ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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今回はシリーズの区切りを付けるため、内容を短くすることにしました。


二人のアークス⑱

 『精霊の分身(デミ・スピリット)』を倒し、負傷してるガレスさん達にレスタとアンティで回復させた。

 

 本当なら元の道に戻るべきなんだけど、思いがけない話を聞いた。【ロキ・ファミリア】はオラリオの地下水路を通じて此処へ来たみたいで、僕だけでなくリリやヴェルフも驚きの表情を示す程だ。対して僕達がダンジョン11階層で発見した未開拓領域を通じて来た事を話すと、調査目的で来ていたガレスさん達も予想外と言わんばかりの反応だった。

 

 互いに交換した情報に驚きながらも、(ヴェルフも含めた)僕達【ヘスティア・ファミリア】はガレスさん達と一緒に同行する事にした。ヴェルフや向こう側の装備が心許ない状況の他、一緒に行動した方が安心するから。決してティオナさんが僕に引っ付いて『一緒に戻ろう』と言われて折れた訳じゃない。

 

 モンスターや扉の罠に警戒しているのだが、それらが全く無いまま地下水路の入口へ辿り着くことが出来た。余りにも拍子抜けな展開に何か別の狙いがあるのかと勘繰ってしまいそうになったけど、戻れたのに変わりないので一先ず安堵している。

 

 そこにはガレスさん達以外の【ロキ・ファミリア】がいて、一緒にいる僕を見て早々――

 

「何でベルがおるんや!?」

 

「ガレス、これは一体どういう事だ!?」

 

 予想通りと言うべきか、ロキ様とリヴェリアさんが揃って驚愕の表情になっていた。

 

 僕達三人がダンジョン11階層から来た後、『精霊の分身(デミ・スピリット)』を倒した事を説明すると、これもまた予想外と二人は揃って驚きの連続だった。一応ガレスさん達が目撃しているから、嘘ではないとちゃんと証言している。

 

 取り敢えずと言った感じで納得したロキ様は、背に腹は代えられないと言わんばかりに突然僕に頼んだ。【ディアンケヒト・ファミリア】のアミッドさんが来るまで、負傷した仲間達を治療して欲しいと。

 

 いきなりの頼みに戸惑うも、どうやら此処の調査中に毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)の毒や呪詛(カース)で負傷してる団員達がいるらしい。それを聞いた僕は即座に了承し、その人達の元へと向かう。

 

 負傷した団員の中に、何とフィンさんも含まれていた。何でも敵が持つ『呪剣(カースウェポン)』で斬られてしまい、死の淵寸前で酷い重傷を負っている。その人以外にも、毒や呪詛(カース)を負っている負傷した団員達も含めて。

 

 毒は何とかなるとして、問題は呪詛(カース)が治るかのか一番の不安だ。アンティは身体の異常を取り払って健康な状態へと引き戻す状態異常を治療するテクニックとは言え、この世界の呪いが適用するかが分からないから。

 

 とは言え、ロキ様に頼まれた以上何としてもやらなければならない。もしもフィンさんが死んでしまえば、ティオネさんが一番悲しむだけでなく、【ロキ・ファミリア】全体が不味いことになってしまう。この前の遠征で、フィンさんがどれだけ大きな存在かを理解している為に。

 

 一刻も早く治療しようと、僕は気合いを入れてアンティを使用した結果――――成功した。毒は勿論のこと、不安だった呪詛(カース)も取り払うことが出来た事で、苦悶に満ちた表情は消え、今はすやすやと安らかな寝顔を浮かべている。それを見た僕は安堵しながら、体力の回復と傷を癒すレスタを使ったけど、流石に目覚めさせるのは無理だった。一番重傷だったフィンさんが癒えたことで、いの一番に喜ぶティオネさん、そしてロキ様やリヴェリアさん達から物凄く感謝された。

 

 その人達とは別に、既に死亡していた団員の数人は非常に残念だけど無理だった。治療する前から既に事切れていた為、いくら僕のテクニックでも死んだ人を蘇らせるのは不可能だった。ロキ様も理解していたのか、死んだ団員達に別れの言葉を送っている。

 

 そんな中、新たな情報が入った。他にも帰還していない六名の団員達を発見するも、その内の四名が死亡したと。

 

 しかし、予想外な事態が起きていたらしい。リーネさんが事切れる寸前、全身が輝いた後に突如何事も無かったかのように生き返ったと。

 

 それを聞いた僕は瞬時に思い出した。以前の遠征でリーネさんに『スケープドール』を渡していた時の事を。

 

 

 

 

 

 

 時間は【ロキ・ファミリア】の遠征帰還中まで遡り、ベルが毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)の毒で負傷した団員達をアンティで治療した後の話になる。

 

「ベル君、コレを持っているだけで良いの?」

 

「はい、特に今回みたいな遠征やダンジョン探索では持ってて下さい。僕からのちょっとした保険です」

 

「保険って……もしかして貴重なアイテムじゃ」

 

「いや、(この世界では)そんな大したモノじゃありませんから」

 

 ベルは万が一の事を考えて、リーネに自律起動の自己復活用アイテム――『スケープドール』を渡していた。毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)のように毒で負傷した場合の事を考えながら。

 

 本来はアークス専用のアイテムだが、『コスモアトマイザー』でフィン達が完全回復したのを見た事で、他のアイテムも通用するのではないかと思って渡す事にした。彼女は【ロキ・ファミリア】の貴重な治療師(ヒーラー)なので、もし失えば後々不味くなるかもしれないと思って。

 

「で、でも私……」

 

 最初は断ろうとするリーネだったが、結局はベルに押されて持つ事になってしまった。




これで『二人のアークス』シリーズは終了です。

次回は『オラリオの歓楽街』シリーズになります。
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