ベルがアークスなのは間違っているだろうか   作:さすらいの旅人

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短くてすいません。


オラリオの歓楽街⑥

 問題無く終わって帰還する筈の冒険者依頼(クエスト)が、突然他所の冒険者からの怪物進呈(パス・パレード)をされてしまうも、僕の略式複合テクニックによって解決した。倒したのが僕だと認定されたのか、『レ・ザンディア』によって絶命したモンスターの殆どからドロップアイテムを入手に成功する。

 

 余りの光景にヴェルフ達の目が点になっていたけど、リリが『予定外の臨時収入になりそうですね』と言いながら全て回収した。だけどその途中、僕達に怪物進呈(パス・パレード)をした冒険者達が急に戻って、謝りに来たのかと思えば予想外の発言だった。『そのモンスターは元々俺達が相手してたから、ドロップアイテムはいくつか貰っても良いよな?』と。

 

 これは当然僕だけでなく、ヴェルフやラウルさんも怒って抗議しそうになるが、それはもうやる必要が無くなってしまった。男性陣の僕達より――

 

「ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞクソ共がぁぁぁ!!」

 

『『『『ギャァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』』』』

 

 リリの怒りが既に爆発していたから。同時に眼の色が鮮やかな赤眼となり、スキル【冥怒聖女(バーサク・フィアナ)】が発動していた程だ。

 

 普段冷静で大人しい筈なんだけど、身勝手な冒険者達に虐げられていた過去(きおく)がある。そしてアークスとなった事で、【ステイタス】更新時にそのスキルを得る結果になった。本人はもう既に吹っ切れたと言ってるけど、スキルを発動させたブチ切れ行為を見て完全に吹っ切れていないのがよく分かる。

 

 今まで冒険者達から理不尽に虐げられた怒りを必死に抑え、挙句の果てにはモンスターの餌にされそうになった。その直後にオラクル船団に転移されて一命を取り留めるも、今までの怒りをぶつける事が出来ないままアークスと言う力を得て今に至る。その溜め込んでいた怒りの象徴として、【冥怒聖女(バーサク・フィアナ)】と言うスキルが実現したかもしれない。と言っても、あくまで僕の推測に過ぎないけど。

 

 推測が当たろうが外れようが、どちらにしてもリリは【ヘスティア・ファミリア】の眷族、並びにアークスの仲間に変わりない。ヴェルフやラウルさんも人を見下す冒険者じゃないから、今後も仲良くやっていけるだろう。

 

「俺は何も見てねぇし、何も聞いてねぇからな」

 

「リリルカ、いえリリルカさんがティオネさん並みに恐いっす……!」

 

 ヴェルフとラウルさんは見下す気が一切無いどころか、決して逆らってはいけない相手だと認識してしまっている。尤も、それは僕にも言える事だけど。

 

 因みにリリによってボコボコにされた冒険者の人達はズタボロ状態で、完全に戦意喪失していた。向こうの自業自得とは言え、ダンジョンから帰還するのには難しいだろうから、僕の方でレスタを使って治癒させておいた。

 

 

 

 

 

 

 13階層の冒険者依頼(クエスト)を終えた二日後。

 

 【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)竈火(かまど)の館』の裏庭には、その一角に石造りの小屋が完成した。

 

 その小屋は『工房』、即ち()()()の聖域と呼ぶ鍛冶場。ヴェルフの改宗(コンバージョン)決定後、神様は【ゴブニュ・ファミリア】に鍛冶場の建築依頼するも、たった数日で完成したのは予想外だった。

 

 本当に完成したのかと僕が小屋の中を見た際、以前に見たヴェルフの工房と比べたら狭かったけど、設備は充実していた。積み上げられた薪、樽、鉄製の造り付けされた棚、更には地下室。そして()()()にとって必要な特製の大型炉もある事で、一緒に見ていたヴェルフは満足げに頷いていた程だ。その後は引越しの際に持ってきた大量の私物を運んで、今日は一日使って自分好みの空間にしようと設置している。

 

 因みにラウルさんは正式な眷族でなくても、僕達と同じく一人部屋を割り当てている。と言うか、今いる本拠地(ホーム)は部屋が凄く余っている状態から全然問題無い。

 

 【ヘスティア・ファミリア】に来て数日しか経ってないけど、ラウルさんは解放されたかのように大分馴染んでいるようだ。聞いた話だと【ロキ・ファミリア】内ではフィンさん程ではないにしろ、アキさんが補佐について一緒に事務処理をやっているらしい。都市最大派閥かつ団員の人数も多いから、色々な物を把握するのに物凄く四苦八苦しているとか。僕達の本拠地(ホーム)で癒されるのであれば、フィンさんから撤収の指示が出されるまで好きなだけ居ても構わないと思っている。

 

 神様はいつものバイト、リリは久しぶりにメイドとしての仕事をしようと本拠地(ホーム)で掃除中。そして僕は、今後の探索に備えてギルドでエイナさんの講習+冒険者依頼(クエスト)の内容を吟味をしている。

 

 

 

「思っていたより時間掛かっちゃったなぁ……」

 

 時間は既に夕方を過ぎていた。

 

 エイナさんの講習は予定通り終わったけど、冒険者依頼(クエスト)の内容確認は結構大変だった。

 

 【ヘスティア・ファミリア】団員が増えた事で中層、更に今後は下層も想定して、採取する冒険者依頼(クエスト)について調べ過ぎる余り、かなりの時間が過ぎていた事に気付かなかった。

 

 今はもう確実に夕食の時間になっているだろう。だから神様達が未だに帰ってこない僕の事を考えているだろうから、リリの端末機に通信して帰るのが少々遅れる事を既に伝えてある。こういう時にアークス用の端末機は便利だとつくづく思う。

 

「急いで戻らないと……ん?」

 

 本拠地(ホーム)へ戻っている最中、見覚えのある人達が見えた。【タケミカヅチ・ファミリア】に所属してる、ヤマト・命さんとヒタチ・千草さんの女性団員二人を。

 

 声を掛けようとするも、二人の様子が妙な感じがして躊躇ってしまう。何やら焦っているような感じがして、手を繋いだまま何処かへ向かおうとしている。

 

 もしかしてタケミカヅチ様や桜花さんに何か遭ったのだろうか。でなければ、あの二人がこんな時間に出掛けたりしない。【タケミカヅチ・ファミリア】は僕達【ヘスティア・ファミリア】と同じく、今頃は本拠地(ホーム)で夕食を取っている筈だ。

 

 命さんと千草さんの挙動不審な行動が気になった僕は、ファントムスキルを使って二人の後を追う事にした。




原作と違ってベル一人で歓楽街へ行く展開にしました。

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