ベルがアークスなのは間違っているだろうか 作:さすらいの旅人
①【ヘファイストス・ファミリア】
ヴェルフが【ヘスティア・ファミリア】へ
「ヴェル吉の奴、団長の手前に何も言わず【ヘスティア・ファミリア】へ
怒りを露わにしているのは、黒髪と褐色の肌を持つ長身のハーフドワーフ――椿・コルブランド。鍛冶場の床を踏み鳴らし、工具が揺れるほどの勢いで荒れている。
彼女は【ヘファイストス・ファミリア】の団長であり、【Lv.5】の冒険者。オラリオ最高の鍛冶師として名高い
そんな彼女がここまで荒れている理由は、一人の団員――ヴェルフ・クロッゾが突然
ベルの武器を初めて直接目にしたのは、【ロキ・ファミリア】の遠征の時だった。深層で披露した武器は魔剣でありながら、刀身が壊れない限り何度でも使えるという話を聞いた瞬間、椿は自分の耳を疑った。
自分が作る魔剣とはまるで別物。その事実を認めた瞬間、椿は是非ともベルの武器を調べたいと
遠征後、個人的にベルへ会いに行こうとしても、主神ヘファイストスから厳命され、我慢の日々を送るしかなかった。その鬱憤が溜まりに溜まったところへヴェルフがベルと接触し、専属契約まで結び、挙げ句の果てに【ヘスティア・ファミリア】へ
「言っておくけど椿、貴女の
暴れている椿を見て、ヘファイストスは呆れたように言い放つ。こうでもしなければ、椿が勝手に飛び出す性格であることをよく理解しているからだ。
「それはあんまりではないか主神様! ヴェル吉は良くて手前がダメなど、不平等で訴えるぞ!」
椿は完全に暴走気味だった。これまでずっとベルの武器に目を付けていたのに、ヴェルフが横から掻っ攫っていった事実が彼女の怒りを増幅させている。
だがヘファイストスは、再度きっぱりと言い切った。
「貴女はウチの団長だから当たり前でしょう!」
「うがぁぁ! こんな時に団長の立場が鬱陶しくなるとは思わなかったぞぉぉぉ!」
椿は頭を抱え、鍛冶場の壁にもたれかかる。火の消えた炉の前で、彼女の嘆きが虚しく響いた。
一人の
②【ディアンケヒト・ファミリア】
医療系の大手派閥【ディアンケヒト・ファミリア】の
だが、店番をしているヒューマンの美少女――アミッド・テアサナーレの様子は、いつもとどこか違う。
「あの時は【ロキ・ファミリア】から救援要請で地下水路へ来てみれば、ベル・クラネルが厄介である筈の
アミッドは小さく震えるような声で呟き、手元の薬瓶を並べながらも視線はどこか宙を漂っていた。
彼女は【ディアンケヒト・ファミリア】の団長であり、【
アミッド自身も、自分の技量に誇りを持っていた。どんな傷でも、どんな毒でも、どんな病でも自分が治す。その信念が、彼女を都市最高の
だが、ここ最近はその誇りが揺らぎ始めていた。
原因は一人の少年――ベル・クラネル。
初めて彼を見たのは【アポロン・ファミリア】との
さらにティオナを通じて、深層の魔物
しかし、新たな事実が彼女の価値観を根底から揺さぶった。
ベルは傷や毒だけでなく、アミッドですら手を焼く
「あの、団長……?」
店番をしながらブツブツと呟くアミッドを見て、団員の一人が恐る恐る声をかける。その表情は、まるで爆発寸前の爆弾に触れるかのような怯えを含んでいた。
次の瞬間、アミッドは椅子から勢いよく立ち上がった。
「やはり彼は冒険者ではなく
「ちょっと団長、何方へ行く気なのですか!?」
まるで錯乱したかのように店を飛び出そうとするアミッド。
団員は慌てて彼女を羽交い絞めにして止める。
「無論【ヘスティア・ファミリア】の
「ちょっ!? それは流石に不味いですから!」
アミッドは必死にもがくが、『Lv.2』とはいえ筋力は高くない。そのため、『Lv.1』の団員の拘束から逃れることが出来なかった。
店内には、団長の叫びと団員の悲鳴が混ざり合い、妙な騒ぎが広がっていく。
先ずはファントムベルの武器と魔法に注目している椿とアミッドでした。
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