然とする以外の選択肢が無かった。
言いたい事を全て言い終えたリリは、此方に気付いて顔を向けた直後、「ベ、ベル様……?」と言いながら、一気に頭が冷えたかのように石化した。まるで知り合いに恥ずかしい所を見られてしまったような感じで。
その後から凄い迅速だった。髪を引っ張っていたソーマ様を放り投げて、すぐさま僕に「これには
因みにソーマ様の方はさんざんやられたのか、今も完全に打ち
とまあ、簡単だけど事情はこう言う訳であった。
「……一先ず、リリの謝罪はここまでにします」
そしてリリは落ち着いついて、漸く本題に入ろうとする。
「本当なら他派閥であるベル様が、どうして此処へ来たのか疑問を抱くところですが……」
確かに【ヘスティア・ファミリア】の眷族である僕が、【ソーマ・ファミリア】の
けれど、リリはそんな素振りを全く見せていない。その直後に片手を開いた状態のまま、突如物が出現する。
「この端末機に予め施していた発信機能を頼りに、この
「……うん」
本当なら僕はここで何を言っているのかと惚けなければいけないが、既に確信している僕は彼女に倣い、電子アイテムボックスから端末機を出した。
リリの言う通り、発信機能が無ければ僕は此処まで簡単に辿り着く事が出来なかった。もしあの時に端末機を使わないでいたらと考えると、リリがアークスだと一生分からなかっただろう。
端末機を出した瞬間、それは即座にデータを受信して、ディスプレイにはアークスの情報が表示された。僕の端末機にはリリの情報が、リリの端末機には僕の情報が。
お互いにアークスだと判明し、僕は内容を一通り見た後に彼女の方へと視線を向ける。
「全く。ベル様が端末機の通信を一度でも使ってくれれば、こんな事にならなかったと言うのに」
「ご、ゴメン。ちょっと訳ありで使ってなかったんだ……」
後からになって分かったとは言え、まさか本当に僕と同じアークスがこの世界にいたなんて思いもしなかった。
リリはどう見ても
身長だけで言うなら
「って、リリ! ソーマ様の前で見せたら……!」
今更だけど、此処には僕達だけでなくソーマ様もいた事に気付いて焦り始める。
ヘスティア様は良いとしても、僕達の目の前にいる方はアークスの事なんて知らない筈だ。異世界の情報を知られたら非常に面倒な事になってしまう。
「ああ、それは大丈夫ですよ。あのお方は今、此方の会話なんて全然聞いてませんから」
「え?」
「ほら、見て下さい」
僕と違って冷静なリリはそう言いながら、自分の主神に向かって指をさす。
思わず視線を向けると――
「俺の酒……クソ不味い……俺の、酒が……クソ、不味い……」
リリの罵倒が物凄く聞いていたのか、確かに此方の会話に耳を一切向けずに上の空状態だった。
ロキ様から聞いた話では、ソーマ様が作る神酒は色々問題があるけど、たとえ失敗作でも最高級品と呼ばれるほどの凄く美味しいお酒と言われている。
しかし、自分の眷族である筈のリリからクソ不味い酒と大きな声で否定された。あの姿を見る限りソーマ様にとっては非常にショックであり、今まで培ってきたプライドが粉々に打ち砕かれたかもしれない。
「とは言え、確かに此処で話す内容じゃありませんね。一応これだけは確認したいのですが、ベル様の所にいる主神様はご存知なのですか?」
「う、うん。一通り話した後、他の神々には絶対言わないようにって……」
ヘスティア様に僕が異世界へ渡った事を説明した際、とんでもない事を知ってしまったと言わんばかりの反応を示していた。
「賢明な判断ですね。ならば今の件が一通り片付いた後、その神様も交えて話しましょう」
そう言いながらリリは端末機を収納して、今も打ち拉がれているソーマ様へと近づいていく。
「さてソーマ様、じゃなかったクソワカメ。約束通り神酒を飲んだんですから、ちゃんと話を聞いてくれる約束でしたよね?」
「ちょ、ちょっとリリ! 呼び方が逆だよ!」
僕は即座にツッコミを入れるも、リリは全然聞いてないように話を続けていた。
憎んでいるとは言っても、神様相手にそこまでしたら不敬罪を通り越して重罪になるんじゃないかと不安になってしまう。
すると、外から何やら騒がしい音がした。
『我等は【ガネーシャ・ファミリア】だ! 市民の通報により馳せ参じた! 【ソーマ・ファミリア】の眷族達よ、今すぐに抗争を止めてもらおうか!』
窓が開いているとは言え、今いる場所が三階でありながらも、凛々しくもハッキリした大きな声が届いていた。
「ああ、もう来ましたか。元凶の一つが」
僕だけじゃなく、リリも当然聞こえている。
だけど、【ガネーシャ・ファミリア】だと分かった瞬間、何故か煩わしそうな気がしたのは僕の気のせいだろうか。
と言うより元凶って一体……?
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