ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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他の作品を執筆してる最中ですが、思わずこっちを書いてしまいました。

今回は今までのおさらいみたいな内容になっています。


二人のアークス①

 現在、オラリオは大騒ぎとなっている。

 

 そうなった原因はギルドの掲示板で公開されてる情報であった。

 

 

『リリルカ・アーデ――【ヘスティア・ファミリア】入団』

 

 

 正確に言うと、リリは【ソーマ・ファミリア】から【ヘスティア・ファミリア】へ改宗(コンバージョン)した。

 

 冒険者は様々な理由で他所の【ファミリア】へ移転する為、そこまで珍しいものではないのだが、今回ばかりは少々違う。移転先の【ファミリア】が少しばかり特殊であるから。

 

 【ヘスティア・ファミリア】は、組織されてから数ヵ月しか経っていないダンジョン探索系の新興勢力。団員も駆け出しの冒険者一人だけで、とても注目を浴びる要素は一つも見当たらないだろう。

 

 主神であるヘスティアは初めて出来た団員――ベル・クラネルと一緒に苦楽を共にし、どれだけ時間が掛かっても頑張ろうと決意していた。のだが、彼女の思惑とは全く異なる展開が起き始めようとする。

 

 注目される一番の切っ掛けは、ベルが冒険者になって約半月後、怪物祭(モンスター・フィリア)で脱走したモンスター――『シルバーバック』を瞬殺したことから始まる。その光景を偶然目にした当時の【アポロン・ファミリア】の主神アポロンがベルに見惚れてしまい、我が物にしようとヘスティアに戦争遊戯(ウォーゲーム)を仕掛けた。

 

 団員が一人だけの【ヘスティア・ファミリア】に対し、【アポロン・ファミリア】は百人以上の団員がいる。それを知ったオラリオにいる誰もが、最初はアポロン側の勝利を疑っていなかった。主神アポロンも勝負する前から勝利したも同然のように、眷族にしたベルを愛でようかと考えている始末。

 

 しかし、戦争遊戯(ウォーゲーム)が開始された直後、全く予想外の事態が起きてしまう。特例として一人の助っ人を連れているにも拘わらず、ベルが見た事もない魔法や武器を披露し、【アポロン・ファミリア】の団員達を簡単に蹴散らす光景を繰り広げて大勝利を飾った。それによって観戦していた(神々も含む)オラリオの住民達は何度も驚き、何度も大絶叫を響かせているほどに。アポロンだけでなく、ベルの主神であるヘスティアですらも。

 

 【ヘスティア・ファミリア】が【アポロン・ファミリア】に大勝利した数日後、大変な事実がギルドで明かされた。戦争遊戯(ウォーゲーム)前に階層主ゴライアスを単独撃破の他、所用期間一ヵ月で『Lv.2』にランクアップしたと言う情報が。色々手順をすっ飛ばしているんじゃないかと思われる程、ベルの偉業にオラリオは大混乱に陥る事になるのは、ある意味仕方ないと言えよう。

 

 だと言うのに、またしてもギルドからとんでもない情報が入った事で大騒ぎとなった。『Lv.2』になったベルが約一ヵ月で、今度は『Lv.3』にランクアップしたのだ。そうなった要因は【ロキ・ファミリア】の遠征に参加し、ダンジョン59階層まで進んだと言う内容付きで。冒険者としての常識を悉く壊しまくっているベルの偉業の数々に、冒険者の二つ名とは別に『非常識兎(クラッシャー)』の異名が付いてしまうのは当然の流れであった。

 

 そんな大活躍をしている事で、神々や冒険者達、そして多くの商人や魔法関係者はベルに接触しようと動いている。しかし【ヘスティア・ファミリア】は注目されているのに団員募集しないどころか、周囲のコネクションすら築こうとすらしない。加えてベルも他所から勧誘の他、一切の交渉すらも受け付けない始末。

 

 これによりベルはオラリオから注目されていながらも、肝心の情報を掴む事が出来ない未知の派閥と言う扱いになっていた。それでも諦めずに接触しようと試みる者達は未だにいるも、結局は空振りの結果になっているが。

 

 そんな状況の中、リリが【ヘスティア・ファミリア】へ改宗(コンバージョン)した為、周囲は何故なのかと疑問を抱くのだが、それを吹き飛ばすほどの情報がオラリオを騒がせていた。

 

 今までの流れからして、非常識兎(クラッシャー)のベルがまた何かやらかしたかと思われるのだが違う。今回は改宗(コンバージョン)したリリの方だった。

 

 

『【ヘスティア・ファミリア】――リリルカ・アーデ。『Lv.1』→『Lv.3』へランクアップ』

 

 

 リリが改宗(コンバージョン)して早々、【Lv.2】ではなく一気に【Lv.3】にランクアップしたと言う、前代未聞の情報が公開された事で大騒ぎとなっている訳である。

 

 本当に二段階のランクアップをしたのかと真意を問い合わせるほど、ギルド本部では多くの冒険者達が殺到し、(エイナも含めた)職員達は対応に困り果てているのであった。

 

 ついでに、これはベルと大きく関わっている【ファミリア】の本拠地(ホーム)でも同様に。

 

 

 

 

 

 

 

 場所は【ロキ・ファミリア】本拠地(ホーム)の執務室。

 

 いつものメンバーが【ヘスティア・ファミリア】側でランクアップの情報を耳にした為、緊急会議を開く事となった。

 

「一体何やねん! ベルがま~た昇格(ランクアップ)したかと思っとったのに、改宗(コンバージョン)した小人族(パルゥム)眷族(こども)が一気に『Lv.3』やと!? どういうことなんやドチビぃぃぃ!!」

 

「静かにしろ、ロキ」

 

「まぁ、そうなるのは分からんでもないがのう」

 

 集まって早々、ギルドからの報せが書かれている用紙を目にするロキが叫んだ事で、リヴェリアは嘆息しながらも指摘していた。ガレスは煩わしく思うも、気持ちは理解してる様子だ。

 

 だが、ロキがそうなるのも無理もないと言えよう。今まで『Lv.1』だった女性小人族(パルゥム)が急遽『Lv.3』に昇格(ランクアップ)したのだから。

 

 本来であれば、【神の恩恵(ファルナ)】を得た眷族は、多くの【経験値(エクセリア)】を得て能力を引き上げ、神々が認める偉業を成し遂げることで器を昇華する仕組みになっている。そして更に上を行くには、それ以上の苦難を乗り越えなければならない。

 

 しかし、誰もが必ずしも到達できる道ではない。長い年月を掛けて漸く至る者や、どれだけ頑張っても至る事が出来ずに諦めてしまう者だっている。昇格(ランクアップ)とは冒険者にとって、試練を乗り越える最大の壁であり最も険しい道であるから。

 

 だと言うのに、今回の報せにあったリリルカ・アーデは明らかに異常だった。『Lv.2』に昇格(ランクアップ)するならまだしも、それをすっ飛ばして『Lv.3』になるのは、普通に考えてあり得ないのだ。小人族(パルゥム)である彼女であれば猶更に。

 

 偏見になってしまうかもしれないが、小人族(パルゥム)と言う種族は貧弱で中々レベルが上がり辛い為、大半は冒険者を諦めてサポーターに転向してしまう。だがそれでも最後まで諦めずに冒険者として活動しているのもいるから、決して弱い訳ではない。【勇者(ブレイバー)】のフィン・ディムナ、【炎金の四戦士(ブリンガル)】のガリバー兄弟は、小人族(パルゥム)でありながらも畏怖されている。

 

「はぁっ。こんな事になるなら、もっと早めに彼女と接触すれば良かったかもね」

 

 ロキの叫びを全く聞いてないように、フィンは報せが書いてある用紙を見ながら嘆息していた。

 

 己の同胞が偉業を為しているのは勿論大変嬉しく思っている。一族復興を野望としている彼としては、実に喜ばしい報せでもあった。

 

 だが、それとは同時に複雑な気持ちにもなっていた。彼女の改宗(コンバージョン)先が【ヘスティア・ファミリア】である為に。

 

「恐らくこの小人族(パルゥム)の少女は、ベルが雇っていたサポーターと見て間違いなさそうだな」

 

「だろうね。まぁこの前あったオークションで、彼がいる時点で既に見当は付いていたけど」

 

 リヴェリアの推測にフィンは頷きながらも、数日前にあった出来事を思い出していた。

 

 【ソーマ・ファミリア】主催である販売オークションにて、何故か他派閥である筈のベルが助手として進行していた。

 

 会場提供したギルド、警護として【ガネーシャ・ファミリア】が協力するのは当然である。なのに【ソーマ・ファミリア】と全く関わり合いが無い筈の【ヘスティア・ファミリア】が協力するのは、普通に考えてあり得ないのだ。

 

 参加客として見ていたフィンは、それに一早く気付くと同時に、司会を務めていた彼女が、今までベルと行動していた小人族(パルゥム)のサポーターに間違いないと察した。そしてその予想が的中したかのように、リリは【ソーマ・ファミリア】を抜けて、【ヘスティア・ファミリア】へと改宗(コンバージョン)している。

 

「オークションで思い出したが、これが行われる前、【ソーマ・ファミリア】は色々やらかしていたな」

 

 以前から【ソーマ・ファミリア】は度々問題行動を起こしていると知っているガレスであったが、このところ一層際立つ事件を起こしていた。

 

 街中で酒で酔い潰れた男達が大喧嘩した挙句、強臭袋(モルブル)を撒き散らしていたのが【ソーマ・ファミリア】の冒険者だったと後ほど判明し、ギルドは(ペナルティ)を執行した。

 

 翌々日、今度はノームが経営している質屋に強盗が入り、その犯人はまたしても【ソーマ・ファミリア】の冒険者であり、しかも首謀者はその団長の【酒守(ガンダルヴァ)】ザニス・ルストラである事も判明。立て続けに問題行動を起こした事によって、ギルドは完全に権限を行使して、犯人と首謀者に最大級の厳罰を与える事となった。冒険者の資格を剥奪させる為に、恩恵(ファルナ)封印の判決を。

 

 それとは別に、【ソーマ・ファミリア】の本拠地(ホーム)内で爆発が立て続けに起きる大きな騒動があった。被害者は当然、その中にいるソーマの眷族達であり、多くの重軽傷者がいたそうだ。その中で一番酷かったのは団長のザニスで、治療するには相応の時間を要するほどの重傷らしい。通報を受けて出動した【ガネーシャ・ファミリア】が犯人を捕縛し、後から知ったギルドは犯人に厳罰を与えてもおかしくないのだが、何故か余り大事にならなかった。原因は【ソーマ・ファミリア】の眷族達が酒欲しさに暴動を起こしたのだと、それだけ公表して処理されている。

 

 本拠地(ホーム)で起きた事件の処理については、明らかに不審な点があった。先の事件二つは人物を公表しているのに、最後だけはソーマの眷族達と言う不特定な処理をしている。あきらかにおかしいと、此処にいるロキやフィン達は当然気付いていた。

 

「うちもギルドに行ってちょいと探りを入れてみたが、やっぱりソーマんとこの本拠地(ホーム)の件に関しては、ギルドが何かを隠しとるのは間違いなさそうや」

 

「あのルバート・ライアンと同様、(おおやけ)にしたくない程のか?」

 

 リヴェリアが口にする人物は、以前まで港街(メレン)のギルド支部にいる総責任者であり支部長を務めていた。立場を利用して密輸を行っていた事が判明した為、ギルドは世間から非難を浴びない為に彼を懲戒免職と言う形で有耶無耶にしている。

 

「かもしれんな。流石にそれが何なのかまでは分からんかったが」

 

 今回は【ロキ・ファミリア】と一切関わっていない為、ロキは強く出ることが出来なかった。

 

 港街(メレン)の件を盾にして詳しく調べる事も出来たのだが、こんな程度でカードを切るのは無駄であり、却って藪蛇になるかもしれないと断念している。

 

「もしかしたら、リリルカ・アーデが一連の事件に関わっているかもしれないね」

 

 フィンの発言に、ロキ達は興味深そうに振り向く。

 

「どういう事なのじゃ、フィン」

 

「僕も少々気になってロキと同じく独自に調べてみたんだけど、今まで起きた事件に彼女と思わしき情報があったんだよ」

 

 同じ小人族(パルゥム)として気になったのか、フィンはちょっとした気分転換という名目で度々出掛けていた。因みにティオネがそれに感付いて同行しようとするも、結局は回避されてしまう結果となったが。

 

「最初の事件はともかくとして、『ノームの万屋』は強盗事件が起きる前から、店主の世話をしている小人族(パルゥム)の少女が出入りしてるらしい」

 

「その少女が、リリルカ・アーデだと?」

 

「恐らくね。そして強盗事件が起きて、戻って来た少女は荒らされた質屋の中に入って間もなく、すぐにどこかへ行ってしまったんだ。その後に【ソーマ・ファミリア】の本拠地(ホーム)で、大きな騒動が起きたとなれば……」

 

 フィンが途中で言葉を切っても、リヴェリア達は既に察していた。リリがそこで大暴れしたのだと。

 

「だとしても、娘っ子がどのような手段で爆発が起きる騒動を起こしたんじゃ?」

 

「そこまでは流石に分からない。だけど【ソーマ・ファミリア】の本拠地(ホーム)へ戻って、大きな騒動を起こしたにも拘わらず、ギルドは彼女について一切公表しなかった。間違いなく当事者である筈なのに、ギルドだけでなく、出動した【ガネーシャ・ファミリア】すらリリルカ・アーデの名前を一切挙げていない。これには何か理由がある筈だと僕は踏んでいる」

 

『…………………』

 

 口にしてるのはフィンである故か、穴だらけな推測でも否定する事が出来なかった。と言うより、確かにそう考えらないと筋が通らないのだ。

 

 【ロキ・ファミリア】の頭脳とも言える彼だからこそ、主神であるロキも真っ向から否定出来ないのであった。

 

「寧ろそう考えなければ、ギルドや【ガネーシャ・ファミリア】が、【ソーマ・ファミリア】の販売オークションに手を貸す訳がない」

 

「つまりその二つの組織は、事件の当事者である娘っ子に何かしら大きな弱味を握られている為に、協力せざるを得なかったと言うことか」

 

「ああ。誠実な神ガネーシャは別として、あの強欲なロイマンの性格を考えれば、簡単に許可なんて出す訳が無いからね。もしくはロイマンだけにオークションで得た利益の大半を引き換えに、とかもあり得る」

 

「確かにな」

 

 リヴェリアは推測を立てるフィンに同感だと頷いていた。

 

 ギルドの最高権力者であるロイマン・マルディールはエルフでありながら、世俗にまみれたことで非常に強欲な性格になっていた。その所為で彼は同族のエルフから『ギルドの豚』という仇名で忌み嫌われるほど、性格にもかなり問題がある人物だ。

 

 そんな欲塗れの男が【ソーマ・ファミリア】主催のオークションを、ギルドの前庭を開催地として簡単に許可するなんて、普通に考えればあり得ない。フィンの言う通り弱味を握られているか、多額の賄賂を提供しない限りは。

 

「まぁどっちにしろ、もうこの件は終わった事になってるし、今更僕達が考えたところで何の意味も無いけどね」

 

「せやな。うちらには関係のないことや。けど、敢えて言うなら……あのオークションの後にガレスがうち等に内緒で、ベルから完成品の神酒(ソーマ)をタダで譲ってもらったのは今も納得出来んが……!」

 

「さて、ワシには何の事かさっぱりじゃのう」

 

 ロキが途中から恨めしげな眼になって睨むも、ガレスはしらばっくれるように素知らぬ顔になっていた。

 

 因みにガレスはベルから受け取った神酒(ソーマ)をロキに奪われないよう、自室で厳重に保管している。仮に侵入されたところで、部屋の主にしか分からないところに隠しており、一切の抜かりはない。

 

「それはそうと、彼女が一体どうやって、『Lv.1』から『Lv.3』へランクアップしたのかが気になるな」

 

 ここでまたロキが突っかかるかもしれないと思ったリヴェリアは話題を変えようと、最初に話していたリリの昇格(ランクアップ)へ戻そうとした。

 

「流石にコレは不断の努力だけでなく、未確認の『発展アビリティ』や『レアスキル』で片付けられるものじゃない」

 

「ンー、確かにそうだね。もしかしたら彼も関係してるんじゃないかな」

 

 フィンが言う『彼』とは、態々言わなくても分かっていた。それはベル・クラネルであると。

 

 今まで『Lv.1』だったリリが、ベルにサポーターとして雇われ、そして改宗(コンバージョン)した直後に異常な昇格(ランクアップ)をした。これでベルとの関わりを疑わない方が無理な話である。

 

「考えられる要因としては、彼女がサポーターとして同行してる最中、彼が持ってる武器を何度も借りたとか」

 

「!」

 

 武器と聞いた瞬間にリヴェリアが、過敏に反応を示すのは当然であった。

 

 以前の遠征で『精霊の分身(デミ・スピリット)』を倒す際、ベルから神秘的な長杖(ロッド)――『ゼイネシスクラッチ』を使った事で、見事『Lv.7』に昇格(ランクアップ)した。それ以降から、リヴェリアは再び手にしたい衝動に駆られ、我慢する日々を送り続けている。

 

「フィン、それは流石に飛躍し過ぎではないか? ベルが持っておる武器が非常識とは言っても、そう簡単に昇格(ランクアップ)出来る訳がなかろう」

 

「確かにそうなんだけど、現にその経験者が僕達の目の前にいるからね」

 

 ガレスの発言にフィンはリヴェリアの方へと視線を移していた。

 

 因みに経験者とは言うまでもなくリヴェリアで、本人ですら信じられない経験だと語っていた程である。

 

「もしくは、彼女は初めからベルと似た武器を持っている、と言う線もあるかもしれない」

 

「何じゃそれは。まるでこの娘っ子も非常識な塊のように聞こえるではないか」

 

「一気に『Lv.3』へ昇格(ランクアップ)すること自体、非常識だと僕は思うけどね」

 

「……まぁ、確かに」

 

 先程まで疑問視しているガレスであったが、今更になってリリがベルと同じく非常識なことをしていると改めて認識することとなった。

 

 まぁそんな事よりも、と言ってフィンは話題を変えようとする。

 

「この異常な昇格(ランクアップ)とは別に、出来ればリリルカ・アーデとは、少しばかり話してみたいね」

 

「やはりそれが一番の理由か」

 

「まぁ、私達はお前のやることに口出しする気は無いが……」

 

「出来ればなるべくティオネにバレんよう頼むで」

 

 フィンがリリに興味を抱いてる他、彼の野望も理解してるガレス達は少々呆れながらも静観するだけであった。

 

 それと同時に、あの恋する狂戦士(バーサーカー)ことティオネが暴走する展開にならないように祈りながら。

 

 

 

 

 

 一方、大食堂でもリリの昇格(ランクアップ)について大騒ぎとなっている。

 

「はっ! 団長がこのメスを見初めてるような気が……!」

 

 野生の勘でも働いたのか、ティオネは用紙に描かれているリリの似顔絵を見ている際、途端に憎き恋敵のように恐ろしい眼で睨み始めていた。

 

「なに訳の分からないこと言ってるのよ……」

 

「あの人、団長関連になると異常なほど勘が鋭いっすからね」

 

 ティオネの豹変に呆れるように眺めるアキと、フィンの身が少々心配な気持ちになるラウル。

 

 ああなった彼女に関わると面倒になると理解してるのか、すぐに距離を取り始めようとしている。それは他の団員達も同様に。

 

「っていうか、何でこの小人族(パルゥム)ちゃんが、アルゴノゥト君のところに行ったのかなー?」

 

(……この子が【ヘスティア・ファミリア】の所に行ったってことは、この凄いランクアップはもしかしてベルが関係している?)

 

 ぶーぶーと納得いかないように文句を言うティオナに対し、一気に『Lv.3』へ昇格(ランクアップ)したことに大変興味を抱きながら無言で見続けるアイズ。

 

 二人は同時に決意した。やはり一度【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)へ行こうと。

 

(ん? このガキ、どっかで見たような……)

 

 リリの顔を見て何か思い出したような顔になるベートだったが、その記憶は掘り起こす事は出来なかった。

 

 だがそれでも見覚えがあるのは確かである。嘗て自分が見限ったあの【ファミリア】に入っていた頃に……という記憶までだが。

 

(な、何でよりにもよってベル・クラネルがいる【ファミリア】へ改宗(コンバージョン)するんですか!)

 

 レフィーヤは自分と同じ『Lv.3』に至ったリリに驚愕するも、改宗(コンバージョン)先が【ヘスティア・ファミリア】だと知った途端に不満を表す。

 

 ただでさえ憎き白兎は出鱈目な強さを持っているのに、新たな戦力と言うべき相棒を手にしたことが彼女にとって非常に気に食わないのだ。

 

 そして他の団員達も信じられないと言わんばかりに騒ぎ続けており、フィン達が来るまで続くのであった。




活動報告でアンケートを取った結果、リリを『Lv.3』にランクアップすることにしました。

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