ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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すいませんが、今回はリリ側の幕間話になります。


二人のアークス⑪.5

(ベル様がアークス製の武器に切り替えた!?)

 

 突如ファントムクラス専用の武装に切り替え、植物型モンスターの群れに向かっていくベルにリリは驚愕していた。緊急事態とは言え、武器だけでなく防具すらもアークス製に切り替えると言う事は即ち、本気で戦わなくてはいけない相手と言う事になる。

 

 ベルが迷いなく選択したのは、アレ等の事を知っているのだとすぐに察した。そうでなければ数が多い蜘蛛型モンスターを最初に選んでいる筈だと。

 

(となれば、リリもこの状況で出し惜しみしてる場合じゃありません!)

 

 他派閥(ヴェルフ)の目がある理由もあって、リリはなるべくアークス武器は使わないと決めていた。先程は道を進む為の措置として、オリハルコンの扉やアダマンタイトの壁を壊す際に大砲(ランチャー)を使ったが、魔剣と誤魔化してすぐに収納している。

 

 しかし、こんな異常事態(イレギュラー)が起きてしまった以上、もうそんな事を気にしている場合ではない。ヴェルフには後でキッチリ口止めをしようと固く誓いながら、本来の武装に切り替えようとする。

 

「来るぞ、リリスケ……っておい、何だその格好は!?」

 

 隣にいるヴェルフが大刀を構えながら声を掛けていたが、リリの変化に驚愕する。クリーム色のローブから一変して、上級貴族の傍にいそうな清楚と言うべきメイド服に変わったから。

 

 端から見ればふざけた格好だと言われてもおかしくないだろう。しかし、これこそが彼女本来の戦闘服なのだ。メイドキャストのルコットによる教育により、そうなってしまった為に。

 

 メイド服とは別に、武装は全てアークス製になっている。現在彼女が持っている武器は長銃(アサルトライフル)――『スプレッドニードル』。

 

 防具は不可視(ステルス)状態であり、オラリオ製の防具より高性能だ。因みに装備している防具は次世代型の『ユニオンセット一式』。リア/サーキュユニオン、アーム/サーカユニオン、レッグ/サークユニオンの三つで、ルコットが全て用意してくれた。

 

 『ユニオンセット一式』の各防具はそれぞれ打撃、射撃、法撃の耐性の他、体力や体内フォトン、攻撃、射撃、法撃のステータス上昇も備わっている。性能はベルの『クリシスシリーズ』より若干劣るとは言っても、最前線で戦う現役のアークスが使うには充分な性能を持つ。

 

 これには当然特殊能力も備わっており、アストラル・ソール、ウィンクルム、スタミナⅣ、スピリタⅣ、アビリティⅢ、オールレジストⅢ、ガード・ブーストがあり、主に防御面を中心にしたステータス上昇させている。サブクラスに鉄壁の防御力を誇るエトワールクラスをしていても、小人族(パルゥム)のリリは耐久や防御力が心許ないと、心配性で少々過保護なルコットが少々無理をしてカスタム強化させた程だ。

 

「ヴェルフ様、コレを撃ってる最中に決してリリの前に出ないで下さい!」

 

「はぁ? お前何を――」

 

 いきなりの台詞にヴェルフが戸惑う中、リリは蜘蛛型モンスター目掛けて長銃(アサルトライフル)を放った瞬間、

 

『ギギイィ!?』

 

 銃口から円錐状として放たれた無数の針散弾が、いっぺんにモンスター達を貫いた。

 

 二撃、三撃と撃ち続ける事で、先程まで襲い掛かろうとしていた大半の蜘蛛型モンスター達はあっと言う間に死骸となっていく。

 

 リリは以前にスプレッドニードルの潜在能力『古の針散弾・改』を【ソーマ・ファミリア】の団員達に使っていたが、あの時は手加減をしていただけに過ぎない。もし本気でやれば目の前にいる蜘蛛型モンスター達の死骸と同様、針が貫通して即死すると言う無惨な光景を目にしていただろう。

 

「おいおいリリスケ! 何だその魔剣は!?」

 

 あっと言う間にモンスター達が倒された光景を目にしたヴェルフは、情報処理が多過ぎて混乱気味になっていた。これが【ロキ・ファミリア】の幹部達であれば、(ベルのお陰で)何とか耐えれたかもしれないが、それでも突っ込みたい衝動に駆られているだろう。

 

「気を抜かないで下さい! まだ来ます!」

 

「お、おう!」

 

 リリの発言にヴェルフはすぐに再び大刀を構えた直後、周囲の横道からわらわらと再び現れる蜘蛛型モンスターを意識する。

 

 後方でベルが植物モンスターをあっと言う間に両断している最中、リリもスプレッドニードルの通常射撃で倒し続けていた。

 

 すると、運良く躱した一匹の蜘蛛型モンスターが、リリに接近して口腔らしき箇所から液体らしきモノをを吐き出した。

 

「危ねぇリリスケ!」

 

「ッ!?」

 

 咄嗟に前に出たヴェルフは大刀を盾代わりにして防いだ。その直後、彼は一匹の蜘蛛型モンスターに接近し、翳した大刀を一気に振り下ろして両断した。

 

「ありがとうございます、ヴェルフ様!」

 

「気にするな。俺だってこれくらい――お、俺の武器が……!」

 

 ヴェルフの大刀に異変が起きていた。刀身が何故か溶かされているから。

 

 既に半分以上が無くなっており、あと少しで柄も溶かされそうなところを、ヴェルフはすぐに放り投げた。そして今も溶け続けている彼の大刀は完全に消失していく。

 

(あのモンスターが吐き出したのは、もしや溶解液!)

 

 もしヴェルフが自分を守ろうと前に出てくれなかったら、リリは攻撃を止めざるを得なかっただろう。

 

 鉄壁の防御力を誇るエトワールクラスをサブにしてるからと言っても、武器を簡単に溶かす溶解液を受けたらタダで済まないのは容易に想像出来た。如何にフォトンが万能であっても、激痛を完全に防げるものではないから。

 

 ヴェルフに大きな借りが出来てしまったリリは、後で必ず清算することを誓う。

 

 その後には、またしても蜘蛛型モンスターの群れが出現して此方へ接近してくる。

 

「おいおい、まだ来るのかよ!」

 

「ああもう!」

 

 倒しても次から次へとモンスターの群れが出てくることに苛立ちを隠せなくなったリリは、長銃(アサルトライフル)から大砲(ランチャー)の『D-A.I.Sブラスター』へ切り替えた。直後、武器の砲身が青白く光り始める。

 

「おいおいおいソレってまさか……!?」

 

 ヴェルフは途端に顔を青褪めた。あの武器は青白く光り出した後、オリハルコンの扉を簡単に破壊出来る光弾を撃ち放ったのを今でも鮮明に憶えている為に。

 

「テメエ等いい加減にしろ!」

 

 チャージを終えたリリは大砲(ランチャー)のフォトンアーツ『ディバインランチャー零式』を放ち、凝縮された光弾は十(メドル)先にいる蜘蛛型モンスターに当たった瞬間に大爆発を起こし、その先にあった壁や扉もろとも吹き飛ばすのであった。因みにヴェルフは咄嗟に彼女から離れて耳を塞ぎながら伏せて何とか事なきを得るも、丁度食人花の群れを倒し終えたベルが突然の衝撃と爆風に怯んでいたのは仕方のない事だった。

 

「まだまだぁ!」

 

 ディバインランチャー零式で蜘蛛型モンスターの群れを片付けたリリだが、後続が来る事も警戒してか通常の砲弾を撃ち続けるのであった。そのせいで更に他の扉や壁が破壊されるのは言うまでもない。




リリの防具を紹介しておきます。


ユニオンセット一式の各防具性能

打撃防御+320×3 射撃防御+320×3 法撃防御+320×3

HP+75×3 PP+9×3

打撃力+25×3 射撃力+25×3 法撃力+25×3 

打撃耐性 計8 射撃耐性 計8 法撃耐性 計8 




特殊能力の性能

アストラル・ソール、ウィンクルム、スタミナⅣ、スピリタⅣ、アビリティⅢ、オールレジストⅢ、ガード・ブースト

HP+170×3 PP+13×3 

打撃力+70×3 射撃力+70×3 法撃力+70×3 

技量+50×3 

打撃防御+85×3 射撃防御+85×3 法撃防御+85×3 

打撃耐性+3×3 射撃耐性+3×3 法撃耐性+3×3

炎耐性+3×3 氷耐性+3×3 雷耐性+3×3 風耐性+3×3 光耐性+3×3 闇耐性+3×3



防具性能と特殊能力の合計


打撃防御+1215 射撃防御+1215 法撃防御+1215

HP+735 PP+66 

打撃力+285 射撃力+285 法撃力+285 

技量+150 

打撃耐性+17 射撃耐性+17 法撃耐性+17 

炎耐性+9 氷耐性+9 雷耐性+9 風耐性+9 光耐性+9 闇耐性+9
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